「心不全の語り」を映像・音声・文章で公開
心不全を患う当事者と家族36名の語りを「心不全とは」「治療」「生活」に分けて収録
認定NPO法人 健康と病いの語りディペックス・ジャパン(理事長:中山健夫 事務局:東京都中央区)は、このたび12番目のプロジェクトである「心不全の語り」を公開しました。
https://www.dipex-j.org/heart-failure/

心不全とは、さまざまな原因で心臓のはたらきが徐々に低下していく病態で、進行すると息切れやむくみなどが起こり、生活に支障をきたします。
「心不全の語り」では、20代から90代の心不全を患う当事者33名(女性13名・男性20名)と50代から60代の家族3名がインタビューを通じて語った体験談を掲載しています。(いくつかのトピックは現在準備中です)
その内容は、本人のインタビュー映像、音声、文章の形で、150を超える語りを「心不全とは」「治療」、「生活」という3つの語りのテーマに分類し、12のトピックに分けて収録したものです。まず「心不全とは」では、循環器内科医の篭島充医師による病態の説明に続き、「症状の始まり」、「心不全とストレス」、「心不全の原因(準備中)」についての語りを集めました。「治療」は、「薬物療法」、「ペースメーカ」、「カテーテル治療(準備中)」、「ICU(集中治療室)での経験」、「医療者とのかかわり」の語りに分けて収録しています。特に項目が多い「生活」は、「食生活と水分摂取・活動」「仕事とのかかわり(仕事と心臓病発症、仕事への復帰、仕事への取組みの変化、病気の開示と相談、職場の人間関係、離職・転職)」、「経済的な影響(治療費の負担、仕事の変更による収入減、仕事の影響は少なかった、経済的な負担)」、「公的制度・社会資源の活用(医療費を支援する制度、生活費を支援する制度、障害者手帳)」、「結婚・出産」など多岐にわたります。
■インタビュー協力者の方々の語りから
◇出張中ひどい風邪で肺が痛くなり、苦しくて帰宅後受診したら即入院だった。それまでおかしいと思うような症状はなかった。(心不全、心筋梗塞、糖尿病・50代・男性)
◇心臓の病気は見てわからない。心筋梗塞の治療後、職場復帰したが「しんどい」と言えるので、明日やれることは今日やらないようにしている。(心筋梗塞・50代・男性)
◇薬を飲んでいるから体調が良くて健康的な生活が送れるが、薬を飲むということは病気であることだというジレンマを感じている。(僧帽弁閉鎖不全症,うっ血性心不全・60代・男性)
◇運動の程度で脈拍を測り、これくらいのしんどさでこれくらいという物差しを幾つか持って、活動の目安にしている。1つじゃダメで自分の場合は3つくらい物差しがある。(心筋梗塞・50代・男性)
◇ICUでカーテン越しに赤ちゃんの生きようとする大きな泣き声が聞こえた。自分も頑張らなくちゃと思った。(感染性心内膜炎、僧帽弁閉鎖不全症、弁形成術後、心タンポナーデ・40代・女性)
◇心室細動が起きた時に、即電気ショックが作動するICD(植え込み型除細動器)を装着した。8年間に1回作動、その時は眼鏡が吹っ飛ぶくらいバーンときた。(急性心筋梗塞、心室細動 70代・男性)
◇手術をしてから心臓の具合も特に変わったことが無かったので、不妊治療をして、子どもを授かることができた。しかし妊娠中に僧帽弁にばい菌が付いて逆流も発生しているので、赤ちゃんを諦めるのなら数日で決めてくださいと言われ、周りへの影響や自分の身体を考えて辛い決断をした。(心室中隔欠損症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症・40代・女性)
■「心不全の語り」プロジェクト責任者の思い(射場典子)
心不全という捉えどころがない病態やペースメーカなど身体に「機器」を埋め込む治療への戸惑い、食事や仕事などの日常生活への影響から結婚・出産など人生の重要な決断に至るまで、さまざまな語りに出合いました。このプロジェクトは、当初は循環器疾患の終末期緩和ケアの質を評価する研究事業の部分委託として,4人の患者の方々のインタビューを実施したものでした。けれど、その4人の語りを大事にしたいという思いから旧知の谷口珠美さん(当時は山梨大学教授)の協力を得て科研費*を獲得、2018年にスタートしました。コロナ禍や私自身の身体の不調による中断を経て、ディペックス内の協力体制も整い、インタビュー終了から4年越しでほぼ公開に至りました。「心不全の語り」が当事者や家族の方々、医療従事者に届いて、心臓を患うという経験が共有され、少しでもお役に立てることを願っています。*科学研究費助成事業の略。全ての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を発展させることを目的とする「競争的研究費」であり独創的・先駆的な研究に対する助成を行う。(日本学術振興会)
■プロジェクトメンバー(◎責任者および共同担当者)
◎射場典子 浅野泰世 森田夏実 佐藤(佐久間)りか(ディペックス・ジャパン)
鷹田佳典(日本赤十字看護大学さいたま看護学部)
■「心不全の語り」研究補助金
1. 平成29-30年度AMED(日本医療研究開発機構)「循環器疾患患者に関する質の高い客観的指標分析(予後予測モデル)を基にした終末期緩和ケアの質評価および教育プログラムの構築」(研究代表者:聖路加国際病院循環器内科水野篤医師、課題番号18ek0210072h0003)委託事業
2.平成30-令和4年度科学研究費補助金(基盤C)「患者参画による心不全患者と家族のQOL向上を目指したナラティブ教材の作成」(研究代表者:山梨大学 射場典子、JP18K10308)
【特定非営利活動法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン】
「体験したからこそ伝えたいことがある、体験した人にしか語れないことがある」
「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」は、英国オックスフォード大学が開発した、患者の体験をデータベース化するDIPEx(Database of Individual Patient Experiences) をモデルに、日本版の「健康と病いの語り」のデータベースを構築し、社会資源として活用していくことを目的として2007年に設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。2009年NPO法人化と同年、独自に「乳がんの語り」を公開。病気や障害に向き合う人々とその家族および、医療関係者に向けて、「前立腺がん」、「認知症」、「クローン病」、「新型コロナウィルス」のほか「慢性の痛み」「医療的ケア児」など複数の病気に共通する症状や悩みを持つ患者や家族、「大腸がん検診」、「臨床試験の治験」体験者など12の語りの動画・音声・文字情報を無料で公開しています。(2026年3月現在)ウェブサイト訪問者数は、月平均延べ75,000名(2024年)に上り、500名を超える当事者および家族のインタビューを収録、合計1,000時間超のインタビューのうち1~2割を公開しています。
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