統合生産制御システム「CENTUM VP」の次世代モデルを発表
~世界初の分散形制御システムの発表から50周年 幅広い技術を統合して安全安心でサステナブルな自律操業を実現するCENTUMへ~
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表執行役社長:重野 邦正)は、OpreX™ Control and Safety Systemの中核製品の一つである、 統合生産制御システムCENTUMの10世代目となる「CENTUM™ VP(センタム・ブイピー) リリース7」のコンセプトを発表し、新たに開発したリリース7.01の販売を開始しますのでお知らせします。なお、CENTUMは、横河電機が1975年6月19日に世界で初めて※1発表した分散形制御システムで、今年50周年を迎えます。
開発の背景
昨今、サプライチェーンの変化に加え、環境に配慮した取り組みの必要性も増し、各国が環境規制を強化する傾向にあります。再生可能エネルギーの活用も含めた複雑なエネルギー管理や、クラウドと連携したデータの分析など、デジタル技術の活用も広がる一方で、セキュリティリスクが上昇しています。既存の有形資産を生かしながら、ベテランオペレータの制御スキルといった無形資産を形式知化することや、24時間体制における作業負荷や心的負担の軽減などのニーズも高まっています。このように、産業が直面している課題の複雑度が増す中で、各社の経営と現場には、ビジネスの競争力を高めるべく、優れた製品の安定的な製造と、オペレーションの効率化による収益確保のバランスを取ることが求められています。
CENTUM VPリリース7のコンセプト
10世代目となるリリース7は、これらの課題をふまえ、操業の自律化※2の促進をコンセプトに掲げています。エネルギー効率改善、脱炭素の加速、安全安心な労働環境を提供し、お客様のサステナビリティにも貢献していきます。これまでの信頼性・安定性・継承性、強固なセキュリティ、万全のエンジニアリング・サービス体制を変わらぬ価値として保持しながら、下記の3点の未来に向けた革新に取り組みます。
-
制御・操作監視範囲の更なる拡大
プラント内に点在する幅広いデータをセキュアに集約することでプラントの全ての状態を見える化し、自動化運転の範囲を拡大します。これにより、より安全安心な操業を実現します。 -
プロセスの状態把握による予兆検知
操業に関わるプロセス固有の事象を抽出、同定し、期待値からの逸脱を予兆検知することで、オペレータが変化を先読みしてアクションすることを支援します。より安定した操業を実現し、エネルギー効率の改善などに寄与します。 -
経験知とAI技術を融合したプラント操業
人のもつ知見や操業ノウハウを駆使した未来シナリオを提示することで、オペレータの的確な判断を支援します。また、自律制御AI※3がオペレータの操作を代替することで長期安定操業を実現します。これらにより、オペレータの作業負荷や精神的な負担を軽減します。
今回発売するCENTUM VP R7.01の主な特長
操業の自律化には、安全安心を担保したうえで、AIを活用していくことが欠かせません。リリース7.01ではそれに向けた基盤整備を図っています。主な特長は以下の3点です。
-
安全安心のためのセキュリティ強化
データを駆使した操業を実現するためには、重要インフラのセキュリティに十分に配慮する必要があります。制御システムを構成するコンポーネントのサイバーセキュリティならびにシステム全体としてのセキュリティレベルを強化するため、業界のセキュリティベンチマークに対応しました。 -
CENTUMによる制御と操作監視範囲の拡大
OPC Unified Architecture (OPC UA) 接続によりCENTUMの制御および操作監視の対象となるプラント内設備・機器を拡大します。OPC UAは、インダストリアルオートメーション分野において、異なるメーカーの機器同士がデータ交換できるようにするための、プラットフォームに依存しない標準規格です。今回、CENTUMにOPC UAクライアント機能を追加します。 -
大規模プロジェクトに対するエンジニアリング機能の強化
プラント内に点在する各システムを統合し、操業の全体最適を図るために、CENTUMに関わる複数のエンジニアリングデータベースを結合してテストする機能を提供します。エンジニアリングを高品質かつ高効率に行えるようになり、新規および既存プラントの早期立ち上げ・再稼働に貢献します。
横河電機 執行役 デジタルソリューション統括本部 システム事業部長 山本 光浩は次のように述べています。「VUCA※4の時代において、製造の現場、経営に求められる条件は日々複雑化しています。CENTUM VP リリース7は、安定操業の実現と、自律化の範囲拡大によって、お客様が取り組む、持続可能な社会や企業成長の実現といったサステナビリティや企業価値向上に貢献していきます」。
※1 2012年9月独立行政法人国立科学博物館が選定する平成24年度の「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録時や、2021年3月 第14回電気技術顕彰「でんきの礎」に選定時に、世界初とされています。
※2 自律化:横河電機は「産業における自動化から自律化へ(Industrial Automation to Industrial Autonomy:IA2IA)」を提唱しています。「産業における自律化」は「プラントの設備や操作自体が、学習し、適応する機能を持つようになること。これにより人間の介入は最低限にとどまり、オペレーター(運転員)はより高いレベルの最適化に取り組むことが可能になる」と横河電機では定義しています。
※3 自律制御AI(強化学習AI アルゴリズム FKDPP:Factorial Kernel Dynamic Policy Programming):自律制御AIとは、「自らが最適な制御方法を導き出し、経験していない状況でもある程度自律的に対応できるロバスト性の高さを持つもの」と横河電機では定義しています。化学プラントで自律制御AIとCENTUM VPを統合してプラントの操業に組み込んだ実績があり、環境負荷等の低減、人への負担を削減し安全性を向上したことなどが評価され正式採用されたほか、日刊工業新聞社主催の第52回 日本産業技術大賞の最高位「内閣総理大臣賞」を受賞しています。
※4 VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭字語
主な市場
石油・天然ガス、石油化学、化学、鉄鋼、紙パルプ、電力、水処理など各種プロセス産業
用途
プラント、製造装置の運転監視、自動制御
関連情報
CENTUM VP
(リリース7のコンセプトやリリース7.01の詳細はこちらからご覧ください。)
CENTUM 50th Anniversary特設サイト
https://www.yokogawa.co.jp/special/centum-50th/

CENTUMとは
CENTUMは分散形制御システムとして、横河電機が1975年6月19日に世界で初めて発表し、今年50周年を迎えます。発売以来、世界100カ国以上で累計30,000以上のシステムが採用され、石油精製や石油化学、高機能化学、繊維、鉄鋼、医薬、食品、水、電力、ガスといった幅広い産業を支えています。以前から当社が培ってきた安全安心な安定制御のための最先端の知見や開発成果が生かされて誕生し、半世紀にわたって進化を続け、信頼性、安定性、継承性を備えた運転制御の中核システムとして、制御機能の改善によるお客様の製品の高機能化や省エネなどに大きな役割を果たしてきたほか、プラントの生産性向上に貢献してきました。開発時のデザインテーマに「信頼」を据えて生み出されたCENTUMは、YOKOGAWAのグローバルなサービスネットワークのもとに産業の安全安心な操業をリードしています。
OpreXとは
OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation、OpreX Control、OpreX Measurement、OpreX Execution、OpreX Lifecycleの5つのカテゴリーから成り立ち、CENTUM VPはOpreX Controlの製品・ソリューション群の一つであるOpreX Control and Safety Systemに属しています。OpreX Controlは、お客様の経営、操業、業務の変革に迅速に対応し、高効率、高品質、安全で安定した操業基盤を支える高信頼の制御テクノロジーを意味します。YOKOGAWAはこのブランドのもと、お客様のビジネス課題解決の視点で、お客様の変革と成長を支援する統合ソリューションを提供していきます。
本文中で使用されている会社名、団体名、商品名、サービス名およびロゴ等は、横河電機株式会社、各社および各団体の登録商標または商標です。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像