経営課題のある中小病院を、地域ケアの中核「コミュニティ・ホスピタル」に再生 当社子会社のシーズ・ワンを通じ、総額15億円を資金調達
医療介護コンサルティングを手掛ける株式会社メディヴァ(本社:東京都世田谷区 代表取締役社長:大石佳能子、以下「メディヴァ」)は、100%子会社である株式会社シーズ・ワン(本社:東京都世田谷区 代表取締役社長:大石佳能子、以下「シーズ・ワン」)を通じ、経営状態が悪化した、若しくは後継者がいない中小病院を、地域包括ケアシステムの中核となる「コミュニティ・ホスピタル」に転換する構想を推進するため、総額15億円の資金調達を決定いたしましたのでお知らせいたします。引受先は、東急不動産ホールディングス株式会社(以下「東急不動産HD」)、株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ傘下のグループ会社(以下「きらぼしグループ」)、その他企業となります。
メディヴァは2000年の創業以来、全国の病院に対して幅広いコンサルティングを手掛けており、この度、そのノウハウを子会社であるシーズ・ワンに移管し、同社が「コミュニティ・ホスピタル」構想を全国で推進していきます。今回調達した資金は①病院の再生・経営支援、承継支援 ②医療事務、システム、採用、労務管理等のバックオフィス機能のセンター化 ③中小病院向けDXシステムの構築、などに充てます。「コミュニティ・ホスピタル」は回復期/慢性期を中心とした入院機能と在宅医療の機能を持ち、コミュニティを維持するために必要な医療・介護機能について地域と連携しながら、地域の活性化に貢献します。
また、出資者である東急不動産HD、きらぼしグループ、その他企業とは事業パートナーとして、それぞれの強みを活かし、病院の経営改善と地域づくりに当たります。
シーズ・ワンは既に東京都内と北関東に2つの病院を「コミュニティ・ホスピタル」として再生、運営し、今後10年間で60病院を手掛ける予定です。
<左の写真>
コミュニティ・ホスピタル 同善病院にて医師たちと
<右の写真>(左から)
株式会社きらぼしコンサルティング 代表取締役社長 中野良明、株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ 代表取締役社長 渡邊壽信、株式会社シーズ・ワン / 株式会社メディヴァ 代表取締役 大石佳能子、東急不動産ホールディングス株式会社 代表取締役 副社長執行役員 植村仁
「コミュニティ・ホスピタル構想」の背景
日本の病院の約7割が200床未満の中小病院であり、多くは経営赤字です。医療費抑制の流れや医療スタッフの減少に伴い病院経営は今後も厳しさを増すと予測され、より高度で効率的な経営能力が求められます。
一方、高齢化がさらに進展していくことからケアすべき患者は増加していきます。高齢者が最期まで自分らしく過ごすためには、住み慣れた地域で暮らし続ける「地域包括ケアシステム」の構築が求められていますが、その中核となる在宅医療の担い手が足りていません。
「コミュニティ・ホスピタル構想」では、中小病院を地域包括ケアシステムの中核である在宅医療の担い手として、リポジショニングし、高度で効率的な経営を行うことにより発展させることを目指します。また「コミュニティ・ホスピタル」を中核として地域の健康、医療、生活を守り、地域の維持・発展をはかることを目指します。
また、シーズ・ワンは、今回の資金調達と同時に総合診療医の育成と地域づくりを目的とした一般社団法人コミュニティ・アンド・コミュニティホスピタル協会(本社:東京都台東区 代表理事武藤正樹 以下「CCH協会」)と提携しました。中小病院を総合診療医の育成、活躍の場として活用し、将来は育った総合診療医が病院を承継することを計画しています。
シーズ・ワンにおけるコミュニティ・ホスピタル事業の概要
シーズ・ワンは対象となる病院へ下記のサービスを提供します。
① 病院の再生・経営支援、承継支援
コミュニティ・ホスピタルへの転換に向けた地域調査、転換支援、求められる診療機能(地域包括ケア病床、在宅医療)の立上げ・運営支援、ファイナンス、後継者不在の場合の事業承継など、幅広い経営支援を行います。
② 人的支援
提携先のCCH協会とともに、コミュニティ・ホスピタルに必要な人材(医療人材、経営人材)の紹介、派遣を行ないます。また、先行するコミュニティ・ホスピタルで総合診療医、在宅医療医の教育プログラムの作成・運営等、幅広い人的支援を提供します。
③ バックオフィス機能のセンター化
医療事務、総務、経理、採用、人事、労務、購買、施設管理、システム等のバックオフィス機能をシーズ。ワンの業務センターで受託し、専門的な業務運営と効率化を実現します。
④ 病院DX化
中小病院向けDX電子カルテとデータベースシステムを連動させ、各部門システムを網羅した記録作成支援と、当社開発のCRM(顧客管理)システムやダッシュボードをパッケージ化し、中小病院のDX化を実現します。
シーズ・ワンが手掛けているコミュニティ・ホスピタル事例
シーズ・ワンは下記の2つの病院をコミュニティ・ホスピタルに転換し、運営中です。
◆ 同善病院(東京都台東区)
東京都台東区/45床(回復期リハビリテーション病棟/在宅療養支援病院)
在宅医療とリハビリに注力するとともに、総合診療専門医、他職種の育成・研修を行います。
◆ 水海道さくら病院(茨城県常総市)
茨城県常総市/93床(一般・地域包括ケア・療養・他/在宅療養支援病院,人工透析)
入院・外来・在宅医療をワンストップで提供します。英国発の「認知症の方に優しいデザイン」を取り入れています。
≪各社コメント≫
● 株式会社メディヴァ 代表取締役社長 大石佳能子
中小病院は地域の重要な医療資源であり、「コミュニティ・ホスピタル」として、地域包括ケアの要となり得ます。メディヴァは長年培った医療介護コンサルティングのノウハウを活かし、出資してくださった事業パートナーとともに「コミュニティ・ホスピタル構想」の実現に向けて歩んでいきます。 構想の実現のために、経営の安定化、医療以外の業務の集約化、DX化を進め、医師を含めた医療スタッフにはより良い医療の提供に専念して頂きます。長期的には、病院を地域ニーズに合った形でお返しすることを含め、病院を核とした地域再生のエコシステムづくりを目指します。
● 東急不動産ホールディングス株式会社 代表取締役 副社長執行役員 植村 仁
このたび、シーズ・ワンが掲げるコミュニティ・ホスピタル構想に共感し、出資を決定いたしました。当社は、不動産事業において多様なビジネスを展開しており、地域との共創を通じた相互発展に向けた取組みを行っております。本構想への参画により、老朽化した病院の建替や施設管理等、当社が持つ広範な不動産のソリューションを提供し、中小病院の再生をサポートすることで、社会課題の解決と地域医療の充実に貢献してまいります。
● 株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ 代表取締役社長 渡邊 壽信
きらぼしグループは、メディヴァ様の創業当初よりお取引をいただいております。今後も良きパ ートナーとして、構想実現に向けグループシナジー効果を発揮していく所存です。金融支援をはじめ、リース、信託、メザニンファイナンスや、きらぼしコンサルティングによる医療DX化および業務効率化支援、U I 銀行・きらぼしテックを中心とするデジタルを起点としたプラットフォームの活用等、グループ一丸となり、幅広い分野でのサポートを行ってまいります。
≪本事業に賛同いただいた医師のコメント≫
● CCH協会 代表理事 武藤正樹
人は住み慣れた地域で老いることが理想だと誰しもが願っていると思いますが、そのためには自宅における介護とともに医療の提供体制の充実が不可欠となります。コミュニティ・ホスピタルはこうした暮らしの中の医療を支える拠点となるため、その実現を支援してくれるシーズ・ワンに期待をしています。
● 藤田医科大学 総合診療プログラム責任者 大杉泰弘
日本においても欧米から遅れること40年、2018年から総合診療専門研修プログラムが始まりました。従来の総合診療医の働き場所は、総合内科の流れをくむ急性期病院、家庭医療の流れをくむ診療所と大きく2つがある一方、200床未満の中小病院は総合診療医の研修先や働き場所としてはこれまであまり注目されていませんでした。今回の取り組みによって中小病院がコミュニティ・ホスピタル化することでその魅力は総合診療医にとって大きく変化することが期待でき、総合診療とコミュニティ・ホスピタルとの出会いは今後の医療を変革していく可能性を秘めていると思っています。
☆シーズ・ワンURL
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