「ナンブランラト」胆道がんに対する医師主導臨床試験(jRCT)登録に関するお知らせ
~胆道がん一次療法における免疫チェックポイント阻害剤との併用療法に向けて~
2026年5月18日
ジェイファーマ株式会社
ジェイファーマ株式会社(本社:東京都港区、以下「当社」)は、胆道がんの一次療法におけるナンブランラトと免疫チェックポイント阻害剤(ICI)との併用について、医師主導臨床試験(JON-2404-B)の開始に向け、Japan Registry of Clinical Trials(jRCT)に試験情報が登録・公開されましたので、お知らせいたします。
URL: https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCT2031260086
本試験は医師主導により実施されるものであり、当社は公益財団法人がん研究会有明病院との契約に基づき、試験の円滑な遂行を支援してまいります。
本試験の代表施設である公益財団法人がん研究会有明病院 肝胆膵内科 担当部長 尾阪将人医師より以下のコメントをいただいております。
「胆道がんは、シスプラチン/ゲムシタビンと抗PD-1/PD-L1抗体の併用療法が現在の標準療法であるものの、24か月生存率は25%以下にとどまっており、依然としてアンメット・メディカル・ニーズは高い状況です。特に、治療開始後25週目以降は、抗PD-L1抗体単剤、または抗PD-1抗体とゲムシタビンによる維持療法に移行しますが、維持療法期間中における病勢進行が課題となっています。胆道がん患者の多くは高齢者であり、副作用により効果があっても積極的な薬物治療を継続できないケースも少なくなく、長期間にわたり標準治療を継続できる治療選択肢が求められています。
本試験では、現在の標準療法(抗PD-L1+化学療法)に対し、治療開始後19週から25週以降の維持療法にナンブランラトを追加することで、標準療法と競合することなく、さらなる治療効果の向上が期待されます。」
当社代表取締役社長の𠮷武は、次のように述べています。
「がん細胞は、LAT1を介してアミノ酸を取り込み、増殖に必要な栄養を獲得していることが知られ ています。また、がん細胞によるアミノ酸の取り込みにより、腫瘍微小環境におけるアミノ酸が不足し、その結果、免疫細胞の機能が低下し、がん細胞に対する免疫応答が抑制される可能性が報告されています。LAT1阻害剤であるナンブランラトは、がん細胞へのアミノ酸供給を抑制するという作用に加え、腫瘍微小環境における免疫応答に影響を及ぼす可能性を有しており、当社による研究を通じてLAT1阻害による免疫細胞の活性化を示唆する非臨床データが得られています。また、ナンブランラトと免疫チェックポイント阻害剤との相乗効果も動物モデルで報告されており、がん細胞への直接的な作用と、抗腫瘍免疫応答への作用の双方を通じた新たな治療アプローチとなる可能性があります。」
当社は、LAT1阻害剤「ナンブランラト」について、既に開始している米国でのグローバル第3相臨床試験(Beacon-BTC)を着実に進めるとともに、国内においてはICIとの併用療法を検証する医師主導臨床試験の円滑な遂行を支援してまいります。今後も、世界中の患者様の希望に応える革新的な治療選択肢の提供することを目指し、研究開発を推進してまいります。
【ナンブランラトについて】
ナンブランラト(開発コード:JPH203)は、当社が新規創製したLAT1選択的阻害剤であり、同作用機序の薬剤として世界で初めて臨床開発が進められている低分子化合物です。LAT1(L-type amino acid transporter 1、L型アミノ酸トランスポーター1)は、細胞内へのアミノ酸取り込みに関与するトランスポーターの一つであり、多くのがん細胞で高発現していることが知られています。医薬品として承認された場合、ファースト・イン・クラス(疾患に対して新しい作用機序で初めて承認に至る医薬品)の新薬となる可能性があります。当社は2015年より複数の固形がんを対象とした第1相臨床試験を実施し、その成果を踏まえ、進行性胆道がん治療への適応可能性を見出しました。2018年からは進行性胆道がんを対象とした第2相臨床試験を実施し、単剤で有用な臨床効果を示すことを確認しています。
また、ナンブランラトは2022年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受け、2024年9月25日にはナンブランラトのがん患者様を対象とする臨床試験に関するInvestigational New Drug(IND)申請が受理されています。さらに、2025年5月には、商業製造スケールにおけるCMC(化学・製造・品質管理)が、FDAが要求する品質基準を満たしていることが確認されています。これらの進展を踏まえ、当社は2025年12月にグローバル第III相臨床試験を開始しております。
ナンブランラト国内第II相試験の結果に関する論文
Furuse et al. A Phase II Placebo-Controlled Study of the Effect and Safety of Nanvuranlat in Patients with Advanced Biliary Tract Cancers Previously Treated by Systemic Chemotherapy. Clin Cancer Res. 2024; 30(18):3990-3995.
【ナンブランラト(JPH203)と免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の非臨床での併用効果】
がん免疫療法に抵抗性を示す4T1同系マウス異種移植モデルにおいて、ナンブランラトとICI抗体との併用効果が検証されました。その結果、ナンブランラトとICI抗体の併用投与により、各単剤投与と比較して有意な抗腫瘍効果の増強が確認されました。
また、併用によりCD4+および CD8+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の増加、ならびに抗腫瘍免疫抑制に関与するFoxP3陽性CD4+ T細胞の減少が認められました [1, 2, 3]。
さらに、M1/M2マクロファージ比の上昇およびがん関連線維芽細胞(CAF)の蓄積抑制も確認されており[3]、ナンブランラトとICI抗体との併用により腫瘍免疫微小環境の改善が示唆されています。
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Zhao Y et al. Targeting LAT1 with JPH203 to reduce TNBC proliferation and reshape suppressive immune microenvironment by blocking essential amino acid uptake. Amino Acids. 2025, 57(1):27. https://doi.org/10.1007/s00726-025-03456-3
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Huang R et al. Targeting glutamine metabolic reprogramming of SLC7A5 enhances the efficacy of anti-PD-1 in triple-negative breast cancer. Front Immunol. 2023, 14:1251643. https://doi.org/10.3389/fimmu.2023.1251643
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Nanvuranlat Investigator’s Brochure version 10.0, September 2025
【ジェイファーマ株式会社について】
当社は、「SLCトランスポーターの新たな可能性を追求し、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的新薬の開発を通じて、世界中の人々が健康を維持し、希望を持ち続けることに貢献する」を企業理念としています。この理念のもと、SLCトランスポーターのひとつで創業者が発見したLAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)に注力し、がんや自己免疫疾患において既存薬では対応できない患者様のニーズに応える新薬開発を推進しています。
ジェイファーマ株式会社の詳細は、当社ウェブサイトhttps://www.j-pharma.comをご覧ください。
【本件に関するお問い合わせ先】
ジェイファーマ株式会社 企画部
TEL:03-6432-4270
