「GO FOR KOGEI 2025」出展アーティストと詳細発表
6回目の今年は金沢と富山を舞台に18組のアーティストが参加し、アートと⼯芸、くらしが融合する展⽰を通じて「⼯芸的なるもの」を発信。イギリスでの国際シンポジウムと台湾での展覧会開催も決定。

認定NPO法⼈趣都⾦澤は、「GO FOR KOGEI 2025」を2025年9⽉13⽇〜10⽉19⽇の37⽇間で開催いたします。
今年のテーマは、約100年前に⺠藝運動を提唱した柳宗悦の⾔葉より「⼯芸的なるもの」。
さまざまな素材を扱う現代アーティストや⼯芸作家、職⼈が素材・技法と向き合う態度から⽣まれるさまざまな実践を通して、それらが作り出す多様な暮らしの姿を提案していきます。
また7⽉24⽇にはヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)と共同で、イギリス・ロンドンでの国際シンポジウムを、10⽉3⽇〜2026年1⽉18⽇には台南市美術館から招待を受け、台湾・台南での展覧会も開催決定しました。
■ 参加アーティスト
アリ・バユアジ、上出惠悟、桑⽥卓郎、コレクティブアクション、サエボーグ、坂本森海、相良育弥、
清⽔千秋、清⽔徳⼦+清⽔美帆+オィヴン・レンバーグ、髙 知⼦、舘⿐則孝、寺澤季恵、中川周⼠、
葉⼭有樹、松本勇⾺、三浦史朗+宴 KAI プロジェクト、やまなみ⼯房、吉積彩乃(五十音順)
■ 開催概要
GO FOR KOGEI 2025
テーマ|⼯芸的なるもの
会期|2025年9⽉13⽇(⼟)−10⽉19⽇(⽇)[37⽇間] 休場⽇|⽔曜
時間|10:00−16:30(最終⼊場16:00)
会場|富⼭県富⼭市(岩瀬エリア)、⽯川県⾦沢市(東⼭エリア)
主催|認定 NPO 法⼈趣都⾦澤、独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会、⽂化庁
共催|富⼭県、富⼭市、北⽇本新聞社
後援|⽯川県、⾦沢市、JR ⻄⽇本、富⼭地⽅鉄道、北國新聞社、富⼭新聞社、MRO 北陸放送、
⽯川テレビ放送、HAB 北陸朝⽇放送、北⽇本放送、富⼭テレビ放送、チューリップテレビ
2025テーマ|⼯芸的なるもの
GO FOR KOGEI 2025では、「⼯芸的なるもの」というテーマのもと、作家や職⼈が素材・技法と向き合う態度から⽣まれるさまざまな実践を通して、それらが作り出す多様な暮らしの姿を提案していきます。
⺠藝運動の主唱者として知られる柳宗悦(1889−1961年)は、論考「⼯芸的なるもの」*のなかで、⾞内アナウンスの抑揚や理髪師の鋏さばきを「⼯芸的なやり⽅」だと記し、⼈の⾏為あるいは態度にさえ⼯芸性を⾒出しました。柳にとって⼯芸的なものとは、個⼈の⾃由な表現というよりも、社会全体で共有される美意識や様式に基づいたものであり、そこに美や価値が宿ると考えていました。有形無形を問わず、ものごとを⼯芸的と捉えることができるならば、「⼯芸」は今⽇私たちが想定する以上に社会とつながり、広がりをもったものとして⽴ち現れてきます。
⼀⽅で、社会全体が、共有してきたものを失っていったとしたら、柳の提唱した「⼯芸的なるもの」という概念は通⽤するのでしょうか。ある意味で、モダニズムは柳の考えとは全く逆の⽅向へと向かってきたと⾔えるかもしれません。こういったモダニズムの末期とも⾔える今⽇において、柳の概念を⼿掛かりに⼯芸と社会との関係を考えることには⼀定の意味があるでしょう。
GO FOR KOGEI 2025では、作家や職⼈の⼯芸的態度を起点にして、制作された作品に留まらず、その過程で⽣まれる他者との関係性、作品を介して開かれるコミュニケーションや暮らしの場⾯といった社会的状況にも⽬を向けていきます。また、ある時には暮らしを下⽀えし、ある時には形作り、ある時には彩る、同じ素材が持つ多⾯的な展開も紹介します。こうした広がりの中に「⼯芸性」を想定することには、現在の、またこれからの⼯芸とアートの役割を⾒出す契機が潜んでいることでしょう。
*『⼯藝』第8号(1931年)所載
秋元雄史(アーティスティックディレクター)

秋元雄史
東京藝術⼤学名誉教授、⾦沢21世紀美術館特任館⻑、国⽴台南芸術⼤学栄誉教授、美術評論家。1955年東京⽣まれ。東京藝術⼤学美術学部卒業。1991年から直島のアートプロジェクトに携わる。地中美術館館⻑(2004‒2006年)をはじめ⾦沢21世紀美術館館⻑(2007‒2017年)、東京藝術⼤学⼤学美術館館⻑・教授(2015‒2021年)、練⾺区⽴美術館館⻑(2017‒2023年)を歴任し、2021年から「GO FOR KOGEI」の総合監修・キュレーターを務める。主なプロジェクト・展覧会に、「スタンダード」「直島スタンダード2」(直島)、「第1‒3回⾦沢・世界⼯芸トリエンナーレ」(⾦沢、草屯・台湾)、「⼯芸未来派」(⾦沢、ニューヨーク・アメリカ)、「ジャポニズム2018」の公式企画として「井上有⼀ 1916‒1985—書の解放—」(パリ、アルビ・フランス)、「あるがままのアート-⼈知れず表現し続ける者たち-」(東京)など。著書に『アート思考』(2019年、プレジデント社)など。
今年のみどころ
■ ⼯芸的アプローチが⽣み出す多⾯的な創作
18組の多様な表現や活動を通して、「⼯芸的アプローチ」によって展開される多⾯的な創作のかたちを紹介します。素材や技術と真摯に向き合う態度に着⽬することで、既成概念にとらわれない、豊かで広がりのある表現の可能性を提⽰します。
■「⼯芸的なるもの」に通底する価値観
柳宗悦が提唱した「⼯芸的なるもの」という概念を⼿がかりに、⽇常のあらゆる事象に⼯芸性を⾒出す視点を提⽰します。そこから、現代社会において私たちが共有している美意識や価値観とは何かを問い直します。
■ さまざまな関係性を探るキュレーション
作品そのものにとどまらず、制作過程で⽣まれる他者との関係性や作品を媒介にしたコミュニケーションなど、モノの背後にあるさまざまな関係性に着⽬してキュレーションを展開します。展⽰やイベントを通して、⼈—モノ—社会のつながりを解きほぐしていきます。



GO FOR KOGEIの特徴
■ 「⼯芸」を現代的視点から再考する取り組み
GO FOR KOGEIは、近代化の中で台頭した「⼯芸」というフレームそのものを問い直し、歴史的に規定されたジャンルを通貫する、オルタナティブな評価軸を提案します。これまで⼯芸的なものとみなされてきた要素を再検証するとともに、アート、デザイン、建築といった隣接する“ジャンル”を横断しながら、私たちの価値観や⽇常に新たな視点をもたらすキュレーションを⾏います。素材や技法に根ざしながらも、現代的な問いを内包する作品の紹介や体験型のプログラムによって、来場者に発⾒や思考のきっかけを提供します。
■ 「くらし」や「⾷」と連動するシームレスなアート体験
作品の鑑賞にとどまらず、⼯芸の特性を⽣かした地域の⾷⽂化や暮らしと結びついた体験型のプログラムが⼤きな特徴です。たとえば、⽼舗の酒蔵で⼯芸と利き酒を楽しんだり、地元⾷材を使った軽⾷を、作家の⼿がけた空間と器で味わう企画など、五感で楽しめるプログラムを多数⽤意しています。⼯芸が⽣活の中に息づいていることを実感でき、観るだけでなく「使う」「味わう」「触れる」ことで、⽇常と⾮⽇常の間を⾏ったり来たりするシームレスなアート体験ができるでしょう。
■ 周遊しやすいコンパクト構成
富⼭・岩瀬エリア、⾦沢・東⼭エリアの古い蔵や酒蔵、町家など、地域の⾵景や建築の特性にあわせて溶け込むように設置した作品群が特徴で、まち並みや建築を回遊しながら楽しむスタイルです。ひとつのエリア内は基本的に徒歩で⼗分巡れるため、展⽰場所と⼯芸・アートが融合したスポットを気軽に鑑賞・体感できます。2つのエリアへは鉄道や⾞でアクセスしやすく、⾸都圏からも⽇帰り鑑賞が可能。また1泊2⽇であれば主要会場近辺のまち歩きも余裕をもって巡れるため、旅程を組みやすいのも魅⼒です。
昨年 GO FOR KOGEI 2024の展⽰とイベント⾵景



展⽰エリアと各アーティスト
■ 岩瀬エリア(富⼭県富⼭市)
富⼭駅から⾞で北へ約15分の距離にある岩瀬エリア。北前船の寄港地として栄えたこの地には、今も廻船問屋の建物が⽴ち並び、往時の⾯影を⾊濃く残しています。近年、⽇本酒の酒蔵「桝⽥酒造店」が中⼼となり、新しいまちの姿を形づくろうとする動きが⾒られます。ミシュランガイドで星を獲得した飲⾷店や、国内外で活躍する⼯芸作家のアトリエやギャラリーが点在するようになり、伝統を礎に今⽇的な美意識のもとで新たな姿に再⽣しようとしています。
アーティスト:アリ・バユアジ、桑⽥卓郎、サエボーグ、坂本森海、清⽔千秋、清⽔徳⼦+清⽔美帆+オィヴン・レンバーグ、髙 知⼦、舘⿐則孝、葉⼭有樹、松本勇⾺、吉積彩乃

アリ・バユアジ
[参考作品]展⽰⾵景「瞑想の⾏為」(カナダ⼤使館⾼円宮記念ギャラリー、2025年)

桑⽥卓郎
[参考作品]展⽰⾵景 桑⽥卓郎+く「窯揚げうどん」(Gallery & Restaurant 舞台裏、2025年)Photo: Kumi Nishitani

サエボーグ
[参考作品]《Pigpen Movie》2016年 Photo: Takeo Hibino

坂本森海
[参考作品]《豚を⾷べるための窯》2025年 陶 作家蔵 展⽰⾵景「坂本森海:⽕と⼟と⾷べたいもの」(京都市京セラ美術館ザ・トライアングル、2025年)Photo: Moriya Yuki

清⽔千秋
[出展作品]《タイトル不明》2022年 アクリル、紙 やまなみ⼯房所蔵

清⽔徳⼦
[出展作品]《The Danger Museum》2002年 刺繍⽷、ビーズ、スパンコール、アクリル、⽊綿、コーデュロイ 作家蔵 © Gottingham. Image courtesy of Miho Shimizu and Studio Xxingham

髙 知⼦
[出展作品]《ミームプロジェクト》2024-25年 ⽷、⽊綿、帆布 個⼈蔵

舘⿐則孝
[出展作品]《ディセンディングペインティング “雲⿓図”》2024年 アクリルエマルジョンペイント 個⼈蔵 展⽰⾵景「GO FOR KOGEI 2024」(桝⽥酒造店 満寿泉、2024年)Photo: Watanabe Osamu

葉⼭有樹
[出展作品]《双⿓》2023年 アルミ複合板 個⼈蔵 Photo: Watanabe Osamu

松本勇⾺
[参考作品]《⺟乳》2025年 稲藁、⽊材、⽵ 個⼈蔵 展⽰⾵景「⾷と⽣きる」(東京ミッドタウン⽇⽐⾕、2025年)

吉積彩乃
[出展作品]《ICON#2407 No.3》2024年 ガラス 作家蔵 Photo: Nanbu Miki
■ 東⼭エリア(⽯川県⾦沢市)
⾦沢を代表する観光地「ひがし茶屋街」を擁する東⼭エリア。江⼾時代末期から明治時代にかけて建てられた茶屋様式の町家が多く残されており、その端正な町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。また賑わう表通りの裏⼿では、かつてさまざまな職⼈が⼯房の軒を連ねて、制作に勤しんでいたそうです。現在も、昔ながらの住宅街の中に隠れ家的なカフェやギャラリーが点在し、⼯芸と暮らしが密接に結びついた姿を垣間⾒ることができます。
アーティスト:上出惠悟、コレクティブアクション、相良育弥、寺澤季恵、中川周⼠、三浦史朗+宴 KAIプロジェクト、やまなみ⼯房

上出惠悟
[参考作品]《五浦_1》2024年 油彩、キャンバス 作家蔵

コレクティブアクション
[参考作品]《⺠藝スピリット「貧」》2024年 個⼈蔵 Photo: Kotaro Tanaka

相良育弥+⻑坂常(スキーマ建築計画)
[参考作品]《YATAI2》2025年 単管⾜場、葦 個⼈蔵 Photo: Thomas Adank, coutesy of KUSAKANMURI,Ltd.

寺澤季恵
[出展作品]《⽣⽣2》2024年 ガラス、鉄 作家蔵

中川周⼠
[参考作品]《⽊桶の茶室》2024年 杉 作家蔵

三浦史朗+中川周⼠(中川⽊⼯芸)
[出展作品]《回湯 ⾵呂道具⼀式》2020年 作家蔵 Photo: Yoshikawa Shinjiro

やまなみ⼯房
参考作品]展⽰⾵景
イベント
作品の展⽰以外にも、⼯芸をより深く知るためのイベントを多数実施予定です。⾷とのコラボレーションや「つかう」「触れる」体験を通し、⼯芸のもつ多様な価値を体感ください。下記以外にも、岩瀬エリア・東⼭エリアで合計10種程のイベント開催を予定しています。詳細はウェブサイトで8⽉上旬に発表いたします。
■ 「うつわと楽しむ蕎⻨屋の新しいスタイル」桑⽥卓郎、酒蕎楽 くちいわ
⽇時:不定休、18:00〜のみ
会場:酒蕎楽 くちいわ(富⼭市東岩瀬町135裏) 予約:要予約

陶芸家・桑⽥卓郎さんと、岩瀬の街並みに佇む蕎⻨屋「酒蕎楽 くちいわ」による、GO FOR KOGEI 期間限定のコラボレーションです。完全予約制の「くちいわ」は、蕎⻨を中⼼に素材の持ち味を引き出す繊細な料理で、地元の常連客から観光客まで幅広く愛される評判の⼀軒。今回初めてアーティストとの共演に挑み、桑⽥さんの鮮やかなうつわとともに新しいスタイルの蕎⻨のコース料理を味わうことができます。店内には、桑⽥さんの⼯房から選りすぐった作品も展⽰予定。⼤衆に親しまれてきたクラシックな蕎⻨と現代アートの「⽕と油」的コラボレーションをお楽しみください。
※完全予約制
■ 「能登の⼟から⽣まれた七輪でふるまうバーベキュー」坂本森海
⽇時:10⽉19⽇(⽇)13:00〜16:00
会場:New An 蔵(富⼭市東岩瀬町336裏)

今回「温かみを持ち運ぶ」という発想から七輪を制作した坂本森海さんは、⼟砂災害に⾒舞われた能登・珠洲市に滞在し、ボランティア活動を⾏いながら現地の⼟を採取しました。その⼟を素材にした七輪で、能登の塩を添えたや旬の野菜やきのこを焼き、来場者に振る舞うイベントを開催します。会場は、坂本さんの作品が展⽰されている New An の裏⼿の蔵、その横の屋外スペースを予定。坂本さんご本⼈から制作の背景や作品について直接話を聞ける貴重な機会です。⾃然素材と地域の恵みを味わうひとときをお楽しみください。
※提供数に限りがあるため、先着順となります。
チケット(共通パスポート)

券種 |
⼀般 |
⼤学⽣・専⾨学⽣ |
⾼校⽣以下 |
前売り券(〜9/12まで) |
2,000 円 |
1,800 円 |
無料 |
当⽇券 |
2,500 円 |
2,000 円 |
無料 |
*共通パスポートでは、会期中すべての展⽰会場に1回ずつ⼊場できます。
*チケットはオンラインもしくはインフォメーションセンター(会期中のみ)で購⼊できます。
*障害者⼿帳またはミライロIDをお持ちの⽅とその付添者(1名)は無料です。
*各エリア内の展⽰会場に受付当⽇に限り1回ずつ⼊場できる「エリア別1DAYチケット」は、会期中に販売します。
発売場所
GO FOR KOGEI ウェブサイト(7⽉15⽇〜10⽉19⽇)
インフォメーションセンター(現地販売・会期中のみ)
アクセス
展⽰会場は岩瀬エリア(富⼭県富⼭市)と東⼭エリア(⽯川県⾦沢市)に点在しています。鑑賞ご希望の⽅は、各エリアのインフォメーションセンターまでお越しください。

■ 岩瀬インフォメーションセンター
桝⽥酒造店 満寿泉(富⼭県富⼭市東岩瀬町269)
富⼭駅から電⾞と徒歩で約30分
電⾞|富⼭地⽅鉄道 富⼭港線「東岩瀬駅」から徒歩約5分
駐⾞場|富⼭港展望台(10台・無料)、岩瀬カナル会館(75台・無料)
■ 東⼭インフォメーションセンター
HATCHi ⾦沢 by THE SHARE HOTELS(⽯川県⾦沢市橋場町3‒18)
⾦沢駅からバスと徒歩で約10分
バス|城下まち⾦沢周遊バス・北陸鉄道バス・⻄⽇本 JR バス「橋場町」バス停から徒歩約3分
駐⾞場|東⼭観光駐⾞場(15台・有料)
GO FOR KOGEI とは
GO FOR KOGEI は、ものづくりが古くから受け継がれる北陸から、ジャンルにとらわれない新たな⼯芸の⾒⽅を発信するプロジェクトです。2020年のスタートからこれまで毎年開催し、地域の歴史・⾵⼟を体現する町並みや社寺を会場にした展覧会やイベントのほか、⼯芸を巡る今⽇的な課題と可能性について議論を深めるシンポジウムなどを展開してきました。既成概念にとらわれない豊かで広がりをもった姿を「KOGEI」という⾔葉とともに提⽰しながら、これからの⼯芸のあるべき「場」をさまざまな実践を通して作り出していきます。
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