巡回展「ジャネット・カーディフ 40声のモテット」が丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で完結。12月13日(土)より開催。

カーディフによる彫刻的なサウンドインスタレーションと建築家・谷口吉生による建築空間の対話

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

ジャネット・カーディフ《40声のモテット》2001、聖ヨハネ教会(オーストリア、フェルトキルヒ)での展示風景(2005) Photo by Markus Tretter.Photo by Markus Tretter.Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo. ©Janet Cardiff

この度丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)では、カナダを拠点に活動するジャネット・カーディフ(1957ー)によるサウンドインスタレーション作品《40声のモテット》(2001)を展観いたします。

本作は、2001年にカナダ国立美術館(オタワ)で初めて公開され、同館のミレニアム賞を受賞して以来世界約60ヶ所で展示されてきた、彼女の代表作の一つです。16世紀イングランドの作曲家トマス・タリスが作曲した『Spemin Alium』(通称『40声のモテット』)をもとにしており、楕円形に設置された40台の各スピーカーから、59人5声部(ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バス)で構成された聖歌隊の歌声が個別に再生されます。それはまるで今まさに歌っている聖歌隊の場に居合わせているかのような没入感を生み出し、重層的な音の広がりは彫刻のように空間のなかで立ち上がります。

一方で、当館は数多くの美術館を手掛けてきた谷口吉生の設計のもと1991年に開館し、全国的に美術館として早い時期から自然光を取り入れた開放的な展示空間を備えています。こうした建築的特性を生かすと同時に、館内で最も面積が大きく、7mの天井高を有する広々とした展示室を会場とすることで、鑑賞者は自由に空間を移動でき、一層本作の音による空間体験を得ることができるでしょう。

原美術館ARCを皮切りに、年間を通じて金沢21世紀美術館、長崎県美術館への巡回を経て、当館での展示が国内で鑑賞できる最後の機会となります。ジャネット・カーディフの代表作による空間内での音の彫刻的な広がりと、当館ならではの建築空間の対話をお楽しみください。

1.見どころ

ジャネット・カーディフ《40声のモテット》 2001、ソールズベリー大聖堂合唱団による録音の様子(2000) Photo by Hugo Glendinning. Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo.©Janet Cardiff

1-1.美術館空間を満たす彫刻的な音響

聖歌隊のそれぞれの歌声が40台のスピーカーから個別に再生され、臨場感あふれる本作は、鑑賞者の視覚よりもむしろ聴覚に働きかける作品です。一般的に視覚芸術の鑑賞の場とされる美術館の空間を、鑑賞者が耳をすましながら自由に移動することで、音の広がりによる彫刻的な空間体験が生まれます。

1-2.谷口吉生設計のMIMOCAならではの音響体験

美術館の名手と評される、建築家・谷口吉生によって設計された当館の空間を活かした展示を行います。自然光をふんだんに取り入れた建築空間を活かしつつ、館内では最も広く、高さ7mの展示室Cを会場とすることで、《40声のモテット》の彫刻的な音の広がりと、当館ならではの建築空間の対話をお楽しみください。

ジャネット・カーディフ《40声のモテット》 2001、銀座メゾンエルメス フォーラムでの展示風景(2009) Photo by Atsushi Nakamichi / Nacása & Partners Inc. Courtesy of the Fondation d'entreprise Hermès, 2009 ©Janet Cardiff

1-3.代表作の国内巡回展の終着地

本展は、2001年に発表されて以来世界約60ヶ所で展示されてきた、ジャネットの代表作である《40声のモテット》の国内巡回展です。原美術館ARC、金沢21世紀美術館、長崎県美術館を経て、当館での展示が国内で鑑賞できる最後の機会となりました。

2.関連プログラム

2-1.キュレーター・トーク

本展担当キュレーター(中田耕市、谷村無生)が展覧会をご案内いたします。

日時:2025年12月14日(日)、2026年1月11日(日)、2月8日(日)各日14:00ー

参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)、申込不要

2-2.親子でMIMOCAの日

高校生以下または18歳未満の観覧者1名につき、同伴者2名まで観覧無料となります。

日時:2026年1月24日(土)、25日(日) 10:00ー18:00(入館は17:30まで)

*詳細やその他のプログラムは当館HP等でお知らせいたします。

3.作家プロフィール

ジャネット・カーディフ
Janet Cardiff

ジャネット・カーディフ(1957-)はカナダのブリティッシュ・コロンビア州を拠点に、サウンド、彫刻、テクノロジーを融合させ、「聴く」、「見る」といった複合的な知覚体験を伴う、革新的で没入感のあるインスタレーションを制作する。2001年にジョージ・ビュレス・ミラーとともにヴェネツィア・ビエンナーレでカナダ館代表として参加し、特別賞を受賞。以後もミラーと共同で活動を続け、世界各地の美術館で展覧会を開催してきた。日本では、「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー」(金沢21世紀美術館、2017年)などの展覧会をはじめ、横浜トリエンナーレ2005、あいちトリエンナーレ2013への参加や、ベネッセアートサイト直島の《ストーム・ハウス》(2010年から2021年まで常設作品)でも知られる。

ジャネット・カーディフ《40声のモテット》 2001、ジャネット・カーディフ(スイス、トゥールガウ州立美術館にて、2002) Photo by Stephan Rohner. Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Fraenkel Gallery, San Francisco / Gallery Koyanagi, Tokyo. ©Janet Cardiff

開催概要

展覧会名:ジャネット・カーディフ 40声のモテット

会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
所在地:香川県丸亀市浜町80-1
会期:2025年12月13日(土)ー2026年2月15日(日)
開館時間:10:00-18:00(入館17:30まで)

休館日:月曜日(2026年1月12日は開館)、2025年12月25日(木)-31日(水)、

2026年1月13日(火)

観覧料:一般1,500円(団体割引1,200円、市民割900円)

    大学生1,000円(団体割引800円、市民割600円)

高校生以下または18歳未満・丸亀市内に在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1 名は無料

*同時開催企画展「猪熊弦一郎展 夢をならべている」、常設展「猪熊弦一郎展 物

が在る」の観覧料を含みます。

*団体割引は20名以上の団体が対象です。

*市民割は丸亀市民が対象です。チケットご購入時に証明する書類(運転免許証、保険証な

ど)のご提示が必要となります。団体割引を含み、他の割引との併用は出来ません。

問い合わせ先:0877-24-7755
主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)について

撮影:増田好郎

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称:MIMOCA)は、丸亀市の市制施行90周年の記念事業として、丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎の全面的な協力のもと1991年11月23日に開館しました。

建築家の谷口吉生による美しい建築を丸亀駅前に構える当館は、猪熊本人から寄贈を受けた約2万点の猪熊作品を所蔵し、常設展で紹介するとともに、現代美術を中心とした企画展を開催しています。また、講演会やコンサートなどの多彩なプログラムや、子どもの感性や創造力を育むワークショップなどを開催し、教育を目的とした活動にも力を入れています。
これらの特色は、猪熊と丸亀市とで協議を重ねて作り上げられました。猪熊は、MIMOCAが常に新しいものを積極的に紹介する「現代美術館」であることを強く希望しました。また、自然光を取り込んだ明るく広々とした空間は、美術館に美しい空間を求める猪熊の意思を共有して谷口が形作りました。そして猪熊は子どもが美にふれることを重視し、子どもの観覧料無料や、子どもが造形活動をする「造形スタジオ」の設置などを提案しました。
気軽に立ち寄り、美しい空間でいい作品を見て、新鮮な刺激を受けて心が元気になる場所であることを美術館に求めた猪熊は、MIMOCAのあるべき姿として「美術館は心の病院」という言葉を残しました。猪熊の思いが込められたMIMOCAが、みなさまの「心の病院」となれば幸いです。

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会社概要

URL
https://www.mimoca.org/ja/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
香川県丸亀市浜町80-1 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
電話番号
0877-24-7755
代表者名
森 茂
上場
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資本金
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設立
1991年11月