【産総研グループ×日本ガイシ】窒化ケイ素製セラミック基板の評価手法のJIS改正に向けた共同研究を開始
産総研グループ(国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)および株式会社AIST Solutions)と、日本ガイシ株式会社(以下「日本ガイシ」という)はこのたび、パワー半導体搭載部品(パワー半導体モジュール)などに使われる窒化ケイ素製セラミック基板の熱拡散率評価手法の検証に関する共同研究を開始しました。共同研究を通じて最先端の製品における評価手法の高精度化を進めることで、高度な技術を持つ基板メーカーの製造開発を後押しし、世界的に拡大する電子デバイス関連市場での競争力向上に寄与します。
窒化ケイ素製セラミック基板は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のモーター制御用のインバーターなどに使われる絶縁放熱回路基板の中核を担う部品です。パワー半導体モジュールが駆動する際に発生する熱を逃がす役割を担っており、基板が薄く熱拡散率が高いほど、パワー半導体モジュールの動作効率を向上させることができます。
EVやHEVの普及とともに、大電力に対応するパワー半導体モジュールが多く使われるようになり、放熱性能の高い薄板基板の需要も高まっています。一方で、0.5ミリメートルより薄い基板の熱拡散率の評価手法が規定されていないことから、測定結果の同等性確保が課題となっていました。
この共同研究では、評価手法に関する幅広い知見を持つ産総研と、高度なセラミック基板関連技術を持つ日本ガイシが、基板の熱拡散率測定に影響を及ぼす前処理工程の定量化に向けたデータ収集を実施します。これにより、既存の日本産業規格(JIS)では規定されていない0.5ミリメートルよりさらに薄い高性能な薄板基板の評価手法を検証し、測定値の精度向上と評価手法の将来的な標準化に貢献します。
産総研は、このたびの共同研究を通して、高精度でかつ再現性に優れた薄板基板の熱拡散率測定方法を産業界に提示し、当該分野における評価手法の標準化さらにはわが国の産業競争力強化に貢献していきます。
日本ガイシは、このたびの共同研究により、絶縁放熱回路基板の信頼性を向上させるとともに、独自のセラミック技術や製品の提供を通じて社会課題の解決に貢献していきます。
窒化ケイ素製セラミック基板
窒化ケイ素(Si3N4)は優れた耐熱性、耐食性、高硬度、高熱伝導性などの性質を有し、ベアリングや耐熱性が要求される構造用部材として広く使用されています。近年は高熱伝導性に加え、高い絶縁性と靭性などを生かし、絶縁放熱回路用基板としてのニーズが高まっています。
絶縁放熱回路基板
窒化ケイ素製セラミック基板と2枚の銅板で構成された基板。日本ガイシの絶縁放熱回路基板は、独自の高度な接合技術により、セラミック基板と銅板間の接合層がわずか数ミクロン以下の極薄構造となっています。これにより、接合層の熱抵抗の影響や内部のひずみを大きく低減させており、優れた放熱特性を実現しています。
株式会社AIST Solutionsについて
AIST Solutionsはナショナル・イノベーション・エコシステムを実践していく会社として2023年4月に始動しました。7つのソリューション領域で社会課題解決と産業競争力強化を可能にすべく、 産業技術総合研究所とそのパートナーが蓄積してきた科学技術を総動員することで オープンイノベーションを加速していきます。
日本ガイシ株式会社について
日本ガイシは1919年の設立以来、独自のセラミック技術を駆使し、社会課題を解決する画期的な製品を数多く提供してきた総合セラミックメーカーです。エネルギー、モビリティ、IT、産業分野を事業の柱とし、世界20カ国以上で活動しています。持続可能なエネルギーインフラを構築する大容量蓄電システムや世界のIoT化を支える小型・薄型のリチウムイオン二次電池を提供しているほか、自動車排ガス浄化用セラミックスの大手メーカーとして、地球環境への負荷低減に積極的に取り組んでいます。日本ガイシは、カーボンニュートラルとデジタル社会の2分野に革新的な製品やサービスを提供し、新しい価値の創造と持続可能な社会の実現に貢献していきます。
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