アジアから日本へV3D Asia、土木3DCPの開発を本格始動 ―土木・技術パートナー第1号に、佐賀市の特殊土木企業・富士建(1979年創業)を迎える
国土交通省NETIS登録を見据え、佐賀県内をはじめとする九州の現場で実証と技術データ整備を推進。今後も分野・地域ごとにパートナー連携を拡大
アジアを中心に3Dコンクリートプリンティング(3DCP)技術を展開してきたV3D Asiaは、土木用途に特化した3Dコンクリートプリンター(以下「土木3DCP」)の開発を本格始動します。
その土木・技術パートナー第1号として、佐賀市で1979年の創業以来、特殊土木の施工・開発・改良を追求してきた株式会社富士建(本社:佐賀県佐賀市、代表取締役社長:角 和樹、以下「富士建」)を迎えました。
V3D Asiaが培ってきた3DCPのプリンター・材料・造形技術と、富士建が45年以上にわたり培ってきた特殊土木の施工経験、建設機械・ロボティクス及び現場実装の知見を組み合わせ、両社それぞれの専門領域を生かして、土木用途に適した3DCPの要求仕様、実証方法及び運用条件の検討を進めます。V3D Asiaは主として3DCPのコア技術及び事業化を担い、富士建は土木現場の観点から施工性、安全性及び現場適合性に関する知見提供・技術的助言を行います。
初期の現場実証は、佐賀県内をはじめとする九州の現場を中心に実施し、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」への登録を目指して、現場課題の抽出、実証・性能確認、技術データ整備、申請準備を段階的に進めます。V3D Asiaは今後、工種・技術領域および地域に応じて、複数の建設会社との連携を順次拡大していく方針です。

開発背景
建設現場では、担い手不足への対応、安全性の向上、施工品質の安定化、工期・資源利用の最適化が同時に求められています。3DCPは、デジタル設計データに基づきセメント系材料を積層する施工技術です。一方、土木現場には地形、気象、施工ヤード、搬入・設置、品質管理、周辺作業との干渉など、建築分野とは異なる固有の制約があります。
V3D Asiaは、3DCPの機体・造形システムとデジタル設計技術を土木分野に適合させ、現場で継続的に運用できる施工技術として事業化するため、開発体制を強化します。その要となるのが、特殊土木の現場を知り、施工・機械・ロボティクスを横断する富士建の知見です。両社がそれぞれの専門領域を担い、V3D Asiaの3DCP技術と、富士建の特殊土木・建設機械・ロボティクスの実践知を接続することで、技術起点だけでなく現場課題起点の開発・実証を進めます。
富士建を土木・技術パートナーとする理由
富士建は、1979年創業以来、法面保護、地盤改良、安全施設、維持補修を含む特殊土木に取り組み、「防災、環境保全、維持補修」を事業テーマとして技術を磨いてきました。令和8年度佐賀県優秀技術者等表彰では、「道整交金第0120037-002号厳木富士線道路整備交付金工事(落石対策工)」が優良工事として表彰されています。
同社の価値は、豊富な施工経験にとどまりません。国土交通省の「次世代社会インフラ用ロボット開発・導入」の災害応急復旧分野における現場
検証対象技術に参加するなど、建設機械の遠隔操縦・ロボティクスにも継続的に取り組んできました。 また、現在カナモトでは建設機械遠隔操縦システム「KanaTouch(カナタッチ)」が展開されており、角 和樹代表取締役社長は同社ニュープロダクツ室 技術顧問を務めています。
V3D Asiaは、こうした長年の施工経験、現場条件を技術要件へ落とし込む力、機械化・遠隔化に向き合ってきた姿勢に敬意を表し、富士建を本開発の土木・技術パートナーに位置づけます。富士建の知見は助言に限定せず、適用対象の選定、施工条件、施工性・安全性・現場適合性に関する確認項目、実証計画、改良検討に反映します。
-
現場課題を開発要件へ変換:
法面・防災・維持補修などの施工条件を整理し、3DCPに求められる機能と運用要件を具体化します。 -
現場適合性の確保:
地形、搬入、設置、材料供給、気象条件、施工ヤード、周辺作業との干渉を踏まえた運用仕様を検討します。 -
施工性・安全性・現場適合性の確認:
施工手順、機体運用、停止・復旧時の運用、現場条件との適合など、実装に必要な確認項目を整理します。 -
公共工事での活用を見据えた証拠整備:
実証条件・結果・比較対象・適用範囲を記録し、NETIS登録申請に向けた資料の準備を進めます。

※本発表時点で、本開発技術はNETISに登録された技術ではありません。V3D Asiaは登録を目指し、富士建の知見を生かして実証・性能確認・技術データ整備・申請準備を進めます。NETIS掲載は、国による性能保証・採用保証を意味しません。
開発体制と役割
本開発では、V3D Asiaと富士建が各社の専門技術・知見を持ち寄り、役割を分担しながら開発・実証を進めます。V3D Asiaは3DCPのプリンター、材料、造形・制御等のコア技術及び事業化を担い、富士建は特殊土木、建設機械・ロボティクス及び現場実装の知見を基に、土木用途の要求条件、施工性、安全性及び現場適合性について技術的に参画します。
富士建は土木・技術パートナーとして、特殊土木の現場知見を提供し、V3D Asiaと密接に連携しながら、仕様の現場適合性と実証計画の実効性を高めます。

|
主体・位置づけ |
主な役割 |
提供する強み |
|
V3D Asia |
3DCPプリンター、材料、造形・制御等のコア技術の設計・検討、両社で整理した土木用途の要求条件を踏まえた3DCP技術仕様の検討、3DCP技術に関するデータ検証・改良、事業化、NETIS申請準備の推進 |
3DCP技術の開発・展開、設計データと造形プロセスを統合する知見 |
|
株式会社富士建 |
土木現場の課題抽出、適用対象・施工条件の検討、実証フィールドと施工運用に関する知見提供、土木現場の観点からの施工性、安全性及び現場適合性に関する知見提供・技術的助言、実証結果への技術的助言 |
1979年以来の特殊土木経験、現場施工力、建設機械の遠隔操縦・ロボティクスに関する現場検証・技術知見 |
|
連携領域 |
V3D Asiaの3DCP技術と富士建の土木・建設機械・ロボティクスの技術・知見を接続し、土木用途の要求仕様、実証計画及び改善検討へ反映します。 |
3DCP技術と特殊土木の実践知を接続する開発体制 |
主な開発項目
-
土木用途に適した造形仕様
施工対象に応じた造形サイズ、層厚、形状自由度、施工速度、設置・移設性を検討します。 -
材料・品質管理
材料の供給・混練・圧送・吐出・積層に関する管理項目と確認方法を整理します -
現場運用・安全設計
機体設置、作業動線、周辺作業との分離、異常停止、再開手順、点検・保守を含む運用を検討します。 -
施工データの取得・記録
実証条件、造形データ、出来形、品質、作業時間などを記録し、改善と申請準備に活用します。 -
施工対象の選定と設計連携
法面・防災・維持補修分野を中心に適用可能性を検討し、施工性と維持管理性を踏まえた設計連携を進めます。
実証・NETIS登録に向けた取り組み
V3D Asiaと富士建は、それぞれの専門領域を踏まえ、現場課題の抽出、土木用途の要求仕様の検討、実証・性能確認、技術データ整備及びNETIS申請準備を段階的に進めます。富士建が示す施工条件・現場課題とV3D Asiaの3DCP技術を両社で接続し、実証条件、確認項目及び改善内容を具体化します。
-
特殊土木の現場条件を反映
1979年の創業以来蓄積された法面保護、地盤改良、安全施設などの経験を、適用対象と要求仕様の検討に反映します。 -
土木施工・現場適合性の確認視点を導入
令和8年度佐賀県優秀技術者等表彰の優良工事を含む施工経験を踏まえ、施工性、安全性、運用性及び現場適合性に関する確認項目を整理します。 -
遠隔操縦・ロボティクスの知見を活用
国土交通省の次世代社会インフラ用ロボット現場検証への参加経験など、建設機械の遠隔操縦・ロボティクスに関する知見を、機械運用、安全設計、実証手順の検討に生かします。なお、角 和樹代表取締役社長は、建設機械遠隔操縦システム「KanaTouch(カナタッチ)」を展開するカナモトのニュープロダクツ室 技術顧問を務めています。 -
技術データを体系的に整備
実証条件、造形データ、出来形、品質、安全、作業時間、適用範囲、従来技術との比較に必要な情報を記録します。 -
NETIS申請準備を推進
実証結果を踏まえて技術情報を整理し、NETIS登録を目指して申請資料の準備を進めます。
本発表時点ではNETISへの登録は完了していません。実証結果に応じて仕様や評価方法を改善し、根拠ある技術情報を積み上げます。
今後の展望
V3D Asiaは、土木3DCPを単体機器としてではなく、デジタル設計、材料、造形、現場運用、安全・品質管理、施工記録までを包含する施工システムとして確立することを目指します。富士建の現場知見を開発サイクルの中核に据えることで、現場条件に即した仕様と、実証データに基づく改善を重ねます。
-
安全性向上への貢献
人が長時間立ち入りにくい施工環境や反復作業における自動化・遠隔化の可能性を検証します。 -
担い手不足への対応
施工プロセスのデジタル化と機械化により、人の技能を補完し、少人数でも運用しやすい施工方法を目指します。 -
設計と施工の接続
デジタル設計データを造形に直結させ、複雑形状や現場条件への柔軟な対応可能性を広げます。 -
地域防災・インフラ維持への展開
特殊土木の知見を生かし、防災・維持補修分野での迅速かつ再現性の高い施工方法を検討します。
V3D Asiaは3DCPコア技術及び事業化を担い、富士建は特殊土木・建設機械・ロボティクス及び現場実装の土木・技術パートナーとして参画し、両社で公共工事を含む土木分野での実用化を目指します。具体的な効果は今後の実証・性能確認を通じて評価します。
今後の予定

|
段階 |
実施内容 |
|
第1段階 |
V3D Asiaの既存3DCP技術と富士建の施工経験・現場知見を両社で整理し、適用候補、要求条件及び実証条件を設定。 |
|
第2段階 |
V3D Asiaが3DCPプリンター、材料及び造形条件等を検討し、富士建が土木用途の施工・運用条件及び現場適合性の観点から技術的助言を行い、両社で実証仕様を策定。 |
|
第3段階 |
両社の役割分担のもと実証を行い、V3D Asiaが3DCP技術の造形性能及び取得データを検証し、富士建が施工性、安全性及び現場適合性の観点から知見を提供。結果を踏まえて改善を検討。 |
|
第4段階 |
実証結果及び技術的寄与を踏まえ、V3D Asiaを中心にNETIS登録に向けた申請準備を進める |
各段階の開始時期、実証場所、適用対象、評価方法などの詳細は、関係者との調整後に順次公表します。実証結果によっては、仕様・計画を変更する場合があります。
コメント
株式会社富士建 代表取締役社長 角 和樹
特殊土木の現場は、一つとして同じ条件がありません。だからこそ、新しい施工技術を現場で使えるものにするには、機械や材料だけでなく、施工条件、安全性、建設機械との連携や運用まで一体で考える必要があります。V3D Asiaが培ってきた3DCP技術と、当社が培ってきた特殊土木・建設機械・ロボティクスの知見を持ち寄り、実際の土木現場に適した技術へつなげていきたいと考えています。
V3D Asia JAPAN CEO 淺見 潤
3DCPを土木現場へ広げるには、プリンターの性能だけではなく、材料、設計、施工、安全、品質管理を一体で考える必要があります。特殊土木と現場実装に強い富士建を土木・技術パートナーに迎えられることに深く敬意と感謝を表します。V3D Asiaが培ってきた3DCPのプリンター・材料・造形技術と、富士建が培ってきた特殊土木・建設機械・ロボティクスの知見を組み合わせ、それぞれの専門領域を生かしながら、日本の施工環境に適した土木3DCPを形にしていきます。
会社概要
V3D Asia 株式会社
設立 : 2022年6月7日
代表者 : Japan CEO 淺見 潤
所在地 : 東京都千代田区霞ヶ関1-4-1 日土地ビルSENQ
事業内容 : 3D建設プリンターの開発・提供、建設添加剤の開発、3Dプリント建設サービス
URL : https://v3d.asia/
株式会社富士建
創業 : 1979年2月6日
代表者 : 代表取締役会長 小川 孝之/代表取締役社長 角 和樹
所在地 : 佐賀県佐賀市富士町大字下熊川159-68
事業概要 : 特殊土木の施工・開発・改良。防災、環境保全、維持補修に関する事業
資本金 : 10,000万円
URL : https://fjk-co.jp/
【本件に関するお問い合わせ先】
V3D Asia 株式会社
E-mail: info@v3d.asia
すべての画像
