大規模建設現場にて、AR技術*により取得された高精度3次元位置情報を、施工デジタルツイン環境にリアルタイム統合することに成功
* Cellidが自社開発し2020年12月30日に公開したSLAM(Simultaneous Localization and Mapping 自己位置推定と周辺環境の地図を同時に実行する技術)。4件の特許出願番号取得済みの技術を含み、映像のみを入力情報とするためビジュアルSLAMに分類される。
Cellid SLAMの空間認識アルゴリズムは、既に現場に導入されている汎用単眼カメラの映像のみを入力情報とし、非GNSS[1]環境を含む大規模な建設現場において、GNSSやビーコンといった従来の自己位置推定技術を上回る測位精度を発揮することは前回確認されました[2]が、今回はさらに進んで、複数人のヘルメット装着カメラからデータを取得し、かつその情報をゲームエンジンで構築される施工デジタルツインとリアルタイムに統合することで、人の位置把握をより確実なものにしました。
[1] Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム
[2] 参考 : AR技術を用いた大規模建設現場での3次元位置情報の取得に成功 (2021.5.26)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000030718.html
■目的
本実証実験は、①ヘルメット装着カメラを用いて、ハンズフリーで使いやすさなどを担保しながら、動線データを取得できるか、②複数人の動線データを同時に出力できるか、③Cellid SLAMのシステムと大林組の施工デジタルツインとの連携ができるか、④その際、動線データをリアルタイムに反映できるか、4点を検証するために実施されたものです。今回、これら4点の実証を短期間で成功させたことで、Cellid SLAMが建設現場において実運用可能な段階にあることを確認しました。
■位置情報のBIM/CIM(施工デジタルツイン)連携および、ヘルメット装着カメラによる位置情報取得のインパクト
建設業においては、法改正に伴い2024年4月より労働時間の上限規制が施行されます。2024年4月に向け労働時間の短縮共に、生産性向上が喫緊の課題となっており、BIM/CIM(施工デジタルツイン)やICTを活用したi-Constructionの取り組みを加速的に推進させる必要があります。2023年には公共工事における詳細設計及び工事でのBIM/CIM(施工デジタルツイン)の原則適用が国交省より通達されており、工事(施工管理)においてもBIM/CIM(施工デジタルツイン)は一般的なインフラとなります。本実証実験により、BIM/CIM(施工デジタルツイン)と位置情報の統合を実現したことで、工事プロセスに対し、どれだけ人数・工数がかかるのかを定量的に把握することが可能となり、生産性向上を進めるうえで、一番重要な“物差し”を手に入れることがきました。
■展望
今後は、作業員の位置情報取得のみならず、その他の業務管理アプリとの連携を予定しております。画像検知AI等との組み合わせや、Cellid SLAMのAR機能を更に拡張し、遠隔地から現場への作業指示などができるAR Tagの開発も今後予定されています。
■会社概要
会社名:Cellid株式会社
所在地:東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル2F
代表者:白神 賢
設立:2016年10月
URL:https://www.cellid.com/
事業内容:ARグラス用のディスプレイモジュールと空間認識ソフトウェアの販売
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