【高校教員対象】Withコロナ時代の進路指導と進路選択に関するアンケート調査
進学情報の入手はイベントで。8割以上の教員が「対面型」を重視。
全国の高等学校で進路行事を企画・運営し、高校生の進学・就職を支援する株式会社ライセンスアカデミー(本社:東京都新宿区、代表取締役:白田 康則)は、全国の高等学校を対象に、Withコロナ時代の進路指導および高校生の進路選択の状況について調査すべく、全国の高等学校にアンケート調査を実施いたしましたので、ここにご報告いたします。
【調査結果まとめ】
・コロナ禍でも高校生が進学情報を得る手段としているのは対面型のイベント
・約8割の教員が進学情報を得る手段で対面型のイベントを重視
・進学希望者の傾向は「地元進学の希望者が増えた」が約45%、
就職希望者の傾向は「地元就職の希望者が増えた」が約50%
・就職希望者への指導は「2年生から」が6割。「十分指導できている」は5%以下
【調査結果まとめ】
・コロナ禍でも高校生が進学情報を得る手段としているのは対面型のイベント
・約8割の教員が進学情報を得る手段で対面型のイベントを重視
・進学希望者の傾向は「地元進学の希望者が増えた」が約45%、
就職希望者の傾向は「地元就職の希望者が増えた」が約50%
・就職希望者への指導は「2年生から」が6割。「十分指導できている」は5%以下
● 生徒が進学情報を得る主な手段は何ですか。(複数回答可)
多くの項目で一定の回答数があったことから、生徒は様々な手段を複合的に活用しながら進学情報を集めていることがわかる。ただ目立ったのは、コロナ禍においても生徒が進学情報を得る手段は「校内の進路行事(対面)」(75.6%)、「オープンキャンパス(対面)」(71.9%)と、対面のイベント系が主体であることだ。
コロナ禍で導入が進んだオンラインによるイベントでは、大学や専門学校が実施するオープンキャンパスが57.3%を占めた一方で、高校主体で行われる「校内の進路行事(オンライン)」(26.7%)では3割を切っている。進路イベント関連業者主体の「校外の進路相談会(オンライン)」(23.4%)では2割弱だった。オンラインツールが普及したコロナ禍であっても、進学情報を得る手段は対面型のイベントを望んでいることがわかる結果となった。
● 生徒が進学情報を得る際に、先生方がとくに重要だと考えている手段は何ですか。(上位5つまで)
生徒が進学情報を得る手段のなかで、教員がとくに重要だと考えている進学情報の入手手段について聞いた。結果は、「オープンキャンパス(対面)」(88.2%)が圧倒的で、次いで「校内の進路行事(対面)」(67.3%)が続いた。「生徒が進学情報を得る主な手段」の結果と同様に、対面でのイベントを重視していることがわかる。
一方、オンラインによる入手手段の割合は、「オープンキャンパス(オンライン)」でも29.2%で、「校内の進路行事(オンライン)」は12.9%、「校外の進路相談会(オンライン)」は7.9%と、どれも「生徒が進学情報を得る主な手段」と比べて低かった。このことから、進学情報を得る際には、直接見学すること、直接話を聞くことが重要であると考えている教員が多いことが明らかになった。
● 【進学】生徒の進路選択における傾向についてお答え下さい。(複数回答可)
コロナ禍での進学希望者の進路選択における傾向について、最も多かったのは「地元進学の希望者が増えた」(45.2%)と「奨学金を申請する生徒が増えた」(43.0%)だった。首都圏や地方主要都市でのコロナ感染拡大をきらい、地元志向が広がった傾向にあるようだ。また、4割以上の教員が奨学金を申請する生徒が増えていることを認識していることにくわえ、将来の職業選択もしくは家計状況によって「目指す学部・学科・コースを変更した」と回答した教員も、合わせて5割程度いた。このことから、コロナの感染拡大は、進学を希望する高校生に進路選択や学費の面で影響を及ぼしていることがわかる。
ただ、「その他」(11.8%)の回答のなかには「とくに変化はみられない」との意見も多かったことから、とくに影響を受けていない高校生もいる。そのほか、「総合型選抜や推薦型選抜での受験を考えている生徒が増えた」といった意見や、「ランクを下げた指定校が増えた」など、受験機会を増やしたり、合格可能性の高い選択をしたりすることで浪人のリスクを避けるとともに、早期に進学先を決定したい傾向が強くなったとする声があった。
●生徒が就職情報を得る主な手段は何ですか。(複数回答可)
就職希望者が就職情報を得る手段としてもっとも多かったのは「求人票」(80.0%)だった。求人票が就職希望者にとって大きな役割を果たしていることがうかがえる。「企業訪問・見学会」(54.6%)や「校内の進路行事(対面)」(50.0%)など、企業担当者と直接的にやりとりできる手段も5割を超えたものの、オープンキャンパスなど進学のそれと比べると割合は下がった。オンラインによるイベントも同様に、進学と比べるとその割合は大きく下がり、就職希望者が情報を得る手段は進学と比べるとやや限られている印象を受ける結果となった。「その他」(5.5%)には「ハローワーク経由」や「先輩・保護者からの情報」などが複数件みられた。
●生徒が就職情報を得る際に、先生方がとくに重要だと考えている手段は何ですか。(上位5つまで)
生徒が就職情報を得る手段のなかで、教員がとくに重要だと考えている就職情報の入手手段について聞いた。
「企業訪問・見学会」(74.5%)、「求人票」(73.7%)がもっとも多く7割を超えた。教員も求人票が就職希望者にとっての重要な情報であると認識しているようだ。ただ、7割以上の教員が企業訪問や見学会は重要だと考えているように、求人票からでは把握できない職場の様子を自分の目で見て確かめる必要性はあるだろう。
そのほかのイベント系の手段では「校内の進路行事(対面)」が40.7%、「校外の進路相談会(対面)」が25.6%だった。しかし、オンラインでの進路行事や相談会と回答した教員の割合は低いことから、就職に関係するオンラインイベントの普及度合が影響している可能性はあるものの、進学以上に対面でのやりとりを重視していることがうかがえる。
●【就職】生徒の進路選択における傾向についてお答え下さい。(複数回答可)
コロナ禍での就職希望者の進路選択における傾向について、最も多かったのは「地元就職の希望者が増えた」(51.0%)だった。進学希望者と同様に、首都圏や地方主要都市などコロナの感染拡大が顕著な地域への就職をきらい、地元志向が広がった傾向にあるようだ。また、「企業の求人状況を理由に志望する業界・職種を変更した」(26.4%)と回答した教員が3割近くいることから、コロナの感染拡大によって大きな打撃を受けた業界や職種への就職を目指していた生徒は、希望の変更を余儀なくされた可能性がある。就職から進学に進路を変えた生徒も16.2%と一定数いることがわかった。
「その他」(18.7%)には「とくに変化はみられない」との回答があったほか、「公務員希望者が増えた」とする意見が複数件みられた。
●就職希望者への指導を開始する時期はいつですか。
就職指導を開始する時期でもっとも多かったのは「2年生の3学期」(30.1%)だった。これに「2年生の2学期」(18.8%)、「2年生の1学期」(7.7%)をくわえると、6割近い高校で2年生のうちに何らかの就職指導を開始していることがわかった。3年生になってから指導を開始する高校は約3割だった(「3年生」29.2%)。
高卒就職の場合は3年生になって間もない7月に求人票が公開され、応募先を検討していくことになる。そのため、それまでに自己分析を含め、業界・職種・企業研究のやり方や求人票の見方などについて指導する必要がある。よって、2年生の段階から希望者への指導を開始しようとする高校が多いと予測できる。
● 就職希望者への指導について、課題に感じている点は何ですか。(複数回答可)
6割近い高校が2年生から就職指導を開始していることがわかった一方で、就職希望者への指導について「十分指導できている」と回答したのはわずか4.7%だった。
「自己分析・自己理解」(57.8%)、「職種研究」(43.1%)、「企業研究」(42.5%)、「業界研究」(27.8%)などを課題として挙げた高校が多く、調査や分析を必要とする内容への指導に課題を抱えていることがわかった。いずれも、大学生や社会人でも難しいとされる内容で、高校生への指導に苦慮している様子がうかがえる。就職試験の鍵となる面接に対する指導不足も、36.1%の教員が課題に感じていることは看過できない。
面接指導や履歴書の志望理由など、最終的に個別の指導が必要になるため、とくに就職希望者の多い高校にとっては時間的な面でも十分な指導を施すことが難しいと感じている可能性もある。
<調査報告書の完全版は以下よりダウンロードください>
https://licenseacademy.jp/webroot/pdf/newsrelease/pr_20210729.pdf
【調査概要】
調査目的:コロナ禍における高等学校の進路指導および高校生の進路選択の状況を明らかにする。
調査方法:FAXによる配付・回収
調査対象:高等学校進路指導部 延べ4,717校(全日制・定時制・通信制・サポート校など)
調査期間:2021年7月8日~7月16日
有効回答数:693枚(回答率14.7%)
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