住友電設株式会社(1949)に対する株主提案について
2024年4月25日
カタリスト投資顧問株式会社
住友電設株式会社(1949)に対する株主提案について
カタリスト投資顧問株式会社(以下「当社」)は、当社が投資助言を行う国内投資信託であるマネックス・アクティビスト・マザーファンド(以下「MAMF」)及びケイマン籍の会社型投資信託であるJapan Catalyst Fund(以下「JCF」)を通じて、日本企業にエンゲージメントを行っております。
当社は、長期的な視点を持ってMAMF及びJCFの重要投資先である住友電設株式会社(以下「住友電設」)へのエンゲージメント活動を行って参りました。当社は、令和6年6月開催予定の住友電設第98期定時株主総会において、2024年3月期の1株当たりの年間配当額がDOE(Dividend on Equity、株主資本配当率)6%相当となるよう、剰余金の処分に関する株主提案(※)を行いました(図表1を参照)。
住友電設はビルや工場、データセンターなどの電気設備の設計・施工などを主な事業としています。ケーブル敷設の豊富な知見・技術を有しており、長距離案件や敷設困難な地域での案件で強みを発揮しています。2000年代前半に低採算案件で苦労した経験から受注時採算の管理徹底に努め、利益率は大きく改善しました。その結果、2023年3月期における連結営業利益率は7.7%と、業界の中でも高位に位置するまで改善が進みました。住友電設が発表している中期経営計画においても、売上高は成長しつつ、利益率も上昇するという方針が示されております。
そのような優良な事業運営により、住友電設は年100億円程度の当期利益を安定的に生み出しています。しかし、1,200億円程度の時価総額に対して800億円程度の金融資産(正味現預金、投資有価証券)を保有するため、事業価値(EV)は400億円程度に留まり、利益を稼ぐ力に比して市場では過小評価されています。なお、企業価値評価の指標であるEBITDAは150億円程度で安定的に推移しているため、EV/EBITDA倍率は3倍割れで株価は非常に割安に評価されています(図表2を参照)。
この過小評価は利益の改善に比して株主還元が抑制され過ぎてきたことが要因であると考えられます。住友電設の事業モデルは、設計・施工など人的資本の活用が中心であり、金融資産の水準は将来起こり得るリスクに照らして過大です。中期的にも良好な事業環境が継続する中、現行の株主還元の水準が維持されると、金融資産がさらに積み上がり資本効率は低下することが予想されます。
また、住友電設の支配株主である住友電気工業株式会社は、中期経営計画で従来の水準を大幅に上回る投資を計画しており、住友電設の配当方針の引き上げは、少数株主への還元増となると同時に、支配株主の成長戦略にも寄与するものと思われます。
以上のことから、DOE6%の配当方針を導入し継続することは、住友電設の資本効率を改善させ、株式市場からの再評価に繋がると考えております。
当社は様々なステークホルダーとの対話を通じて、真のコーポレートガバナンス改革を推進し、日本の資本市場の進歩、企業価値・株式価値の向上、延いては日本全体の生産性の向上を目標としています。
(図表1)
剰余金の配当議案について
(1株当たりの年間配当額をDOE6%相当とするには122円の期末配当が必要。)
(図表2)
住友電設のEV/EBITDA倍率について
(上記の数値は、公表されている業績予想及び推定される有価証券の時価等を用いて算出した推定値です。)
以上
※当社は本株主提案においてマネックス・アクティビスト・マザーファンドの代理人であるマネックス・アセットマネジメント株式会社より復代理人の権限を委任されています。
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