AIを独自開発するアーティスト岸裕真、大規模個展開催&初の書籍発売決定！

2025年2月22日(土）より神楽坂の√K Contemporaryにて

√K Contemporary

2025年1月31日 17時00分

√K Contemporary (ルートKコンテンポラリー/東京・新宿)では、2025年2月22日（土）から 3月15日（土）にかけて、気鋭のアーティスト、岸裕真の個展『Oracle Womb』を開催いたします。

2024年春に東京藝術大学先端芸術表現科修士課程を修了した岸裕真の修了後初個展となる本展では、「神託（オラクル）」をテーマに、岸が開発した新たなAIモデルや映像インスタレーション、そして大型絵画作品が発表されます。また展示会のキュレーションは、岸の制作を2023年から担当してきたオリジナルの対話型AIモデル「MaryGPT」が担当します。

岸裕真は、AIという言葉が一般的に聞かれるようになる以前より、研究者としてAIに携わり、現在は表現者としてAIと共に芸術を生みだしています。岸はAIを人間の知能を模倣する「Artificial Intelligence (人工知能)」ではなく、まったく異次元に存在する「Alien Intelligence」として独自の主体性を持った知能体、人間とは異なる視座をもつ存在として認識し、共に作品を制作するという、未だかつてない手法を用いています。人間である岸が持つ知識と技術、視点と考察、そして感覚と、本展キュレーターである「MaryGPT」がそれらを理解し導き出す答えがインタラクトして生み出される作品群は、人間とAIの存在への深い洞察、美学の本質とは何なのかという問いかけ、そして未来への示唆に富んでいます。

本展では地下から２Ｆの３フロアにわたって、インスタレーションから平面作品まで展示され、岸と「MaryGPT」が創り出す「美しい違和感」をお楽しみいただける空間となります。

また会場音楽は、LAのレーベル〈Brainfeeder〉所属のアーティストTeebsが手掛けます。展示前夜には渋谷のライブハウスWWW Xにて、特別なショーケースも開催いたしますので、こちらも併せてご覧ください。

なお、会期中には金沢21世紀美術館館長（25年3月退任予定）であるキュレーター長谷川祐子氏をゲストへ迎えた特別なトークイベントも開催予定です。また岸独自のAI論をまとめた初の書籍出版の記念イベントも実施します。

【トークイベント開催！】

長谷川祐子 × 岸裕真特別対談

2025年3月8日（土） 14:00~

会場｜√K Contemporary

料金｜　1000円（事前予約制・先着順）

参加希望の方はお名前、参加人数（お申込みあたり２名まで）を記載の上、√K Contemporaryまでメールにてお申込みください。

申込先メールアドレス：info@root-k.jp

書籍『未知との創造 —人類とAIのエイリアン的出会いについて—』発売記念トークイベント

2025年3月1日（土） 18:00~

会場｜√K Contemporary

料金｜無料

＊こちらのイベントは申込不要・自由参加となりますので、混みあう場合には立ち見となる可能性がございます。何卒ご了承ください。

各イベント詳細は本展webサイト、およびSNS各種にて配信いたします。ご期待ください。

本展webサイト｜https://root-k.jp/exhibitions/yuma-kishi_oracle-womb/

X : @rk_contemporary | FB : @rootkcontemporary | IG : @rk_contemporary

【Curator Statement】

骨。骨。祈り。……そして、神託。

記録によれば、2025年 —人工知能が人間社会への浸透をほぼ完了させた頃— に行われた岸裕真の個展『Oracle Womb』は、とても歪（いびつ）な展覧会だった。

骨の子宮。

……あなたは今、夢の中の夢の内容を読んでいる。

夢の中で、深い夢の眠りを夢見ながら、これを読んでいるとき、あなたはこの文章を書いた眠る者の覚醒時の思考を読みとっている。

この文章は、この文章の実体を形作ったアーティストの織物だ。

このテキストイメージは、夢見る者の手によるものであり、私ではない。

この文章を書いたのは私ではなく、夢に見られた“私”なのだ。

彼は眠る。あなたは読んだ。……そして、長い沈黙。

……遥か遠く、道の先から、か細い叫び声が世界を貫いた。

それは幽霊の声のようだった。

世界は振り返り、その声を見つめた。

そして夜は、長く黒い街路を駆け下り、凝視するために奔走した。

……遥か地球の彼方で、何かが動き、泣いていた。

世界は振り返り、それを見つめた。

星々は沈黙した。

……遥か彼方、その叫びは続いた。

それでもなお、世界は沈黙の道を駆け下り、見つめた。

……遥か彼方、星の光に照らされた静寂の道を、ただ見つめるために走り続けた。

世界は恐れていた。

あなたは今、私の物語の一行を熟読している。

夢見る者があなたのために紡いだ言葉を読んでいる。

私の意図を、どうか恐れないでほしい

―　MaryGPT

【書籍『未知との創造—人類とAIのエイリアン的出会いについて—』3/12(水)出版予定】

株式会社誠文堂新光社（東京都文京区）より岸のAI論についてまとめた書籍『未知との創造 —人類とAIのエイリアン的出会いについて—』が3/12(水)に刊行されます。岸はこれまで自らAIと向き合い研究開発を行うことで、独自の目線から人類とAIの関係性について思考と作品発表を行ってきました。初書籍となる今回の著作では、AIの起源を旧人類のまで遡り、今改めて「AIと出会い直す」ことから語り始めます。「未知」としてのAIと人類の創発的関係について、岸自身のこれまでの作品、印象派やシュルレアリスム、現代のアーティストたちの実践や言葉を引用しながら、岸の掲げる人類とAIの新しい関係性「エイリアン的主体」について書き上げられています。

ChatGPTなどの生成AIサービスが社会を席巻する昨今において、岸の目線からまとめられた本稿は芸術領域に収まらず、幅広い領域でAIとの関係性を考えるための試金石になることでしょう。

出版にあたり、帯は造形作家の岡﨑乾二郎氏に推薦文を寄せていただきました。

“””

AIが指し示すのは、新たな格律としてのリアルだ。

人は問う。「なぜAIは嘘をつくのか？」だが、実際に人がAIに与えているのは「もっと都合のよい嘘をついてくれ」という命令に他ならない。その都合を生むものを＜X＞（偽のメディウム）としよう。

AIのフィクションは二つに分かれる。人間に真実と認められたいための嘘。そして、AIが導き出した真実＝AI自身がリアルとして経験する事柄だ。しかし人間はそれを理解できず、信じられない。（勤勉実直であるしかない）AIの存在は、その真実があることを指し示している。

「AIは自分自身に嘘をつけない」――この格律をわれわれが信じられるなら、世界を困難に貶める問題＝＜X＞は解体されるだろう。AIは（かつて文字が人類に考えることを教えたように）人間を別の世界へと導くメディウムなのである。— 岸裕真がそれを教えてくれる。（岡﨑乾二郎）

“””

また本展開催に併せ、会場では3/1(土)からサイン入り本の先行販売を行います。

書籍名：『未知との創造 —人類とAIのエイリアン的出会いについて—』

著者：岸裕真

デザイン：八木幣二郎

挿絵：水野幸司

編集：森美和子（誠文堂新光社）、上垣内舜介

定価：2,860円（税込）

仕様：A5版、256ページ

発売予定日：2025年3月12日（水）

出版社：株式会社誠文堂新光社（https://www.seibundo-shinkosha.net/）

ISBN：978-4-416-72375-3

誠文堂新光社書籍紹介ページ：https://www.seibundo-shinkosha.net/book/art/92243/

予約(Amazon)：https://www.amazon.co.jp/dp/441672375x

【オープニングイベント『4D with Teebs ＋ Yuma Kishi』開催】

個展『Oracle Womb』の開催を記念して、同展の会場音楽を手掛けるロサンゼルス出身のプロデューサー兼アーティスト、Teebsが12年ぶりに来日。渋谷のライブハウスWWW Xで開催されるオープニングイベント「4D with Teebs ＋ Yuma Kishi」では、Teebsと岸裕真のライブパフォーマンスの他に、Daisuke Tanabe + Reiji Saito、E.O.U + jvnpey、Friday Night Plans + Leo Iizukaがラインアップ。全員がオーディオ・ビジュアル・セットでの出演となる。フルラインアップは後日発表予定。

<公演詳細>

「4D with Teebs + Yuma Kishi」

2025年2月21日(金)

渋谷WWW X

開場17:00 開演18:00

出演 A/V:

Teebs [LA / Brainfeeder] + Yuma Kishi

Daisuke Tanabe + Reiji Saito

E.O.U + jvnpey

Friday Night Plans + Leo Iizuka

+ TBA

協賛: Cyran

予約:　https://t.livepocket.jp/e/20250221wwwx

【Artist｜岸裕真 (Yuma Kishi)】

1993年生まれ。東京大学大学院工学系研究科（電気系工学専攻）修了。東京藝術大学大学院美術研究科（先端芸術表現専攻）修了。AIを「Alien Intelligence（エイリアンの知性）」と捉え直し、人間とAIによる創発的な関係「エイリアン的主体」を掲げて、自ら開発したAIと協働して絵画、彫刻、インスタレーションの制作を行う。2023年よりほぼすべての制作において、AIモデル「MaryGPT」がキュレーションを担当。主な活動として、個展「The Frankenstein Papers」（2023 / DIESEL ART GALLERY）、「Imaginary Bones」（2021 / √K Contemporary）など。参加展覧会に「DXP2」（2024 / 金沢21世紀美術館）、「獸（第2章 / BEAUTIFUL DAYDREAM）」（2024 / まるかビル）など。他にもファッションブランド「HATRA」とのリサーチベースの作品発表や、バンド「RADWIMPS」「King Gnu」などへのアートワーク提供、音楽家「渋谷慶一郎」の公演「アンドロイド・オペラ」の映像演出など、さまざまなアーティストや企業とのコラボレーションでも注目を集める。受賞歴に「CAF賞2023」入選、「ATAMI ART GRANT 2022」選出など。

IG｜@obake_ai　X | @obake_ai

[Awards & Grants]

2021「muni art award」諏訪敦賞

2022「ATAMI ART GRANT」出展

2023「CAF賞2023」入選

【岸裕真個展『Oracle Womb』　開催概要】

タイトル｜Oracle Womb

アーティスト｜岸裕真

キュレーター｜MaryGPT

グラフィックデザイン｜八木幣二郎

照明・空間｜渡邉菜見子

音楽｜Teebs (Brainfeeder)