若き発明家の卵達を吉野彰さんが激励!令和7年度パテントコンテスト/デザインパテントコンテスト表彰式が開催されました

未来を担う学生の皆さんが自ら考えたアイデアやデザインに注目!~ひらめきは、特許権に。デザインは、意匠権に。~

INPIT(工業所有権情報・研修館)

文部科学省・特許庁等が主催する「パテントコンテスト/デザインパテントコンテスト」は、全国の高校生や大学生等が自ら考え出した発明及びデザイン(意匠)のうち優秀なものを表彰し、実際に特許庁への出願を支援することで、若い世代の知的財産権制度への理解を深めることを目的としたコンテストです。

3月16日(月)に、東京・丸の内の会場にてコンテストの表彰式が開催されました。
今年度は、全国よりパテント部門に605作品、デザインパテント部門に711作品の応募があり、その中からパテント部門30件、デザインパテント部門30件の出願支援対象となる優秀作品が、学識経験者で構成された選考委員会により選出されました。

表彰式では、これらの優秀作品の中から、パテントコンテスト、デザインパテントコンテストそれぞれ、

・選考委員長特別賞

・特許庁長官賞

・日本弁理士会会長賞

・文部科学省科学技術・学術政策局長賞

・独立行政法人工業所有権情報・研修館理事長賞

・世界知的所有権機関(WIPO)賞

・時代を映す鏡賞

上記7賞への特別賞授与および受賞者によるプレゼンテーションが行われ、さらに優秀賞作品の表彰が行われました。

選考委員長特別賞/特許庁長官賞

■パテントコンテスト

大塚 修平さん、柳下 未禮さん、小川 翔也さん(東京農工大学)

「二液混合による火元ゲル化消火剤」

<受賞作品のプレゼンテーション>

近年頻発する森林火災の消火の難しさは、再燃、延焼、水源の不足、この3つが挙げられます。

その対策として現在有力視されているのがゲル状消火剤です。これはゼリーのように水が固まったもので、流れ落ちることなく火元にとどまり続け、少ない水の量で再燃、延焼を抑制できるとして注目されています。

しかし、従来設備を使えなかったり、専用のスキルが必要など、火元に届けるまでが不便という理由から実用化には至っていません。つまり、火元に着くまでは水のほうが扱いやすい、しかし火元ではゲルのほうが消火性能が高いということになります。よって、火元までは水、火元でゲルになる消火剤を作ることができればこの問題を解決できます。

そこで私たちは、アルギン酸ナトリウムという物質に着目しました。これは塩化カルシウムと接触すると瞬時にゲル化するという性質があります。この性質を利用して、私たちは二液混合による火元ゲル化消火剤を発明しました。

これは、通常の放水設備にアタッチメントを取り付け、先ほどの2つの液体を水に混ぜて放水します。そして、火元で2つの液体が混合されることによって、瞬時にゲル化します。これにより、従来設備を使って水と同じように放水することができ、火元ではゲルになるため、水の扱いやすさとゲルの高い消火性能を両立した消火剤になります。

この発明は、消防士の方へのヒアリングを基に開発を進めました。また、導入容易なアタッチメントを設計し、水や先行技術に対する優位性の検証を行いました。今後は森林火災の早期鎮火に貢献できるよう、この消火剤を実用化に向けて、より開発を進めていきたいです。

■デザインパテントコンテスト

石田 千織さん、鈴木 歩美さん(名古屋造形大学)

「プルぺた(引っ張る、挟む動作だけで貼ることができる絆創膏)」

<受賞作品のプレゼンテーション>

皆さんは絆創膏を貼る時に、個包装がうまく開かない、接着面同士がくっついてイライラするという経験はありませんか。従来の絆創膏は、指先で小さく薄いものをめくるという繊細な動作が欠かせませんでした。しかし、これは力が弱いお子さまや高齢の方、指先が乾燥している方には大きなストレスです。そこで提案するのがこの「プルぺた」です。めくる動作を、挟んで引っ張るという単純な動きに変えた新しい絆創膏です。

使い方はとても簡単です。大きな取っ手に指をかけ、番号順に引き抜くだけです。接着面に一度も触れることなく、誰でも衛生的かつスマートに貼り終えることができます。また剝離紙とパッケージを一体化したデザインにしているので、使用後にごみがばらばらに散らばる心配もありません。

この作品は社会での普及を考えて設計しています。ポイントは3つです。

まず、シンプルで明快な構造で、使用素材を紙に統一したことにより、低コストで安定して生産できます。

次にバリエーション展開のしやすさです。この構造は一種のプラットフォームです。サイズを変えるだけで、あらゆる形状の絆創膏に展開が可能です。

最後に、ターゲットの広がりです。当初は子供や高齢者を想定していましたが、水仕事で手が荒れやすい層からも高い評価を頂きました。また、分別不要という環境性能と、誰もが迷わず使えるデザインを両立させました。

けがをした時、私たちの心は少しだけ余裕を失っています。小さなけがに寄り添い、日々のストレスをなくしていく。このプルぺたが、誰もが自分をケアしやすい社会をつくる助けになればうれしいです。

■吉野彰(旭化成株式会社名誉フェロー)選考委員長講評

まず、パテントコンテストの「二液混合による火元ゲル化消火剤」についてコメントします。

火を消すためには3つの要件がありますが、最も有効なのは、火と空気を遮断し、酸素の供給を断つことです。

そういった当たり前のことを、では実証的にやろうとするといろいろな問題点があり、こういったゲルもしくは粘度の高い水溶液というのは当然表面にへばりつきます。そうすると、火と空気を遮断することはできるのですが、粘度の高いものをホースでかけるというのは非常に難しいことになります。そこで、現場で2つの液を混ぜて、燃えているところに到達した時点でゲル化して、燃えてるものをくるんでしまい、それで火を消す。そういった点が非常に素晴らしかったなと思い選びました。

続いて、デザインパテントコンテストの「プルぺた 」についてコメントします。私には4歳の孫がおりまして、この子が絆創膏を非常に大好きで、けがしたわけではないのに、ぺたぺたと自分の指に絆創膏を貼り付けます。なぜそのようなものを貼り付けるのかというと、アニメのキャラクターがプリントされているからです。

ですから絆創膏とは、単に傷口を押さえるだけではなくて、そういった一つのおしゃれのような要素も相当あるのだなと、日々感じています。そういった中で、非常に効率良く、かつ非常におしゃれな新しい絆創膏を考案されたということで選びました。

どうもおめでとうございます。

吉野彰選考委員長「励ましの言葉」

令和7年度選考委員長をしております吉野でございます。

本コンテストで受賞された皆様、本当におめでとうございます。皆様が応募を考案するにあたりまして、いろいろな工夫、考え、ひらめきなどされて、ご苦労があったかと思います。

新しいことを考えたり、自分の考えを誰かに言葉で伝える時、「起承転結」という言葉があります。順にこの4つの言葉の意味をお話ししてまいります。

「起」。起きる、問題提起です。こういう背景で過去いろいろな人が課題を解決しようとしてきたけれども、完全な解決には至っていない。それをなんとかしようということで、私はこういうことを考えた、というイントロダクションです。

「承」。その考えをもう少し詳しく説明する段階です。過去にどんな考え方があったのか、その経緯も踏まえて、自分がやろうとしていることを詳しく説明していきます。

「転」。これが一番重要です。実際に自分が考えたことを実験してみたら、驚くべきことに、予想もしなかった実験データが得られて、当初の想定と違う状況に物事が展開していく。その背景には自分だけのひらめきや独創があり、話が一気に面白くなります。

特許が有効だと認められるには大きく2つの要件があります。1つは 当然新規性です。この特許の内容は今まで誰も考えたことがないアイデアであることになります。2つ目は、そのアイデアが社会に役立つ特性を生み出すこと。この2つが基本的な要件になります。

「転」は、この特許の必須要件に関係してきます。思い通りのことをやって、思い通りの結果になって、思い通りの効果が出たら、特許になりません。そんなことは誰だって考えるでしょうという風に受け取られます。したがって、この「転」、すなわち、誰もが思いつかない独創的な考え方やアイデアが、必要になってきます。

そして「結」。結論の結です。当初の想定とは違っても、新しい特性や価値を見出すことができ、その結果、これは世の中に非常に役に立つ、ということに繋がります。

これが「起承転結」の言葉です。皆さんが今回のコンテストで、パテント(特許)やデザインのアイデアを出すなど、新しいことを考えるとき、全く同じ思考パターンを無意識のうちに多分なさったかと思います。実はこの「起承転結」という言葉は、特許の明細書を書く時の思考パターンと全く同じです。

さて、午前中の皆さんとの交流会で、「AIは特許を書くことができるか」という問いかけをしました。AIは「起」及び「承」まではほぼ100点満点の答えを出してくれると思います。過去にどんな考え方があって、どういう人がどういうことをやって、結果どうなっているか、といった過去のデータを全てAIが綺麗にまとめてくれます。

問題は「転」です。予想もしなかったような、過去の人が全く思いもつかなかったような、あるいは独創的なひらめき、そういった要素があってこう変わった、ということ。これは今のAIでは絶対に無理です。AIが特許を書けるかというと、特許性のある特許はたぶん書けないと思います。なぜならば3番目の「転」のところで、AIは確実につまづきます。というわけで、AIは特許を書けるかという質問に対する答えについての私の考えは、「半分は書けるが後半は書けない」というものです。

特許だけでなく、新しいアイデアを出す時、自分の考え方を人に伝える時、この「起承転結」ということはぜひ覚えておいていただきたいと思います。この言葉は、皆さんが社会に出られる時に必ず役に立ちます。

本日、優秀賞および特別賞を受賞された皆さん、本当におめでとうございました。

受賞作品一覧

優秀賞受賞作品については、公式ホームページよりご確認ください。

・パテントコンテスト

https://www.inpit.go.jp/patecon/r07pc_results.html

・デザインパテントコンテスト

https://www.inpit.go.jp/patecon/r07dp_results.html

表彰式録画配信

https://www.youtube.com/live/-7mTvNQpuSc

表彰式概要

1.日時

 令和8年3月16日(月)13:30 - 16:00

2.会場 

JPタワーホール&カンファレンス 4階ホール1&2

〒100-7004 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号

3.主催

文部科学省、特許庁、日本弁理士会、独立行政法人工業所有権情報・研修館

4.後援

世界知的所有権機関(WIPO)

5. 応募詳細

今年度応募作品数:1,316件(パテント(特許)部門605件/デザイン(意匠)部門711件)

今年度応募学校数:153校(パテント(特許)部門99校/デザイン(意匠)部門54校)

付記

このコンテストで優秀賞として表彰された応募作品は、特許または意匠登録出願支援対象となり、日本弁理士会の弁理士が手続き等を指導し、実際に特許庁への出願を行うことができます。

また出願にかかる費用を主催者が負担します。
このコンテストを通じて生徒・学生等の皆さまの知的財産マインドを育てるとともに、知的財産権制度への理解を促進することを目的としています。

法人概要

法人名   :独立行政法人工業所有権情報・研修館

所在地   : 〒105-6008 東京都港区虎ノ門四丁目3番1号(城山トラストタワー8階)

代表者   : 理事長 渡辺 治

設立    : 2001年4月

事業内容 : 工業所有権に関する情報の収集、整理及び提供、これら業務に従事する者に対する研修の実施

URL : https://www.inpit.go.jp/index.html

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ビジネスカテゴリ
政治・官公庁・地方自治体
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会社概要

URL
https://www.inpit.go.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区虎ノ門 四丁目 3-1(城山トラストタワー8 階)
電話番号
-
代表者名
渡辺 治
上場
未上場
資本金
-
設立
2001年04月