全国360人の乳がん患者が回答「乳がん治療と多遺伝子検査に関する患者意識調査」の結果から、納得いく治療選択におけるシェアード・ディシジョン・メイキング(共同意思決定)の重要性と課題が浮き彫りに。

本調査結果を踏まえ「多遺伝子検査が治療選択に果たす役割と対話がもたらす納得、調査から見えた安心して治療に臨むための課題と可能性」をテーマとしたメディアラウンドテーブルが3月11日都内で開催されました。

株式会社 リサ・サーナ

【メディアラウンドテーブル概要】

■講演:田村宜子(たむら・のぶこ)先生 虎の門病院乳腺・内分泌外科医長

虎ノ門病院乳腺・内分泌外科医長 田村宣子先生

「納得のいく治療選択と共同意思決定(SDM)~原発乳がん標準治療と多遺伝子検査~」と題して、抗がん剤実施の有無など、原発乳がんの治療方針決定プロセスについて、多遺伝子検査の活用も踏まえ田村医師が解説。がんの情報のみならず「人生で何を大切にして生きていきたいのか」を考える必要性と、医療者として患者さんの納得いく選択を支え続ける想いを訴えられました。

■調査結果解説:児玉順子氏 エグザクトサイエンス(株)ペイシェントアドボカシー シニアマネージャ続いて児玉氏からは、本調査において、乳がん治療における患者さんの高い情報ニーズと「納得して治療を選びたい」という想いが浮き彫りとなったことが示されました。一方で、医療現場における情報提供の機会や、自身に適した治療を医師と共に考えるSDM(共同意思決定)のさらなる推進が、今後の重要な課題となっていること、多遺伝子検査の結果はゴールではなく、患者さんと医師による「シェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)」の始まりであることが指摘されました。

■パネルディスカッション:田村宣子先生、野北まどか氏(一般社団法人がんと働く応援団共同代表)、上田暢子(一般社団法人ピアリング代表理事)

パネルディスカッションの登壇者(左から野北まどか氏、田村宣子医師、上田暢子)

パネルディスカッションでは、調査で見えた数字の「背景」にある患者さんの気持ちや現場の実態について、医師および患者支援団体の視点から発言が続き、「医師に任せる」から「共に考え決める」への転換を、どう進めていくか、活発な議論が交わされました。

「乳がん治療と多遺伝子検査に関する患者意識調査」について

株式会社リサ・サーナ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:上田暢子)は、エグザクトサイエンス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:ステファン・ペレ)と共同で、乳がん治療に関する理解、説明の受け方、および多遺伝子検査(注1)の認知・活用実態を明らかにし、治療選択のプロセスにおける課題と可能性を明確にすることを目的に、乳がんの多遺伝子検査が保険適用となった2023 年9月以降に乳がんと診断された全国の患者さん360名を対象として、治療選択のための多遺伝子検査の活用や治療選択の実態について調査を実施しました。

●調査実施:2025年7月9日~7月12日(WEBアンケート形式)

●有効回答数:乳がん患者360名(男性7名含む)

●監修:吉田敦先生(聖路加国際病院乳腺外科部長)

●調査主体:エグザクトサイエンス株式会社

●調査実施:株式会社リサ・サーナ

●協力患者支援団体:ピアリング、キャンサーネットジャパン、E-BeC、あけぼの会

注1: 診断や手術時に切除したがん組織中の複数の遺伝子を調べて、がんが「どの程度再発しやすいか」、ホルモン療法に加えて「化学療法(いわゆる、抗がん剤)を併用すると効果があるか」などを調べる検査。切除手術後に治療を選択する判断材料となる。

【調査結果ハイライト】

1. 乳がん検診およびブレスト・アウェアネス(注2)による早期発見の重要性

・定期的に乳がん検診を受けている人は、不定期または受けたことがない人に比べ乳がん検診で乳がんが発見される割合が高く(60.5% vs 28.7%)、より低いステージ(0期とI期)で発見される傾向がありました。なお、ステージIVと診断された方はいませんでした。

注2:「ブレスト・アウェアネス」とは、自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識する生活習慣のこと。①自分の乳房の状態を知る、②気をつけなければならない乳房の変化を知る(しこりや血性の乳頭分泌)、③変化に気づいたらすぐに医師に相談する、④40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける。 出展:「患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版」日本乳癌学会編(金原出版株式会社)

2. 乳がん患者さんの治療に対する不安や懸念

・乳がん診断時点で、約半数(44.4%)の患者さんが「がんの性質やステージによって治療法が変わることを全く知らなかった」と回答しました。診断直後は、治療に関する具体的なイメージを持てていない患者さんが多いことがわかりました。

・また、約3人に2人(65.6%)の患者さんが「最も避けたい治療は化学療法」と感じており、治療に対する不安や懸念の存在が浮き彫りになりました。

3. 診断後の乳がん患者さんの高い情報探索意欲と、情報提供機会の重要性

・ 乳がん患者さんの82.5%が多遺伝子検査を認知しており、患者さん自身が積極的に検査や治療に関する情報を求めている実態が明らかになりました。

・多遺伝子検査については、「化学療法の上乗せ効果が得られるかを予測する検査」(63.1%)や「乳がんの再発リスクを予測する検査」(55.7%)と捉えている人が多く、治療方針を検討するうえで役立つ検査として一定の理解が広がっていることがうかがえました。

・多遺伝子検査を知るきっかけとして最も多かったのは、患者会に加え、インスタグラムやXなどのSNS上で乳がん経験者が情報を発信する「患者コミュニティ」(41.5%、119名)からの情報でした。

・「BRCA遺伝子検査(注3)」との混同は9.1%(28名)と少なく、異なるサブタイプとの混同は9.1%(9名)にとどまり、多遺伝子検査に対する理解度は比較的高いことがわかりました。

注3: 「BRCA遺伝子検査」は、乳がん・卵巣がんの中でも遺伝的な要因が関与している遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer, HBOC)症候群を調べるための検査。HBOCは遺伝性の疾患で、生殖細胞系列におけるBRCA1/2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%(1/2)の確率で受け継がれる。HBOCの方は一般の方と比べて、乳がんは6~12倍、卵巣がんは8~60倍罹患しやすくなると報告されている。HBOCであることがわかることで、ご自身やご家族のがん治療や予防に役立てられる可能性がある一方で、そのことが心理的な負担となる可能性も指摘されている。

・いっぽう、多遺伝子検査対象(注4)165名のうち、実際に検査を受けたのは48.5%と、およそ半数にとどまりました。検査を受けなかった75名のうち、約半数(45.3%、34名)が「医師からの説明や紹介の機会がなかった」と回答しており、医療従事者による情報提供の重要性が浮き彫りになりました。

注4:多遺伝子検査の検査対象は、次の条件を満たす早期浸潤性乳がん患者

・ 「ホルモン受容体陽性」で「HER2(ハーツー)陰性」

・ リンパ節転移がない、またはあっても1~3個

・多遺伝子検査対象165名のうち、41.2%が「医師からの説明を受けていなかった」と回答しました。これは、医師から患者さんへの情報提供や説明が不足しているケースがいまだ多く、引き続き、医療者からの情報提供やSDM(共同意思決定)のプロセスに改善の余地があることを示しています。

4. 治療への「納得」と「安心」

・ 患者さんが多遺伝子検査を受けた主な理由として「客観的な数値をもとに自分に合った治療を考えたかったから」(48.8%)が最も多く、次いで「化学療法を受けるかどうか迷っていたから」(34.1%)が挙げられました。

・検査結果を受け取った患者さんのほぼ全員(98.7%、75名)が、検査を受けて「とてもよかった」または「よかった」と回答し、多遺伝子検査に対する高い満足度が示されました。

・この設問の自由回答欄には「自分の再発リスクや抗がん剤の効果予測を知ることができたので納得して治療に臨めた」、「抗がん剤を受けない選択ができた」などのコメントが挙げられ、患者さんが「納得」と「安心」をもって治療方針を選択したいと考えていることが明確に示されています。

・いっぽう、多遺伝子検査を経済的な理由から断念した患者さんがごくわずかで1.3%(1名)であることも、本調査で明らかとなっています。

・「 SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング; 共同意思決定)」を知っていると回答した患者さんはわずか4.2%(15/360名)でした。ただし、SDMの意味を説明したうえで「乳がんの治療を決定する際にSDMがどの程度できたと感じたか」を尋ねたところ、62.5%(225/360名)の患者さんが「十分できた」または「ある程度できた」と回答しました。

5. 個別化医療とSDM(共同意思決定)のさらなる深化に向けて

多遺伝子検査の結果、「化学療法の上乗せ効果が小さく、実施が推奨されなかった」とされた患者さんのうち、25.0%では経口とはいえ化学療法が実施されていたことが確認されました。 今回の調査結果は、多遺伝子検査で得られる情報を最大限に活用し、患者さんと先生が十分に話し合ったうえで、納得し安心して最適な治療を選択するSDMをさらに深めていくことの重要性を示しています。

【聖路加国際病院 乳腺外科部長 吉田 敦 先生によるコメント】

今回の調査結果は全般的に、実臨床での感覚と一致した納得いくものであった。 特に、多遺伝子検査の結果を踏まえて、不要な化学療法を少なくできることの意義は非常に大きいと考えられ、患者さんにとって不要な化学療法を安心して省略できる有用なツールである。また、再発スコアが高い場合には、化学療法の説明がしやすく、化学療法が必要な患者に前向きに治療を受けてもらうことにも繋がっている。 一方で、乳腺外科がない・乳腺専門医がいない病院では、多遺伝子検査について説明すらされていない状況もあること、また開発コストについて理解はできるものの、保険診療の3割負担で約13万円という費用負担は患者さんにとってやはり大きいことは課題である。

【リサ・サーナが目指すこと】

本調査の実施を担った株式会社リサ・サーナは、患者中心の医療を実現するため、PX(Patient Experience 患者経験価値)を 社会にフィードバックし、患者さんのQOL向上につなげることをミッションとしています。

今回の調査では、 乳がん治療の選択肢が広がる一方、治療が個々のがんの性質に基づいて決まる現代において、患者さんが「自らのがんの情報」を得てそれを充分に理解し、医師と話し合って納得いく治療を選択することの重要性が明らかになりました。

リサ・サーナでは、日本のいかなる地域においても、患者さんが、自身のがんについてエビデンスのある情報を入手し、主治医と充分なコミュニケーションを取って納得・安心できる治療を選び取れる環境が整うよう、今後も務めていきます。

■リサ・サーナの運営メデイア

・がん患者向けコミュニティ型SNS「ピアリング」「ピアリングブルー

・がん患者向けレシピサイト「カマエイド

■リサ・サーナのサービス

・がんをはじめとする疾患をテーマにした、患者実態調査・ニーズ調査、インタビュー等等各種リサーチ、セミナー開催、コンテンツ制作等を行っています。詳細については、 https://risa-sana.co.jp/ をご覧ください。

【エグザクトサイエンスコーポレーションについて】

エグザクトサイエンスコーポレーションは、アメリカ、ウィスコンシン州マディソン市に本社を置く、ゲノム(患者さんの遺伝子情報)に基づいた 最先端の技術を通し、がん治療のさらなる可能性を拓くことを使命とした、がんスクリーニング検査とゲノムを用いた診断検査を提供する ヘルスケア企業です。人生を変える行動を早期に講じるための必要な情報を提供します。結腸癌スクリーニング検査および Oncotype DX 検査の成功を基に、がん診断前、診断中、診断後に使用する革新的なソリューションを開発するパイプラインに投資しています。 エグザクトサイエンス株式会社はエグザクトサイエンスコーポレーションのグループ会社です。 詳細については, https://www.exactsciences.com/jp をご覧ください。 その他、乳がん患者さん向け Web サイト 「乳がん治療.jp」 http://nyuganchiryo.jp もご参照ください。

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株式会社 リサ・サーナ

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URL
https://risa-sana.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央30-14 キーウエスト402
電話番号
080-3573-0414
代表者名
上田 暢子
上場
未上場
資本金
990万円
設立
2017年08月