イタリア当局は、ロマの人びとの公認キャンプの閉鎖を停止せよ

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イタリア当局は、ローマ近郊のキャンプからロマの家族を立ち退かせる計画をただちに取りやめ、同キャンプの居住環境を改善するべきである。国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル(http://www.amnesty.or.jp/)はこう述べ、イタリア当局を批判した。

ローマ市は7月30日までにトール・ド・センチ・キャンプを閉鎖し、居住者を新たな収容所に移そうとしている。しかし、閉鎖の決定や新たなキャンプ設置場所の選定にあたって、明確な理由説明はなく、適切な安全策もとられていない。

いずれにしても、「トール・ド・センチ・キャンプを閉鎖する」という方針を当局は繰り返し主張しているため、キャンプの生活環境は深刻なまでに悪化し、協議はうまくいっていない。当局が住人に与える唯一の選択肢は、別のキャンプへ移ることだけだ。

当局は転居を望まない居住者に対する立ち退きの強要は、控えるべきである。キャンプ内の居住環境とインフラを十分に回復するよう居住者と協議すべきだ。

■弄ばれる住民たち

「最初、私たちをあるキャンプに入れ、それから3年後、別のキャンプに移し、さらに10年後、また別のキャンプに入れようとしています。そんなことはできるはずがない。私たちをまるでサッカーボールみたいに弄んでいます」と、キャンプ住人の広報担当者は、アムネスティに語った。

350人以上のロマの人びとが、トール・ド・センチ・キャンプで生活している。彼らのほとんどが、ボスニアかマケドニア国籍だ。ここでの生活は、長い人で16年に及ぶ。

このキャンプは1995年、地方当局の手で設置されたが、そこでは居住者は生活に必要な諸サービスが整い、子どもは学校にも通えた。

しかしこの2年間で、地方当局はここまでが特別に大目に見てきただけだと言い始め、閉鎖をちらつかせてきた。当局がこのキャンプの管理を事実上に放置しているため、居住環境は日に日に悪化している。

当局はこのキャンプの居住者を新たなラ・バルブタというキャンプに移そうと計画している。この新たなキャンプでは、人種的隔離政策を取るようだ。

これまでのキャンプの閉鎖計画と新キャンプの建設は、2008年にイタリア政府が非常事態下で作成した、ロマの「ノマド(遊牧民)プラン」の一部だった。非常事態下の権限を行使して、当局は環境と立案の分野で主要な保護法をないがしろにしてきた。

「ノマド非常事態」により、イタリア政府はロマに対して差別的な手段を取ることができたが、やがて、2011年11月、イタリアの最高行政裁判所である国家評議会は、この非常事態宣言を違法とした。

転居に同意した家族もあるが、多くはラ・バルブタへの移動に反対している。転居にはっきりと同意していないトール・ド・センチ・キャンプの家族を力ずくで移転させることにアムネスティは反対する。

■すべてのロマの人びとに、十分な住居を

多くのキャンプ居住者は、一般社会の住宅に住むことを望んでいる。トール・ド・センチ・キャンプが改修されるならそこにとどまりたいという希望もある。しかし、当局は、資金不足が理由のようで、どちらの選択肢も考慮していない。さらに、ラ・バルブタ建設に1000万ユーロ近くを投資してきたとのことだ。

ラ・バルブタは、チアンピーノ空港近郊の孤立したエリアにあり、フェンスとカメラにより取り囲まれている。地方当局はそのキャンプをロマ家族だけを居住させる計画だが、これは国際法により禁じられている。イタリア政府によるEU委員会に対する最近の約束とも相容れず、また人種を隔離するキャンプを新たに生むことになる。

当局はトール・ド・センチの居住環境を改善すべきだ。ラ・バルブタを国内外の規約・基準に適合するように手を打ち、人種隔離キャンプとして使用しないことを明確にすべきだ。

また、当局がキャンプ居住者を移すとしても、彼らと常に真摯に協議すべきであり、住居の選択肢をキャンプに限ってはならない。

イタリア当局は「ノマド非常事態宣言」を放棄し、同宣言がもたらした違法行為に対して救済措置をとり、すべてのロマに十分な住居を確保すべきである。

【写真】ロマの人びとが暮らすトール・ド・センチ・キャンプ。

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URL
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業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区神田小川町2-12-14 晴花ビル 7F
電話番号
03-3518-6777
代表者名
阿部 理恵子
上場
未上場
資本金
-
設立
1970年04月