【JAXA×BIZ NEWS】宇宙ビジネスアイディアコンテストS-Booster2019で、JAXA職員が続々受賞!今後もクリエーター、プロデューサー人材の育成に取り組む!

最終選抜会に臨んだファイナリスト12チームのうち、JAXA職員が代表者を務める3チームが各賞受賞

JAXA新事業促進部

●衛星中古事業でJAL賞、軌道上工場事業でPOLA賞、衛星試験場シェアリング事業でJAXA賞をそれぞれ受賞。
●2018年度始動したJAXA人材育成実施方針で「提案力の強化」を掲げ、クリエーターやプロデューサー人材を育成。
●S-Booster2020に向け、新事業促進部が主導する自主学習、民間企業との共創WS、企業越境プログラムも推進中。
今後、J-SPARCでの共創活動、JAXA発ベンチャー起業、社会実装型研究開発活動などで具現化を目指す。
2019年11月25日、今回で3回目を迎えた『宇宙ビジネスアイディアコンテストS-Booster』(主催:内閣府、共催:JAXA・NEDO、アジア共催:GISTDA)最終選抜会。アジア・オセアニア地域にも募集を広げた今回の「S-Booster 2019」、東京・日本橋に集ったファイナリスト12チームの中には、JAXA職員が代表者を務める3チームの姿がありました。

夏野剛特別審査委員長のもと、厳正なる審査の結果、①中古衛星市場の創設アイディアを提案した市川千秋氏(2008年入社・第二宇宙技術部門)がJAL賞、②軌道上における材料製造サービスを提案した古賀勝氏(2010年入社・国際宇宙探査センター)がポーラ・オルビスホールディングス賞、③小型衛星環境試験場のシェアリングサービスを提案した棚田和玖氏(2019年入社・第一宇宙技術部門)がJAXA賞を受賞しました。

●JAL賞・Satellite Re-use Market(Opportunity市川千秋氏)

 

[提案概要]
宇宙機器はその性質上、高信頼性設計となっているが、それ故、想定以上に長寿命化している。これにより、高性能化された新機種が登場する時に、旧機体の活用方法が喫緊の課題となっている。そこで、中古衛星の取引マーケットを創設することにより、すぐに使える&低コストな衛星を提供し、新規参入ハードルを大幅に下げると共に、衛星に資産として価値を認め、新たな衛星利用の場を提供する。

[講評(JAL)]
受賞提案は、直感的にシンプルで分かりやすく、またとても気付きも多く、循環型の社会や「物を使い続ける」というところに大変共感しました。JALの企業理念として、社会の進歩発展に貢献するというのがございます。また、最近は「地に足のついたイノベーション」というものを標榜しており、受賞提案のように、「使い続ける」ということは日本の大きな強みではないかと気付かせていただきました。そういう観点からも応援させていただきたいと思っています。
 

市川千秋氏市川千秋氏

[受賞者コメント]

 

この度は、栄えある賞をいただき、誠にありがとうございました。S-Boosterにおけるメンタリングをはじめ、数多くの方々からのご支援、ご協力のおかげで、このような貴重な機会を頂けたことに深く御礼申し上げます。日本ではこれまで世界で4番目に多くの衛星を開発し、打ち上げ、運用してきました。そして、衛星から得られる膨大なデータにより、数多くの貴重な発見がもたらされてきました。もはや、衛星は私達の生活になくてはならない存在となっている今、社会基盤インフラとして持続可能な宇宙開発、宇宙利用を考えていかなければなりません。OpportunityではSatellite ReuseMarketとして、衛星の中古市場をいち早く開拓し、広めていくことで、多くの方々に宇宙利用の場を提供していくと共に、衛星を資産として査定していくことで、宇宙利用の多様性に貢献していきます。

●ポーラ・オルビスホールディングス賞・Space Spice factory(Work Dock Inc.古賀勝氏)


[提案概要]

軌道上の微小重力を利用して「重力下では製造が極めて困難」で「宇宙への輸送コストを上回る利益を生む」物質を製造する。そのために小型の軌道上製造システムを確立し宇宙輸送のコスト削減を図る。本事業は、大航海時代の香辛料の様に、人類を宇宙へ導くことを志向し、Space Spice factoryと名付けている。

[講評(ポーラ・オルビスホールディングス)]
皆様ご存知の通り、弊社は化粧品を製造するメーカーです。これまで、アンチエイジングを始めとした有効素材を数多く開発してきました。宇宙でアンチエイジング素材を開発したらどんな素材が出来るんだろう、宇宙で作った化粧品のクリームってどんなクリームになるんだろう、という色々な夢を想像しながら提案を聞きました。これからも、わくわくするような化粧品を作り続けるためにも、是非お力を貸していただければと思います。

 

古賀勝氏古賀勝氏

[受賞者コメント]

 

魅力的で、わくわくどきどきする宇宙開発を実現するためには、宇宙開発にかかるコストを低減させ敷居を下げる必要があるという問題意識を持っています。そのためには、宇宙利用の需要を増やして大きな産業にし、コスト構造を変革させていなければならないと考えています。その様な思いから今回は、従来からある通信、測位、観測等といった宇宙利用に加わる新たな宇宙の使い方を模索し、”製造”という新機軸を提案させて頂きました。大航海時代に船乗り達が香辛料を求めて海を越えていった様に、この事業が生み出す”宇宙の香辛料”で人々を宇宙へ導いていきたいと思います。Space Spice factoryで世界を変えていきます!


●JAXA賞・小型衛星環境試験場のシェアリングサービス(SEESE from ABLab 棚田和玖氏)


[提案概要]

宇宙の過酷な環境下でも衛星が正常に動作するか事前にテストする「環境試験」は、全製造コストのうち30%を占めるとても重要な工程です。「SEESE」は、全国に存在する小型/超小型衛星の環境試験場を一つのWebプラットフォーム上で管理し、試験予約から、試験機の配送、人材提供を始めとした試験サポートまで一気通貫で提供するサービスを実現することで、今後新規プレイヤーが参入する上でボトルネックとなる環境試験のハードルを下げることに貢献します。

[講評(JAXA)]
JAXAは今回、技術の支援をしたいと考えております。そのためにもJAXAとしては、私たちの持っている技術やデータを活用していただける提案を選びました。産業としては成り立たないかも知れないが、社会にとって大事な分野というものがあると思っています。今回の試験施設を共用しようという考えは、多くの企業の方や、宇宙に参入しようという方にとっては基盤となるもの、まさに種となっていくものではないかと思っています。このような分野にも目を向けていただけたというのは非常に嬉しいですし、多くの方に、私たちの技術を使って貢献していただきたいということで選ばせていただきました。
 

棚田和玖氏棚田和玖氏

[受賞者コメント]
この度はこのような名誉ある賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。審査員、メンターの方々、そしてS-Boosterに取り組むきっかけをくれたABLabという宇宙ビジネスコミュニティに感謝の意を述べたいと思います。我々のビジネスは、ロケットを打ち上げるわけでも衛星を作るわけでもありません。一見地味に見えるかと思います。しかし、JAXA中村理事が仰っていたように環境試験は多くの事業者にとって基盤となる欠かせないフローです。我々SEESEは宇宙産業におけるエコシステムとなることで、衛星事業者が心置きなく事業に集中できる環境を作って行きます。これまで官需を主として閉鎖的だった宇宙産業だからこそ「シェアリングプラットフォーム」、「産業横断」といった新しい切り口によって、大きく変革できる可能性を秘めていると私は感じます。今後はSEESEの事業化に向けて法人化、資金調達を目指したいと考えています。


S-Booster2020に向け、社内で人材育成プログラムを積極的に推進

JAXAでは、第4期中長期計画(2018~2024年度)において、新たに人材育成実施方針を策定し、社会に対して技術で新たな価値を提案する(クリエーター)とともに、全てを JAXA 内で完結するのではなく、外部と連携して事業を実現する(プロデューサー)ために必要な提案力の強化に取り組んでいます。

今後も、新事業促進部が主導し、社内外における宇宙ビジネス創出に向けた人材育成を積極的に推進、共創型研究開発プログラムJ-SPARCでの事業化のほか、JAXA発ベンチャー起業なども通じ、我が国の経済成長やイノベーションへの貢献も図っていきます。

【第4期人材育成実施方針(JAXA)】
http://www.jaxa.jp/about/h-resource/index_j.html
【共創型研究開発プログラムJ-SPARC】
https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/
【JAXA発ベンチャー】
https://aerospacebiz.jaxa.jp/venture/

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会社概要

URL
http://aerospacebiz.jaxa.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ
電話番号
-
代表者名
新事業促進部長 伊達木 香子
上場
未上場
資本金
-
設立
2015年04月