地政学的に不安定な時代でも、日本はドイツ企業にとって安定した市場

第11回在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2026」の結果報告

在日ドイツ商工会議所

在日ドイツ商工会議所 (略称:AHK Japan) は、2026年1月下旬から2月中旬にかけて、KPMGドイツとともに第11回目となる在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2026」を実施しました。

  • 2025年に利益を上げた在日ドイツ企業は、前年の82%から91%へと大幅に上昇した

  • 2026年には68%、2027年には72%の企業が売上高の増加を見込んでいる

  • 65%の企業は、日本が将来的にイノベーションとサステナビリティの分野で世界的な技術リーダーのひとつになると期待している

  • イラン情勢による悪影響:70%の企業がエネルギーコストの上昇、60%がサプライチェーンの混乱、38%が利益の減少といった課題を有している


貿易紛争や地政学的緊張が鮮明化する国際情勢のなかで、多くのドイツ企業にとって日本はますます安全な拠り所となりつつあります。このことは、在日ドイツ商工会議所がKPMGドイツとともに実施した最新の在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス 2026」が示しています。

最新の調査結果によると、2025年に利益を計上した在日ドイツ企業は91%に上り、前年の82%から大幅に増加しました。事業見通しも引き続き良好で、68%の企業が2026年に売上高増加を見込んでいます。さらに2027年は、72%が売上の伸びを予想しています。投資計画は全体的に安定しているものの、その内訳には変化が見られます。今後3年間に日本で最大500万ユーロまでの投資を計画している企業は68% (前年:79%) とやや減少した一方で、より大規模な投資として500万ユーロから5,000万ユーロの投資を計画している企業の割合は、14%から26%へと大幅に12ポイントほど増加しました。

「国際的な紛争や貿易摩擦が激化するなか、堅調な市場が重要性を増しています。日本は、経済的な安定性や信頼できるビジネス関係、高度な専門人材を提供する国として、ドイツ企業を魅了しています。しかしながら、イラン情勢の影響は日本にもでてきています」と、KPMGドイツのインターナショナルビジネス部門のマネージングパートナーであるアンドレアス・グルンツは述べています。

日本の経済安全保障政策はドイツにとってお手本となる

現在の地政学的緊張、アジアにおける日本の特別な役割、そして中国との関わりにおける経験といった背景から、多くのドイツ企業が日本の経済安全保障政策に注目しています。59%の企業は、サプライチェーンの持続可能な多様化を、日本が経済的レジリエンスを強化するために行っている経済安全保障政策の取り組みのなかで最も重要な点だと捉えています。

さらに42%の企業が、日本のリスク管理や災害対策から学べることがあると考えています。また40%は、希土類などの重要原材料のリサイクル能力を構築するために日本が実践してきた経験や戦略から、ドイツが教訓を得ることができるとの見解を示しています。

「経済的安定と安全性はけして一夜にして築かれるものではないことは、日本によって明確に示されています。サプライチェーンの多様化を図り、リスクを積極的に管理し、原材料に戦略的に投資する企業こそが経済的レジリエンスを長期的に強化できるのです」と、駐日ドイツ商工特別代表 兼 在日ドイツ商工会議所の専務理事であるマークゥス・シュールマンは述べています。

日本は、抜本的な技術変革の時代における重要な「技術とイノベーション」の拠点

ドイツ企業にとって、日本は依然として魅力的な販売市場です。85%の企業にとって、販売市場としてのポテンシャルは日本に拠点を置くうえで最も重要な理由です。

同時に、AIによる構造的再編が進む時代において、技術的なベンチマークとしても、日本の重要性は増しています。回答企業の65%が、将来的に日本が技術やイノベーション、サステナビリティの分野において主導的な役割を果たすことを期待しています。投資判断においても、技術は中心的な役割を果たしています。37%のドイツ企業は、日本国内の投資における最も重要なプラス要因として、産業やサービスのデジタル化を挙げています。

そのため、多くのドイツ企業が日本をイノベーションのベンチマーク市場として積極的に活用しています。65%の企業が日本でトレンドリサーチを積極的に行い、63%が技術的かつ産業的な動向を早期に把握するために日本の競合他社を注視しています。これは前年比で6ポイントの増加となりました。

「日本市場は、将来の技術開発を先取りする先行指標です。日本で定着するトレンドは、しばしば国際的な産業にも影響を与え、世界市場で定着します。日本はAIや半導体技術、自動化、ロボット工学に巨額の投資を行っています。それにより、ドイツ企業の好ましいパートナーとしての地位を確立しています」とアンドレアス・グルンツは述べています。

為替リスク、膨らむ公的債務、専門人材の不足が依然として最大の課題

好調な事業展開にもかかわらず、多くのドイツ企業は依然として構造的なリスクを認識しています。回答企業の83%が、為替リスクや財政・金融リスクを最大の課題として挙げており、これは前年比で6ポイントの増加にあたります。その背景には、円の変動性と円安の現状、高い国家債務、そして不安定な金融市場などが挙げられます。

また、専門人材の不足も依然として重要な課題です。81%の企業が、有能な人材の採用に問題を抱えていると報告しています。その主な原因としては、高齢化、移民の少なさ、そして国際的な人材獲得競争の激化が挙げられます。

イラン情勢がドイツ企業のビジネスに及ぼす深刻な影響

2026年3月末に行われた追加調査によると、イラン情勢が日本に進出しているドイツ企業の事業に深刻な影響を及ぼしていることが明らかになりました。94%の企業が世界市場におけるインフレリスクの高まりを予想しており、92%がエネルギー危機、91%が地政学的リスクの増大を懸念しています。また、88%は輸送や物流ルートの混乱によるサプライチェーンの停滞も予想しています。

ドイツ企業の事業活動において特に負担となっているのはエネルギーコストです。回答企業の70%が、石油やガス、電力の価格高騰を最も大きな阻害要因として挙げています。さらに、60%が物流の混乱が増加していると報告しています。約4分の1の企業は、売上高 (27%) および受注 (23%) の減少を見込んでいます。38%は、コスト上昇分を価格に転嫁できないため、すでに利益の減少に直面しています。

「全体的には好調な業績を維持しているものの、イラン情勢を背景に、多くのドイツ企業がエネルギーコストやサプライチェーンの面で短期的な課題に直面しています。同時に、専門人材の不足といった構造的な問題も、日本市場での長期的な発展にとって依然として重大な課題です」と、マークゥス・シュールマンは述べています。

【調査概要】

調査名称:

1) 在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2026」

2) 在日ドイツ企業調査2026「イラン情勢」 ※1の追加調査として実施

調査期間:

1) 2026年1月30日~2月12日

2) 2026年3月25日~27日

調査方法:

オンラインによるアンケート形式

調査内容:

2016年より、在日ドイツ企業の事業実態や見通しを把握するために実施

対象企業数:

1) 在日ドイツ系企業475社

2) 在日ドイツ系企業478社

有効回答数:

1) 175社(36%)

2) 153社(32%)

URL:https://japan.ahk.de/ja


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会社概要

在日ドイツ商工会議所

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URL
https://japan.ahk.de/jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都千代田区三番町2-4 三番町KSビル5F
電話番号
03-5276-9811
代表者名
マークゥス シュールマン
上場
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資本金
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設立
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