シンク・ネイチャーと電通、企業の自然関連活動がもたらす生物多様性とビジネスへの影響を可視化する「バタフライチェック」を提供開始
-ネイチャーポジティブに向けたビジネスを支援–
株式会社シンク・ネイチャー(本社:沖縄県那覇市、代表取締役CEO:久保田 康裕、以下「シンク・ネイチャー」)と、株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:佐野 傑、以下「電通」)は、企業の自然関連活動が、生物多様性やビジネスに与える影響を測定し可視化するサービス「バタフライチェック」の提供を本日より開始します。シンク・ネイチャーと電通は、「ネイチャーポジティブ」※1に向けて、活動の成果を可視化し、新規事業開発などの新たなビジネスにつなげる支援を行います。
<企業の自然関連活動の成果をまとめた「バタフライチェック」>
「バタフライチェック」は、中央の赤い箇所が自然関連活動による生物種・生態系の変化を、左側の緑の箇所は中央の生物多様性による 恩恵を受けた 「生態系サービス」※2への影響を示します。右側の青い箇所はビジネスへの影響(事業/収益貢献・顧客評価・社会的評価・従業員評価・周辺関係者評価)を示し、3つの結果をもとに生物多様性やビジネスに与える影響を統合的に可視化します。スコアアップに向けた改善点や新規の事業機会を抽出し、統合的に分析します。「バタフライチェック」の名称は、生物多様性において重要な花粉媒介者の「チョウ」と、小さな出来事が予想もしなかった大きな出来事につながる事象を表す「バタフライエフェクト」から着想を得ています。
自然関連活動により、生物多様性の損失を止め自然を回復軌道に乗せるネイチャーポジティブを達成することで、「2030年までに世界で年間最大約10兆ドル規模のビジネスチャンスと約4億人の雇用を生み出す」※3との試算があります。その一方で、多くの企業が生物多様性に貢献する活動を、自社の事業と結び付けて説明できていないという課題があります。影響が可視化されることで、現在の自然関連活動の改良点に加えて、ブランディング・広報活動や、地域住民や従業員など多様なステークホルダーとの関係強化の機会を見いだすことができます。「バタフライチェック」は、生物多様性に貢献する活動と新しい事業の開発やビジネス成長をつなげることができます。
<アグリベンチャーの自然関連活動を測定した事例>
シンク・ネイチャーと電通は、実証実験としてアグリベンチャーと「バタフライチェック」を2024年1月に実施し、その結果は下記となります。
1:生物種/生態系の変化 人工芝のグラウンドをオーガニック農法の麦畑に土地改変した際の生物種の増減を、その地域に生息する生物種の分布データと生物種ごとの生息立地の情報を用いて機械学習で試算し※4、生物多様性の再生効果を予測しました。さまざまな分類群の種数の変化として、約9倍のプラスの効果がみられました。 2:生態系サービスへの影響 原料になる麦の収穫だけでなく、農地の保水力で水量調整機能が向上するなど、主に水関連の生態系サービスにプラスの効果がみられました。また、種まき体験など自然を活用した文化的サービスを生み出しました。
3:ビジネスへの影響 原料を自社で調達できるだけでなく、ブランドイメージ・従業員エンゲージメント・広報露出の向上につながることが確認でき、多面的にステークホルダーとの関係を強化する活動となっていました。 |
※1 ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を止め自然を回復軌道に乗せた状態のこと
※2 生態系サービスとは、生態系がもつ機能のうち、人間が生きるために必要な水や食料、気候の安定などの自然の恩恵のこと
出典:TEEB報告書普及啓発用パンフレット「価値ある自然」(2010年 環境省)
※3 出典:「ネイチャーポジティブ経済の実現に向けて」(令和5年3月7日 環境省 自然環境局)
※4 予測は、「生物分布や生物多様性分布の推定手法の根拠となる研究書・学術論文: Antoine Guisan 著・ Wilfried Thuiller 著・ Niklaus E. Zimmermann 著、 久保田 康裕 監訳 野生生物の生息適地と分布モデリング;Kubota Y., Shiono T., Kusumoto B. (2015) Role of climate and geohistorical factors in driving plant richness patterns and endemicity on the east Asian continental islands. Ecography 38: 639-648; Lehtomäki J., Kusumoto B., Shiono T., Tanaka T., Kubota Y., Moilanen A. (2018) Spatial conservation prioritization for the East Asian islands: A balanced representation of multitaxon biogeography in a protected area network. Diversity and Distributions 25: 414-429」にもとづく
各社概要
株式会社電通(https://www.dentsu.co.jp/)
所在地:〒105-7001 東京都港区東新橋1-8-1
代表者:代表取締役 社長執行役員 佐野 傑
事業内容:顧客のマーケティング全体に対するさまざまなソリューション提供に加え、デジタル時代の変革に対応する効率的な広告開発(AX)、最適な顧客体験のデザイン(CX)、マーケティング基盤そのものの変革(DX)、顧客事業の変革(BX)を推進しており、マーケティング領域を超えて進化させた多様なケイパビリティを掛け合わせ、顧客と社会の持続的成長に貢献する統合ソリューションを提供しています。
生物多様性科学において卓越した実績を有する研究者で構成されている琉球大学発スタートアップです(https://think-nature.jp)。世界の陸・海を網羅した野生生物や生態系の時空間分布を、自然史の研究論文や標本情報、リモートセンシング(人工衛星・ドローンによる観測)、環境DNA調査、野生生物の行動記録(バイオロギング)、植物・動物愛好者の研究などで収集された生物関連データ(地理分布、遺伝子、機能特性、生態特性など)を元にビッグデータ化し、AI等の最先端技術を用いたネイチャーの可視化や予測やシナリオ分析技術を有しています*4。TNFDのデータカタリストイニシアティブに参画し、自然資本ビッグデータを活用した自然の持続的利用に関する分析、評価、 ソリューション(TN LEAD*5)で、金融機関・機関投資家・企業の生物多様性対応を支援しています。さらに、「生物多様性ネットゲイン」を可視化し、ネイチャーポジテイブ事業を推進するためのサービス(TN GAIN*6)を提供しています。また、生物多様性の記載に尽力している研究者を表彰する「日本生態学会自然史研究振興賞」を提唱し、賞金を提供して基礎科学の裾野を支える活動を行い(*7)、さらには一般向けに、生き物の豊かさを、地図で見える化したスマートフォンアプリ「ジュゴンズアイβ版」(無料)をリリースし(8*)、生物多様性の主流化(教育普及)を推進しています。
*4:日本の生物多様性地図化プロジェクト J-BMP https://biodiversity-map.thinknature-japan.com
*5:全産業セクター&グローバルな事業拠点に対応した TNFD対応支援サービス TN LEAD https://think-nature.jp/service03
*6:住宅の庭づくり、都市再開発における不動産物件の緑化計画 、企業緑地や社有林の森づくり、ビオトープの計画など、ネイチャーポジティブ関連事業の効果量をビフォー・アフターの比較を基に算定し、生物多様性ネットゲインを可視化するサービス TN GAIN (https://services.think-nature.jp/gain/)
*7 日本生態学会の新賞、生物多様性に関する記載研究を推進している会員を表彰する新たな賞 https://note.com/thinknature/n/n885ba7f11009
*8:ジュゴンズアイ(DugongsAI)β版:豊かさを知る冒険が、待っている!
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