私たちは誰のために責任を負うのか? 信頼と義務の狭間で揺れる現代人──300人調査から見えた責任感の二面性
9割が「自分は平均以上に責任感がある」と自己評価

働き方が多様化し、個人が自分の判断で動く機会が増えた今、「責任感」は誰のために、何のために発揮されているのか。その輪郭は世代や立場によって大きく異なることが、今回の調査から浮かび上がりました。
みんなの転職「体験談」。(https://studio-tale.co.jp/career-stories/)では、全国の20代〜60代の男女300名を対象に、「責任感」に関する意識調査を実施しました。
アンケート概要
テーマ 「責任感についての意識調査アンケート」
集計期間:2025年8月31日~2025年9月10日
回答者:ネット上のアンケート回答者
※対象は、フリーランスまたは個人事業としての収入が年収全体の50%以上を占める人に限定
全300名(20代:31名 30代:118名 40代:92名 50代:49名 60代以上:10名)
アンケート結果サマリー
責任感に対する意識・価値観
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91%が「約束を守ること」を責任感の本質と捉えている
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約9割が「自分には責任感がある」と自己評価
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責任感の“理由”は「信頼構築」派(32%)と「義務遂行」派(30%)に二分
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責任の矛先は「自分」(97%)、「家族」(80%)、「職場」(67%)に集中
責任の対象ごとの重視ポイント
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家族への責任では「健康管理」(64%)と「生活の安定」(58%)が最多
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友人・仲間には「約束や時間を守ること」(73%)が最重視された
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職場・学校では「業務遂行」(75%)と「誠実な対応」(52%)が中核に
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地域・社会では「ごみ分別・ルール遵守」(82%)と「公共マナー」(71%)が主流
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将来や地球環境への責任では「節電・節水などの日常行動」(64%)が最多回答
回答者の年代別・働き方別内訳
年代・性別の回答割合

働き方別割合

9割が「約束を守る」=責任感、信頼が軸に

「責任感とは何か」に対する認識に9割が「約束を守ること」と回答
Q) あなたにとって「責任感」とは何ですか?「最も当てはまる」と思えるものを【3つまで】選んでください。

「責任感とは何か?」という問いに対し、最多の91%が「役割や約束を守り、きちんと果たすこと」を選択しました。
2位以下には「失敗も含め自分が引き受ける意識」(55%)や「他人に迷惑をかけないように行動する」(51%)などが続いています。責任感とは、「他者との信頼を維持し、迷惑をかけず、やるべきことをやること」という価値観に集約されている傾向が見られました。
年代・性別の回答割合内訳

全体的に年代・性別による大きな偏りは見られませんでしたが、60代以上では「他人に迷惑をかけないように行動する」(80%)や「他人に与える影響への配慮」(70%)といった“周囲への気遣い”に関する項目の選択率が突出して高く、年齢とともに責任感の視点が「義務」から「配慮・共生」へと変化していく様子がうかがえます。
一方、20代では「果たすべき義務」よりも「自分が引き受ける覚悟」や「信頼関係の維持」に軸足を置いた傾向が見られました。
責任感を持つようになったきっかけ(自由コメント 一部抜粋)
上司が理不尽な叱責を受けていましたが、自身の立場から最後まで責任を果たして業務を遂行し、感情的にならずに日々一つ一つに真摯に向き合っていた姿を見て、尊敬する姿でこういう人になりたいと自分の中でロールモデルになった方でした。あの経験があるから今の自分が居ます。
(女性|30代|北海道|フリーランス)
同僚が納期を守らず、仕事が自分に集中したことがありました。その結果、残業が増え焦りも強くなり、チーム全体の成果にも影響が出た経験があります。責任感の欠如が周囲にどれほど影響するかを実感しました。
(男性|30代|東京都|正社員・正職員)
他の人の責任感ある行動を見て、私が良い影響を受けた経験は、母親の行動が多いと思います。母はパートで仕事をしながらも家事には一切手を抜かず、学校へ通っていたころは、朝も早く起きて弁当を作ってくれるなど、母親としての責任感を見せてくれましたので、今まで、それを手本としてきました。
(女性|60代以上|愛知|専業主婦・主夫)
自由記述の回答からは、特に職場での経験で「他人の責任ある姿勢に感化された経験」が責任感の芽生えに直結しているケースが多く見られました。
また、責任感の欠如によるトラブル体験から学びを得たというコメントもあり、「誰かの行動が他人の意識を変える」という連鎖が責任感を社会に浸透させている様子が見て取れます。
責任感に対する自己評価──9割弱が自分を肯定
Q) あなたは、他の人と比べて「責任感があるほう」だと思いますか?もっとも近いものを1つ選んでください。

「他者と比べて自分の責任感はどうか」という問いに対し、「責任感があるほうだと思う」(37%)、「かなり責任感が強いと思う」(10%)と、全体の約半数が“平均以上”と回答しました。
また、「平均的だと思う」は41%を占め、「あまり責任感がない」「やや弱い」と自己評価する人は合計12%と少数にとどまりました。つまり、9割弱が「自分には一定以上の責任感がある」と捉えていることが明らかになり、責任感は自己認識としても肯定的に捉えられている傾向がうかがえます。
年代・性別の回答割合内訳

年代・性別による大きな傾向差は見られませんでしたが、60代以上では「かなり責任感が強いと思う」が20%と最も高く、年齢とともに自己評価が上昇する傾向も見られました。
一方で20代では「平均的」「責任感が弱い」とする回答がやや多く、経験の浅さや自信の有無が影響している可能性があります。
自身の責任感が「強い」と答えた人のコメント(一部コメント)
個人的には責任感のある人がいて助かった経験より、無責任な人のせいで困らされた経験の方が印象に残っている。だからこそ、責任感を持つことが大切だと思う。自分の体験を一つ挙げると、以前、働いていた職場で、同僚が何の断りもなく、本来なら他の人が使うはずだった事務機器を勝手に使用し、作業が混乱したことがあった。しかし本人は迷惑をかけたと思っていないようで、涼しい顔をして作業を続けていたので、呆れてしまった。こういう人がいると困るので、責任感は大切だと思った。(女性|50代|千葉県|無職)
過去にチームでのプロジェクトに参加した際、最初は自分の担当範囲だけに集中していましたが、プロジェクトが進むにつれ、他のメンバーが困っていることに気づきました。その時、自分の責任範囲を超えてサポートをするべきだと感じ、協力した結果、プロジェクトが無事成功しました。この経験から、責任感を持って行動することがチーム全体の成果に繋がると実感することができました。
(男性|20代|長崎県|正社員・正職員)
責任感の起点は「信頼」と「義務」──2つの価値観が拮抗

信頼と義務のあいだに分かれる責任感の“起点”
Q) あなたは、「責任感」とは何のためにあるものだと思いますか?最も当てはまるものを1つだけ選んでください。

「責任感とは何のためにあるのか?」という問いに対し、最も多かったのは「他人や社会との信頼関係を築くため」(32%)、次いで「自身が果たすべき義務を遂行するため」(30%)と、上位2つで全体の約6割を占めました。
現代人にとっての責任感とは、「誰かと関わるための信頼の道具」であると同時に、「社会の一員としての自覚」であるという、2つの意識が拮抗していることが読み取れます。
年代・性別の回答割合内訳

年代・性別による傾向差は大きくは見られないものの、60代以上では「信頼関係の構築」が50%と突出して高く、一方で30代以下では「義務の遂行」が上回る傾向にありました。
責任の範囲はどこまで広がる? 自分・家族から社会・未来へ
Q) あなたは、どこまでを「自分の責任範囲」として考えるべきだと思いますか?【あてはまるものをすべて】選んでください。

責任の範囲に関する質問では、「自分自身」(97%)をはじめ、「家族」(80%)、「所属する組織」(67%)、「顧客・利用者」(60%)と、比較的身近な範囲への責任感が強く意識されていることが分かりました。
一方で、「友人」(37%)や「社会全体」(28%)、「将来の世代」(26%)、「地球環境」(24%)といった“抽象的”または“長期的”な対象についても、一定数が責任の範囲と捉えており、個人を起点としながらも、意識は社会や未来へと拡張していることが読み取れます。
年代・性別の回答割合内訳

世代別では、年齢が高まるにつれて責任の範囲が拡がる傾向が見られました。特に60代以上は、「社会全体」「地球環境」「将来の世代」など抽象度の高い対象への責任意識が、他世代より高い数値を示しています。
一方、20〜30代では「家族」「職場」「顧客」など、より“現実的・実務的”な対象に集中しており、これはライフステージや役割の違いを反映した自然な傾向とも言えるでしょう。
責任感は「信頼関係構築のため」と答えた人のコメント(一部抜粋)
責任感は、人々の信頼関係を築く上で最も重要な要素だと考えています。個人レベルでは、約束を守り、自分の役割を果たすことで、家族や友人、同僚からの信頼を得ることができます。この信頼の積み重ねが、良好な人間関係を築く基盤となります。
(男性|50代|愛知県|正社員・正職員)
一人ひとりが自分の役割や行動に責任を持つことで、トラブルが減り、信頼関係が築かれやすくなると思います。社会全体でも、無責任な言動が減ることで安心して暮らせる環境が整うのではないかと感じています。
(男性|30代|富山県|正社員・正職員)
責任感は「果たすべき義務」と答えた人のコメント(一部抜粋)
国民全員が労働、納税、教育といった基本的な義務を果たすという責任感をもって行動すれば社会は確実に良くなると思います。近年、日本という国の衰退が言われていますが、年齢が上の世代ほど政治に参加する機会が多かったので、現在の社会の状況に責任を持つ必要があると思います。会社などでは従業新全員が責任感を持って働く方がいいと思いますが、正しく評価されるということも併せて必要だと思います。
(男性|50代|愛知県|フリーランス)
自分は昔から政治に興味がなく、選挙にも行かないことが多くありました。しかし、最近のニュースを見ていると、私たち国民が政治に興味がないせいで国がおかしくなっているとさえ思う様になってきました。こんなことから、これからは日本国民の責任として積極的に選挙等に参加して、皆の手で国を変えていく義務があるように思います。
(女性|30代|愛知県|正社員・正職員)
誰に何に責任を感じるのか—家族・友人・職場・地域・未来
家族への責任は健康と生活基盤──実務的な配慮が中心

Q) あなたが「家族に対する責任」として、普段から意識していることは何ですか?【3つまで】選んでください。

最も多かったのは「家族の健康や安全に気を配ること」(64%)、次いで「生活面・経済面を整えること」(58%)という結果になりました。
家族に対しては“感情的な支え”よりも“実務的な配慮”がより強く意識されており、責任感の対象としての「家族」は、暮らしの基盤を支える存在と捉えられている傾向が見られます。
年代・性別の回答割合内訳

男女ともに全体的な傾向に大きな差は見られませんでしたが、「家族の健康への配慮」は女性よりも男性(特に50代~60代)で高く、「生活環境を整えること」や「育児・介護などの担い手意識」は男女で比較的均等でした。
また、「感情的にならず丁寧に接する」「家族の話に耳を傾ける」などコミュニケーションに関する項目は30代女性の選択率がやや高く、家庭内での役割や心理的責任感が世代と性別で微妙に変化している様子がうかがえます。
友人・仲間への責任は信頼維持が鍵──距離感とのバランスも課題

Q) あなたが「友人・仲間に対する責任」として、普段から意識していることは何ですか?【3つまで】選んでください。

圧倒的多数(73%)が選んだのは「約束や時間を守るなど、信頼を大切にすること」。「友人・仲間」との関係が、感情的な結びつきよりも“信頼関係”を軸に成立していることを示しています。
次点には「困っているときに助ける」(39%)や「距離感を大切にする」(34%)が続いており、“ほどよい関係性”を意識した責任感が現代的な特徴として見て取れます。
年代・性別の回答割合内訳

全体を通じて「信頼を重視する」傾向は一貫して高く、特に30代以降の女性や40代以降の男性で選択率が高いことから、社会経験や対人関係の成熟が影響していると考えられます。
一方で、20代では「気遣い」「尊重」「誠実なコミュニケーション」など、対等で丁寧な関係づくりに関する項目の選択が目立ち、フラットな関係性を保とうとする意識が強い傾向が見られました。
性別では、男性よりも女性の方が「話を丁寧に聞く」「感情を傷つけないよう配慮する」などの回答率がやや高く、共感的責任感の高さがうかがえます。友人関係においては、「距離感と信頼感のバランスをどう保つか」が、現代人にとっての責任のかたちとなっているようです。
職場・学校の責任は役割遂行が中心、20代は協調性を重視

Q) あなたが「職場・学校における責任」として、普段から意識していることは何ですか?【3つまで】選んでください。

回答の上位には「担当業務や役割を最後までやり遂げること」(75%)、「納期や約束を守ること」(70%)、「失敗があった場合は隠さず誠実に対応する」(52%)が並びました。
全体的に“責任感=自分の仕事や義務を果たすこと”という意識が強く表れており、職場や学校という集団においては、信頼や成果の維持が重要視されていることが読み取れます。
年代・性別の回答割合内訳

「役割をやり遂げること」と「納期を守ること」は、全年代・性別で高い数値を示しており、最も共通意識としての責任感が見られる項目です。
一方で、「失敗時の誠実な対応」や「仕事の成果に対する責任」ではやや男女差が見られ、特に「成果への責任感」は男性(特に40代〜50代)で高い傾向があります。
また、20代では「情報共有」や「言動の影響」など協調性や周囲配慮に関する意識がやや高めに出ており、若年層の責任感は“結果”よりも“周囲との関係性”に重きを置く傾向があるとも言えそうです。
地域社会で求められる責任はルール遵守とマナー──年齢で積極性に差

Q) あなたが「地域や社会に対する責任」として、普段から意識していることは何ですか?【3つまで】選んでください。

「ごみの分別など、地域のルールを守ること」(82%)、「公共の場でのマナーを大切にすること」(71%)が突出して高く、地域社会における責任感は“秩序の維持”や“迷惑をかけない行動”に集約されていることが分かりました。
「あいさつや声かけ」(31%)、「社会問題への関心」(20%)など、関係づくりや社会課題への参加は比較的低めで、全体として“最低限のルール遵守”に意識が集まっています。
年代・性別の回答割合内訳

男女差はそれほど大きくないものの、「マナー」や「挨拶・声かけ」は女性の方がやや高い傾向にありました。また、50代以上では「地域活動」「投票・署名」「情報発信への責任」といった“公共的な行動”の項目選択率が比較的高く、年齢が上がるほど地域や社会への当事者意識が強まる傾向も見られます。
一方、20〜30代では「社会問題への関心」が比較的高く、情報への感度や自分ゴト化の意識が読み取れます。
全体としては、社会的責任=“人に迷惑をかけないこと”という受動的なイメージが強い中、年齢や個人の立場によって積極性の度合いが異なっていると言えるでしょう。
未来や地球への責任は小さな行動から──無理のない範囲が多数派

Q) あなたが「将来世代や地球環境に対する責任」として、日常の中で意識していることは何ですか?【3つまで】選んでください。

年代・性別の回答割合内訳

このテーマにおいて最も多かったのは、「できる範囲で節電や節水、エコ活動を行うこと」(55%)でした。
続いて「リサイクルやごみ削減への配慮」(49%)、「子どもや次世代へのよい影響を意識する」(39%)などが続きます。
全体として“無理のない範囲での行動”が基本になっており、地球環境や未来への責任も「重荷」ではなく「日常の中でできることから」が主流となっていることが分かります。
まとめ)責任感は経験で養われ、未来を見据える

今回の調査から浮かび上がったのは、責任感が単なる道徳的な枠組みにとどまらず、人それぞれの経験や立場、価値観によって形を変える「可変的なもの」であるということです。
「信頼を築くため」なのか、「果たすべき義務」なのか――その出発点は異なっていても、多くの人が誰かや何かに対して責任を持とうとしている姿勢が浮き彫りになりました。
責任の対象も、自分や家族など身近なものから、職場・社会・未来の地球環境へと広がっており、その捉え方は年齢やライフステージによって多様に分かれています。
こうした背景をふまえると、これからの社会には、「誰もが同じ責任感を持つべきだ」と画一的に求めるのではなく、互いの責任観の違いを認め合いながら、役割を分かち合っていく姿勢が必要です。
つまり、責任感とは“他者と共に育てていくもの”であり、その多様性を受け入れることが、共創的な社会の土台となるのではないでしょうか。
このレポートが、自分自身の責任感を見つめ直し、誰かや何かとどう向き合っていきたいかを考えるきっかけとなれば幸いです。
本レポートの詳細:
https://studio-tale.co.jp/career-stories/guide/sense-of-responsibility/
情報サイト:みんなの転職「体験談」。
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