BME分野で革新的な研究に挑む研究者を称える『第3回神戸賞 授賞式』を開催

~第一線の研究者と社会をつなぎ、新たなイノベーションの土壌を育む~

中谷財団

 公益財団法人 中谷財団(東京都品川区/理事長:矢冨 裕、以下「中谷財団」)は、『第3回神戸賞』の授賞式を2026年5月31日(日)に開催しました。

 『神戸賞』は、今後日本がリードしていく分野として注目されている「BME(Bio Medical Engineering)分野〜生命科学と理工学の融合境界領域〜」において、イノベーションをもたらす優れた独創的な研究で実績を挙げた研究者や、そのユニークな研究で将来性が嘱望される若手研究者に光を当てる学術賞です。中谷財団が我が国の科学技術と産業の発展に寄与することを目的に、2024年に創設しました。日本発のイノベーション創出を後押しし、「日本を元気にする」ことを理念に掲げており、今年で第3回目の授賞式を迎えました。

【開催概要】

・第1部 第3回神戸賞授賞式

日時:2026年5月31日(日)

会場:神戸ポートピアホテル(〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6丁目10-1)

主催:公益財団法人 中谷財団 

登壇者:宮脇 敦史氏(大賞受賞者)、川口 喬吾氏、藤枝 俊宣氏、竹岡 彩氏(Y.I.賞受賞者)、菅 裕明氏(第2回神戸賞大賞受賞者)、矢冨 裕(理事長)、柳沢 正史氏(審査委員長)、山之内 すず氏、木下 真理子氏(書家)、広瀬 未来氏(ジャズ演奏者)、中野 耕史氏(司会者)

参加者:314名

プログラム内容:第3回神戸賞授賞式、受賞者による講演、山之内 すず氏による受賞者へのショートインタビュー

・第2部 ポスターセッション“KOBE SCIENCE NEXT”・神戸賞サロン

日時:2026年5月31日(日)

プログラム内容:概要説明、中高校生によるポスターセッション、受賞者、山之内 すず氏・柳沢 正史氏によるトークセッション、受賞者との交流

■『第3回神戸賞 授賞式』を開催

 第1部では、『第3回神戸賞 授賞式』を開催いたしました。314名の来場者を前に、書家 木下 真理子氏による揮毫とジャズアーティスト 広瀬 未来氏による演奏を披露。美しいサックスの音色が響く中、『神戸賞』が掲げる「独創に光を。」というメッセージが力強く書き上げられ、伝統と革新が交差するステージが、式典の開幕を華やかに彩りました。

 続いて、理事長の矢冨 裕がステージに登壇。「神戸賞は、『日本を元気にする』という理念のもと、生命科学と理工学の融合境界領域において、イノベーションをもたらす研究者を支援する学術賞です。社会や研究環境が大きく変化する中、若い研究者が独創的かつ挑戦的な研究に取り組める環境づくりは、今後ますます重要になってきます。中谷財団は、活躍する研究者の支援に加え、次世代を担う若者の育成にも力を注ぎながら、日本の研究力向上とBME分野の発展に貢献してまいります」と、『神戸賞』に込めた想いを語りました。

 その後、華やかな音楽と演出の中、受賞者の4名が登場。大賞の宮脇 敦史氏は、光の道を通りながら、客席よりステージに登壇しました。山之内 すず氏がアンバサダーとして登壇し、Y.I.賞受賞者3名へトロフィーを手渡し、大賞の宮脇氏には、昨年の大賞受賞者である菅 裕明氏よりトロフィーが手渡されました。

 さらに、審査委員長の柳沢 正史氏による受賞理由の発表や、山之内氏によるショートインタビューも実施。受賞者は、それぞれの研究に込めた想いや挑戦について語りました。トロフィーは、研究者の独創性を「暗闇の中の光」として捉え、それを体現するイメージでデザインされています。メッキ素材で仕上げた彫像の中に、点灯機能を組み込んでおり、見た目の艶やかさだけではなく、実際に光を灯すユニークな設計です。

■受賞者コメント

大賞

氏名       :宮脇 敦史

所属/役職:理化学研究所  脳神経科学研究センター 

       細胞機能探索技術研究チーム チームディレクター

       光量子工学研究センター 生命光学技術研究チーム チームディレクター

研究題目 :光と生命との相互作用の探究から革新するバイオイメージング

コメント: 本日はこのような名誉ある賞をいただき、感謝を申し上げたいと思います。また、非常にスケールの大きなサイエンスをされている菅先生から直接この賞をいただいたのは本当に感無量です。

 私が自然科学の視点に強く惹かれたのは高校時代です。日本人科学者が書いた随筆を読み、「自然をこんなアングルで見るのか」と、感動したことを覚えています。そして大学生の頃、図書館に籠り、論文を読み漁る中で、FRETに出会いました。読みながら体が震えるほど感動し、この物理現象に生涯の人生を懸けようと決意したのです。

 若い方々には、損得なく夢中になれるものをぜひ見つけてほしいと思います。そのためには失敗が必要で、むしろ失敗を受け入れることが重要です。最初は小さく、細かいことであっても、立派なものに育てていくことが、菅先生がおっしゃった「異端が先端になる」ということなのだと思います。私はこれまで、本当に人に恵まれながら研究を続けてまいりました。バイオイメージングの技術革新に尽力してくれた同志、共同研究者の皆様、恩師、そして「私」という存在を支えてくれた家族など、すべての人々に深い感謝の気持ちを表して終わりたいと思います。ありがとうございました。

Young Investigator(Y.I.)賞 3名

氏名       :川口 喬吾

所属/役職:理化学研究所開拓研究所 主任研究員

研究題目 :トポロジカルな細胞動態の発見に始まる生命の階層横断的物理学の開拓

コメント:このような素敵な賞に選んでいただきました審査委員の先生方、また、若者の研究者に光を照らすという賞を設立し、華やかな賞をご準備いただいた中谷財団の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。私は2018年から2024年まで神戸・ポートアイランドにある理化学研究所のキャンパスで研究室をスタートしました。家族で何度も訪れたこの場所で、素晴らしい式に参加させていただいたことを本当に光栄に思っております。私は、物理学の立場から生命現象を研究しています。その中で、「トポロジカル欠陥」という構造が、実は細胞運動や組織形成を制御する中心的な役割を担っていることを見出しました。物理学の基礎研究を進める中で、いずれは医学や工学といった分野にも貢献できるようにしていきたいと考えております。

氏名        :藤枝 俊宣

所属/役職 :東京科学大学生命理工学院 教授

研究題目  :プリンテッドエレクトロニクスによる高分子薄膜の機能化と生体融合型デバイスの創製

コメント:この度はこのような素晴らしい賞を賜り、審査委員の先生方をはじめ、中谷財団の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。私の研究では、「生体融合」の基盤技術を開発しています。極限まで薄さを追求した「高分子ナノシート」の上に電子回路を印刷することで、皮膚や脳の表面に張り付けることができる、柔らかいデバイスを創り出しました。これを応用し、光によるがん治療や、てんかんなどの脳神経疾患患者の負担を減らす脳波計測、スポーツ選手の筋肉活動の計測などを進めています。さらには、人間だけでなく植物の生体信号を測ることで、自然を俯瞰的に見る技術へも展開できると考えています。今後も人間だけでなく、植物といった生物の垣根を超えるような新しいBME分野の創製を目指し、研究を続けてまいります。

氏名       :竹岡 彩

所属/役職:理化学研究所脳神経科学研究センター チームディレクター

研究題目 :脊髄回路を介した感覚運動変換と運動記憶形成の神経基盤の解明

コメント:この度は神戸賞Y.I.賞を賜りまして、審査委員の皆様方、そして中谷財団の皆様に厚く御礼を申し上げます。「学習と記憶」と言えば「脳」がよく連想されますが、私は脊髄に焦点を当てて研究を進めております。脊髄は運動の要であり、運動ニューロンなどを介して、脳とのコミュニケーションや多様な運動機能を制御しています。脊髄損傷などで脳と脊髄のコミュニケーションが絶たれると、運動機能の回復は非常に困難になりますが、私はその回復促進について研究してきました。現在、世界中で何百万人もの方々が脊髄損傷に苦しんでいますが、現在のリハビリは「脊髄がどう学習して記憶するか」という根本的なメカニズムを理解せずに行われています。この学習と運動機能の仕組みを「細胞レベル」で理解することが、失われた運動機能を回復させる次のステップになると信じています。

■神戸賞の感動的なシーンをご紹介

握手を交わし喜び合う登壇者たち

■審査委員長からのコメント

 神戸賞の審査委員長を務める柳沢 正史氏(筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長 教授)は、「神戸賞の選考基準は、独創性、新規性、インパクトの大きさ、そして生命科学と理工学の融合境界領域と言えるかという視点から審査を行いました」と説明。

 大賞に選ばれた宮脇氏については「生命の中で起きている出来事を“見える化”するという、新しい分野を切り開かれた研究者です。宮脇先生の研究は、革新的な可視化技術として世界中の研究者に活用されています。分子動態、細胞周期、神経活動をはじめとする多様な生命現象や疾患機構の解明に大きく貢献している」と高く評価しました。

 Y.I.賞の受賞者についても「すでに独創性、新規性、インパクトもある素晴らしい成果を出しておられますが、今後も高い将来性が期待できる若手の実力派揃いです。これからの生命科学、医学、工学分野での活躍を心から期待しております」とエールを送りました。

■中高校生が自らの研究を発表するポスターセッション“KOBE SCIENCE NEXT”を初開催

 授賞式に続き、第2部では兵庫県内のSSH校を中心とした中高校生によるポスターセッション“KOBE SCIENCE NEXT”を実施しました。次世代を担う“研究者の卵”たちが、自ら取り組む研究内容をポスター形式で発表し、来場者や研究者へ向けてプレゼンテーションを行いました。

 会場では、受賞者や審査委員をはじめとする第一線の研究者が中高校生の発表に耳を傾け、研究テーマや実験内容について直接質問やアドバイスを行う場面も見られました。

 参加した中高校生にとっては第一線で活躍する研究者と直接対話し、自らの研究について議論を交わすという、将来にもつながる貴重な経験となりました。また、来場者にとっても、若い世代ならではの自由な発想や探究心に触れることで、日本の未来を担う若者の可能性を感じられる機会となりました。

 「神戸賞」では、次世代を担う若い世代が、自らの研究や探究心を社会へ発信できる機会づくりにも取り組んでいます。

■神戸から広がる、研究者と来場者が交わる新たな接点「神戸賞サロン」

 ポスターセッション“KOBE SCIENCE NEXT”終了後には、「神戸賞サロン」を開催しました。受賞者や審査委員をはじめとする第一線の研究者と来場者が気軽に交流できる場となり、分野や世代を超えた対話が行われました。「まるでティーサロンのような、みんなが自由に交流できる空間」をコンセプトに、神戸のお菓子を楽しみながら、和やかな雰囲気の中で会話が交わされました。

 会場では、受賞研究に関する質問や将来の研究・社会実装に関する話題が活発に交わされたほか、中高校生が研究者へ直接質問する姿も見られました。冒頭には短いトークショーも行われ、その後の会話のきっかけづくりになりました。

 「神戸賞」は、優れた研究者を顕彰するだけでなく、研究者同士、そして次世代を担う若い世代との接点を創出することも重視しています。今後も神戸を起点に、若手研究者や中高校生の支援を通じ、日本に新たなイノベーションが生まれる土壌づくりに貢献してまいります。

■第4回 『神戸賞』 募集概要

第4回神戸賞の表彰対象となる研究者の推薦を以下のとおり募集いたします。


対象研究分野:BME(Bio Medical Engineering)分野~生命科学と理工学の融合境界領域~

・医療や人々の健康に貢献しうる独創的でイノベーティブなアプローチをおこなう

 研究を対象とします。

・BMEを補足する言葉として、「生命科学と理工学の融合境界領域」と付記しました。

 生物学、医学等を生命科学とし、物理学や化学等の応用を工学としたうえで

 数学やAIなど情報科学も含むことを明確にする意味で工に理を加えて理工学とし、

 それらが連携した研究領域が対象であることを示す

 融合境界領域という言葉で表現しました。

・医療の発展や健康の増進を見据えた幅広い研究分野において、

 基礎から応用まで広く対象とします。

対象者:上記の賞の対象者は公募によって募集します。広く学会・大学・研究機関に候補者の

    推薦を依頼し、神戸賞審査委員会にて受賞者を選考し、理事会にて決定します。

募集期間:2026年6月1日(月)~7月31日(金)

■『神戸賞』 審査委員一覧

[審査委員長]

柳沢 正史        (筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長 教授)

[審査副委員長]

小川 誠司           (京都大学 大学院医学研究科 腫瘍生物学講座 教授)

[審査委員]

木下 聖子    (創価大学 糖鎖生命システム融合研究所 副所長 教授)

斎藤 通紀    (京都大学 高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 教授)

佐藤 俊朗    (慶應義塾大学 医学部 医化学教室 教授)

染谷 隆夫    (東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授)

田畑 泰彦    (京都大学 大学院医学研究科 形成外科学 特任教授)

永次 史   (東北大学 多元物質科学研究所 有機・生命科学研究部門 教授)

濡木 理   (東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授)

林 朗子   (理化学研究所 脳神経科学研究センター 多階層精神疾患研究チーム チームディレクター)

本田 賢也    (慶應義塾大学 医学部 微生物学・免疫学教室 教授)

三浦 佳子    (九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 教授)

森 勇介     (大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 教授)

■公益財団法人 中谷財団 概要

 中谷財団は、神戸に本拠を置く臨床検査機器・試薬メーカーであるシスメックス株式会社の創業者 故中谷太郎により1984年「中谷電子計測技術振興財団」として設立されました。その意思を継いだ子息の故中谷正の遺贈を受け、2012年に大きな事業が行える財団へと生まれ変わり、同年には公益財団法人に移行し、「公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団」となりました。それ以来、医工計測技術分野の広範な発展を願い、先導的な技術開発への助成を中核として技術開発に顕著な業績をあげた研究者への表彰や技術開発に関する交流への助成等の事業を行ってきました。

 2014年以降は、若手人材育成のため、大学院生向け奨学金や大学生の短期留学サポート、さらにすそ野拡大のため、小中高校生を対象とした科学教育振興助成など、幅広い層への支援を実現しています。このように研究者から小中高校生まで、トータルに事業展開をする国内有数のユニークな財団となっています。2024年に設立40周年を迎え、対象分野をBME分野に拡げるとともに、新たな表彰事業『神戸賞』を創設しました。また、同年11月1日に名称を「公益財団法人 中谷財団」と改称し、新たな一歩を踏みだしました。

名  称 :公益財団法人 中谷財団

英表記:Nakatani Foundation

設  立 :1984年(昭和59年)4月

理事長:矢冨 裕

所在地:〒141-0032 東京都品川区大崎1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー8F

目的 :「BME(Bio Medical Engineering)分野~生命科学と理工学の融合境界領域~」における

    研究・開発、交流等を促進し、また人材を育成することによって、BME分野の広汎な発展を

    推進し、我が国ならびに国際社会の発展及び生活の向上に寄与すること。

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会社概要

公益財団法人 中谷財団

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URL
https://www.nakatani-foundation.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都品川区大崎1丁目2番2号 アートヴィレッジ大崎 セントラルタワー8階
電話番号
03-5719-2125
代表者名
矢冨 裕
上場
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資本金
-
設立
1984年04月