【大企業のサステナ担当者1,000名調査】温室効果ガス削減は義務?生存戦略?1億円かけても進まないScope3削減の実態

Scope3算定まで実施している企業は約半数。しかし、サプライヤーは動かず、ツールもノウハウも追いつかない現場の声。

DNP出版IPビジネスPR事務局

大日本印刷株式会社(DNP)が推進する「DNP出版IPビジネスプロジェクト」は、従業員数1,000名以上の企業のサステナビリティ/環境経営/CSR関連部門の担当者を対象に「脱炭素経営におけるScope3削減フェーズ(サプライヤー協働)の課題とボトルネック」に関する実態調査を行いました。

気候変動対策やサステナビリティ経営への関心が高まる中、企業にとってESGへの取り組みはもはや経営の前提条件となりつつあります。

特に、脱炭素や温室効果ガスの排出量削減は、投資家や取引先からの評価、さらには企業価値そのものにも直結する重要なテーマです。

一方、Scope1・2の算定や削減に着手する企業が増える中、サプライチェーン全体を対象とするScope3への対応については、実務上の難易度や社内外の調整負荷の高さから、足踏みしているケースも多いのではないでしょうか。

自社内でどこまで対応できるのか、外部の力をどう活用すべきかといった判断も含め、多くの企業が模索している可能性があります。

そこで今回、従業員数1,000名以上の企業のサステナビリティ/環境経営/CSR関連部門の担当者を対象に「脱炭素経営におけるScope3削減フェーズ(サプライヤー協働)の課題とボトルネック」に関する実態調査を行いました。

【調査概要】「脱炭素経営におけるScope3削減フェーズ(サプライヤー協働)の課題とボトルネック」に関する実態調査

  • 調査期間:2026年3月4日(水)~2026年3月6日(金)

  • 調査方法:インターネット調査

  • 調査対象:調査回答時に従業員数1,000名以上の企業のサステナビリティ/環境経営/CSR関連部門の担当者と回答したモニター

  • 回答数:1,004人

  • 調査機関:株式会社PRIZMA 「サクリサ」 

脱炭素・温室効果ガス排出量の削減の目的は「SBT目標達成」「ESG評価やCDPスコアの向上」

  サプライチェーン全体の排出量削減を進める上で、企業はどのような目的意識を持っているのでしょうか。

はじめに、「貴社が脱炭素・温室効果ガス排出量の削減に取り組む目的」について尋ねたところ、『温室効果ガス排出の全体最適化(SBT・カーボンニュートラル目標達成)(78.8%)』が最も多く、『ESG評価やCDPスコアの向上(51.1%)』『取引先や顧客へのアピール・競争力強化(46.9%)』と続きました。

各企業が社会的責任に向き合い、目標を設定し、その実現に向けて取り組んでいる実態がうかがえます。

 また、ESG評価やCDPスコアの向上、取引先や顧客へのアピールといった回答も多く、脱炭素への取り組みが企業の社会的責任だけでなく、投資家や取引先などステークホルダーからの評価を意識した経営課題としての側面もあるようです。

【Scope3対応企業は約半数】年間1億円以上投資する企業もある一方、サプライヤーとの協働には課題か

温室効果ガスの排出量削減を進める上で、実際の算定はどの範囲まで進んでいるのでしょうか。

「貴社の温室効果ガス排出量算定の着手状況」について尋ねたところ、『Scope3まで着手している(48.9%)』と回答した方が最も多く、『Scope1・2のみ着手している(35.0%)』と続きました。

Scope3の算定に踏み出している担当者が約半数となる一方、Scope1・2の段階にとどまる担当者も多く存在していることが示されました。

自社内でデータ収集が完結しやすいScope1・2に比べ、Scope3は多数のサプライヤーからの情報取得が必要となるため、他社を巻き込む必要があること自体が、算定範囲の拡大の障壁となっている可能性があります。

Scope3の算定に踏み出している企業では、推進にどれほどのコストを見込んでいるのでしょうか。

前問で『Scope3まで着手している』と回答した方に、「Scope3削減に関する年間予算規模」について尋ねたところ、『把握していない(25.4%)』と回答した方が最も多く、『年間1億円以上(23.0%)』『年間1,000万円以上~3,000万円未満(13.0%)』と続きました。

予算規模を把握しきれていない担当者も多く見られる一方、Scope3削減に向けて高額な投資を行っている企業も一定数存在していることがわかります。

次に「Scope3の『削減』に向けた取り組み状況」について尋ねたところ、『削減目標を設定し、進捗管理・モニタリングを実施している(24.5%)』と回答した方が最も多く、『自社のコントロール範囲内(社内施策)で削減施策を実施している(22.8%)』『排出量の算定のみ実施している(削減目標・計画は未策定)(22.4%)』と続きました。

削減目標の設定や進捗管理を行う企業、自社のコントロール範囲内で削減施策を実施する企業は一定数見られるものの、サプライヤーとの協働やエンゲージメントなど、サプライチェーン全体を巻き込んだ本格的な削減フェーズへ移行している企業は少ないようです。

本格的な削減フェーズへの移行に課題が見える中、企業はどのような体制でScope3の算定・削減を進めているのでしょうか。

Scope3削減は自社主導が主流も、実施における課題とは

引き続き、温室効果ガス排出量算定の着手状況について『Scope3まで着手している』と回答した方に聞きました。

「Scope3の算定・削減推進について、貴社ではどのような体制で取り組んでいるか」を尋ねたところ、『全て自社内で対応している(57.0%)』と回答した方が最も多く、『自社主導だが、一部外部の専門家を活用している(39.3%)』と続きました。

自社内で対応を完結させていると答えた担当者が多数派となりましたが、自社主導を維持しつつ一部で外部の専門家を活用している方も多く見られました。

また、「Scope3削減の実施における課題」について尋ねたところ、『サプライヤーへの削減要請の難しさ(47.3%)』との回答が最も多く、次いで『グローバルな基準(SBTiが定める基準など)や法規制の頻繁なアップデートへの対応負荷(45.0%)』『削減に向けたコスト負担・予算確保(43.4%)』と続きました。

Scope3削減実施においては「サプライヤーへの削減要請の難しさ」が最多となり、サプライチェーン連携が大きな課題となっている実態がうかがえます。

また、法規制や国際基準の頻繁なアップデートへの対応負荷に加え、削減に向けた予算確保の難しさなど、情報対応とコスト面の両面で課題を抱えている可能性が示唆される結果となりました。

では、外部の専門家を活用している企業は、どのような背景からScope3の算定を依頼しているのでしょうか。

Scope3の算定・削減推進について『自社主導だが、一部外部の専門家を活用している』『外部の専門家に大部分を委託している』と回答した方に、「貴社がScope3算定を外部に委託・支援依頼した理由」について尋ねたところ、『専門知識が不足しているため(48.3%)』が最も多く、次いで『算定ツール(SaaS)の導入支援や、社内運用体制の構築を依頼するため(47.9%)』『算定結果に基づき、実現可能な削減ロードマップを策定するため(42.7%)』と続きました。

専門知識を補うだけでなく、将来的な自走を見据えた仕組みづくりへの期待がうかがえます。

また、データの可視化にとどまらず、算定結果に基づいた削減ロードマップの策定など、具体的なアクションにつなげる目的で外部支援を活用している企業担当者も多いようです。

【データ収集と協働のリアル】約半数が一次・二次データを併用。「伴走支援」で歩み寄るも、依頼時にはサプライヤー側の体制や負担への配慮が課題に

引き続き、「Scope3まで着手している」と回答した方に「Scope3算定に用いている排出データは、サプライヤーから取得した一次データと二次データどちらが中心か」について尋ねたところ、『一次データと二次データを同程度使用している(54.2%)』と回答した方が最も多く、『一次データが中心である(35.8%)』と続きました。

また、「現在、Scope3削減に向けてサプライヤーに対してどのような施策を実施しているか」を尋ねたところ、『排出量算定ガイドラインやマニュアルの提供(41.8%)』との回答が最も多く、『説明会やワークショップの開催(39.5%)』『排出量の見える化ツールの提供(37.1%)』と続きました。

サプライヤーに対して、ガイドライン提供や説明会の開催、見える化ツールの提供など、理解促進や算定支援を中心とした取り組みが進められている様子がうかがえます。

そのような状況下で、サプライヤー連携を進めるうえでどのような課題が存在しているのでしょうか。

最後に、「サプライヤーに温室効果ガスの排出量削減やデータ提出を依頼する場合、どのようなことにハードルを感じるか」について尋ねたところ、『サプライヤー側に算定ノウハウ・体制が不足している(39.5%)』が最も多く、『サプライヤーの負担増や反発への懸念(33.8%)』『依頼しても正確なデータが提出されるか不安(31.8%)』と続きました。

前問でもサプライヤーに対するガイドライン提供や説明会など、理解促進の取り組みが多く見られましたが、その背景にはサプライヤー側の算定ノウハウや体制の不足があることがうかがえます。

 さらに、負担増や反発への懸念、データの正確性への不安なども推進のハードルとなっており、サプライヤーを巻き込みながら理解促進や体制整備を進めていくことが重要と考えられます。

まとめ:Scope3削減推進の鍵はサプライチェーン全体での協働体制

本調査では、脱炭素経営の進展を背景に、Scope3算定に着手している企業担当者が約半数にのぼる一方で、サプライチェーン全体を巻き込んだ削減フェーズへの移行には依然として多くの課題があることがうかがえました。

温室効果ガスの排出量削減の目的としては、SBT目標の達成やESG評価・CDPスコアの向上が上位に挙げられており、脱炭素への取り組みが環境対応にとどまらず、経営上の重要テーマとして位置づけられている様子が見られます。

一方、Scope3削減の推進においては、自社主導で取り組む企業が多いものの、実務面ではサプライヤーとの連携が大きなハードルとなっていることも浮き彫りになりました。特に、サプライヤー側における算定ノウハウや体制の不足、負担増への懸念、提出データの正確性への不安などが課題として挙げられ、企業単独での取り組みの限界が示されました。

また、サプライヤーに対するガイドライン提供や説明会の実施、見える化ツールの提供など、理解促進と伴走支援を重視した取り組みが進められており、Scope3削減を実効性のある取り組みとして定着させるためには、個社単位の対応にとどまらず、サプライチェーン全体で価値を共創する視点に立った協働が、今後の重要な鍵になることが示唆されます。

企業のサプライヤーエンゲージメントを強化し、Scope3の一次データ化を加速・温室効果ガスの排出量削減を支援する「DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービス」

DNPでは、サプライヤーとの協働を軸にScope3削減の推進を支援する     「DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービス」を国内企業に向けて提供しています。算定・理解促進・対話支援を通じて、サプライチェーン全体での持続的な脱炭素の取り組みを後押しします。

DNPサプライヤーエンゲージメント支援サービスとは

企業のサプライチェーン全体における温室効果ガスの排出量削減を支援するサービスです。

特にScope3(カテゴリ1:購入した物品・サービス※1)に焦点を当て、一次データを把握できる状態を構築することで、温室効果ガス排出の因果関係を把握し、定量的な改善シナリオの実行と効果検証ができるようデータを整理します。

あわせて、サプライヤーがアンカー企業※2と同じ目標に向かうパートナーとなるよう、研修・説明会等を提供するなど、サプライヤーとの連携強化まで総合的にご支援します。

<Scope3排出量削減を進める上で、こんな課題はありませんか?>

  • 調査範囲が広く、専門的なリソースが不足している

  • 業界平均値による推計では、各社の削減アクションと効果の関連が見えにくい

  • サプライヤーへデータ提出を依頼しても反応が薄い

こうした課題の解決に向け、多様な業界で企業の環境負荷削減施策を支援するDNPと、Scope3削減支援で世界的な実績を有する株式会社zevero※3が、両社の強みを掛け合わせ、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減を支援していきます。

※1 Scope3:サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量のうち、自社以外で排出する部分。カテゴリ1~15に分類されており、カテゴリ1は 購入した物品・サービス(原材料)に関するもの。 

※2 アンカー企業:特定の産業クラスター(分類)で他の企業を牽引し、クラスター全体の発展に貢献する企業 

※3  zevero:詳細→https://www.zevero.earth/ja

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会社概要

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業種
製造業
本社所在地
東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
電話番号
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代表者名
北島 義斉
上場
東証プライム
資本金
1144億6476万円
設立
1894年01月