10月8日は「地熱の日」AI 時代に高まる電力需要を支える、CO₂排出量が少ない 「地熱発電」
日本のエネルギー課題と、次世代型地熱が拓く新たな可能性
10月8日は、1966年に岩手県八幡平市の松川地熱発電所で、日本初の商用地熱発電が運転を開始したことを記念して制定された「地熱の日」です。
本リリースでは、この「地熱の日」にならって、地熱発電の仕組みや可能性、日本が抱えるエネルギー課題、そして次世代地熱発電への期待についてご紹介します。
電力がさらに必要になる時代が来ている
私たちの生活に身近となったAI。
AIの急速な普及や、データセンター・半導体工場の新増設などを背景に、全国の電力需要は2034年度に2024年度比で465億kWh増加する見通しが示されています。
出典:経済産業省「今後の電力需要の見通しについて」(2025年1月)
環境省によると、日本の一般家庭が1年間に使用する電力量は1世帯当たり約3,900kWhです。465億kWhは、一般家庭約1,200万世帯が1年間に使用する電力量に相当します。
安定した再生可能エネルギーとして注目される地熱発電
今後上記のようにこれまで以上の電力使用が想定される中、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入も進んでいます。CO₂排出量の課題があるものの、安定する火力発電は日本の電力の7割を占めていますが、一方で再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電は、天候や時間帯によって発電量が変動するため、現状は火力発電に頼らざるを得ません。
安定した電力をどのように確保するかが、これまで以上に重要になっています。こうした中、環境負荷を抑えながら24時間365日安定して発電できるベースロード電源※1への期待が高まっています。
※1ベースロード電源:昼夜や天候に関係なく、24時間365日、安定して発電し続けることができる電源のこと
その有力な選択肢として、今改めて注目されているのが「地熱発電」です。

地熱発電とは
地熱発電とは、地球内部に存在する熱を利用して発電する再生可能エネルギーです。
地球の中心部は約6,000℃にも達するとされ、その熱は地下を通じて地表近くまで伝わっています。地下へ浸透した雨水や地下水は、この熱によって高温の熱水や蒸気となり、地下深くに蓄えられます。
従来の地熱発電では、この天然の蒸気を利用するため、地下約1,000〜3,000mまで井戸(坑井)を掘削し、地上へ取り出してタービンを回し発電します。
地熱は地下に存在する熱を利用し、発電所内で発電ができるため、24時間365日安定して発電することが可能な電力です。またCO₂の排出量も少なく、脱炭素と安定供給の両立が期待されるベースロード電源です。
火山帯が多い日本はアメリカ、インドネシアに次いで世界第3位の地熱資源量を有するとされる「地熱資源大国」です。しかし、その豊富な資源を十分に活用できているとは言えません。
日本の総発電量に占める割合は、火力発電が約67.5%であるのに対し、地熱発電はわずか約0.3%です。

なぜ普及が進まなかったのか
地熱発電には大きな可能性がある一方で、それでも普及しない3つの大きな課題がありました。これらの課題が、地熱発電の事業化や普及を難しくしてきました。
①開発場所の制限
地熱発電が普及しにくい1つ目の課題は、「開発できる場所が限られていること」です。
地熱資源は、火山地帯や温泉地の周辺に多く存在しています。しかし、こうした地域には国立公園や温泉地が多く、自由に開発できるわけではありません。
例えば、温泉事業者からは「地熱開発によって温泉の湧出量や温度に影響が出るのではないか」といった懸念の声が上がることがあります。また、国立公園では自然環境を守るため、土地の掘削や建物の建設、道路の整備などに厳しい規制が設けられており、開発には国や自治体の許可が必要です。
そのため、地熱資源が存在する場所であっても、すぐに開発を進めることはできません。地熱発電は技術だけで実現できるものではなく、地域の皆さまの理解を得ながら、自然環境との共生を図ることが欠かせません。
②開発に長い時間と大きなコスト
2つ目の課題は、「開発に長い時間と大きなコストがかかること」です。
地熱発電は、地下の熱エネルギーを利用するため、まず地下資源の調査を行い、その後、地下深くまで坑井を掘削し、発電設備を整えるという多くの工程を経て建設されます。地下2,000~3,000mまで掘削することもあり、高温環境や硬い岩盤を掘り進めるには高度な技術が必要です。そのため、坑井1本の掘削だけでも数億円から十数億円規模の費用がかかる場合があり、発電所全体では100~300億円以上の投資となるケースもあります。
また、地熱発電は資源調査や試掘、環境調査、地域との合意形成など、多くのプロセスを経る必要があるため、発電開始までに10年以上を要することも珍しくありません。太陽光発電や風力発電と比べても、開発期間・投資額ともに大きく、こうした点が地熱発電の普及を妨げる要因の一つとなっています。
③開発リスクの高さ
地熱発電が普及しにくい3つ目の課題は、「開発リスクの高さ」です。
発電所を建設する前には地質調査や地下探査を行い、地熱資源の有無や規模を予測します。しかし、調査結果だけでは実際の状況を完全に把握することはできません。
実際に地下深くまで掘削してみると、想定していたほど蒸気が得られず、期待した発電量を確保できないケースもあります。つまり、多額の初期投資と長い開発期間をかけても、十分な成果が得られるとは限らないのです。
この「掘ってみなければ分からない」という不確実性は、地熱発電特有の大きな課題です。太陽光発電や風力発電のように、設備の規模や設置条件から発電量を比較的予測しやすい発電方式とは異なり、地熱発電は開発リスクが高く、事業化へのハードルとなってきました。
当社は、こうした3つの課題を解決するため、次世代型クローズドループ地熱発電(AGS:Advanced Geothermal Systems)の社会実装を目指しています。
次世代型クローズドループ地熱発電とは
次世代型クローズドループ地熱発電は、天然の熱水や蒸気を採取する従来方式とは異なります。
地下で坑井同士を接続し、地下に設置した配管内に地上から水を流し入れ、循環させることで、地下の熱だけを回収する新しい発電方式です。
天然の資源を直接採取しないため、環境への影響を低減できるほか、より多くの地域で導入できる可能性があるなど、従来の地熱発電の課題を大きく改善できる技術として、海外でも実証や商用化に向けた取り組みが進んでいます。

『地熱革命』=日本で地熱が当たり前に使われる社会の実現
上記の課題のうち、「掘削コスト」の削減と「開発期間」の短縮も実現するために、当社では最新技術搭載のハイブリッド掘削装置の研究開発・実証を進めています。
2026年から2028年にかけて、NEDOグリーンイノベーション(GI)基金※2 事業への応募・参画を見据え、2030年には日本初となる次世代型クローズドループ地熱発電事業の開始を計画しています。
将来的には、小規模プラントで技術と事業性を確立した後、より大規模な発電設備へ展開し、スケールメリットによるさらなるコスト低減を図ります。
当社は、2050年までに日本国内の電力需要の1~2割を地熱エネルギーで供給することを長期目標として掲げています。
この目標が実現すれば、海外から輸入する化石燃料への依存を減らし、日本国内で安定して電力を生み出せるようになります。日本のエネルギー自給率を高めるうえでも、大きな一歩になると考えています。私たちはこれを『地熱革命』と呼び、日本で地熱が当たり前に使われる社会の実現を目指します。
また、発電時のCO₂排出を抑えることで、脱炭素社会の実現にも貢献します。地熱エネルギーを、これからの日本の暮らしや産業を支える新たなインフラへと成長させていきます。
さらに、日本で培った技術は火山帯を有する世界各国への展開も期待されており、日本発の次世代エネルギー技術として世界へ広がる可能性を秘めています。

今後も当社は、革新的な地熱技術の社会実装を通じて、日本の再生可能エネルギーの発展と持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社の挑戦や取り組みについて積極的に発信してまいります。
※2 NEDOグリーンイノベーション(GI)基金:2050年カーボンニュートラルの実現に向け、日本政府が企業の革新的な技術開発から社会実装までを長期的に支援する国家プロジェクト。次世代型地熱技術の開発プロジェクトには、国費負担額として上限1,102億円が設定されています。
■「地熱の日」
1966年10月8日に岩手県八幡平市の松川地熱発電所で日本初の商用地熱発電が運転を開始したことに由来します。
この日を記念して、2016年にJOGMEC、日本地熱協会、電気事業連合会の三団体が共同で制定し、一般社団法人日本記念日協会に登録されました。
地熱の日は、地熱発電や地熱エネルギーへの理解を深めること、および地熱開発の普及促進を目的としています。
■株式会社GeoDreamsについて

|
社名 |
株式会社GeoDreams |
|
代表者 |
代表取締役社長 夘瀧 高久 |
|
本社所在地 |
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング WeWork 内 |
|
設立 |
2022年1月 |
|
事業内容 |
先進技術を活用した次世代型クローズドループ地熱発電事業(クローズドループ事業)として、高性能掘削「G-Pulse」や地熱調査・評価技術「Typhoon」を展開するとともに、革新的なスケール除去技術「BLUE SPARK」を活用した地熱井メンテナンスソリューションや各種ワイヤーライン検層サービスを通じた地熱井メンテナンス事業を行っています。 |
|
HP |
■ 本件に関するお問い合わせ先
株式会社GeoDreams
広報担当
Email:info@geodreams.co.jp
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
