2025年度「新型コロナワクチン定期接種」の認知率は、29.5% 2024年度定期接種と比べて約半分に減少

人口5万人以上の自治体で自己負担額が最も高いのは「茨城県笠間市」 国の助成終了によって地域格差が顕著に ~専門医は高齢者の「接種控え」による重症化を懸念~

ヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社

生活者の“健康と暮らし”に関する情報を発信するポータルサイト「マイライフニュース」を運営するヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社(所在地:埼玉県さいたま市)では、2025年度「新型コロナワクチン定期接種(2026年3月31日まで実施。自治体により異なる場合あり)」(以下、2025年度定期接種)が10月1日から開始されたことを受け、「2025年度定期接種」の認知率と、人口5万人以上の549自治体の自己負担額について調査を行いました。また、本格的な流行期に備え、ワクチン接種の現状と必要性や早期診断・早期治療の重要性などについて、「KARADA内科クリニック 五反田院」院長の佐藤昭裕先生にお話を伺いました。

調査の主な結果

● 2025年度定期接種の認知率は2024年度と比較して約半分に減少

  ・2024年度定期接種:60.3%、2025年度定期接種:29.5%

● 人口5万人以上の549自治体を対象に自己負担額ランキングを発表

  ・定期接種の自己負担額が最も高い自治体と低い自治体が判明

2025年度「新型コロナワクチン定期接種」(以下、2025年度定期接種)が10月1日から開始されました。今年は定期接種2年目に入ったことで、報道や自治体からの広報などが減少し、またインフルエンザの大規模な流行によって、一層注目度が落ちていることが想定されます。そこで、65歳以上の全国男女2500名を対象に、2025年度定期接種の認知率を調べたところ、定期接種の対象者であることを知っている人は、29.5%と、3割を下回る結果となりました。これは、2024年度定期接種の認知率(60.3%)と比べて約半分です。

加えて、今回の定期接種は国からの助成金制度が終了となり、初めて各自治体の予算のみで定期接種が実施されています。つまり、自治体の財政状況や予防接種以外の事業との優先度によって、自己負担額や住民への周知・情報提供活動に差が生じることも考えられます。実際に自治体別に自己負担額を調査したところ、東京都の6区が無償で提供している一方で、最も高かった茨城県笠間市は1万3600円と、負担額に大きな差が開いていることがわかりました。

定期接種の認知率低下および自己負担額の増加は、ワクチン接種率のさらなる低下を招くものと推察されます。一般社団法人日本感染症学会、一般社団法人日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会が25年9月に公表した「2025年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」では、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の高齢者における重症化・死亡リスクは依然として高く、免疫を逃れる変異も続いているため、冬の流行に備えてワクチンの定期接種を強く推奨しています。

実際に、新型コロナによる死亡数は2024年も3万5865人と大きな減少を見せておらず、死因順位は2023年から引き続き第8位となっていました(厚生労働省 人口動態統計)。なお、この数字は、同年のインフルエンザによる死亡数2855人の約12倍と大きく上回っています。

新型コロナは決して収束しておらず、特に感染症に対する抵抗力が衰えていく傾向がある高齢者においては、2025年度定期接種を含めた継続的な予防対策が重要になると考えられます。また、新型コロナは早期診断・早期治療も重要です。重症化予防が期待できる新型コロナの治療薬の活用も含め、新型コロナの流行に備えて医師に相談しましょう。

医師コメント

佐藤 昭裕 先生:KARADA内科クリニック 五反田院 院長

日本感染症学会専門医。総合診療医として全身の幅広い診療と、感染症専門医としてHIV感染症や結核、マラリアなどの診療に加え、集中治療、院内感染対策、ワクチン診療などに従事。東京医科大学病院感染症科医局長や東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長などを歴任し、現職に至る。

冬の流行期に入り、当クリニックでも新型コロナウイルス感染症の患者数は増え始めていますが、昨年ほど多くはないように感じます。これは、新型コロナへの危機意識が薄れ、いつもの風邪だと思って病院を受診していない人も増えていると思われます。また、今シーズンはインフルエンザの流行が早まり、感染が急拡大しているため、病院側もインフルエンザへの対処を最優先し、新型コロナを診断しきれていない可能性も考えられます。

しかし、新型コロナは依然として収束しておらず、年間の死亡数はインフルエンザを大幅に上回っているのが実状です。それにも関わらず危機意識が薄れている背景には、新型コロナに関する情報が、テレビなどでほとんど報道されなくなったことが挙げられます。日本人は、熱しやすく冷めやすい国民性なので、話題にならないと関心もなくなり、新型コロナはすでに収束したと考えている人も多いように思います。また、新型コロナやワクチンに関するインフォデミックが起こり、SNSなどで不確かな情報が広がったことも影響を及ぼしています。

今回の調査結果では、国からの助成金制度が終了した2025年度定期接種の認知率は29.5%にとどまり、3割を下回りました。この認知率の低さは、やはりワクチン接種に関する報道がされなくなったことが大きく、定期接種が行われていること自体を知らない人も多いと思われます。さらに、各自治体の取り組みにも左右されます。例えば、対象者に接種券を配送し、積極的に告知している自治体では認知率が高まります。一方、何も告知していない自治体では、定期接種の情報が対象者まで伝わらず認知率は低下してしまいます。

そして、定期接種の認知率低下は、ワクチンの接種率がさらに低下することを意味し、特に高齢者における重症化リスクの増加が懸念されます。高齢者は、ワクチンを接種することで重症化を防ぐことができます。新型コロナによって入院する重症患者のほとんどがワクチン未接種者であるという研究データも報告されています。また、新型コロナに罹患した10人に1人は後遺症が出るといわれていますが、ワクチンは後遺症の発現を低減することができるという研究データもあります。この点において、高齢者だけでなく、後遺症を抑えるために若年層にもワクチン接種を推奨しています。

新型コロナの治療薬としては、現在、日本で「パキロビッドパック」「ラゲブリオ」「ゾコーバ」という3つの抗ウイルス薬が販売されています。このうち「パキロビッドパック」と「ラゲブリオ」は、新型コロナによる重症化リスクを低減させる効果や他にうつしにくくする効果があります。また、「パキロビッドパック」や「ゾコーバ」は、新型コロナの症状を早期に改善することができます。いずれの治療薬も、すでに国からの補助はなくなっており、薬価が高額となるため簡単に処方できるものではありません。だからこそ、治療薬が必要になる前にワクチンを接種して、早期に予防することが大切です。そして、発熱や倦怠感などの症状がある際は病院を受診し、早期診断・早期治療を心がけましょう。

冬本番に向けて感染が拡大している新型コロナもインフルエンザも、ワクチン接種だけでなく、基本的な感染症対策に取り組むことも重要になります。外出時にはマスクを着用すること、手洗いをしっかりすること、部屋の換気をよくすること。そして、体調が悪い時には、無理せずゆっくり休みましょう。特に急性期に無理をして動くと、後遺症につながることもあるので注意してください。

調査サマリー

●2025年度定期接種の認知率は2024年度と比較して約半分に減少

  ・2024年度定期接種:60.3%、2025年度定期接種:29.5%

調査概要:n=2,500、65歳以上の全国男女を対象にオンラインで実施
実施時期:2025年1月10日~12日、2025年9月26日~29日
データ補正:性別・居住地が実際の人口比に近くなるように補正を実施

調査では、「2025年度定期接種」の対象者であることを認知しているかを聞いたところ、29.5%が「認知している」と回答しました。今年1月に実施した「2024年度定期接種」の調査では、認知率が60.3%に達していましたが、今回はその約半分に認知率が減少し、3割を下回る結果となりました。このことから、定期接種の認知率が大幅に低下している実態が明らかになりました。

● 人口5万人以上の549自治体を対象に自己負担額ランキングを発表

  ・定期接種の自己負担額が最も高い自治体と低い自治体が判明

人口5万人以上の549自治体を対象に、国からの助成金制度が終了した「2025年度定期接種」の自己負担額について調査したところ、最も負担額が高かったのは「茨城県笠間市」で1万3600円、次いで「千葉県君津市」が1万3200円、「埼玉県東松山市」が1万3000円となりました。一方、最も負担額が低かったのは東京都の6区(千代田区、港区、台東区、渋谷区、足立区、葛飾区)で、定期接種を無償で実施していることがわかりました。なお、全体の平均値は、6248円であることがわかりました。

※1年齢や基礎疾患の有無によって金額が変わる地域は最小値を記載。

※2助成金が示されている地域は、当自治体が示す接種費用15600円の差額を記載。

※3選択するワクチンによって自己負担額が変動する場合は平均値を記載。

※4非課税世帯の方や生活保護を受給されている方の自己負担免除の記載は本調査からが除外。

人口5万人以上の549自治体を対象にした自己負担額ランキングの一覧  

※1年齢や基礎疾患の有無によって金額が変わる地域は最小値を記載。

※2助成金が示されている地域は、当自治体が示す接種費用15600円の差額を記載。

※3選択するワクチンによって自己負担額が変動する場合は平均値を記載。

※4非課税世帯の方や生活保護を受給されている方の自己負担免除の記載は本調査からが除外。

参考情報

【2025年度新型コロナワクチン定期接種について】

<対象者>

65歳以上の人、60歳~64歳で対象となる人(※)
※心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

<費用> 

 原則有料

【2025 年度の新型コロナワクチン定期接種に関する⾒解】

⼀般社団法⼈⽇本感染症学会 ⼀般社団法⼈⽇本呼吸器学会 ⽇本ワクチン学会は、COVID-19 の⾼齢者における重症化・死亡リスクは依然として⾼く、免疫を逃れる新型コロナウイルスの変異も続いているため、冬の流⾏に備えて 2025 年 10 ⽉から始まる新型コロナワクチンの定期接種を強く推奨します。

https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/news/gakkai/gakkai_covid19_250902.pdf

d48466-17-fdbbfa1af233f93820296dcada65d6ed.pdf

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
http://www.humandatalab.com/
業種
情報通信
本社所在地
埼玉県さいたま市南区沼影 1-24-1
電話番号
048-628-3309
代表者名
長誠
上場
未上場
資本金
650万円
設立
2005年06月