8割超の医師が診療科偏在を実感 医師の診療科偏在に関する実態調査

株式会社リクルートメディカルキャリア

株式会社リクルートメディカルキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:髙﨑 透、以下リクルートメディカルキャリア)は、医師の診療科偏在に関する調査を実施しました。本リリースでは、診療科偏在について、現場で働く医師の認識や経験をもとに、その実態を整理しています。

■Executive summary

診療科偏在に対する医師の実感

・診療科を問わず、医師の8割超が日常の診療や勤務の中で診療科偏在を実感している

・一方で、偏在の感じ方や具体的な場面には診療科ごとの差が見られる

診療科偏在を実感する場面

・当直や救急対応時など、日常の診療体制の中で医師数や配置の偏りを感じるという声が多い

・少人数体制の診療科や、特定の専門医が不足している状況を挙げる意見も見られる

・勤務時間や休暇取得のしやすさなど、診療科間の働き方の違いを通じて偏在を意識するケースも見られる

診療科偏在の大きな要因

・最も多く挙げられた要因は「診療科ごとの勤務負担の差(当直や緊急対応、体力的負担など)」で5割超

・研修制度や将来の需要見通しなどの制度面要因は、他の要因に比べて選択割合が低い結果となった(※本調査回答者において)

診療科選択の理由

・全体では「専門性への興味・関心」「やりがい」がいずれも約5割

・内科系・外科系では専門性ややりがいが突出して重視されている一方、

 その他の診療科では「ワークライフバランス」が重視される割合が相対的に高い

診療科偏在是正に向けて求められる支援

・最も多く挙げられたのは、業務量や責任に応じた報酬・インセンティブなど、給与や評価の見直し

・「有効な改善策が思いつかない」「是正は難しい」といった声も一定数存在した

●医師の8割超が、診療科偏在を実感

医師数全体は増加傾向にある一方で、医療現場では診療科ごとの医師数の偏り、いわゆる「診療科偏在」が以前から課題として指摘されています※。こうした背景を踏まえ、リクルートメディカルキャリアでは、全国の医師318人を対象に、診療科偏在に関するアンケート調査を実施しました。本調査では、診療科ごとの医師数の偏りに関する認識をはじめ、診療科選択の理由や偏在の要因、是正に向けた支援や取り組みに関する意見を聴取し整理しました。

※出典

・厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_436723_00015.html

・厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html

医師に対し、勤務先やこれまでの勤務経験の中で、診療科によって医師数に偏りがあると感じたことがあるかを尋ねたところ、「ある」と回答した医師は67.9%に上りました。また、「時々ある」を含めると84.0%となり、多くの医師が診療科間の医師数の偏りを医療現場で実感していることが明らかになりました。

診療科区分別に見ると、「ある」または「時々ある」と回答した医師の割合は、内科系で83.5%、外科系で85.2%、その他の診療科で83.5%となり、診療科を問わず、多くの医師が偏在を実感していることが分かりました。

※本調査における診療科区分は、以下の通りです。

・内科系

一般内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、腎臓内科、脳神経内科、糖尿病内科(代謝内科)、血液内科、

感染症内科、心療内科 など

・外科系

一般外科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、脳神経外科、整形外科、形成外科、乳腺外科、泌尿器科、

産婦人科・婦人科、小児外科 など

・その他の診療科

小児科、精神科、救急科、麻酔科、放射線科、病理診断科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、

リウマチ科 など

次に診療科偏在について、どのような場面で偏りを感じたかを自由回答で尋ねたところ、当直や救急対応時など、日常の診療体制の中で医師数や配置の偏りを実感しているという意見が多く挙げられました。

また、少人数体制で診療が行われている診療科や、特定の診療科や専門医が不足している現場状況を挙げる声も寄せられています。

<どのような場面で偏りを感じたかについてのフリーコメント>

※回答を一部整文しています

【内科系医師からのコメント】

・外科系医師不足(内科系/一般内科)

・産科医が不足しており、当直がきつそうだった(内科系/一般内科)

・産婦人科医員の減少で分娩休止、小児科医員の減少で小児救急休止など(内科系/消化器内科)

・当科2人体制ですが、主治医として受け持っている入院患者の数が多い医師の上位2人が当科だったとき

(内科系/血液内科)

・内科は最終的な受け皿になることが多い(内科系/一般内科)

【外科系医師からのコメント】

・科によって当直回数が大きく異なる(外科系/一般外科)

・麻酔科は人が多く、勤務もほぼシフト制であるのに対し、外科系の医師は業務の引き継ぎという概念がそもそもないという場面。例えば、一つの手術中でも麻酔科医は時間になると当然のように医師が代わるが、外科医はそのようなことがない(外科系/心臓血管外科)

・他科が、院外で昼食事を取っているのを知ったとき(外科系/脳神経外科)

・地域によっては専門医が少なかったり、標榜科のある病院が少なかったりする時(外科系/脳神経外科)

・産婦人科は24時間仕事があるが、他の科は夜間の仕事がほとんどない科もある(外科系/産婦人科・婦人科)

・最近は比較的選択者が少ない診療科に進む人が多くなったと感じます(外科系/産婦人科・婦人科)

【その他の診療科の医師からのコメント】

・早く帰れる診療科とそうでない診療科。脳外の人数が少なくて冬にオペざんまい、ドクターがフラフラなのに、

救急外来から緊急オペが回ってくる(その他/リハビリテーション科)

・当直の回数や内容(その他/麻酔科)

・内科が多くて外科が少ないので外科当直が回らない(その他/病理診断科)

・小児科が少ない(その他/小児科)

・余裕のある診療科は夏休みと年休を組み合わせて夏休みを2週間取っていたが、医師1人の科は体調不良の時でもほとんど休みを取れなかった(その他/病理診断科)

・地域に精神科医が少なく、紹介先がない(その他/精神科)

・放射線科が少なすぎる(その他/放射線科)

●医師が考える「診療科偏在の要因」、勤務負担や働き方に関わる項目が上位に

続いて、医師が考える診療科偏在の要因について見ていきます。

診療科偏在の要因について、最も大きいと思うものを1つ選択してもらったところ、「診療科ごとの勤務負担の差(当直や緊急対応、体力的負担など)」が53.1%と最も高い割合を占めました。次いで、「診療科ごとの勤務条件や待遇の違い」(17.6%)、「診療科ごとの医療行為の特性やリスク負担(医療訴訟リスク、高リスク業務の負担)」(16.0%)が続いています。そのほか、「診療科ごとの今後の需要見通し(開業のしやすさ・需要の持続性など)」は5.3%、「研修制度・専門医制度の仕組み」は3.8%、「キャリアの選択肢が増えたから(企業勤務など)」は2.5%となりました。

上記結果から、本調査回答者では、診療科偏在の要因として制度や将来見通しよりも、日常の診療や働き方に直結する要素を選択する傾向がみられました。

  

 

●診療科選択の理由は「専門性への興味・関心」「やりがい」が中心。
 診療科区分別に重視点の違いも

国の診療科偏在対策に関する議論では、研修制度や専門医制度が医師の進路選択に与える影響も論点とされており、診療科偏在がキャリア選択の過程と無関係ではないことが示唆されています※。そこで本調査では、医師が現在の診療科を選んだ理由についても尋ねました。

その結果、全体では「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(50.9%)、「やりがいを感じられる」(49.1%)がいずれも約5割と高く、多くの医師が内的な動機を重視して診療科を選択していることが分かりました。また、「社会的・医療的ニーズが高い」(25.2%)も一定の割合で選択されました。

※出典

・厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_436723_00015.html

・厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html

 

診療科区分別に見ると、内科系では、「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(51.1%)、「やりがいを感じられる」(49.6%)、「社会的・医療的ニーズが高い」(23.7%)が上位となりました。また、「勤務条件のバランスが取れている」(15.8%)は、外科系(8.0%)やその他の診療科(11.0%)と比べて高く、診療科選択において勤務条件を理由に挙げる割合が相対的に高い点が特徴として見られました。

外科系でも、「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(56.8%)、「やりがいを感じられる」(51.1%)、「社会的・医療的ニーズが高い」(19.3%)が上位となりました。「勤務条件のバランスが取れている」(8.0%)は、内科系(15.8%)やその他の診療科(11.0%)と比べて低い割合にとどまっています。

その他の診療科では、「やりがいを感じられる」(46.2%)、「特定の疾患・手技・専門性へ興味や関心があった」(45.1%)、「ワークライフバランスが取りやすそうだから」(30.8%)が上位3項目となりました。3位の「ワークライフバランスが取りやすそうだから」は、内科系(7.9%)、外科系(12.5%)と比べて高く、診療科選択において働き方に関する要素が相対的に重視されていることがうかがえます。

このように、診療科選択の理由には共通点が見られる一方で、3位以下を見ると診療科ごとに違いがあることも分かりました。

●診療科偏在の是正に向けて医師が求める支援・取り組み

診療科偏在の是正のため、どのような支援や取り組みがあると良いと思うかを自由回答で尋ねたところ、最も多く挙げられたのは、給与や評価の見直しに関する意見でした。

具体的には、当直やオンコール、緊急対応の頻度、高リスクな医療行為への対応など、診療科によって負担の内容や重さが異なる中で、業務内容や責任の度合いに応じた報酬やインセンティブ、評価制度の見直しが必要ではないかとする声が多く寄せられました。

一方で、給与・評価以外の観点からの意見も見られました。例えば、診療科ごとの医師数や専門医数の調整、医療機関の集約化など、人員配置の在り方そのものに言及する意見が挙げられています。また、柔軟な勤務体制の整備やワークシェア、育児支援など、働き方の多様性を前提とした環境整備の必要性を指摘する声も寄せられました。

さらに、「有効な改善策が思いつかない」「是正は難しいのではないか」といった意見も一定数見られました。

<診療科偏在の是正に向けて自由記載で挙がった声(要望・アイディア)>

※以下は自由記述の要約であり、当社として特定施策を推奨するものではありません

■ 給与・評価の見直しに関する声

・マンパワーの補充が無理ならば、金銭面(特別手当、インセンティブ等)での解決しかないのだろう

(外科系/脳神経外科)

・負担の大きい科にインセンティブをつけるべき(外科系/産婦人科・婦人科)

・細かな査定がなされ、労働の評価をすることが重要(外科系/脳神経外科)

■ 人員配置・医師数の調整に関する声

・特定の病院への集約化で、専門医を集めて、数を確保する(内科系/一般内科)

・地域ごと、診療科ごとの定員を決めるべき(その他/病理診断科)

■ 働き方・環境整備に関する声

・多様な働き方を認めること。給与面での差をつけて、その分多様な働き方を許容すること(その他/麻酔科)

・医師間でのワークシェア(内科系/糖尿病内科(代謝内科))

・託児や保育園等の育児支援サービス(外科系/心臓血管外科)

・夜間の勤務や拘束時間が多いのは仕方ないが、休みは休みとしてしっかり取れる取り組みが必要と思う

(外科系/産婦人科・婦人科)

●本調査のまとめ

本調査では、診療科を問わず多くの医師が、日常の診療や勤務の中で診療科偏在を実感していることが明らかになりました。また、その感じ方や背景には診療科ごとの違いがあり、偏在の表れ方が一様ではないことも確認されました。診療科偏在の要因としては、勤務負担や待遇、医療行為の特性やリスクといった複数の要素が挙げられ、診療科選択の理由においても、「専門性への興味・関心」「やりがい」を重視する傾向が共通して見られる一方、診療科ごとに重視点の違いが見られました。さらに、是正に向けて求められる支援や取り組みについては、給与や評価の在り方を中心に、「人員配置」や「働き方・環境整備」など幅広い論点が示唆されています。

今後、診療科偏在を考える上では、こうした現場の実感や選択の背景に目を向けながら、医師一人ひとりのキャリアや働き方の在り方を丁寧に捉えていくことが重要になると考えられます。

解説:リクルートメディカルキャリア 営業統括部長 高野 潤

2011年リクルートメディカルキャリア入社。医師・看護師・薬剤師の人材紹介事業マネジャー、人事マネジャーを経験し2021年より現職。統括部長として医師領域の求職者側・採用者側の両営業部署を管轄し、業界動向や転職マーケット情報に通じる。

●調査概要

調査方法:インターネット調査

調査対象:「リクルートドクターズキャリア」に登録する全国の医師

有効回答数:318人

調査実施期間:2025年11月28日(金)~2025年12月5日(金)

調査機関:リクルートメディカルキャリア

≪調査結果を見る際の注意点≫

図表内の%の数値は小数第2位で四捨五入しているため、差分や合計値において、単純計算した数値と一致しない場合があります。

リクルートメディカルキャリアについて

1979年の創業以来、リクルートメディカルキャリアは、「医師」「薬剤師」を募集している医療関係施設に人材を紹介するサービスを提供しています。医師が医師として働きつづけ、充実した人生を送れるよう、医師の方のキャリアアップ、キャリアチェンジ、ワークライフバランスなどに応じて仕事・職場情報を提供し、転職をサポート。医療機関様に対しては、安定的な医師採用を実現するためのお手伝いをしています。

詳しくはこちらをご覧ください。

リクルートメディカルキャリア:https://www.recruit-mc.co.jp/

リクルートグループについて

1960年の創業以来、リクルートグループは、就職・結婚・進学・住宅・自動車・旅行・飲食・美容などの領域において、一人ひとりのライフスタイルに応じたより最適な選択肢を提供してきました。現在、HRテクノロジー、人材派遣、マーケティング・マッチング・テクノロジーの3事業を軸に、60を超える国・地域で事業を展開しています。リクルートグループは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現に向けて、より多くの『まだ、ここにない、出会い。』を提供していきます。

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※引用・転載時には「株式会社リクルートメディカルキャリア」とクレジットを明記下さい。

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会社概要

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業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区九段北1丁目14-6 九段坂上KSビル
電話番号
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代表者名
髙﨑 透
上場
未上場
資本金
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設立
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