【腎臓病・糖尿病に関わる当事者を対象とした調査の結果】お薬手帳やかかりつけ薬剤師・薬局の利活用状況、薬剤師に望むこと
「みんなでつくろう、これからの医療 with Kidneyプロジェクト」の一環としての薬局とのおつきあいの実態調査
慢性腎臓病(CKD)をもつ方は、一般的に服用薬が増加する傾向にあるとされ、多剤・重複投薬の防止や残薬解消はもちろんのこと、腎排泄性薬による副作用や飲み合わせによるリスクにも注意が必要です。
そこで、腎臓病・糖尿病と診断された皆さんを対象に、お薬手帳の活用状況や身近な健康の相談役「かかりつけ薬剤師・薬局」の利活用実態、距離感などに関するアンケート調査を実施しましたのでお知らせいたします。
■アンケート内容
Q1:お薬手帳の利用状況
Q2:調剤の際の、腎臓病や糖尿病その他の病気やケガなどの体の状態の伝え方
Q3:かかりつけ薬剤師・薬局の有無
Q3-1:かかりつけ薬剤師・薬局を決めている方 / かかりつけ薬剤師・薬局を選んだ理由およびそのメリット
Q3-2:かかりつけ薬局はあるが、かかりつけ薬剤師は決めていない方 / かかりつけ薬局を選んだ理由およびかかりつけ薬剤師を決めていない理由
Q3-3:かかりつけ薬剤師や薬局を決めていない理由
Q4:調剤薬局に求めていること
Q5:さまざまな医療者と接する中で、薬剤師はどんな存在か
■アンケート結果要約
1)2020年の内閣府の世論調査では全体のお薬手帳の利用率は約7割ですが、慢性疾患をもつ方を対象とした本調査では9割以上の方が利用していました。
2)かかりつけ薬剤師がいる方は、2020年の内閣府の世論調査では7.6%であったのに対して、本調査では約4割(Q3)でした。なお、内閣府の調査では健康意識が高い方は薬局を決めている傾向にあり(26%)、本調査でも7割近くの方が薬局を一箇所に決めています。
3)お薬手帳に腎臓病を含む全ての持病を記載している方は2割未満です。
4)かかりつけ薬剤師・薬局を選ぶ際の決め手として最も多かったのは、医療機関や自宅からの近さで、次いで能力の高さや魅力という回答、3番目に多かったのは医療機関の連携薬局や紹介でした。
5)かかりつけ薬剤師がいる方はそのメリットをしっかり感じているようです。 反面、かかりつけ薬剤師や行きつけの薬局を決めていない方のほとんどが、近隣の薬局で問題がないとの回答でした。
これらのことから、慢性疾患、特に腎排泄性薬に注意が必要な腎臓病をもつ方においては、お薬手帳やかかりつけ薬剤師・薬局の利活用の割合が一般よりも非常に高いことが分かりました。腎排泄性薬による副作用などのリスクを回避して腎臓を守るためにも、かかりつけ薬剤師・薬局をもつことの重要性をさらに周知する必要があります。
■調査概要
調査方法|ウェブアンケート
調査対象|腎臓病・透析をしている方、糖尿病(アルブミン尿やeGFR値が気になる)の方、腎臓移植経験者/腎臓病・透析、糖尿病に関わる当事者のご家族の方
調査期間|2024年5月30日(金)~6月27日(木)
有効回答数|118名
▼本調査結果の詳細はこちら
URL|https://www.jinlab.jp/withkidney/survey/survey11_202406.html
■これまでの調査
現在、第14回調査「腎臓病や糖尿病の方へのインフォームド・コンセントについて」も実施中です。
URL|https://www.jinlab.jp/withkidney/survey/wk_survey14.html
これまでの調査結果は、一部当プロジェクトのウェブサイトでご覧いただけます。
URL|https://www.jinlab.jp/withkidney/survey/
■現在実施中の調査
第15回「腎臓病や糖尿病に対する周囲の理解 実態調査」概要
調査期間|2024年11月1日(金)12時00分 ~ 2025年1月9日(木)23時59分
調査対象|腎臓病・透析をしている方、糖尿病(アルブミン尿やeGFR値が気になる)の方、腎臓移植経験者/腎臓病・透析、糖尿病に関わる当事者のご家族の方
調査方法|ウェブアンケート
所要時間|10~15分
調査機関|一般社団法人ピーペック
URL|https://www.jinlab.jp/withkidney/survey/wk_survey.html
with Kidneyプロジェクトの背景
■新たな国民病、慢性腎臓病(CKD)と向き合うために
腎臓は大量の血液をろ過したり、尿を作ることで老廃物を排泄し、体内のバランスを調整する大切な臓器です。慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の機能が徐々に低下していく、さまざまな腎臓病の総称です。CKDは2002年に国際的に定義された概念で、世界的に普及・啓発されています。
日本では成人の5人に1人がCKDと推算され新たな国民病とも言われていますが、ほとんど自覚症状がないために放置してしまったり、受診を中断してしまう方が多い現状にあります。
CKDが進行すると末期腎不全となり、透析や腎臓移植が必要になります。さらに進行に伴い心筋梗塞や心不全および脳卒中などの心血管疾患になりやすくなることが分かっており、早期発見・早期治療の大切さが積極的に周知されています。
■「みんなでつくろう、これからの医療 with Kidneyプロジェクト」について
「じんラボ」の10周年企画「with Kidneyプロジェクト」は、CKDの当事者をはじめとしてライフサイエンス企業や医療者などの腎臓病に関わる方々が協働し、腎臓病とのつきあい方のしくみづくりのために立ち上げたプロジェクトです。CKDの早期発見・早期治療の大切さはもちろんのこと、自己管理および治療の継続が進行抑制・重症化予防につながる点に着目し、療養生活に寄り添った提案を行います。
URL| https://www.jinlab.jp/withkidney/aboutwk.html
■「患者と医療者がつくった腎臓病とのつきあい方ガイド」について
医療のデジタル化が進み、エンドユーザーに向けた健康管理アプリなどが一般化する中においても、高齢の方などが自己管理に取り組むにはハードルが高い状況にあります。
当プロジェクトが提案する「患者と医療者がつくった腎臓病とのつきあい方ガイド」は、CKDの治療と生活に関わる資料や情報をすべてマネージメントするための、カスタマイズして長期にわたって使える管理のしくみです。
指導のプリントなど医療機関から渡される資料は未だに紙が多く、それらを入力などの手間なくまとめておける敷居が低い方法、紙媒体を一箇所にまとめる「1冊のファイルでの資料整理から簡単に始めるCKDの管理」が、発想の原点です。
URL| https://www.jinlab.jp/withkidney/sheets/
サービス概要
■じんラボについて
2013年4月にオープンした、腎臓病に関わるすべての方の幸せのためのウェブサービス。病気をよく知り(自覚)、病気と向き合い(自立)、自分が抱える悩みや問題をしっかりと直視するために、共感し互いに支え合う仲間とともに体も心もより豊かに過ごすための情報を発信しています。
【じんラボ所長 宿野部武志からのメッセージ】
私は3歳のとき腎臓病に罹りました。そして18歳から現在まで37年以上透析をしています。私は腎臓病の辛さ、苦しさを知っています。だからこそ私は一人でも多くの腎臓病患者を救いたい! と心から本気で思っています。腎臓病で悩み苦しむ方を一人でも減らしたいと。
自身の体験と想いから生まれたのが「じんラボ」です。腎臓がちょっと気がかりの方、検査で指摘を受けられた方など多くの方にとって、悩みや辛さを減らす一助になれば本当に嬉しいです。
■法人概要
法人名|一般社団法人ピーペック
所在地|〒157-0062 東京都世田谷区南烏山 6-33-1 サンライズプラザ 501
代表理事|宿野部武志
設立|2019年1月
事業内容|メディア運営事業、イベント企画運営事業、団体運営支援事業、当事者のこえ活用事業、就労支援/継続支援事業、政策提言/調査研究事業など
ウェブサイト| https://ppecc.jp/company/
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