ドラマ化・映画化で話題の“女”シリーズから、第二弾の『我慢ならない女』を著者インタビューでおさらい!「桂望実=我慢ならない女」と思われた過去、登場人物の思わぬ成長について語る
あの作家の意外な素顔が・・・?著者出演インタビュー企画!
1億人の本と本屋の動画投稿サイト「本TUBE」のスペシャル企画"著者出演インタビュー"で、作家・桂望実が人気の女シリーズから『我慢ならない女』について、じっくりと語っています。
◆本編再生はコチラ!
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2005年『県庁の星』が映画化されベストセラーとなり、『恋愛検定』はドラマ化、『嫌な女』はドラマ・映画化でも話題となりロングセラーとなった桂望実。今回、桂さん本人にインタビューで語ってもらった『我慢ならない女』は、『嫌な女』に始まる人気の“女”シリーズ第二弾だ。最新作である『諦めない女』を楽しむためにも読んでおきたい本作について、改めて理解を深めていただきたい。
この物語を動かすのは、小説執筆に全身全霊を傾けるあまり編集者に煙たがられる気難しい小説家・ひろ江、その才能を信じて側で支える姪の明子。浮き沈みの中、絆を深めていく二人の長編ストーリーだ。
「この作品を出した後に、私と主人公(ひろ江)をダブって受け取られる方が多くて、ちょっと弱ったなと。私は主人公の“ひろ江”ほどがむしゃらかと言うと、まだまだだなと思っているところが多分にあるので…。気持ちとしては近しいものがあるんですけど、ここまで何もかも捨てて、がむしゃらにここまで小説を書き続けられるかどうか。どちらかというと憧れの人というような位置ですね。」
この登場人物達には、本質的に大きな違いがあったという。
「長編を書く際、その中で登場人物たちは大体成長していくんです。でも、この『我慢ならない女』の場合、主人公のひろ江は変わらない。姪っ子の明子の方が大きく変わっていきます。」
最初は小説家志望だった明子は、ひろ江に完膚なきまでに叩きのめされ、ひろ江の傍らで徐々に心情を変化させていくのだ。
桂さんは、あくまでも客観的に明子について分析する。
「明子が小説を書きたいというのも、どこまで本気だったかという。全身全霊を注いで小説を書くひろ江と比べれば、『流行っているからテニスやってみました!』ぐらいの心構えですよね。じゃあウィンブルドンを目指すのかと聞かれたら、『ちょっと違います』というような。小説執筆に対する心構えが、ひろ江とは全く違ったということを知って、ひろ江から離れるという手段もあったと思うんです。それでも、小説が誕生するそばに居たいという思いが明子にはあって、それがやがて明子自身を変えていって、最終的に編集部に乗り込んで“読んでくれ!”と。」
架空の登場人物を筆者が“成長させる”というより、実在する人物が独りでに“成長する”のを優しく見守っているようだ。頑張れるようになった明子に、桂さんは書きながら拍手を送っていたという。主人公だけではなく明子にも気持ちを添わせることができるのがこの作品への共感を高めているのかもしれない。
この作品で一貫して描かれる、作家としての業。“桂さん自身=我慢ならない女・ひろ江”ではないにせよ、日ごろ桂望実という作家が抱える執筆の苦しみ、抱える業が垣間見える。それは登場人物の心情が鮮明に描かれる“女”シリーズの中でも、この上ない生々しさを持つ作品と言えよう。小説家の生活を覗くもよし、桂さんに命を吹き込まれた登場人物たちが作品の中で生きる様を楽しむもよし、“女”シリーズの魅力をより味わうためにも、必読の一冊だ。
単行本: 233ページ
出版社: 光文社
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