より良い患者ケアを通じて薬剤耐性に立ち向かう

-適切な患者に適切な検査を行い、適切な治療につなげる-

日本とWHOが協力し、各国における「臨床診療における診断適正化」と「抗菌薬適正使用支援」の強化を推進

 2026年9月16日、日本と世界保健機関(WHO)は、西太平洋地域の7か国の代表を東京に招き、薬剤耐性(AMR)対策の強化に向けた各国の経験を共有する機会を設けました。3日間にわたるワークショップには各国の保健分野の担当者が参加し、「抗菌薬適正使用支援(Antimicrobial Stewardship)」および

「臨床診療における診断適正化(Clinical Diagnostic Stewardship)」をどのように強化していくかについて議論しました。

 

 本ワークショップは、WHO協力センターである国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国際医療センター AMR臨床リファレンスセンターが主催し、WHO西太平洋地域事務局との共催で実施されました。インドネシア、カンボジア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス人民民主共和国、日本からAMR対策を牽引する関係者が参加しました。

ワークショップ参加者による集合写真

 AMRは、感染症を引き起こす細菌などの病原体が変化し、治療に用いる薬剤が効きにくくなることで生じます。西太平洋地域では、抗菌薬の過剰使用や不適切な使用などを主な要因として、2020年から2030年までに500万人を超える死亡にAMRが関与すると推計されています。

適切な患者に、適切な検査を、適切なタイミングで

 

 「臨床診療における診断適正化」は、医療従事者が適切な患者に適切な検査を適切なタイミングで実施し、その結果を正しく解釈して診療に活用することを支援する取り組みです。一方、「抗菌薬適正使用支援」は、適切な抗菌薬を、適切な用量で、適切な期間使用することを支援し、「臨床診療における診断適正化」を補完します。

 

 この2つのアプローチを組み合わせることで、より正確な診断、より適切に対象を絞った治療、薬剤による有害事象の減少、医療費の削減につながるとともに、薬剤耐性をもつ病原体の出現を抑えることができます。これは、本ワークショップを主催したAMR臨床リファレンスセンターの使命の中核をなすものです。

 

 「AMR臨床リファレンスセンターは、WHOおよび加盟国による「抗菌薬適正使用支援」と「臨床診療における診断適正化」の実施強化を支援することで、患者ケアの質を向上させ、AMR対策に取り組むという使命を果たしていきます」   

と、JIHSの國土典宏理事長は述べています。

 WHOは先日、『西太平洋地域における「臨床診療における診断適正化」の強化実践マニュアル(Strengthening Clinical Diagnostic Stewardship in the Western Pacific Region: A practical manual)』を公表しました。これは、臨床診断プラクティスを強化するための指針を求める加盟国からの要望を受けて作成された、医療施設向けの実践的な資料です。

地域全体で経験を共有

 

 日本は「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」の策定、高度なサーベイランスシステムの構築、医療機関における診療の改善を促すインセンティブの導入など、西太平洋地域でも先進的なAMR対策を実践してきました。また、抗菌薬の研究開発パイプラインを強化するための新たな取り組みにも投資してきました。

 

 国際的には、日本はWHO西太平洋地域事務局およびWHO東南アジア地域事務局と連携し、アジア太平洋地域におけるAMR対策を加速するイニシアティブを主導しています。また、2016年にはアジア太平洋ワンヘルス・イニシアティブ(ASPIRE)を立ち上げ、2017年以降、AMRワンヘルス東京会議を毎年開催しています。

 

 「日本は引き続きAMR対策に取り組みます。ASPIREの枠組みを背景に、アジア太平洋地域におけるAMRのサーベイランス、保険医療マネジメント、抗菌薬へのアクセス、研究開発の推進に貢献します」

 と、厚生労働省 健康・生活衛生局 感染症対策部の鷲見学部長は述べています。

 本ワークショップでは、参加者がそれぞれの経験を共有し、国、医療機関、プライマリ・ケアの各レベルにおいて、「抗菌薬適正使用支援」および「臨床診療における診断適正化」に関する政策と実践を拡充・強化するための実行可能な取り組みを検討しました。参加国の保健省の代表者は、意見を交換し、課題について議論するとともに、自国および西太平洋地域全体で「抗菌薬適正使用支援」と「臨床診療における診断適正化」を強化していく方策を検討しました。

アイデアを行動へ

 

 各参加国は、ワークショップでの議論を踏まえ、「臨床診療における診断適正化」マニュアルやその他のWHO資料を基礎として、国、病院、プライマリ・ケアの各レベルで「抗菌薬適正使用支援」および「臨床診療における診断適正化」を強化するために優先して取り組むべき行動を定めました。またWHOは、各国がこれらの計画を実行に移すために提供可能な技術的支援について説明しました。

 

 各国の計画では、具体的な取り組みに重点が置かれています。具体的には、ガバナンスの強化、「臨床診療における診断適正化」の原則を反映した政策・ガイドラインの改訂、保健医療システム全体における多職種人材の能力強化などです。

 

 これらの取り組みは、診断と治療におけるギャップを解消し、薬剤耐性をもつ病原体の出現を抑制するとともに、患者安全を向上させることを目的としています。参加者は、こうした計画をそれぞれの国で持続的な変化につなげていくため、日本とWHOによる継続的な支援に期待を寄せています。

 「私たちが今日頼りにしている医薬品は、かけがえのない貴重な遺産です。それらを守り、未来の世代へ引き継ぐことが私たちの責任です。

 「臨床診療における診断適正化」と「抗菌薬適正使用支援」は、将来にわたってこれらの医薬品の有効性を守りながら、今、目の前にいる患者に最善の医療を提供するための強力な手段です」

 と、WHO西太平洋地域事務局のサイア・マウ・ピウカラ地域事務局長は述べています。

WHO西太平洋地域事務局 サイア・マウ・ピウカラ地域事務局長によるビデオメッセージ

 WHOとJIHSは今後も各国と連携し、これらのスチュワードシップの原則とアプローチを日常診療に取り入れていく取り組みを進めます。これにより、西太平洋地域全体で保健医療システムをより強固なものとし、医療費を削減するとともに、患者の健康アウトカムを改善することを目指します。

編集者向け注記

 

 AMR臨床リファレンスセンター(国立健康危機管理研究機構)は、薬剤耐性の予防、備え、対応に関するWHO協力センターです。

 

 日本は、「アジア太平洋地域におけるヒトの健康分野のAMR対策に関する2024年共同ポジションペーパー」の策定を主導しました。同文書は、2024年5月の世界保健総会の期間中に開催された閣僚級サイドミーティングにおいて、アジア太平洋地域の30の加盟国から支持され、2024年9月の国連AMRハイレベル会合へとつながりました。

 

 2016年、日本は「アジアAMR東京閣僚会議 (Tokyo Meeting of Health Ministers on Antimicrobial Resistance in Asia)」を開催しました。この会合では、アジア太平洋ワンヘルス・イニシアティブ(ASPIRE)が立ち上げられ、あわせて「アジアAMR東京閣僚会議共同声明」が発表されました。

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会社概要

URL
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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区戸山1-21-1
電話番号
-
代表者名
大曲 貴夫
上場
未上場
資本金
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設立
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