株式会社MiDATAと東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)マッチングアプリ「CoupLink」を用いた共同研究成果を発表
~「人気の一極集中」を防ぎ、機会の公平性とマッチングの質を高める新アルゴリズムを設計。大規模実証実験で有効性を確認 ~

AI・データ分析コンサルティング事業を展開する株式会社MiDATA(本社:東京都中央区、代表取締役社長:後藤 司、以下「MiDATA」)は、東京大学大学院経済学研究科附属 東京大学マーケットデザインセンター(センター長:小島 武仁 教授、以下「UTMD」)との共同研究成果として、ツーサイドプラットフォームの構造的課題である「一部への人気集中(混雑)」を緩和し、機会の公平性とマッチングの質を向上させる手法をUTMDが提案し、MiDATAがこの手法に基づいて新たな推薦アルゴリズムを実装しました。
本アルゴリズムは、MiDATAの株主である株式会社リンクバル(本社:東京都中央区、代表取締役社長 吉弘和正、以下「リンクバル」)が運営するマッチングアプリ「CoupLink(カップリンク)」に試験導入され、実証実験においてその有効性が確認されました。なお、本研究成果をまとめた論文(ワーキングペーパー)は、プレプリントサーバー「arXiv」およびUTMDのウェブサイト上で公開されています。

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論文タイトル |
Integrating Predictive Models into Two-Sided Recommendations: A Matching-Theoretic Approach |
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arXiv |
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UTMD |
■ 背景:ツーサイドプラットフォームにおける「混雑(Congestion)」の課題
MiDATAとUTMDは、2024年7月より、推薦対象の双方の選好(希望)や行動確率を考慮する推薦システム「two-sided recommendation」の共同研究に取り組んでまいりました。
マッチングアプリのような、ユーザーたちが相互に相手を好むことではじめてマッチが成立する「ツーサイドプラットフォーム(two-sided platform)」では、「あるユーザーが、別のユーザーに『いいね』を送りそうか?」だけをもとに推薦を行う従来の手法を用いると、一部の人気ユーザーに推薦される機会と、「いいね」の送信が殺到する「混雑」が発生する傾向があります。「混雑」は、以下のような非効率と不平等を発生させます。
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人気ユーザーのパンク: 人気ユーザーに対して推薦や「いいね」が集中しすぎ、通知が多くなって煩わしく感じ、対応しきれず、相互コミュニケーションの機会が損失する。
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一般層の埋没: 本来相性が良い(相互に好まれ、マッチが成立する確率が高い)候補者が、人気層の影に隠れて推薦・表示されない。
同様の問題は、求人サイトやフリーランス仲介など、広範なプラットフォームで発生すると考えられます。
■ 成果:「Exposure-Constrained DA (ECDA)」アルゴリズムの開発
この課題に対し、UTMDが持つ「マーケットデザイン(マッチング理論)」の最先端の知見と、MiDATAが持つ「高度なAI実装力」を掛け合わせ、新たなレコメンドアルゴリズム「ECDA(露出制約型受入保留方式)」を開発しました。
本アルゴリズムでは、ノーベル経済学賞の対象にもなった「受入保留(Deferred Acceptance)アルゴリズム」をレコメンドシステムに応用しています。AIが予測する「いいねやマッチングの発生件数の期待値」をもとに、個々のユーザーが推薦される件数(露出)に適切な上限を設けることで、特定のユーザーが過剰に推薦されることをシステム的に緩和します。ECDAには、相手が多数のユーザーと同時にマッチしている場合に、そのマッチの価値を割り引いて評価する独自の指標である「有効デート(Effective Date)数」を、従来の手法やDAを用いた手法などより改善する効果があります。
■ 実証実験の結果とユーザーへのメリット(CoupLinkでの適用事例)
本研究では、本アルゴリズムを「CoupLink」の関東エリアに適用する一方で、関西・東海エリアでは従来手法を適用し続け、「差の差分法(difference in differences)」を用いて導入の効果を検証しました。結果、本アルゴリズムの適用により、従来手法のもとで極端に推薦や「いいね」が集中していた上位0.1%の層への一極集中が是正されることが確認されました。これにより、従来の手法と比較して以下のような効果が実証されました。
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実質的な交流に繋がりやすいマッチング機会の向上
今回の試験導入では、推薦される回数が極端に多い場合にのみ、推薦の回数を制限しました。本アルゴリズムは、相手の「混雑状況」を考慮したマッチングを促すため、「マッチングしたのに相手の対
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公平な出会いの機会の提供
一部のユーザーに偏っていた露出を分散させることで、より多くのユーザーにスポットライトが当たり、これまで埋もれていた良縁が見つけやすくなりました。
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安心・安全な環境の強化
機械的な大量アプローチを行うBotや、営利や勧誘等を目的とする業者は、プロフィールや、アプリ内での行動を最適化することにより、より多くの推薦の機会を得て他のユーザーとマッチしようとします。本アルゴリズムは、こうしたユーザーの他のユーザーへの露出も制限する効果を持ちます。
■ 今後の展望:産学連携の知見を社会へ。人材業界等への応用
MiDATAは、今回のCoupLinkでの実証成功を「ツーサイドプラットフォームにおける構造的課題(混雑)に対し、大規模データを用いてマッチング理論の実用性を証明したもの」と位置づけています。
今後は、本共同研究で得られた知見をデータ分析コンサルティングサービスへ反映し、「求職者と企業(人材業界)」「フリーランスと発注者」など、同様に「人気集中による機会損失」が課題となっている他産業のプラットフォーム事業者様に対しても、本技術の提供とDX支援を進めてまいります。
■ 共同研究担当者コメント
【東京大学マーケットデザインセンター プロジェクトマネージャー / 東京大学大学院経済学研究科 講師 野田 俊也 氏】
社会のデジタル化が進み、私たちが日々向き合う選択肢はますます膨大になっています。そうした中で、ユーザーの好みを踏まえて有望な候補を提示するレコメンドシステムの重要性は一段と高まっています。今回のMiDATA様との共同研究では、大谷克特任講師と共に、マッチング理論の知見を応用した新たな推薦手法が、実社会で商業的に運用されているCoupLink上でも有効に機能することを実証実験により確認しました。理論に基づいて仕組みを設計し、反実仮想的シミュレーションでテストし、サービスに実装したうえで、データに基づいて効果を検証する。こうした一連の流れは、制度設計研究の望ましいあり方を体現するものであり、実務面でも学術面でも意義の大きい成果になったと考えています。
【株式会社MiDATA 執行役員CTO(研究代表者) 大川 幸男】
マッチング数を増やそうとすると、一部の人気ユーザーに集中してしまう。この長年のジレンマに対し、今回UTMD様の知見を得ることで、数理モデルに極めて自然に『混雑解消』のメカニズムを実装でき、公平で質の高い出会いを実現できました。 私たちの強みは、こうした最先端の理論のメカニズムを深く理解し、各ビジネスの特性に合わせて最適にカスタマイズできる『実践力』にあります。今回得られた実践的なノウハウを、今後は人材領域など様々なプラットフォームへと展開し、社会課題の解決に貢献してまいります。
■ 各社・関係機関概要
・株式会社MiDATA(マイデータ)
MiDATAは、AI開発における高い技術力と豊富な実績を有し、企業ごとの特有の課題に寄り添い、課題解決をサポートします。機械学習や数理最適化、レコメンデーション、画像解析など、多岐にわたるデータ分析技術や生成AIを駆使し、事業価値の向上を支援します。MiDATAは、AI開発のプロフェッショナル集団として、エンタープライズ企業に対して包括的なAI開発コンサルティングを提供し、競争力の強化をサポートしています。

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代表取締役社長 |
後藤 司 |
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設立 |
2023年5月 |
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所在地 |
東京都中央区明石町7-14 築地リバーフロント6F |
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URL |
・東京大学大学院経済学研究科附属 東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)
近年、経済学において「人々にとって望ましい結果を得るにはどのような制度=ゲームのルールをデザインすればよいか」を追究する、マーケットデザインと呼ばれる領域が注目を集めています。UTMDは、マーケットデザインを支える「マッチング理論」「オークション理論」等の理論研究と、その知見を現実の制度改善に反映する社会実装の拠点として設立されました。教育・保育、労働市場、災害・医療などの領域において、企業・自治体などとの共同研究に取り組んでいます。

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センター長 |
小島 武仁 教授 |
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所在地 |
東京都文京区本郷7-3-1 |
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URL |
・株式会社リンクバル
「世界をつなぐ。」というミッションのもと、マッチングアプリ「CoupLink」や、イベントECサイト「machicon JAPAN」を運営。MiDATAの技術力を自社サービスで実証し、その価値を最大化するプラットフォーマーです。
■ 研究担当者プロフィール
野田 俊也(のだ しゅんや)氏
東京大学大学院経済学研究科 講師 / UTMDプロジェクトマネージャー
2012年東京大学経済学部卒業。2019年スタンフォード大学経済学部博士課程修了。ブリティッシュコロンビア大学助教授を経て、2021年より現職。2023年よりERATO小島マーケットデザインプロジェクト 研究総括補佐 兼 社会実装グループリーダー。研究分野はマーケットデザイン、ゲーム理論、アルゴリズム、ブロックチェーンなど。
大川 幸男(おおかわ さちお)
株式会社MiDATA 執行役員CTO
2011年慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業。2016年東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了。2017年よりAI専業コンサル会社にてエンタープライズ企業へのコンサルティングに従事。2021年7月よりリンクバルにて種々のAI開発を担当し、2024年より現職。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社MiDATA 広報担当 / 株式会社リンクバル 広報担当
Email:pr@linkbal.co.jp
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