株式会社Japan Nexus Intelligence、認知戦の時代における国際連携テーマに東大先端研(経済安全保障インテリジェンス分野)と国際シンポジウムを開催
国家間競争の中核としての戦略的対策と国際連携の重要性を確認
最先端の分析技術に基づく戦略的情報発信を通じて民主主義的な言論空間を維持・発展させることを目的としたインテリジェンス・コミュニケーション(※1)を手がける株式会社Japan Nexus Intelligence(本社:東京都新宿区、代表取締役:髙森 雅和、読み:ジャパン・ネクサス・インテリジェンス、以下「JNI」)と東京大学 先端科学技術研究センター 経済安全保障インテリジェンス分野(以下、「井形研究室」)は、5月19日、「認知戦の時代における国際連携」と題した国際シンポジウムを開催したことをお知らせします。
本シンポジウムはNATOの協力のもと、認知戦領域に関する国際的なネットワークと最新の知見を有するJNIと井形研究室が共同で開催したものです。NATO 戦略コミュニケーション能力向上センターの Margus Valdre 副所長をはじめ、米国・欧州・豪州・韓国から認知戦略の専門家を招き、言論空間における偽情報や影響工作の脅威とその対策について海外の最新動向を交えて議論を交わすとともに、複雑化、巧妙化する認知戦に対する国際連携の重要性を確認しました。各セッションの講演者と要旨は以下のとおりです。


【開催概要】
セッション1:「日本の立場から見た認知戦の現状」
登壇者:
阿古 智子氏(東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻相関社会科学講座 教授)
志田 淳二郎氏(名桜大学国際学部国際文化学科 上級准教授)
廣惠 次郎氏(GMOインターネットグループ株式会社 サイバー防衛事業推進本部「6」本部長)
モデレーター:
髙森 雅和(株式会社 Japan Nexus Intelligence 代表取締役)
全体要旨:
第1部では、日本の立場から見た認知戦の現状について、日米同盟の離間や実在する地域間格差等、日本に存在する社会的亀裂を煽り立てる影響工作の脅威について具体的な事例を交えて今後のあるべき姿が議論されました。阿古氏は中国の認知戦について「国を挙げて資金や人員を投入し、SNSやネット掲示板を活用しながら組織的に行われているのが現状」とし、「日本が孤立するような状況が作られている」と指摘しました。志田氏は沖縄在住の研究者としての立場から「日本国内の相互不信が増長されることが脅威主体にとっての目標達成につながる」と述べ、影響工作等に転用されるリスクを踏まえて「政治家、メディア、外交官、研究者あらゆる関係者が発する情報が何らかのシグナリング効果を持つということを自覚するべき」と訴えました。廣惠氏はロシアの軍事戦略研究に関する知見をもとに「親ロシア的なナラティブの拡散、メディア買収、偽情報部隊による心理操作などが行われている可能性が高い」と紹介。日本は認知戦における「攻め」と「守り」の両側面を意識しながら「偽情報の流布は決して行わずに、有利な情報環境を作るためのカウンターナラティブを積極的に発信することが重要」と指摘しました。
セッション2:「偽情報・FIMI対策のこれから:米国からの教訓」
登壇者:
Adam Fivenson氏(アメリカン大学安全保障・イノベーション・新技術センター 非常勤フェロー)
Adela Levis氏(ミシガン大学 特任講師)
モデレーター兼スピーカー:
桒原 響子氏(公益財団法人日本国際問題研究所 研究員)
全体要旨:
第2部では、米国国務省および市民社会の立場から偽情報・FIMI(Foreign Information Manipulation and Interference : 外国による情報操作・干渉)対策に携わってきた専門家2人が登壇し、トランプ政権下で米国の対策が大きく転換したことにより生じている課題と、日本への含意について議論しました。元全米民主主義基金(National Endowment for Democracy)のFivenson氏は、近年の米国では、民主主義支援や情報環境の健全性向上に取り組んできた学術機関や市民社会団体が、政治的な逆風の中で活動の縮小や停止に追い込まれていると指摘しました。その一方で、権威主義的アクターが莫大な資金を投じて反民主的なナラティブを拡散している現状に対抗するためには、聴衆に届く対抗ナラティブを広げていくうえで、市民社会の役割の重要性を改めて認識する必要があると強調しました。また、元国務省グローバル・エンゲージメント・センターのLevis氏は、米国政府が過去に行ってきた取組みについて、悪意ある情報操作や偽情報の影響を抑えるうえで真に必要だったのは、政府機関に高度な分析能力を持たせることではなく、AIリテラシー、批判的思考、ファクトチェック、調査報道などを支える市民社会団体への支援であったと振り返りました。そのうえで、日本に対しては、個別の事案に対する短期的な対応に終始するのではなく、政府のみならず市民社会を含むwhole-of-societyの視点から、長期的に取り組むことの重要性を強調しました。
セッション3:「NATO、IP4の知見と日本への示唆」
登壇者:
Margus Valdre氏(NATO 戦略コミュニケーション能力向上センター:NATO StartCom COE 副所長)
Bora Park氏(韓国国家安全保障戦略研究院未来戦略研究部門 リサーチフェロー)
Alex Bristow氏(オーストラリア戦略政策研究所 シニアアナリスト)
モデレーター:
井形 彬氏(東京大学先端科学技術研究センター 特任講師)
全体要旨
第3部では、NATO(北大西洋条約機構)やIP4(Indo-Pacific Four:NATOがアジア太平洋地域において連携を強化している日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国)における取り組みや国際連携について議論しました。Park氏は韓国の偽情報対策の現状を紹介した上で、「法的・政策的措置の必要性が高まる中、民間セクターとの連携例としてソウル大学が韓国初のメディアファクトチェックプラットフォームを立ち上げたが、資金不足のため閉鎖するなど、取り組みの持続可能性の確保が課題となっている」と述べました。Bristow氏はオーストラリアの現状として、2018年に導入された法律で「海外による影響力の行使」と「海外による干渉」を区別し、干渉は民主主義の価値を損いかねない行為として違法とされたことなどを紹介しました。こうした発言を受けてValdre氏は「各国の代表者や関係者の方々が、異なる会議やイベントの間で相互連携を図り、現在進行中の状況に対する理解を共有することが非常に重要だ」と国際連携の重要性を強調しました。
Japan Nexus Intelligence(JNI)について
株式会社Japan Nexus Intelligenceは2023年に設立された、インテリジェンスおよび戦略的コミュニケーションを手がける企業です。最先端のインテリジェンス技術と手法を活用し、SNSやAIを通じて広がる偽・誤情報、影響工作などをはじめとする「新時代の情報リスク」に対応する分析、リスク評価、コミュニケーション戦略を提供しています。民間企業向けには、企業・商品・サービス・市場に関する言論調査・分析、悪意ある情報の検知・分析、そして総合発信戦略の立案や対策の実行支援を行っています。公共機関向けには、影響工作等の悪意ある情報拡散の検知・分析、戦略的コミュニケーション計画の策定、認知戦・情報戦領域における技術動向や関連ツールの調査を提供しています。
東京大学先端科学技術研究センター 井形研究室について
国際政治における「経済安全保障」をキーワードとする研究室。中国の台頭やロシアのウクライナ侵攻、米国におけるトランプ政権の誕生などによる国際環境の劇的な変化に加え、先端技術の多くが軍民両用の性質を持ち始めたことで、各国で生じている「経済の安全保障化」と、これによりもたらされた新たな諸課題について研究しています。
研究対象:
経済安全保障の国際比較:各国が進める「経済安全保障」政策の比較研究
先端技術と情報空間:先端技術を用いた偽情報や影響力工作の特定・対処・抑止
フードテックと食料安全保障:食料安全保障を向上させると共に経済成長やサステナビリティにも貢献しうる、細胞農業や陸上養殖といったフードテックの政策・社会実装
人権外交:経済制裁の在り方やサプライチェーンの強靭化などに見られる、人権・価値観と経済安保の関連性
インド太平洋における国際政治:上記のような新たな課題がインド太平洋地域の国際政治にどのような影響を及ぼすかの分析
※1 インテリジェンス・コミュニケーション:悪意ある情報拡散に対抗することを目的とした、最先端の分析技術に基づくインテリジェンス(情報の収集・分析)主導型のコミュニケーション戦略です。収集・分析した情報に基づき、不正確な情報の拡散抑止と正確な情報の浸透に向け、危機管理、リスク評価を含めた包括的なコミュニケーションを推進します。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像