【現役弁護士監修】痴漢加害者になったら示談金はいくら必要?どう交渉すべきなのか?示談交渉で必ず押さえておくべき注意点や示談成功事例を現役弁護士が徹底解説します。
痴漢の示談金相場は10万円程度からですが、実際は被害者が加害者の提示した金額で納得するかで決まります。ただし、交渉次第で金額を抑えることができるので、押さえておくべき注意点を知っておきましょう。
◆示談交渉をした際に弁護士へ相談した人はどのくらいいる?
まず、示談交渉に関わったことのある男女100名を対象に、「示談交渉の際に、弁護士へ相談をしたか」アンケートを行いました。
その結果、示談交渉を考えている方で弁護士へ相談した方は、51%と半数以上でした。
弁護士へ相談した方は、下記のような理由から相談に踏み切ったとのことでした。
30代男性
- 示談に関する損害賠償の相場や取り交わす書類の書き方や提出方法を知りたいと思ったからです。30代女性法律的な解釈が難しかったので、プロにおまかせしようと思った。
40代男性
- 先方と直接コンタクトするのを拒否されたから。
上記のように、少しでも示談交渉に不安がある方は、弁護士へ一度相談してみることがおすすめです。
法的な観点から適切なサポートを行ってくれますし、八方塞がりだと思っていた状況でも、新たな解決手段をアドバイスしてくれる可能性があるからです。
一方で、「弁護士へ相談しなかった」と回答した方に理由を聞いてみると、料金について不安があったからというご回答が目立ちました。
30代男性
- 弁護士に相談すると費用が心配だから。
50代男性
- 費用もなく、弁護士特約も付けていなかったので、自分達で交渉するしかなかった。
また、下記のように、弁護士に相談することがそもそも思いつかなかったという方もいました。
40代女性
- 弁護士に相談しようという事すら思いつきませんでした。その余裕すら無かったのだと思います。
実際にトラブルが発生した時、混乱してしまってそもそも自分にどんな選択肢があるのか分からなくなることもあると思います。また、弁護士への相談を思いついたとしても、弁護士相談は高額なイメージがあり、断念してしまう方も上記のように多いと思います。
ただし、弁護士によっては初回の相談費用を無料としています。また、相談を受けた際に、今後の費用がどの程度かかってしまいそうか明示してくれる弁護士も多いです。
そのため、費用が心配で弁護士相談という選択肢がなくなってしまっている方は、まずは初回相談を無料で受け付けている弁護士へ相談し、その後どれくらいの費用がかかりそうかを聞いた上で、このまま依頼するかどうか決めてみるのがおすすめです。
交渉次第では、あなたの希望している金額や、一括払いではなく分割払いで支払いが可能になる場合があります。
そのため、単純にかかる費用だけでなく、弁護士に依頼することでどのくらい示談金を抑えられそうなのか?も視野にいれて、弁護士へ依頼するかどうか決めるのが良いかもしれません。
カケコムでは、初回相談を無料で受け付けている弁護士や、相談時に費用を明確にしてくれる弁護士が登録しています。
お悩みごとがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
下記にて、さらに詳しく示談金交渉についてご説明します。
今回ご解説いただく弁護士のご紹介です。
渡邊 律(わたなべ りつ)弁護士(https://www.kakekomu.com/lawyers/ritsu.watanabe)
渡邊律法律事務所
家庭裁判所の調査官として勤務していた経験があり、心理学や教育学を学んでおります。離婚や非行少年等の心理的な問題に触れ、多数の問題を解決してきました。痴漢事件に関する実績も豊富に有しています。ご相談者様に親身に寄り添うことを大切に、解決へ向けて尽力しています。あなたを守る最後の”とりで”になります。
渡邊法律事務所のホームページはこちら。 渡邊律弁護士のプロフィール詳細はこちら。 〜経歴〜
- 大学卒業後、家庭裁判所調査官(補)(国家公務員Ⅰ種)試験合格。最高裁判所に採用。
- 心理学、精神分析学、心理テスト、面接技法、教育学、社会学、社会福祉学等を修得。
- 宇都宮や高知、東京家庭裁判所立川支部等の各家庭裁判所本庁および支部に勤務。
- 司法試験合格後、 家庭裁判所調査官を退職。司法修習修了後、栃木県弁護士会にて弁護士登録。
- 夫婦カウンセラー資格、行政書士試験合格、ファイナンシャル・プランニング技能検定3級試験合格。
◆痴漢の示談金の相場
示談とは、被害者が被った損害を金額に換算し(示談金)、それを加害者が支払い、加害者と被害者の話し合いの中で解決することです。慰謝料の一部として、示談金が存在します。
もしあなたが痴漢の加害者になってしまった場合、示談金を支払うことで前科をつけず、問題を解決できたり、逮捕されたとしても早期釈放を望むことができます。
それでは、痴漢の示談金の相場はいくらなのでしょうか?
◇迷惑防止条例違反が疑われる場合
迷惑防止条例違反の場合、罰則は6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金です。
その点を考慮し、迷惑防止条例違反だと判断される可能性が高い場合、痴漢の示談金の相場は10~50万円程度が多いと思われます。
迷惑防止条例違反に問われるのは、比較的軽度と取られる痴漢行為の場合です。
痴漢行為の重さにより金額差が生じますが、示談はあくまで被害者の納得が最優先になります。
そのため、余程軽い痴漢行為であった場合を除いては、10万円程度の示談金で合意してもらうことは難しいと考えておいた方が良いでしょう。
ただし、弁護士に相談し、被害者に交渉してもらうことで、できるだけ抑えた金額で示談交渉を成立させられる可能性があります。お困りの際はぜひ弁護士へご相談ください。
◇強制わいせつ罪が疑われる場合
強制わいせつ罪に違反した場合の罰則は、6ヶ月以上10年以下の懲役になります。
その点を考慮し、強制わいせつ罪が疑われた場合、痴漢の示談金の相場は30~150万円程度が多いと思われます。
強制わいせつ罪は、「暴行又は脅迫」を手段として相手を抵抗困難に至らしめるような状況で行われるもので、比較的重度と取れられる痴漢行為の場合に問われることがあります。
具体的な行為としては、服の中を触ったり、服の上からでも女性器や胸等を触ったりするもの、執拗に頻回胸を触ったり強く触ったりすること、などです。
これより軽度の痴漢行為であれば、迷惑防止条例違反に問われることが多いでしょう。
◇その他に示談交渉の際に参考とされる基準
前述したように、基本的には行った痴漢行為が迷惑防止条例違反として疑われるか、強制わいせつ罪として疑われるかという基準で適切な示談金の額を想定します。
それに加え、「被害者が受けた精神的衝撃やインパクトがどの程度だったか」も考える必要があります。
というのも、痴漢の示談は相手が納得するかどうかが重要であり、相手の衝撃に対応できる金額にする必要があるからです。
迷惑防止条例違反の相場の最低額である10万円で示談金を相手に提示することで謝罪の意識が低いと感じられ、相手の怒りを買ってしまうリスクもあるため、その可能性も考え、10万円よりももう少し高い金額で提示する必要がある場合もあります。
あなたの痴漢事件の場合はどの程度の金額で示談を成立させるべきなのかについては、弁護士に相談すればアドバイスをもらうことができます。
相手の怒りをこれ以上買わず、適切な示談金の額を提示できるよう、まずは弁護士に相談してみましょう。
◆痴漢の示談金交渉の流れ
痴漢の示談金の相場が分かったところで、示談金交渉はどのように進めれば良いのでしょうか?
前科がつくことを回避したかったり、逮捕後の早期釈放を望むのであれば、被害者に起訴される前に示談金交渉を成立させる必要がありますので、必要な流れをしっかり理解しましょう。
◇被害者に連絡を取る
まずは痴漢の被害者に連絡を取り、示談金の申し込みを行いましょう。
ただし、痴漢事件のため被害者の連絡先を手に入れることは容易ではありません。警察や検察は被害者の連絡先を知っていますが、そこから聞き出すことはできません。
そのため、被害者と連絡を取るには弁護士に依頼をする必要があります。
弁護士であれば、被害者に示談金交渉に応じる気がある場合、連絡先を知らせてもらえる可能性があるからです。
また、弁護士であれば被害者が示談に取り合ってくれるよう交渉してくれる場合もあるため、より確実に示談を成立させたい場合は弁護士への相談がおすすめです。
◇示談金の詳細について協議する
被害者が申し込みを了承した場合は、示談金の額をどうするか、その示談金をどのような方法でいつまでに支払うのか等について、被害者と協議の上で詳細に決定していきます。
この時も弁護士に間に入ってもらうことで、「自分の場合はどの程度の示談金が相場となるのか」を事前に理解し、自分に極力損が出ないような形で協議を進めることができます。
◇示談書を作成する
痴漢の示談金についての詳細が決定したら、両者が合意した内容で示談書を作成します。示談書に加害者、被害者両名が署名、押印をしたら、示談が成立します。
あとは、示談書の内容の通りに支払いを済ませるだけです。
◆痴漢の示談金に関するポイント
痴漢の示談交渉をする場合、いくつかポイントがあります。下記にてご紹介しますので、押さえておきましょう。
◇示談金交渉の際に加害者の資力は加味される?
痴漢の示談金に関するポイントのひとつ目は、示談金交渉の際には加害者の資力は原則加味されないというものです。
というのも、示談を行うのは被害者の心の慰みのためであり、納得であるからです。
そのため、加害者側の収入が低かったとしても、被害者が納得する金額で示談交渉をする必要があります。
もし現実問題として加害者に示談金を支払う余力がない場合は、その現状を被害者の方に粘り強く説明し、支払える金額の範囲内で交渉するしかありません。
また、今後は被害者と会う可能性のある通勤ルートを使わないよう約束する等、金銭面以外でも被害者の安心につながる要素を提示し、少ない示談金であっても、誠実に交渉するという方法もあります。
その際には、弁護士へ相談しましょう。
弁護士に代理で交渉してもらうことで、スムーズに交渉が進む可能性が高まるでしょう。
◇一括で支払う能力がない場合は?
痴漢の示談金に関するポイントのふたつ目は、示談金の金額が大きく、一括で支払う能力がない場合は、被害者との交渉次第で分割払いが可能になる場合があるということです。
前述したように、示談金交渉はあくまでも加害者と被害者の間での話し合いですべて決定されるため、被害者が要望に応じてくれれば、様々な支払い形態が可能となります。
◇痴漢の示談金交渉をするベストなタイミングは?
痴漢の示談金に関するポイントのみっつ目は、痴漢の示談金交渉をするなら、可能な限り早めに行った方が良いというものです。
もしあなたがまだ逮捕されていない場合、逮捕される前に示談を成立させなければ、警察などの捜査機関内で捜査の対象となった人物として残される履歴「前歴」に名前が残ってしまいます。
もしあなたが逮捕され、起訴された結果有罪になった場合は、前科が残ってしまいます。
逮捕から起訴までは原則として23日間程度しかないため、確実に前科を残さないようにするためには、その間に示談金交渉を成立させる必要があります。
いずれの場合でも時間はかなり限られていますので、早め早めの内に示談交渉を開始しましょう。
弁護士へもお早めにご相談されることをおすすめします。
*在宅事件の場合も早めの示談交渉がおすすめです*
事件には警察署で取り調べ等が行われ、逮捕・勾留される「身柄事件」と、逃亡の恐れが少ない加害者が各自の自宅で待機し、その間に捜査が進められる「在宅事件」があります。
在宅事件の場合身柄事件よりも起訴までの時間が比較的長くなる傾向がありますが、それでもいつ起訴されるかは分からないため、早めに示談交渉を進める必要があります。
◆痴漢の示談金交渉を考えているなら
痴漢の示談金交渉をお考えの方は、弁護士へのご相談がおすすめです。
前述したように、下記のようなメリットが考えられるからです。
- そもそも弁護士なしで被害者の連絡先を知ることは難しい。
- 弁護士に相談すれば、連絡先の入手から示談交渉の申し込み、交渉まで幅広く対応してもらえる可能性がある。
- 素人では気づけない法律知識や交渉ごとがカバーできる。痴漢の示談金の正しい相場等も教えてもらえるため、損をせずに済む可能性が高い。
- 示談金交渉以外でも、痴漢事件に関して、弁護士目線で有意義なアドバイスをもらえる。
- 痴漢事件が冤罪だった場合の対処法も教えてもらえる。
このように、損をせずに話を進められるメリットが多くありますので、痴漢の示談金交渉等でお悩みの場合は、ぜひ弁護士までお気軽にご相談ください。
◇実際に痴漢の示談成立に成功した事例
実際に私が加害者側を弁護した痴漢事件で、被害者との示談金交渉に成功した事例があります。
加害者側であるご依頼者様は、痴漢をして警察に捕まっていたため、私はすぐに接見に行きました。
ご依頼者様から「直ちに罪を償いたい」という意思を確認したため、検察を通じて被害者の方の意思も確認しました。
被害者の方から示談に応じる意思を確認できたため、まずはこちらから20万円の示談金を提示しました。
相手方は50万円で提示されましたが、こちらとしては経済的に50万円の支払いは厳しく、一括の支払いであれば20万円が限界であることを説明し、通勤ルートを変えるという条件も追加し、再度交渉を行いました。
その結果、20万円の示談金で合意をいただくことができました。
このように、被害者目線で、被害者の方が今後安心して過ごせるような観点も含めて示談交渉を行うことはとても重要です。
示談交渉は弁護士へお頼りください。
◆痴漢の示談金交渉でお悩みのあなたへ
前述したように、示談交渉は、痴漢の被害者の方がどの程度の金額で納得してくれるのかが最も重要な要素となります。
相手方が提示している金額の支払いが難しい場合は、こちらの資金状況を丁寧に説明したり、通勤ルートを変更すること等を約束するなど、誠実に対話を続けることで、示談金を減額してもらえる可能性もあります。
痴漢事件で逮捕され、示談金交渉がうまくいかないと、場合によっては起訴されてしまうことも考えられるため、加害者側は、できれば示談で解決させたいものだと思います。
しかし、一番大切なのは、被害者の心の慰み、納得です。
そのためには、心から謝罪し、誠実に対応し、相手を傷付けないよう、しっかり交渉を進めることが非常に重要です。
その際には、ぜひ弁護士にご相談ください。
この記事は、カケコムの記事(https://www.kakekomu.com/media/52761/)からご確認いただけます。
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