〜動植物の抱える問題を知ろう〜 「希少な野生生物を守る『種の保存法』」 「森林育成と国産材活用の重要性」

内閣府政府広報室

およそ40億年にもわたる進化の歴史で様々な環境に適応してきた地球上の生物は、確認されているだけでも約175万種、未知の種も含めると500~3,000万種が、世界中で生息していると言われています。こうした多種多様な野生生物がつながり合って形づくられている地球の豊かな自然は、私たちにとっても大切な「資源」です。しかし、それらを取り巻く環境は、開発による生息地破壊や土壌・水質汚染、地球温暖化といった人間の活動によって急速に悪化しています。そこで今回は貴重な自然を守り育てる取組として、「希少な野生生物を守る『種の保存法』」「森林育成と国産材活用の重要性」についてお伝えします。

かつてないスピードで絶滅している希少な野生生物を保護するための様々な法律があります。

資料:環境省「生物多様性国家戦略2010パンフレット」資料:環境省「生物多様性国家戦略2010パンフレット」

「種の保存法」について知っていますか?

近年における野生生物の絶滅スピードは過去の1,000倍、さらに将来は現在の10倍以上になると予測されています。それを防ぐために、野生生物の生息・生育環境の保全、乱獲の防止、絶滅のおそれのある種の保護増殖といった様々な取組が行われており、その一例としては、無秩序な採取・乱獲を規制し、絶滅のおそれのある野生動物の種の保護のための「ワシントン条約」があります。日本は昭和55年に批准しており、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」で輸出入を規制しています。そして、日本国内における絶滅のおそれがある野生生物の取扱いについては、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称:種の保存法)」(平成5年施行)によって規制しています。また、こうした希少生物の違法取引が後を絶たないことから、昨年6月に「種の保存法」が改正され、違法取引に対する罰則の上限を大幅に引き上げること、などが盛り込まれました。種の保存法では、外国産および国内に生息・生育する希少野生生物の保護を次のように規定しています。




(1)個体などの取引規制 (数値は昨年6月現在)

ワシントン条約 附属書I掲載種の例 (アフリカゾウ、トラ、チンパンジー、 オオバタン、アカウミガメ)ワシントン条約 附属書I掲載種の例 (アフリカゾウ、トラ、チンパンジー、 オオバタン、アカウミガメ)

この法律により「国際希少野生動植物種(688種類)(※1)」「国内希少野生動植物種(89種類)(※2)」または「緊急指定種」に指定された種の生物が売買などの取引の規制対象になります。生きている個体(生体)のほか、はく製や標本、器官(羽・毛・皮・牙など)や加工品(毛皮の敷物、皮革製品、漢方薬など)も含まれます(種によっては売買禁止や売買するには登録を受けなければならない場合もあり)。

※1:外国産の希少野生生物のうち、「ワシントン条約 付属書I 掲載種」および「二国間渡り鳥など保護条約・協定 通報種」に該当する種

※2:日本国内に生息・生育する野生生物で、絶滅のおそれのある種(環境省レッドリストの絶滅危惧I類及びII類に該当)のうち、人為の影響により生息・生育状況に支障を来す事情が生じている種



国内希少野生動植物種の例  (ヤンバルクイナ、オガサワラシジミ、 アツモリソウ)国内希少野生動植物種の例 (ヤンバルクイナ、オガサワラシジミ、 アツモリソウ)

(2)生息地保護
生息・生育環境の保全を図る必要があると認められた国内希少野生動植物種については、生息地等保護区を指定し、その区域内における開発行為などを禁止しています。

(3)保護増殖(増殖のための保護)
個体の繁殖促進、生息地などの整備などの事業推進をする必要があると認められる国内希少野生動植物種については、保護増殖事業の計画策定および実施を行っています。

しかし、こうした希少生物の違法取引が後を絶たないことから、昨年6月に「種の保存法」が改正され、違法取引に対する罰則の上限を大幅に引き上げ、などが盛り込まれました。

<強化された規制や罰則の内容について詳しく知りたい方はこちら>
URL: http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/2.html


国産材の供給量は、国内全体の木材需要量の3割弱にとどまっています。
健全な森林育成のために、国産材を使うといいってホント?

資料:林野庁業務資料(各年の3月31日現在の数値) 注:総数と内訳の計の不一致は単位未満の四捨五入による資料:林野庁業務資料(各年の3月31日現在の数値) 注:総数と内訳の計の不一致は単位未満の四捨五入による

国土面積の3分の2を森林が占める世界でも有数の森林国である我が国の森林資源(蓄積)(※1)は約49億立方メートルであり、その約6割を「人工林(※2)」が占めています。また、森林資源の蓄積量は毎年約1 億立方メートル程度増加しており、その多くが人工林の成長によるものですが、植栽した木を間引きして密度を調整する間伐(かんばつ)などの手入れが行き届かず、荒れてしまった森林が見られるようになっています。こうした人工林を元気にするためには、「植林」→「育成(間伐などの手入れ)」→「(成長した木を)伐採」、そして「国産材を利用する」というサイクルを回していくことが重要だと言われています。では、なぜ国産材を利用することが、森林育成に繋がるのでしょうか。


※1: 森林を構成する樹木の幹の体積のこと。森林資源の量の目安となる。
※2:人の手により植栽された森林。主に、スギ・ヒノキ・カラマツなどの針葉樹。

(1)森林の多面的機能を保持

森林の多面的機能(イメージ図)森林の多面的機能(イメージ図)

森林には、水源のかん養や土砂災害の防止、林産物の供給、保健休養の場の提供、生物多様性の保全といった多様な機能を持っています(これを森林の多面的機能と言います)。光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する樹木の活動は、深刻な問題となっている地球温暖化への対策としても重要です。しかし、間伐などの手入れが行われないと、木立の間に日光が差し込まず下草が生えないなどにより土壌が失われたり、土砂崩れの原因となったりします。また、適切な伐採が行われないことで新しい木が植えられず、高齢の木々ばかりとなって二酸化炭素の吸収量が低下してしまうなど、森林の持つ多面的機能の低下につながってしまいます。
そこで積極的に国産材が利用されれば、健全な森林の整備を進めることができ、森林はバランスのとれた状態となって多面的機能の維持が可能になります。

(2)農山村地域の活性化に貢献
私たちが普段から国産材を使った製品を積極的に使うことで、その対価は山村に還元されます。木材の自給力向上によって健全な森林整備を進められます。
それが、働き手の増加などにもつながり、農山村地域の活性化にも貢献します。

(写真提供:林野庁) 〈左〉間伐されず日光が遮られ荒れた森林(下草が生え ない) 〈右〉間伐され、活き活きとした森林(地表に日光が入り下草で覆われて いる)(写真提供:林野庁) 〈左〉間伐されず日光が遮られ荒れた森林(下草が生え ない) 〈右〉間伐され、活き活きとした森林(地表に日光が入り下草で覆われて いる)

<森林育成のために私たちにもできる身近なエコ活動の詳細はこちら>
URL: http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201310/3.html

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