日本の喫茶店文化こそサステナビリティ:エシカル消費促進に向けたキーコーヒーの伝統的取り組みの進化

株式会社hootfolio 社外取締役 加藤拓巳(明治大学准教授)が参画したキーコーヒー株式会社との研究プロジェクトの成果が、日本マーケティング学会 カンファレンス 2025で発表されました。

フートフォリオ

 近年、多くの企業が顧客価値とサステナビリティの両立に向けて、様々な挑戦をしています。しかし、日本に根付く文化の中にはそもそもサステナビリティに関連する活動があるはずです。本研究は、喫茶店文化に着眼しました。サステナビリティ要件としては、店舗と農園における人権・環境への配慮があります。これらは、喫茶店のクラフトパーソンシップとして習慣化されている活動に対応づけられます。店舗の人権としては誇りと専門性を持って働く喫茶店のマスター、農園の環境としては素材の生産地環境にこだわる職人、店舗の環境としては「もったいない精神」が根差した食品づくりが該当します。そこで、顧客価値とサステナビリティを両立するコーヒーのブランドコンセプトとして、喫茶店のクラフトパーソンシップを軸とした「匠の一杯」を企画・開発しました。実店舗での AB テストの結果、「サステナブルコーヒー」と訴求した場合に比べて、当該コンセプトは、売り上げが約 1.5 倍になりました。この結果は、新しいビジネストレンドが海外から流入した際、新しい取り組みを模索する例が多いですが、既に根付いている文化に着目することの重要性を示唆しています。この内容は、株式会社 hootfolio 社外取締役である明治大学商学部准教授 加藤拓巳が参画したキーコーヒー株式会社のサステナビリティ活動の消費者価値への転換の研究プロジェクトの成果で、日本マーケティング学会 カンファレンス 2025 で発表しました。

出典:加藤拓巳・関口友則・黒木鷹・田中正登志・中野正崇・梶川裕矢. (2025). 喫茶店のクラフ

トパーソンシップがもたらすロイヤルティ: キーコーヒーを対象としたエシカル特性の消費者価

値への転換の店舗実証. 日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス .

https://www.j-mac.or.jp/oral/dtl.php?os_id=545

1. カフェブランドのロイヤルティの要因について、社会的望ましさバイアスの影響を抑えるために、

  店舗と農園の人権・環境というエシカル特性に加え、主要要因(ブランド、商品、店舗、スタッ

  フ、価格)を網羅して評価しました。その結果、ブランド・商品・店舗が顕著な正の効果を示した

  一方で、人権配慮と環境配慮は有意な効果は検出されませんでした(図 1)。つまり、現状ではカフ

  ェのサステナビリティは、消費者視点では価値になり得ていません。

2. エシカル消費では利他的動機が着目されやすいが、購入行動に駆り立てるには利己的動機が重要で

  す。特に、エシカル商品は価格が高いため、その金額を受け入れるための価値を具体的に消費者に

  理解してもらう必要があります。そこでコンセプトの定義が求められます。

3.  本研究では、クラフトパーソンシップの知見に基づいて、喫茶店に着目をしました。図 2 に示す

  とおり、店舗の人権としては誇りと専門性を持って働く喫茶店のマスター、農園の環境としては素

  材の生産地環境にこだわる職人、店舗の環境としては「もったいない精神」が根差した食品づくり

  が該当します。そこで、図 3 に示すとおり、エシカルコーヒーを対象として、従来のサステナビリ

  ティコンセプトと喫茶店コンセプトを設計しました。

4. KEY’S CAFÉ -CLASSE-における実店舗での AB テストを 2025 年 2 月 4 日から 3 月 28 日の平

  日(36 日間)に実施しました。各週週でサステナビリティと喫茶店のクラフトパーソンシップを入

  れ替えました。通常のコーヒーより 20 円高い、サステナブル認証を受けたエシカルコーヒーの商

  品を対象とし、店頭の看板とタペストリー、レジ前のデジタルサイネージとメニューにて、コンセ

  プトのマーケティングコミュニケーションを提示しました(図 4)。その結果、サステナビリティを

  訴求した場合に比べて喫茶店のクラフトパーソンシップコンセプトは、売り上げが約 1.5 倍になり

  ました。

5. 新しいビジネストレンドが海外から流入した際、新しい取り組みを模索する例が多いですが、本研

  究の結果は既に根付いている文化・習慣・活動に着目することの重要性を示唆しています。

図 1. causal analysis*によるカフェのロイヤルティ要因の分析 

* causal analysis: 株式会社 hootfolio の因果 AI サービスの名称

図 2. サステナビリティ要件と喫茶店のクラフトパーソンシップの関係
図 3. サステナビリティコンセプトと喫茶店のクラフトパーソンシップコンセプト
図 4. KEY’S CAFÉ -CLASSE-における店舗実験の様子

◼️株式会社hootfolioについて

2025年1月に日本電気株式会社(NEC)からカーブアウトしたスタートアップです。「科学的な意思決定をあらゆる人に」をミッションに掲げ、因果AIを活用したSaaS型分析サービス「causal analysis®」を提供しています。 NEC発スタートアップとして培った技術力を基盤に、企業・行政・研究機関と連携し、科学的意思決定の社会実装を加速してまいります。

◼️この記事に関連するページ

株式会社 hootfolio: https://hootfolio.com/

キーコーヒー株式会社プレスリリース:

https://www.keycoffee.co.jp/news/detail/news_251014

株式会社hootfolio

株式会社hootfolio

会社名  :株式会社hootfolio
所在地  :東京都港区芝5-32-12 シャーメゾンステージ田町
設立   :2024年8 月
代表者  :笠原 健太 
企業サイト:https://hootfolio.com/
事業内容: 因果分析ソリューション「causal analysis」の提供

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会社概要

株式会社hootfolio

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URL
https://hootfolio.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区芝5032012 シャーメゾンステージ田町
電話番号
-
代表者名
笠原健太
上場
未上場
資本金
-
設立
2024年08月