SNS上の偽エンゲージメントが1.40ドル(220円)で買えること自体よりも、詐欺に対する私たちの無警戒な姿勢こそが問題
広告で紹介されている商品に好意的なレビューやコメントが並び、利用者の満足度が高く、再生数も多かったため、興味を引かれた経験はないでしょうか。実際には、偽のエンゲージメントによって人気が水増しされたコンテンツに誘導されていた可能性があります。
Surfsharkは、SNS上で作り出される「偽りの人気」の実態を明らかにしました。調査によると、わずか1.40(220円)ドルで偽のエンゲージメントを購入でき、実際のユーザーからの関心が、作為的に水増しされた反応によって覆い隠されるおそれがあります。また、再生数やコメント数、フォロワー数が多いからといって、そのコンテンツが信頼できるとは限らないと警告しています。

Surfsharkの最高セキュリティ責任者(CSO)であるトマス・スタムリス氏(以下、同氏)は、最も重要な問題は偽エンゲージメントの格安なコストそのものではなく、ネット閲覧時における私たち自身の無警戒な姿勢や懐疑心の欠如にあると説明します。私たちは、コンテンツをフィルタリングしたり正当性を検証するサインを能動的に探したりする意識がまだ十分に育っていないため、詐欺の可能性があると気づかずに広告やページを信用し、やり取りしてしまうことがよくあります。
Surfsharkの分析によると、SNS投稿の偽再生回数は、調査したすべてのプラットフォームにおいて最も安価なエンゲージメント形態であるという明確な傾向が示されました。価格はTikTokの1,000回再生あたり1.40ドル(220円)から、YouTubeの1,000回再生あたり6.70ドル(1,052円)となっています。対照的に、コメントはSNS上で最も高額な偽エンゲージメントです。利用可能なデータによると、1,000コメントあたりの平均価格はYouTubeが最も安く93ドル(14,601円)、次いでInstagramが104ドル(16,328円)、TikTokが140ドル(21,980円)、Facebookが287ドル(45,059円)でした。※1米ドル=157円で換算
同氏は、次のように述べています。
「再生回数はボットによって簡単に達成でき、投稿のユニーク性を担保するために信頼できるアカウントや人間の操作を必要としません。プラットフォームがボットを削除しても、再生回数には影響しません。一方で、コメントはその逆です。偽アカウントが削除されれば、そのコメントも消えてしまいます」
同氏によると、SNSのスパムフィルターは、ボットによる操作やコメントを常時監視しています。そのため、同一内容と判定されないコメントを作るには、AIだけでなく人間による入力も必要です。こうした背景から、エンゲージメント数が非常に多く、好意的なコメントばかりが並んでいる広告や投稿を見かけた場合は、安易に信用せず、広告主や商品の信頼性を慎重に確認する必要があります。
詐欺業者はフォロワー数やリポスト数も偽装する
今回の調査では、シェア、リポスト、リツイートは、偽エンゲージメントの中で2番目に高額な傾向にあることも分かりました。
偽のシェア1,000件を購入する場合、最も高額なのはTikTokの68ドル(10,676円)です。次いでInstagramとFacebookが37ドル(5,809円)、Xが27ドル(4,239円)となっています。一方、YouTubeは例外的に安く、1,000件あたり17ドル(2,669円)です。
フォロワーやチャンネル登録者も、比較的安価に購入できます。Facebook、TikTok、Instagram、Xでは、偽のフォロワー1,000人あたりの表示価格は14〜20ドル(2,198〜3,140円)です。YouTubeは明確な例外であり、偽のチャンネル登録者1,000人の価格は78ドル(12,246円)でした。これは、その他4つのプラットフォームにおけるフォロワーの平均価格の4倍以上です。※1米ドル=157円で換算
同氏は、次のように述べています。
「フォロワー数が多いアカウントや人物は、実際に世間から高い関心を集めていると受け取られがちです。しかし、一部のページについて、実際に誰がフォローし、コンテンツをシェアしているのかを確認すると、驚くかもしれません。
そこには、実体のない休眠アカウントや、自動生成されたユーザー名を持つボット、さらには、支持しているはずのコンテンツを一秒も視聴したことがない購入済みのアカウントが大量に並んでいることがあります」
広告やアカウントの信頼性を確認する4つの方法
スタムリスは、広告やSNSページの信頼性を確認する方法として、次の4点を挙げています。
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フォロワー数とエンゲージメント数の割合を確認する
一般的なアカウントでは、「いいね」の数は総フォロワー数の1〜5%程度が一つの目安です。フォロワーが50万人いるにもかかわらず、「いいね」が200件しかない場合は、何らかの不自然な点がある可能性があります。
2. 実際のコメント欄を確認する
「すばらしいコンテンツ!」「大好きです!」「最高の投稿です」といった、内容が抽象的で似通ったコメントは、偽の可能性があります。
また、短い時間帯に集中して投稿されていたり、表現や文章の構造が似ていたりするコメントも、偽装されたものと判断する手掛かりになります。
3. アカウントの成長履歴を確認する
アカウントのフォロワー数や成長の推移を確認できる専用ツールがあります。短期間でフォロワー数が急増している場合は、偽のエンゲージメントを購入している可能性があります。
4. フォロワーのプロフィールを分析する
フォロワーの中から10〜20件程度のプロフィールを確認します。ボットアカウントには、ユーザー名の形式が似ている、アカウントの作成時期が集中している、友達やフォロワーが少ない一方で多数のアカウントをフォローしているといった共通点が見られる傾向があります。
調査方法と情報源
本分析は、Surfsharkが2026年7月に実施しました。
価格データは、Facebook、Instagram、TikTok、YouTube、X(旧Twitter)の主要SNS5社を対象に、SocialWickとBuzzVoiceから収集しました。この2つのウェブサイトは、複数の主要プラットフォームについて、さまざまな種類の人工的なエンゲージメントの価格を公開しており、比較に適していることから調査対象に選定しました。
本調査では、偽の再生数、「いいね」、シェア、フォロワー、コメントの表示価格を調べました。各サービスの価格を比較できるよう、すべての金額を1,000件あたりの価格に換算しています。
一方または両方の事業者から価格情報を取得できなかった項目については、入手可能なデータのみを基に結論を算出しました。
本調査の詳細な資料については、こちらをご覧ください。
Surfsharkとは
Surfsharkは、監査済みVPNや認証済みアンチウイルス、データ漏えい警告システム、プライベート検索エンジン、オンラインアイデンティティ生成ツールなどを提供するサイバーセキュリティ企業です。CNETやTechRadarなどのメディアから有力なVPNサービスとして評価されており、FT1000:Europe’s Fastest Growing Companies(欧州の急成長企業ランキング)にも掲載されています。
本社はオランダにあり、リトアニアおよびポーランドにもオフィスを構えています。Surfsharkの事業概要や主な取り組みについては、同社の年次総括をご覧ください。また、その他の調査プロジェクトについては調査レポートをご参照ください。
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