納豆菌でニワトリの暑さストレスを軽減
―産卵率の低下を抑える可能性―
タカノフーズ株式会社(本社:茨城県小美玉市、代表取締役:髙野 成徳)・タカノバイオ株式会社(本社:茨城県小美玉市、代表取締役:安田 優)は、椙山女学園大学生活科学部管理栄養学科 食品衛生学研究室 門屋亨介 准教授との共同研究において、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto TTCC903)で発酵させた納豆を添加した飼料が、高温環境下における高齢産卵鶏の暑熱ストレスを軽減し、産卵成績の低下を抑える可能性を明らかにしました。
本研究成果は、国際学術誌「Poultry Science」(※1)に掲載されました。また、本研究内容は日本家禽学会において優秀発表賞を受賞しました。
【研究の背景】
近年、地球温暖化の影響により夏季の高温環境が深刻化しており、養鶏産業においても大きな課題となっています。ニワトリは高温環境に対して非常に敏感であり、いわゆる「暑熱ストレス」を受けると、摂餌量の低下、代謝の変化、さらには酸化ストレスの増加が生じます。その結果、産卵率の低下や卵殻強度の低下といった生産性の悪化が引き起こされます。
特に高齢の産卵鶏では、加齢に伴う生理機能の低下により暑熱ストレスの影響を受けやすく、生産性の維持がより困難になることが知られています。このような背景から、暑熱ストレスを軽減しつつ生産性を維持できる飼料添加物の開発が強く求められています。
近年、プロバイオティクス(有益微生物)を利用した腸内環境の改善が、家畜の健康維持やストレス耐性向上に寄与する可能性が注目されています。中でも納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)は、ヒトの食品として広く利用されてきた安全性の高い微生物であり、抗菌作用や免疫調節作用などが報告されています。
しかし、養鶏分野において暑熱ストレスとの関係を詳細に検証した研究は限られていました。
【研究結果 まとめ】
納豆菌を添加した飼料が高温環境下におけるニワトリのストレスを軽減し、産卵成績の低下を抑える可能性を明らかにしました。

【研究の内容(概要)】
本研究では、納豆を添加した飼料が暑熱ストレス環境下における産卵鶏の生理および生産性に与える影響を評価しました。実験では、高齢の産卵鶏を対象に、約30℃の高温環境を再現し、納豆を含まない対照群と、異なる濃度の乾燥納豆を添加した飼料群を比較しました(図1)。
【試験概要】
・対象:産卵鶏
(White Leghorn Julia)
・週齢:71週齢~
・羽数:135羽
・試験期間:12週間
・環境:30℃前後の暑熱環境
・比較群:
- 非給与区
- 0.05%納豆給与区
- 0.5%納豆給与区

その結果、納豆を給与した群では、血中の脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒド(MDA)濃度の上昇が抑制され、酸化ストレスの軽減が示唆されました。 (図2)

さらに、産卵率(hen-housed egg production)および飼料要求率(feed conversion ratio)の改善が確認され、暑熱環境下でも生産性を維持できる可能性が示されました。(図3)

また、糞便中から納豆菌が検出され、給与期間中および給与終了後も一定期間残存していたことから、腸内環境への関与が示唆されました。
加えて、軟便・下痢発生の増加が抑制される傾向が認められるとともに、腸管形態の指標である絨毛高さと陰窩深さの比(villus height-to-crypt depth ratio)が改善する傾向も認められ、腸の構造的な状態にも影響を及ぼしている可能性が考えられます。(図4)

【得られた示唆】
本研究は、納豆菌を用いた飼料添加が、暑熱ストレス下における産卵成績の維持に寄与する可能性を示したものです。
【今後の展望】
本研究では、特定の納豆菌株(Bacillus subtilis var. natto TTCC903)を用いていますが、他の納豆菌との比較や、作用メカニズムの詳細については今後の課題です。今後は、腸内環境との関係や有効性の違いについてさらに検証を進める予定です。今後も、家畜の健康および生産性維持改善に関する研究を進め、畜産分野の課題解決に貢献してまいります。
【研究成果の位置づけ】
本研究は、高週齢の鶏を対象に、納豆菌由来プロバイオティクスが暑熱ストレス下における生産性や健康維持に及ぼす影響を検証した研究です。特に、生産効率の低下により淘汰対象となりやすい高週齢鶏に着目し、暑熱環境下での生産性維持の可能性を示した点で、学術的・産業的に重要な意義を有します。本成果からは、養鶏分野におけるプロバイオティクスの活用による、持続的かつ効率的な生産への貢献が期待されます。
論文情報(※1)
■論文タイトル
Dietary supplementation with natto fermented by Bacillus subtilis var. natto strain TTCC903 alleviates heat stress and improves egg production in aged laying hens
■掲載誌
Poultry Science
■掲載日
2026年5月1日
■DOI
https://doi.org/10.1016/j.psj.2026.107039
論文原文はこちらのURLからダウンロード頂けます。
用語解説
■マロンジアルデヒド(MDA)
酸化ストレスの指標の一つ。数値が低いほどストレスダメージが少ない状態を示す。
■ヘンハウス産卵率(HHEP)
飼育開始時の羽数に対する累積産卵数を示す指標。
■飼料要求率(FCR)
1kgの卵を生産するために必要な飼料量を示す指標。
■絨毛高さ/陰窩深さ比(VCR)
腸内の栄養吸収状態を示す指標。数値が高いほど健康な腸状態を示す。
会社概要
■会社名 :タカノフーズ株式会社
■本社住所 :茨城県小美玉市野田1542
■創業 :1932年(昭和7年)2月
■設立 :1957年(昭和32年)12月
■資本金 :1億円
■代表取締役 :髙野成徳
■従業員数 :1,905名(2026年3月現在)
■事業内容 :登録商標「おかめ納豆」「おかめ豆腐」及び惣菜類の製造販売
■URL :https://www.takanofoods.co.jp/
会社概要
■会社名 :タカノバイオ株式会社(タカノフーズグループ)
■本社住所 :茨城県小美玉市野田1542
■設立 :2021年(令和3年)9月
■資本金 :3,000万円
■代表取締役 :安田 優
■事業内容 :納豆を原料とした家畜飼料の製造、販売
■URL :https://takanobio.co.jp/index.html
【椙山女学園大学へのお問合せ先】
■ 椙山女学園大学生活科学部管理栄養学科
担当:門屋 亨介
Mail: rkadoya@sugiyama-u.ac.jp
【タカノフーズ・タカノバイオへのお問合せ先】
■ 広報事務局 担当:渡辺
電話:03-5358-1932 FAX:050-3606-2967
Mail:akihiko-watanabe@eau-rouge50.com
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