【黒鳥社・新刊のご案内】若林恵・畑中章宏(著)『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー 12月5日刊行!
Photo by Hiroyuki Takenouchi
宮本常一は民主主義の理論家だ!──宇野重規
黒鳥社は、民俗学者・畑中章宏さんと若林恵の共著『『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー』を2023年12月5日(火)に刊行いたします。
不世出の民俗学者・宮本常一の主著のひとつであり、今なお愛され読み継がれる『忘れられた日本人』。そこに描かれた日本人の姿を、ノスタルジアや復古主義に陥ることなく、グローバリズムとナショナリズムとが錯綜する21世紀の世界のなかにいかに価値づけ、その可能性をひらくことができるのか。
デヴィッド・グレーバーや鶴見俊輔、ジョン・デューイなどを補助線にしながら『忘れられた日本人』を読み解き、「民主主義の日本的起源」を探ります。
ぜひご覧ください。
【目次】
はじめに 若林恵
1. 翻訳 translation
2. 反作用 reaction
3. 寄合 consensus
4. 実施 practice
5. 経営体 enterprise
6. 海賊 pirates
7. 世間 worldly
8. 環世界 unwelt
9. 進歩 progress
10. 実験 experiment
11. 道具 tools
12. 伝承 lore
おわりに 畑中章宏
『忘れられた日本人』をひらく 本文より一部抜粋
「デモクラティックな空間」のオルタナティブなモデルがいったいどういう条件のもとで成立するのかを検討する上で、『忘れられた日本人』で宮本常一が着目したのは、まずは「寄合」という合議システムでした── p.38
年寄りたちの言葉を通して宮本がここで言わんとしていることのひとつは、まずもって合議は「論破」ではないということです。誰かが強い主張をして誰かがいたたまれない思いをするようなことは、それこそ「コミュニティの破壊」につながりかねない── p.45
「世間」というものの最大の特徴は、それが複数同時に存在するということです。さらにいうと、個々の人は、ひとつの「世間」のなかにしか存在できないわけではなく、折り重なった複数の「世間」のなかに同時に生きています── p.102
旅というものが、共同体のなかに新しい体験や情報をもたらす回路となっていたことで、閉鎖し内向してしまいがちな「世間」をひらいていくものとして価値化されていた。このようなメカニズムをもつことで「世間」は、絶えず新陳代謝を繰り返してきました── p.107
宮本常一は、 目的としての民主主義というものよりも、どちらかというと「手段としての民主主義」あるいは「方法としての民主主義」という点に関心があったのではないかと思ったりします── p.165
村の寄合で蛇行しながら進んでいく対話のありようを、本のなかで再現しようという意図を感じました。実際『忘れられた日本人』の読み味は、まるで、どこの空間ともわからない、いつの時代かもさだかではない架空の村を、覗き見ているような気分なんですよね── p.181
3冊セットで読もう!
本書は、2023年5月に講談社現代新書より刊行された『宮本常一:歴史は庶民がつくる』(畑中章宏・著 )と 同10月に中公新書より刊行された『実験の民主主義:トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ』(宇野重規・著+若林恵・聞き手)をつなぐ副読本として構想され、畑中章宏さんと若林恵の5時間にわたる対話をもとに制作されました。3冊合わせてご覧ください。
畑中章宏 著『今を生きる思想 宮本常一:歴史は庶民がつくる』(講談社現代新書)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000376543
宇野重規 著/若林恵 聞き手『実験の民主主義』(中公新書)
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2023/10/102773.html
著者プロフィール
若林恵|Kei Wakabayashi
黒鳥社コンテンツディレクター。平凡社『月刊太陽』編集部を経て2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社設立。著書『さよなら未来』(岩波書店・2018年4月刊行)、責任編集『 次世代ガバメント:小さくて大きい政府のつくり方〈特装版〉』(黒鳥社・2021年5月)、宇野重規との共著に『実験の民主主義:トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ』(中公新書・2023年10月)。「こんにちは未来」「〈働くこと〉の人類学」「音読ブラックスワン」などのポッドキャストの企画制作でも知られる。
畑中章宏|Akihiro Hatanaka
1962年、大阪府生まれ。民俗学者。民間信仰・災害伝承から最新流行の風俗まで幅広い対象に取り組む。著書に『災害と妖怪』『忘れられた日本憲法』(ともに亜紀書房)、『天災と日本人』『廃仏毀釈』(ともにちくま新書)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』『医療民俗学序説』(ともに春秋社)、『宮本常一』(講談社現代新書)、『関東大震災』(幻冬舎新書)、『感情の民俗学』(イースト・プレス)ほか多数。
書誌情報
書名:『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー
著者:若林恵・畑中章宏
ISBN:978-4-9911260-9-3
造本・デザイン:藤田裕美
発行日:2023年12月5日(火)
発行:株式会社黒鳥社
判型:新書判/208頁
定価:1600円+税
▼書籍のご購入はこちらから
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991126093
黒鳥社とは?
いまの当たり前を疑い、あらゆる物事について、「別のありようを再想像(Re-Imagine)する」ことをミッションに、雑誌、ウェブ、映像、イベントなどメディアを問わず、コンテンツをプロダクション(制作)するコンテンツレーベルです。書籍に『ファンダムエコノミー入門 BTSから、クリエイターエコノミー、メタバースまで』(2022年6月)、『編集の提案』(2022年3月)、『働くことの人類学【活字版】仕事と自由をめぐる8つの対話』(2021年6月)他。また、ポッドキャスト「こんにちは未来」「メタバースえとせとら」、動画シリーズ「黒鳥本屋探訪」、トークライブ「blkswn jukebox」などの企画制作も行っています。
https://blkswn.tokyo
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