イーソルの主力OS「eMCOS® POSIX」がArm社の最新車載向けリアルタイムプロセッサに対応しエコシステムを更に拡大

～ Corellium社の仮想化技術を活用し、SDV時代の車載システム開発の効率化を実現 ～

イーソル株式会社（本社：東京都中野区、代表取締役社長：長谷川 勝敏、以下イーソル）は、主力製品となるスケーラブルリアルタイムOS「eMCOS POSIX」が、Arm社の最新リアルタイム安全性対応型プロセッサ「Arm® Cortex®-R82AE」に対応したことを発表しました。このことは、主要な自動車サプライチェーン・パートナー間の緊密な連携を通して、Arm社のエコシステムが目指す継続的な自動車のイノベーション推進を示しています。

この成果は、当社と同じくArm 社のエコシステム・パートナーでもあるCorellium社が開発したArm Virtual Hardware（以下AVH）の下で、Arm社の最先端Automotive Enhanced IPの仮想プロトタイプを利用することで実現しました。AVHは、ISAパリティを提供するArm IPの高性能な仮想プラットフォームをホストするクラウドサービスです。Amazon Web Services（AWS）上で動作するクラウドベースの仮想化モデルにリアルタイムOSを迅速に展開することができ、従来の仮想プロトタイプと比較して開発時間を大幅に短縮することができます。

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新しいArm Cortex-R82AEプロセッサは、Arm社の64ビット命令セットアーキテクチャ（ISA）を実装しており、高度なリアルタイム制御やセーフティアイランド*[1]を実現するアプリケーションで使用でき、システム内の機能安全を確保します。また、高機能なオペレーティングシステムの展開をサポートするメモリ管理ユニット（MMU）を提供します。新しいArm Cortex-R82AEプロセッサやArm Cortex-AプロセッサファミリーにもeMCOS POSIXを使用できることで、eMCOS POSIXは、マイクロコントローラからハイエンドSoCまでをサポートするスケーラブルなオペレーティングシステムとして位置付けられ、ミッションクリティカルなシステムに最適な選択肢となります。

今回Arm Cortex-R82AE上でeMCOS POSIXを動作させるにあたり利用したAVHは、クラウド上でネイティブに実行される仮想プラットフォーム用に特別な調整を行うことなく、eMCOS POSIXを仮想Arm Cortex-R82AEプロセッサ上にスムーズに展開することができ、開発コストを半分近くに削減することができます。

この開発プロセスの大きな利点は、物理的なハードウェアが手に入るのを待つことなく、機能を正確にテストできることです。また、ネットワーク・ドライバー、TCP/IPスタック、その他のコンポーネントが、仮想プラットフォームに変更を加えることなく、問題なく動作することを確認することも可能です。この技術により、開発者は自動車業界向けの最先端ソフトウェアの設計、開発、検証を即座に開始することができ、大幅なシフト・レフト・アプローチ*[2]を実現することができます。そのことによって、ハードウェアが利用可能になった後のソフトウェア開発の手戻りを最小限に抑え、効率を向上させることができます。

イーソル株式会社　常務取締役　ソフトウェア事業部　ビジネスマネジメント本部長　上山伸幸 のコメント
「eMCOS POSIXがArm Cortex-R82AEに対応し、クラウド上での開発を実現したことは、SDV時代の車載ソフトウェア開発を進めるうえで、もっとも重要な環境を提供することになります。弊社はこれからもArm社のエコシステム・パートナーとして、SDV時代の車載システム開発におけるイノベーションを追求し続け、ソフトウェア開発の効率化とシステムの安全性の両立に貢献していきます。」


Arm社　オートモティブ事業部　プロダクト&ソリューション担当　バイスプレジデント　Suraj Gajendra氏のコメント
「Software-Defined Vehicleの可能性を最大限に引き出すために必要な規模を実現するには、自動車のサプライチェーン全体にわたるコラボレーションが必要です。Corellium社の仮想プラットフォームを通じて利用可能になった最新のArm Automotive Enhancedテクノロジを活用することで、パートナーは、安全機能を備えたArm Cortex-R82AE上でeMCOS POSIXを活用し、より効率的で高性能なセーフティ・クリティカル・アプリケーションを迅速に開発することができます。」

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*[1] ：最終的に機能安全を担保するクリティカルなレイヤーの処理を担うCPU
*[2] ：開発ライフサイクルの早い段階での機能検証および統合活動の実施
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■補足資料

eMCOSについて

イーソルの主力製品であるeMCOS（エムコス）は、シングルコアプロセッサからマルチ・メニーコアプロセッサまでをサポートする初のスケーラブルなリアルタイム・オペレーティングシステム（リアルタイムOS）です。従来のリアルタイムOSとはまったく異なる「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ（マルチカーネルアーキテクチャ）」を採用することで、シングルコアから数百コアのメニーコアプロセッサまで対応するコア数と、OSEKやAUTOSARをベースとしたマイクロコントローラシステムからハイエンドのPOSIXやプロセスモデルベースのシステムまで対応する機能面でのスケーラビリティを実現しています。また、eMCOSは、ヘテロジニアス、ホモジニアスマルチコア、メニーコアプロセッサ、マイクロコントローラ、GPU、FPGAなど、さまざまな種類のプロセッサが混在するIoTアプリケーションに必要なヘテロジニアスコンピューティングにも最適です。さらに、イーソルの独自技術「セミプライオリティベーススケジューリング」（特許第5734941号、第5945617号）を搭載することで、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性を両立しています。また、シングルコアプロセッサやマルチコアプロセッサと同じプログラミングモデルとインターフェースを利用した、従来の方法でアプリケーションを開発できます。

▽ eMCOS 製品情報
https://www.esol.co.jp/embedded/product/emcos_overview.html

イーソル株式会社について

イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーによって安全で優れたコネクテッド社会の実現に貢献することを目指す、組込みシステムとエッジコンピューティング分野のグローバルなリーディングカンパニーです。1975年に創業し、現在東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。（証券コード:4420）イーソル独自のマルチカーネルテクノロジー（特許取得）によって開発されたeMCOS®リアルタイムオペレーティングシステム（RTOS）を中心とした高性能でスケーラブルなソフトウェアプラットフォーム製品と優れたプロフェッショナルサービスは、厳格な品質、安全性、セキュリティ基準が求められる車載システムをはじめ、FA、人工衛星、医療機器およびデジタル家電を含むあらゆる組込みアプリケーションの分野において世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、Autoware、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています。

▽ イーソル 会社情報

https://www.esol.co.jp/company/greeting.html

 *Autowareは、自動運転のためにROS/ROS 2上に構築されたオープンソースソフトウェアです。
 イーソル、イーソル株式会社、eSOLおよびeMCOSは、イーソル株式会社の日本及びその他の国における登録商標または商標です。
* ArmおよびCortexは、Arm社の日本及びその他の国における登録商標です。
* その他、記載された会社名および製品名は、各社の登録商標または商標です。