【株式会社 Veritas In Silico】lncRNA 標的核酸医薬品に関する特許共同出願のお知らせ

株式会社Veritas In Silico では、2025年7月3日付『三菱ガス化学との核酸医薬の創出及び製造方法確立を目的とする共同研究契約締結のお知らせ』でお知らせした、三菱ガス化学株式会社様との核酸医薬品(アンチセンス核酸:ASO*1)に関する共同研究:(以下「本件共同研究 と表記」)を進めております。
このたび、本件共同研究が進捗し、lncRNA*2を標的とする新たな医薬品候補物質について、三菱ガス化学株式会社様と共同で物質特許を出願いたしましたので、以下お知らせします。
● 発明の名称:核酸医薬とその使用
● 出願番号:特願2026-179989
● 出 願 人:株式会社Veritas In Silico、三菱ガス化学株式会社
● 遺伝子名:lncRNA H19
● 対象疾患:lncRNA H19が関与するがん
● 新規性:ファーストインクラス(既存薬無し)
● モダリティ:核酸医薬品(アンチセンス核酸:ASO)
● 想定開発期間:8~10年(開発スケジュールは今後詳細決定予定です)
● 開発戦略:一定の患者数がいるlncRNA H19が関与するがん患者さまを対象に、パートナリングも視野にいれながら、比較的小規模の臨床試験による承認を目指します。承認取得後、適応追加やグローバル展開を進めます。
当社は、mRNA標的創薬を可能とする当社独自開発の創薬プラットフォームaibVIS*3を活用し、医薬品市場にて最大のセグメントである低分子医薬品の創出をパートナー企業と取り組むと同時に、成長性が最も高いセグメントと期待される核酸医薬品にも自社創薬による研究開発に取り組んでおります。これはmRNA標的低分子医薬品を探求しつつ、アンメット・メディカル・ニーズが存在する希少疾患には、適切なモダリティである核酸医薬品で応えていこう、との当社の成長戦略に基づくものです。また当社の持つ技術が、低分子創薬、核酸医薬創薬のどちらにも適用可能という長所を活かし、他社との差別化を一層図っていこう、との事業戦略でもあります。
核酸医薬品は通常、mRNAを標的とするところですが、本件共同研究においては、より幅広い治療効果が期待できるよう、lncRNAを標的と定めました。lncRNAは、これまで主な創薬標的とされてきたタンパク質やmRNAとは異なる性質を有する標的分子で、遺伝子の働きを細かく調節する役割を持っています。このlncRNAの異常な働きを特定し、その働きを抑えたり、逆に強めたりする新しいタイプの治療薬の創出が期待されています。本件共同研究においては、当社の技術がmRNAと同様に、lncRNAも標的にできることを示せたことは、今後、当社が貢献できる創薬の領域を大きく広げるものと考えられます。
対象遺伝子としたH19は、タンパク質をコードしないlncRNAの一つとして知られています。H19は胚発生中に高発現し、がん細胞の増殖や浸潤、転移、治療抵抗性に関与することが報告されています。したがって、H19を標的とした核酸医薬品により、腫瘍の進行抑制や既存治療との併用効果が期待されます。また、正常細胞での発現が極めて低いことから核酸医薬品の創出対象として有望と考えられます。
これまでに、当社は独自に核酸医薬品の物質特許を複数取得・申請しておりますが、H19に対しても当社が持つ最新の知見や技術を応用する形で改良を加え、複雑な化学修飾を必要としないながらも高活性の核酸医薬品(アンチセンス核酸:ASO)の創出に成功し、このたびの特許申請となりました。なお、今回特許申請した核酸医薬品は、当社が2027年度の製造販売開始を目指している、独自開発のドラッグデリバリーシステム*4:Perfusio(パーフュージオ :2025年12月に特許取得済) との組み合わせにより、将来的には、従来よりも高い薬効を得ながら副作用の低減が期待できる治療方法の実現につながる可能性があります。
本件共同研究においては、QbD*5の観点を研究初期段階から採り入れ、創薬研究と並行してASOの製造方法・工程の開発を進めることにより、高活性・低毒性であるとともに、商業製造の際に品質と信頼性、適切なコストを達成できる核酸医薬品を創出し、また早期の製造方法の確立や、迅速な臨床試験への進展を目指します。
●今後の業績に与える影響
今回の特許出願は、当社の成長戦略にてKPIに設定している本自社パイプライン創出(2026年度分)の達成にあたります。
今後、開発期間中(8~10年を想定)、創薬研究の進捗に応じて研究開発費の支出を予定しております。このうち2026年12月期の支出については、2026年2月12日付でお知らせした業績予想に織り込まれており、その予想値に変更は生じない見込です。
なお今後、開示すべき事項が生じた場合には、速やかにお知らせいたします。
【用語解説】
*1 ASO:Antisense Oligonucleotideの略 / アンチセンス リゴヌクレオチド
核酸医薬品の一種で、標的とするmRNAと結合して、タンパク質の生成を阻害したり、mRNAの分解を促進する働きを持つ物質です。
*2 lncRNA:long non-coding RNAの略。タンパク質を作る情報を持たないRNAのうち、比較的長い塩基数を持つもので、細胞の中で遺伝子の働きを調節したり、細胞の増殖や分化、がん化に関わったりすることが知られています。近年、特定のlncRNAが疾患の発症や進行に関与することが明らかになり、創薬標的としても注目されています。
*3 aibVIS:mRNA標的創薬に必要となる全てのデジタル技術及び創薬技術を統合させたVIS独自の創薬プラットフォーム。これまでの創薬プラットフォームibVISⓇに実装されていた複数の機能特化型AI(人工知能)それぞれの発展・機能強化を図りバージョンアップを行いました。aibVISでは、AIやスーパーコンピュータ富岳 などを駆使した構造解析を行っております。
*4
ドラッグデリバリーシステム:医薬品の有効成分を治療対象となる標的(主として臓器)に届けるためのシステムです。通常は医薬品に標的臓器に選択的に到達するような分子を化学的に付加したり、薬物を脂質の二重膜で包む手法が使われます。当社では、動脈側カテーテルで対象臓器にアプローチし、物理的に医薬品を届け、さらに静脈側カテーテルで医薬品を抜き取ることにより、医薬品側に工夫をすることなく医薬品を対象臓器に届け全身に回らせないドラッグデリバリーシステムとしています。
*5 QbD:Quality by Designの略。製品設計時から製造した際に品質を担保できることを考慮に入れるという考え方です。
[お問合せ先]
● 三菱ガス化学株式会社 核酸医薬品原薬CRDMOサービス(AXELPHEXTM)特設サイト:
● Veritas In Silicoウェブサイト お問い合わせフォーム:https://www.veritasinsilico.com/contact/
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