過去最悪といわれる日中関係のさなか、在日中国人たちの本音を聞き出した『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)刊行!
記憶に新しいサンゴの密漁、くすぶり続ける領土問題、「反中・嫌中」本の流布など、日中関係の悪化がエンドレスに続いている一方で、日本にやってきて学び、働き、暮らしている中国人たちがいる。彼らの日本での暮らしぶりや、本音の日本観を中国人著者が聞き出した。
日中関係がギクシャクして、いま過去最悪といわれているが、いったい日本に住んでいる70万人といわれる中国人は何を思い、どう日々を送っているのだろうか。本書は、反日デモ1年を経て刊行した『在中日本人108人の それでも中国に住む理由』の姉妹版として企画され、刊行に至ったもの。中国人著者だからこそ聞き出せた在日中国人の本音が語られている。
たとえば、28歳で来日し、在日中国人の日本での奮闘ぶりをドキュメント映像に収めた張麗玲さん。フジテレビにかけあって、機材一式を借り出したバイタリティあふれる女性だ。撮りためた映像は編集され、中国で放送される機会を得ると、大反響を呼んだ。歌舞伎町案内人としてつとに有名であり、そして最近は日本国籍を取得し政治家への転身をはかる李小牧さんは、歓楽街で生きてきたからこそのドラマさながらの体験談を披露してくれる。日本での生活に絶望し心中まで考えた応暁雍さんは、自分と同じ子育ての悩みをもつ同胞のために、日本の役所の助けも借りて保育園を作った。15年の不法就労の末、娘の学資を稼ぎだし、無事娘を医者に育てた丁尚彪さんの苦労話もある。日本人女性と結婚し中国人民政協全国委員会委員を務める潘慶林さんは、日中両国に居を構え、政治、経済、文化の交流活動に従事している。
こうした彼ら33人の半生を追うことで、著者は次のように期待している。日本人の中国理解を助け、中国人の日本理解を助けたい。そして中日両国の人々に在日中国人事情を理解してもらい、さらには両国の若い世代にエールを送り、勇気を持って突き進むエネルギーを与えたい。
目 次
第1章 異国の地で生き抜く
映像の力で伝えたい! 28歳からの異国での挑戦/世界有数の歓楽街で生き抜いてきた27年/ママたちの不安を知る型破り保育園経営者/44歳で来日し、日本で中医学の第一人者に/禅寺で苦学し、NHKで才覚を表わす/日本のステージで光輝く人生を送る/苦節15年の不法就労、娘を医者に育て上げる
第2章 国の同胞に伝えたい
日本報道の最前線で奮闘する日々/日本について伝えることがライフワークになった/「七田式教育」で中国の幼児教育を変える/同胞の部屋探しを助け、日本で「真」を知る/道理を学びながら、日本で大成した肖像画家/日本への留学が伝統回帰を教えてくれた/女性と子どもにとって日本は最高の国
第3章 日中の懸け橋になる
日本最古の学校で『論語』に夢中になる/中日「歴史対話」に情熱を捧げる/日本人と結婚し、両国をつないできた/中日関係のために促進する留学生と市民の交流/記者交換で日本赴任、私が体験した中日交流/日本人に中国語を教えるというすばらしい仕事/ピアニストの日本人妻と中日友好の橋をかける
趙海成(チャオ・ハイチェン)
1955年北京生まれ。82年に北京対外貿易学院(現在は対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。85年に来日し、日本大学芸術学部でテレビを専攻。88年には初の在日中国人向け中国語新聞『留学生新聞』の創刊に携わり、編集長を10年間務める。95年、10ヵ国の在日外国人向け外国語媒体を束ねる「外国人情報誌連合」代表に就任。99年、中国情報を発信する日本の衛星放送事業者、大富(CCTV大富)の宣伝部長。2002年に中国に帰国し、以後は日中を行き来しながらフリーのライター、カメラマンとして活躍している。
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