kenmaがデザインした「LET'S EXPO」、2026年度グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」 「グッドフォーカス賞[新ビジネスデザイン]」をダブル受賞
~ ユニバーサルツーリズムのフラッグシップを目指し、「誘う人」を起点に参加をリデザイン。会場内サポートの満足度は90.0%に~
あらゆる製品のフラッグシップをデザインの力で開発・支援する株式会社kenma(本社:東京都新宿区、代表取締役:今井裕平、以下kenma)がプロジェクトデザインを手がけたユニバーサルツーリズムプロジェクト「LET'S EXPO」が、2026年度グッドデザイン賞において「グッドデザイン・ベスト100」に選出され、あわせて「グッドフォーカス賞[新ビジネスデザイン]」を受賞しました。

LET'S EXPOは、一般社団法人関西イノベーションセンター(以下MUIC Kansai)と東京トラベルパートナーズ株式会社が運営し、高齢者や障がいのある方の2025年大阪・関西万博への参加を支援してきたプロジェクトです。kenmaはプロジェクトの設計から、ネーミング、タグライン、ロゴ、キービジュアル、Webサイト、各種ツールまでを一貫して担当しました。
kenmaは、デザインして終わりではなく、事業としての成果を数字で出すところまでを担うデザインファームです。今回は、中小企業の製品開発で実践してきた「フラッグシップアプローチ」をユニバーサルツーリズムという領域に適用し、プロジェクトの立ち上げ時点から、LET'S EXPOを「ユニバーサルツーリズムのフラッグシップ」にすることを目標に掲げました。その結果、延べ15万人以上の参加を支援し、会場内サポートの利用者満足度は90.0%にのぼりました。万博で実証した仕組みは、GREEN×EXPO 2027と事業化へと引き継がれています。
デザインの着想:「行けない」の裏に、「誘えない」という見えないハードル
外出に何らかの不自由を抱える高齢者・障がい者は、国内に1,700万人以上いるとされ※1、およそ7人に1人にあたります。LET'S EXPOの調査では、身体的不自由を抱える60歳以上の方の86.4%が万博に「行きたい」と答えながら、98.1%が「行けない」と回答しました※2。
一般的には、ここで「どう移動を支えるか」が課題になります。しかし、もう一つの調査で見えてきたのは、周りの人の側の壁でした。家族や支援者の88.1%が当事者を万博に「誘いたい」と考えながら、72.5%が実際には「誘えていない」ことが分かりました※3。「自分が安全に連れて行けるだろうか」「自分だけで支えられるだろうか」という不安が、声をかける前に行動を止めていたのです。
当事者が「行けない」のは、誰も「誘えていない」からでもある。この発見が、LET'S EXPOのデザインの出発点になりました。

※1 国土交通省 観光庁『ユニバーサルツーリズムに関する調査業務 報告書』(2023年5月)。外出に何らかの不自由がある高齢者773.2万人、障がい者964.7万人の推計値合計を総人口で単純換算(重複を含む可能性あり
※2 MUIC Kansai『身体的不自由を抱える高齢者の万博参加意向調査』(2024年6月、n=471)
※3 MUIC Kansai『大阪・関西万博に誘うことに関するアンケート調査』(2025年9月、n=3,852)
デザインのアプローチ:「誘う」を中心に、すべてを設計する
kenmaは、当事者ではなく「誘う人」を設計の起点に置きました。家族や支援者が「一緒に行こう」と声をかけるだけで参加が始まるよう、名称からツールまで、すべてを「誘いやすさ」で統一しています。
名称「LET'S EXPO」は、「Let's(〜しよう)」という誘いかけの言葉を、そのままプロジェクト名にしています。タグライン「行こう。あきらめていた人と。」は、誘う側がそのまま口にできる言葉として設計しました。ボランティアウェア、敬老の日キャンペーンのキービジュアル、チラシ・ポスター、Webサイトまで、同じ考え方で展開しています。


あわせて、参加の「入口」も一つにしませんでした。工夫すれば行ける方には「会場内サポート」を、会場まで行けない方には「オンラインツアー」と「バーチャル体験」を用意し、会場に行くことだけを参加のかたちとしない設計にしています。

大阪・関西万博での成果:延べ15万人以上が参加、会場内サポートの満足度は90.0%
LET'S EXPOは、会場内サポート、オンラインツアー、バーチャル体験を通じて、延べ15万人以上に万博体験を届けました。会場に来られない方に向けたオンラインツアーは、全国268校の学校に配信したほか、介護施設にも計75回配信しています。
運営には延べ2,500人のボランティアが参加しました。協力パビリオンは国内外29カ所にのぼり、国内からは日本館、三菱未来館、住友館、大阪ヘルスケアパビリオンなど、海外からはアメリカ館、ドイツ館、サウジアラビア館、スイス館などが加わりました。
会場内サポートの利用者の満足度は90.0%にのぼり、88.4%が「サポートが来場のきっかけになった」と回答しており※4、「誘う」を起点にした設計が実際の来場につながっています。

グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
高齢者や障害のある人のイベント参加を阻むものは、会場の物理的なバリアだけではない。本プロジェクトは、「行きたいのに行けない」当事者だけでなく、「誘いたいのに誘えない」家族や介護・福祉関係者にも着目し、参加に至るまでの関係そのものをデザインの対象とした点を高く評価した。会場内での移動支援に加え、バーチャル体験やオンラインツアーを組み合わせ、「会場に行くこと」だけを唯一の参加のかたちとしなかった点が類似サービスとの違いでもあり、重要な点である。また、「誰かを誘う」という日常的な行為を入口とすることで、アクセシビリティを特別な支援ではなく、多くの人が関われる実践へと開いている。万博で培われた仕組みが次のイベントへ継承されようとしていることにも意義がある。今後は、障害のある人や高齢者自身が、サービスの利用者にとどまらず、企画や意思決定のプロセスにも継続的に参画することで、より多様な参加のあり方やツアー内容が生まれることを期待したい。
2026年度グッドデザイン賞 受賞ギャラリー/LET'S EXPO:
https://www.g-mark.org/gallery/winners/34004
万博で終わらせない。GREEN×EXPO 2027、そして事業化へ
LET'S EXPOは、2027年3月19日に開幕する「GREEN×EXPO 2027」で会場内移動サポートを提供する予定です。
あわせて、万博で得た実績・ノウハウ・人材基盤をもとに事業化を進めています。受け入れる側に向けては、スタジアムやエンタメイベント、観光地などを対象に、受入サービスの設計から人材募集・研修、当日の支援、効果測定までを一貫して提供します。利用する側に向けては、旅行事業者と連携し、介護施設の団体旅行やスポーツ観戦ツアーなど、支援付きの有償ツアーを提供していきます。

プロジェクト概要
プロジェクト名:LET'S EXPO
タグライン:行こう。あきらめていた人と。
発足:2023年
運営:一般社団法人関西イノベーションセンター、東京トラベルパートナーズ株式会社
プロジェクトデザイン:株式会社kenma
連携企業・団体:株式会社ツクイ、公益財団法人日本財団ボランティアセンター、シマダグループ株式会社、住友電気工業株式会社、株式会社Blanket、東北大学 瀧 靖之、特定非営利活動法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター、有限会社高菱技研
受賞:2026年度グッドデザイン賞 グッドデザイン・ベスト100、グッドフォーカス賞[新ビジネスデザイン]
kenmaのフラッグシップアプローチ:社会課題を、数字で語れる事業へとデザイン
kenmaの役割は、単に外観を整えることではありません。企業が持つ優れた技術や製品を「新しい体験」へと変換し、その企業の顔となるフラッグシップを生み出すことが私たちの使命です。
LET'S EXPOでは、この考え方を一つの企業から一つの領域へと広げました。万博という注目の集まる場で、ユニバーサルツーリズムの先頭に立つモデルをつくり、その成果を次のイベントや事業へとつなげていく。延べ15万人以上の参加と、82.3%の「有料でも利用したい」という声は、そのフラッグシップが機能したことを示しています。
LET'S EXPOのほかにも、kenmaは社会課題を起点にした事業・プロダクトを数多く手がけてきました。
wemo(株式会社コスモテック):「記憶に対するストレスをなくす」
油性ボールペンで書いて消せる、腕に巻くリストバンド型のメモです。看護師が手に直接メモをしているという現場の課題から生まれました。現在では、認知症やADHDなど、記憶に不安のある方にも活用されています。身につけたメモが自然に目に入ることで、予定ややるべきことを思い出す手がかりとなり、日常生活や仕事を支えています。利用者の声をもとに、認知症の当事者や介護者と共同開発したモデルも展開。シリーズ累計販売数は100万個を突破しています。

Fellne(株式会社オカモトヤ):女性の「働きにくさ」をなくす
女性のQOL向上に取り組む企業へ、製品・サービスを提供する事業です。女性特有の健康課題やライフステージの変化による「働きにくさ」を、個人だけで抱えるのではなく、職場の環境から変えていくことを目指しています。災害用レディースキットや従業員向けECなど、企業が導入しやすい仕組みを通じて具体的な行動を支援。ローンチ後半年で50社が導入し、災害用レディースキットは3.2万個を販売しました。

コノコト(三和物産株式会社):ペットとの別れの「不安や悲しみ」に寄り添う
ペットとの別れの前から後まで、気持ちや思い出を記録できるグリーフケアアプリです。家族であるペットを失った悲しみは、周囲に理解されにくく、一人で抱え込んでしまうことがあります。こうしたペットロスに対し、無理に「乗り越える」のではなく、自分のペースで気持ちやペットとのつながりを見つめ直せる場を設計。質問への回答や気持ちの記録、アルバム、手紙を通じて、日常の中で利用できる心の支援を届けることを目指しています。

グッドデザイン賞について
グッドデザイン賞は、デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動です。1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。
詳細:https://www.g-mark.org/learn/gda/overview
会社概要

会社名:株式会社kenma
所在地:東京都新宿区新小川町8-24-1 実森ビル3F
代表者:代表取締役 今井 裕平
事業内容:フラッグシップ製品の企画・デザイン開発

会社名:一般社団法人関西イノベーションセンター
所在地:大阪府大阪市中央区伏見町三丁目6番3号
代表者:理事長 堀 直樹
事業内容:MUFG及び三菱UFJ銀行が設立。万博レガシーを社会実装すべく、環境や健康などの分野で社会課題解決に繋がる新事業創出を目指す

会社名:東京トラベルパートナーズ株式会社
所在地:東京都渋谷区代々木3丁目22番7号 新宿文化クイントビル14階
代表者:代表取締役 栗原茂行
事業内容:介護施設向け旅行サービス「旅介」、介護施設向けオンラインツアーサービス「旅介TV」
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