JIJ、グローバル・ブレインをリードインベスターとして総額約8.4億円を調達
~数理最適化事業をさらに拡大し、量子技術とAIを活用した最適化プラットフォームの高度化とグローバル展開を加速~
株式会社JIJ(ジェイアイジェイ、本社:東京都港区、代表取締役CEO:山城 悠、以下「JIJ」)は、グローバル・ブレイン株式会社をリードインベスターとして、同社が運営する複数ファンド※1および富士通ベンチャーズ株式会社が運営するファンド※2を引受先とする第三者割当増資により、総額約8.4億円の資金調達を実施しました。
※1 グローバル・ブレイン7号8号F投資事業有限責任組合、KDDI Open Innovation Fund3号、MEイノベーションファンド、ANA未来創造ファンド、KURONEKO Innovation Fund2号
※2 合同会社富士通ベンチャーズファンド

今回調達した資金を活用し、実運用が進む数理最適化事業をさらに拡大するとともに、量子技術やAIを活用した最適化プラットフォームの高度化、ゲート型量子コンピュータ向けミドルウェアの研究開発、ならびにグローバル展開を加速します。
JIJは創業以来、数理最適化と量子コンピューティングの技術を軸に、製造、物流、交通、通信、エネルギーなど、幅広い産業分野における複雑な計画・最適化課題の解決に取り組んできました。近年では、研究開発で培った技術の実運用が進み、事業会社の継続的な意思決定を支えるソリューションへと展開しています。
■資金調達の背景
産業や社会インフラの現場では、サプライチェーンの不安定化や需要変動、計画対象の大規模化、AI・データ活用の進展を背景に、計画・配分・制御に関わる課題が複雑化しています。膨大な選択肢と制約条件の中から、限られた時間内に高品質な解を導き出すことは、企業の競争力や社会インフラの持続性を左右する重要なテーマです。
こうした課題に対し、数理最適化はすでに実運用で価値を発揮しています。一方、今後さらに複雑化・大規模化する課題に対応する次世代の計算基盤として、量子コンピューティングへの期待も高まっています。
量子コンピューティングを産業で活用するためには、ハードウェアの進化に加え、実際の業務課題を計算可能な形に定式化し、従来型コンピュータや量子コンピュータなどの計算資源を適切に組み合わせ、実運用へつなげるソフトウェア基盤が欠かせません。
JIJは、「社会を計算可能にし、人類の進歩に貢献する」というミッションのもと、実運用が進む数理最適化事業を基盤に、量子コンピューティングの産業活用に向けた技術開発を進めてきました。今回の調達を通じて、これらの取り組みを強化し、国内外での事業展開を加速します。
■JIJの強み
JIJの強みは、企業や公共領域が抱える複雑な課題を、計算可能な数理モデルへ変換し、実運用可能なソリューションとして実装する力にあります。
最適化課題を実務で解決するには、現場固有の制約を正確に捉え、課題の構造に応じたアルゴリズムや計算資源を選択し、導入後も継続的に改善していく必要があります。
こうした取り組みを支えるのが、ソフトウェアサービス群「JijZept」です。課題の定式化から開発、実行、改善までを一気通貫で支援しています。JijZept AI、JijZept SDK、JijZept Solver、JijZept IDEなどにより、AIを活用したモデリング支援、開発環境、ソルバー、実行環境を提供し、企業が複数の最適化テーマに継続的に取り組み、組織内で展開できる環境づくりを支援しています。
また、課題の特性に応じて、従来型コンピュータから量子技術まで、多様な計算手法を活用できる技術基盤の開発を進めています。
■技術基盤
JIJは、量子技術と数理最適化領域において、組合せ最適化問題を扱う「OpenJij」や、量子プログラミング言語「Qamomile(カモミール)」などのオープンソースソフトウェアを開発・公開しています。
また、NEDO「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」における量子コンピュータの産業化に向けたミドルウェア開発にも採択されるなど、アカデミア・産業界の双方と連携しながら、量子技術の産業応用に向けた技術基盤づくりを進めています。
■今回の調達で加速する取り組み
今回調達した資金は、AI、数理最適化、量子コンピューティングの各領域における研究開発およびプロダクト開発と、国内外での事業成長を支える組織体制の強化に充当します。
数理最適化・量子計算を支援するAIエージェントサービス「JijZept AI」の高度化
2026年初頭にベータ版として提供を開始した「JijZept AI」は、AIによる数理最適化のモデリング支援を備えた、クラウド上で動作する数理最適化向けAIエージェントサービスへと発展しています。AIエージェント向けのサンドボックス環境を備え、ユーザーの依頼に応じて、要件定義、数理モデリング、数値実験のサイクルを自律的に進めます。
また、JijZept AI内のソルバーやファイルシステムにアクセスするためのSDKを提供し、ユーザーがローカル環境で利用するAIエージェントとの連携にも対応します。さらに、量子プログラミングにも対応し、現在の数理最適化課題の解決から将来の量子技術活用に向けた研究開発までを支えるサービスとして、正式リリースに向けた機能開発を進めます。
数理最適化を基盤としたエンタープライズ実装の拡大
幅広い産業領域において、複雑な制約下で高品質な計画・配分・制御を行うことが求められています。JIJは、事業会社の現場で継続的に活用される数理最適化ソリューションの開発・導入体制を強化します。研究開発にとどまらない実装支援を拡大し、最適化技術の活用を進めてまいります。
ゲート型量子計算に向けたミドルウェア開発
JIJは、「Qamomile」を含む、ゲート型量子コンピュータの活用に向けたソフトウェア基盤の開発を強化します。量子計算の産業活用には、アルゴリズムやハードウェアの進展に加え、量子コンピュータとHPC環境、古典最適化技術を統合するソフトウェアレイヤーが重要です。
最先端の研究と実運用に向けた実装技術の開発を両輪として、量子・古典ハイブリッドコンピューティングの産業実装を推進します。
グローバル展開の加速
JIJは、2025年に英国法人JIJ Europe Ltd.を、2026年にドイツ法人JIJ GmbHを設立し、同年には米国市場での事業展開も本格化しました。
また、Q-STAR、European Quantum Industry Consortium(QuIC)、UKQuantumなど、国内外の量子産業エコシステムにも参画し、研究機関、企業、産業団体との連携を通じて、量子技術と数理最適化の産業応用を推進しています。欧州では、こうしたネットワークを生かし、最適化の社会実装と量子技術の研究開発に取り組んでいます。多様な国籍と専門性を持つチームを基盤に、欧州および米国を中心に事業展開をさらに加速します。
技術開発・事業開発体制の強化
量子コンピューティング、数理最適化、ソフトウェアエンジニアリングの各領域における研究開発・エンジニアリング体制を強化します。加えて、技術を産業課題に接続し、新たな事業機会を創出する事業開発体制を拡充します。高度な研究開発と産業実装に取り組む人材の採用を進め、量子・数理最適化技術の社会実装を担う組織基盤を強化してまいります。
■引受先について
今回の資金調達には、以下の引受先が参画しています。
グローバル・ブレイン7号8号F投資事業有限責任組合(追加出資) KDDI Open Innovation Fund3号(追加出資) MEイノベーションファンド(新規出資) ANA未来創造ファンド(新規出資) KURONEKO Innovation Fund2号(新規出資) 合同会社富士通ベンチャーズファンド(追加出資)
なお、KDDI Open Innovation Fund3号、MEイノベーションファンド、ANA未来創造ファンド、KURONEKO Innovation Fund2号は、グローバル・ブレイン株式会社が運営するCVCファンドです

■引受先からのコメント
グローバル・ブレイン株式会社 代表取締役社長 百合本 安彦 氏
前回に続いて本ラウンドでもリード出資できることを大変光栄に思います。2023年の出資以降、JIJは幅広い業界で導入実績を積み上げ、現場のビジネス課題解決に繋げてきました。JIJの技術は海外でも高い評価を得ており、今回の資金調達を通じて国内にとどまらず海外でも事業展開を加速されていくことを、心より楽しみにしております。量子最適化領域のリーディングカンパニーとして急成長されるJIJを、グローバル・ブレインも全力でご支援してまいります。
KDDI株式会社 オープンイノベーション推進本部 副本部長 舘林 俊平 氏
※KDDI Open Innovation Fund3 号を通じた出資
量子技術をめぐる国際競争が激しさを増す中、国内でも社会実装や産業化の強化が重要方針として示されています。この環境下で、初回出資後も JIJ は数理最適化領域で事業展開を着実に進めております。2025 年からは、当社も連携し、量子コンピュータの技術開発と事業化に関するパートナーシップを締結いたしました。量子領域は今後、様々な産業分野で活用が期待されます。JIJ の量子最適化技術と KDDI の AI・量子共通基盤を組合せ、量子コンピュータの産業利用を加速いたします。
三菱電機株式会社 上席執行役員 ビジネスイノベーション本部長 松原 公実 氏
※MEイノベーションファンドを通じた出資
JIJは量子技術を活用した最適化分野において、高度な知見を有する人財を多く擁し、多様なユーザーに対して、実ビジネスにおける複雑な課題を数理最適化によって解決するための開発環境を提供しています。量子コンピューティング分野において当社が培ってきた技術とJIJの量子・数理最適化プラットフォームを組み合わせることで、顧客へより強固なソリューションを提供する開発を加速してまいります。
ANAホールディングス株式会社 上席執行役員 未来創造室長 津田 佳明 氏
※ANA未来創造ファンドを通じた出資
ANAは1日約1,000便を運航しており、様々なシーンで膨大なデータと向き合いながら、最適なオペレーションを追求しています。私が以前ダイヤ作成を担当した際に使っていた最適化モデルは、一つのシナリオでも一晩中かかり運用に苦労していました。JIJの量子技術と数理最適化が、こうした複雑な計画業務などの解決策として、幅広く社会実装されることを期待して出資を決定しました。宇宙戦略基金における共同提案の採択など、すでに協業がスタートしていますが、航空オペレーションの最適化を通じて、両社の企業価値向上を共に目指していきます。
ヤマトホールディングス株式会社 イノベーション推進機能 マネージャー 森 憲司 氏
※KURONEKO Innovation Fund 2号を通じた出資
日本の量子アニーリング研究を牽引するJIJ社の高い技術力と、複雑な課題に対して実装まで一気通貫で支援する技術対応力を評価し、出資いたしました。ヤマトグループの経営資源を最適化するうえで、同社の技術は大きな役割を果たすと期待しています。今後は当社の物流の知見を共有し事業成長を後押しするとともに、現場オペレーションの高度化からサプライチェーン全体の最適化まで多角的な連携を検討し、物流における量子技術活用の可能性を共に探求していきたいと考えています。
富士通ベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 矢島 英明 氏
※合同会社富士通ベンチャーズファンドを通じた出資
JIJは、数理最適化と量子技術を横断する高度な計算領域において高い専門性を有し、基盤技術やミドルウェアの開発から産業現場への導入までを幅広くカバーする、世界的にも稀有な企業です。また、アカデミア、産業界、世界各地のエコシステムをつなぐ独自のポジションを持ち、技術と産業を結ぶ存在として、今後ますます重要な役割を担っていくことを期待しています。数理最適化や量子技術は、富士通グループの取り組みとも重なる領域です。前回の出資以降、JIJと富士通グループとの間では様々な連携が進んでいます。今回の追加出資を機に、その連携をさらに広げ、JIJとともに新たな価値の創出に取り組んでまいります。
■ 代表コメント
株式会社JIJ 代表取締役CEO 山城 悠
「JIJは創業以来、量子コンピューティングと数理最適化を軸に、さまざまな産業が抱える複雑な課題の解決に取り組んできました。近年は、研究開発で培った技術が、事業会社の現場で継続的に活用される段階へと進んでいます。今回の資金調達は、私たちの技術と社会実装力への期待の表れだと受け止めています。
私の創業の原点は、『計算によって未来を見たい』という思いにあります。社会の複雑な課題を計算可能にすることが、より良い選択肢を生み、社会の前進につながると信じています。
今後は、AIを活用した最適化プラットフォームの高度化を進めるとともに、ゲート型量子コンピュータとの連携も見据え、量子・古典ハイブリッドコンピューティングと数理最適化の両面から、産業課題の解決にさらに貢献してまいります。最先端の研究力と実装技術を両輪に、アカデミアと産業界をつなぎ、量子技術と数理最適化の社会実装をグローバルに広げることで、『社会を計算可能にし、人類の進歩に貢献する』というミッションを果たしてまいります。」
■ 株式会社JIJ(ジェイアイジェイ)について
株式会社JIJは、数理最適化と量子コンピューティングという2つの最先端分野を融合させ、複雑かつ大規模な計算を伴う課題の解決を目指すスタートアップです。
製造、物流、交通、通信、エネルギーなどの産業領域、および公共領域に存在する多様な最適化テーマに対し、顧客ごとの課題特性を踏まえたアプローチで解決を支援しています。同時に、最適化に取り組むために必要な機能を幅広くカバーするソフトウェアプラットフォームを、古典コンピュータ環境・量子コンピュータ環境に向けて開発しています。
量子最適化の領域においても様々な研究機関・企業と共同研究開発の実績があり、イギリスやドイツの拠点と連携しながらグローバル案件に取り組んでいます。また、European Quantum Industry Consortium(QuIC)やUKQuantumなどの量子産業団体に加盟し、海外の量子産業エコシステムにおいても積極的に活動しています。
コーポレートサイト:https://www.j-ij.com/ja/
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