黒鳥社初の翻訳書、ジョン・バージャー(著)、ジャン・モア(写真)『第七の男』5月15日刊行!
イスタンブールのスラムで、ギリシアの港で、ダマスカスの路上で密かに読み継がれ、グローバルサウスの労働者を奮い立たせてきた“小さな書物”。50年の時を経て待望の初邦訳!
Photo by Hiroyuki Takenouchi
移民問題に揺れる現代社会を穿つ美しき“告発の書”
黒鳥社は、初の翻訳書『第七の男』(著者:ジョン・バージャー/写真:ジャン・モア)を5月15日(水)に刊行いたします。
本書は、英国の作家ジョン・バージャー(1926-2017)が1975年に発表した、欧州の移民労働者に関するノンフィクション作品です。
美術批評家でもあり、小説家でもあり、詩人でもあり、ジャーナリストでもあったバージャーは、50年前、すでに社会問題となっていた欧州の移民問題を、新聞的な社会派ルポルタージュとも客観的な社会学的エッセイとも異なる独自のアプローチによって描き出しました。
文章と写真を用いて移民問題の核心にある不自由へと迫った伝説の“パンフレット”は、半世紀を経たいま、読む者の心にいっそうリアリティをもって迫ります。
移民問題に揺れる現代社会を穿つ美しき“告発の書”。ぜひお手に取ってご覧ください。
ジョン・バージャーとは何者か
日本では『イメージ:視覚とメディア』『見るということ』(ちくま学芸文庫)などの著書から美術批評家として認識されている方も多いかもしれませんが、1972年に小説『G.』でブッカー賞を受賞するなど母国イギリスではとても有名な作家で、小説、詩、戯曲、美術批評、ノンフィクションを多数執筆したほか、TV番組や映画の製作にも携わるなど、生涯に残した仕事は膨大にして多岐にわたります。自分は「ストーリーテラー」なのだと本人はよく語っていたそうです。
© Jean Mohr
詩作と写真と批評が交錯する、本書の独特な構成
盟友だった写真家のジャン・モアが撮影した写真とともに、詩、評論、哲学的考察などがないまぜに編集された独特な構成は、刊行から50年を経たいまもなお斬新さを失っていません。
Photo by Hiroyuki Takenouchi
ジョン・バージャーに影響を受けた作家たち
日本ではあまり知られていないジョン・バージャーですが、世界では「バージャーに影響を受けた」という書き手は少なくありません。おとなりの韓国では20作品以上が翻訳されています。詩人、作家、音楽家たちのバージャー評をご紹介します。
最も政治的で、最も先鋭的で、
最も激しい告発をもって、
最も気高い人間性を証明する。
ジョン・バージャー。
私たちが最も長く愛する作家。
──キム・ソヨン
(詩人/『数学者の朝』『一文字の辞典』ほか)
ジョン・バージャーは、わたしが親密な繋がりを感じる作家のひとりです。
彼の作品は、美と政治の双方に深く関わっているからです。
──レベッカ・ソルニット
(作家・批評家/『ウォークス』『オーウェルの薔薇』ほか)
文章をもって世界の見方を
一変させてしまう作家は数少ない。
バージャーは、そのひとりだ。
──ジャーヴィス・コッカー
(音楽家)
バージャーの作品には、
愛と、芸術と、政治と歴史をめぐる洞察が
つねに折り重ねられている。
──アリ・スミス
(作家/『春・夏・秋・冬』4部作、『両方になる』ほか)
現代英文学において、
バージャーは比類なき存在だ。
ロレンス以降、わたしたちの感覚世界に
これほど配慮しながら、良心をめぐる重大事に
応答した作家はいない。
──スーザン・ソンタグ
(作家・批評家)
バージャーのおかげで、世界は住みよくなった。
──アルンダティ・ロイ
(作家/『小さきものたちの神』『帝国を壊すために』ほか)
書店向けキャンペーン実施中!
『第七の男』を10冊以上ご注文いただいた書店に、購入者特典として小冊子『ジョン・バージャーの本棚:『第七の男』を読む』をご注文数分進呈いたします。文学の歴史のなかでの『第七の男』の位置付け、「移民」「新自由主義」「資本主義と労働」「社会問題と文学」をテーマにした関連書籍のリストなど必見の内容です。
数量限定になりますので、お早めに黒鳥社販売担当・川村までお問い合わせ・ご注文ください。
プロフィール
◉著者
ジョン・バージャー|John Berger
1926年ロンドン生まれ。小説家・批評家・画家・詩人。1972年、英国BBCで企画/脚本/プロデュースのすべてを担当したTV番組4部作「Ways of seeing」で広く存在を知られる。同名書籍は美術批評界の金字塔とされ、欧州市民の多くがアートや文化理論を理解する契機を得たとされる。同年、小説『G.』でブッカー賞を受賞。70年代からフランス農村に拠点を移し表現活動を続け、2017年に90歳で逝去。主著『イメージ:視覚とメディア』(伊藤俊治訳/ちくま学芸文庫、2013年)、『G.』栗原行雄訳(新潮社、1975年)、『果報者ササル:ある田舎医者の物語』村松潔訳(みすず書房、2016年)、『批評の「風景」:ジョン・バージャー選集』山田美明訳(草思社、2024)など。
◉写真
ジャン・モア|Jean Mohr
1925年、ジュネーヴ生まれ。ドキュメンタリー写真家。赤十字国際委員会(ICRC)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)等の人道支援団体の活動に同行し、その記録作品で知られる。ジョン・バージャーと50年にわたる親交のなか多くの共作を残したほか、エドワード・サイードとの共作でも知られる。戦地の人びとの目線を記録したその写真の多くは、現在スイス・エリゼ写真美術館に収蔵されている。日本でも過去に2回、広島平和記念公園で野外写真展が開催された。2018年に93歳で逝去。主著『果報者ササル:ある田舎医者の物語』(ジョン・バージャーとの共著/村松潔訳/みすず書房、2016年)、『パレスチナとは何か』(エドワード・サイードとの共著/島弘之訳/岩波書店、1995年)など。
書籍情報
書名:第七の男
著者:ジョン・バージャー 写真:ジャン・モア
翻訳:金聖源/若林恵
ISBN:978-4-910801-00-1
造本・デザイン:藤田裕美
発行日:2024年5月15日(水)
発行:黒鳥社
判型:A5変形/256頁
定価:2800円+税
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黒鳥社とは?
いまの当たり前を疑い、あらゆる物事について、「別のありようを再想像(Re-Imagine)する」ことをミッションに、雑誌、ウェブ、映像、イベントなどメディアを問わず、コンテンツをプロダクション(制作)するコンテンツレーベルです。書籍に『『忘れられた日本人』をひらく:宮本常一と「世間」のデモクラシー』(2023年12月)、『ファンダムエコノミー入門:BTSから、クリエイターエコノミー、メタバースまで』(2022年6月)、『編集の提案』(2022年3月)、『働くことの人類学【活字版】:仕事と自由をめぐる8つの対話』(2021年6月)他。また、ポッドキャスト「こんにちは未来」「メタバースえとせとら」、動画シリーズ「黒鳥本屋探訪」、トークライブ「blkswn jukebox」などの企画制作も行っています。
https://blkswn.tokyo
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