「UDCast」10周年、映画監督・深田晃司氏ほかコメント到着! 内閣府『ともともフェスタ2026』トークショーに登壇
映画のバリアフリー本格始動から10年の節目に、「映画とバリアフリーのこれから」を語る
文化芸術のバリアフリーコンサルティング専門会社、Palabra株式会社(読み:パラブラ、本社:東京都新宿区、代表取締役:山上庄子)は、内閣府が2026年10月9日(金)・10日(土)に東京駅丸の内エリアで開催したイベント「ともともフェスタ2026~出会う、ふれあう、未来がかわる~」に初参加しました。障害の有無にかかわらず、誰もが共に楽しみ、交流や相互理解を深めることを目的とした本イベント。Palabraは「誰もが楽しめる」を体験できる場として、字幕・音声ガイドの利用体験ブースを出展したほか、トークショーを実施しました。本稿ではトークショーでの登壇者のコメントを一部抜粋してご紹介します。



映画のバリアフリー本格始動10周年!
映画のバリアフリー対応が本格始動してから10年。10月9日(金)に「ともともフェスタ2026~出会う、ふれあう、未来がかわる~」でトークショーが開催されました。登壇したのは、映画監督の深田晃司氏、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員の大河内直之氏、「UDCast MOVIE」アプリを開発・提供するPalabra株式会社代表の山上庄子。映画とバリアフリーにそれぞれの立場から携わってきた3人が、これまでの歩みを振り返りながら、「映画とバリアフリーのこれから」について語り合いました。

■これまでの歩み 「バリアフリー映画」と「UDCast」
映画製作者が制作段階からバリアフリー化に関わる仕組みを目指し、大河内直之氏と映画プロデューサーの山上徹二郎氏(株式会社シグロ)らが2014年に「バリアフリー映画研究会」を設立。行政、映画製作者、障害当事者、研究者らとの議論を重ね、2016年、スマートフォンで音声ガイドを利用できる「UDCast MOVIE」(Palabra株式会社)の社会実装を開始しました。2026年は、サービス開始から10年の節目。現在、日本映画は年間約600〜700本、日本映画と外国映画を合わせると国内で年間約1,200〜1,300本が公開されています。そのうち、バリアフリー対応作品は年間約150〜200本弱*にとどまっており、さらなる普及が期待されています。
深田晃司監督作品では、『海を駆ける』(2018年)で「UDCast」による音声ガイド・バリアフリー字幕の制作を通じて協業。その後も、ろう者の俳優・砂田アトムさんを起用した『LOVE LIFE』(2022年)、『ナギダイアリー』(2026年)などで取り組みを続けています。
*「UDCast」以外のバリアフリー対応作品も含みます。
■登壇者コメント
トークショーでの登壇者のコメントを一部抜粋してご紹介します。

東京大学先端科学技術研究センター特任研究員 大河内直之氏コメント(写真・左)
質の高いバリアフリー作品を、多くの方に
「映画をバリアフリー化する活動は25〜26年前からあったものの、全てはボランティアによる地道な作業でした。本格的な運用は「UDCast MOVIE」アプリの実装からで、スマートフォンとイヤホンがあれば、映画館で音声ガイドを利用できるようになったことが、視覚障害のある方にとって大きな一歩だったように思います。また、「UDCast」は単に音声ガイドを配信するだけのものではなく、監督の意図とユーザーのニーズをすり合わせる中で、本質的なバリアフリーのあり方を探り、作品づくりにつなげてきたことがこの10年で実現できたことである気がします。
音声ガイドがあることによって、映画の解像度があがり、輪郭が出てくる実感がありますし、今年でちょうど10年、たくさんの映画を視覚障害のある方も楽しんでいます。深田監督のような、バリアフリーに意識を向けてくださる映画製作者を増やしていきたい。そのためにも、まずは私たちが質の高いバリアフリー作品をつくり、多くの方に鑑賞・体験してもらい、関心を広げていただくことが大切だと思っています」
映画監督 深田晃司氏コメント(写真・中央)
慢心せず、劇場の字幕上映環境などを変えていけるよう取り組みたい
「目が見える・音が聞こえる人は、どんな作品でも自由に選んで楽しむことができます。一方、バリアフリーが不十分だと、その自由が制限され、文化へのアクセスに格差が生じてしまいます。誰もが文化にアクセスする権利を持つ以上、これは権利の問題なんです。映画の製作者側が財源を確保する仕組みから変えていく必要があると考えています。
現状では映画製作会社をはじめ、作り手側もまだまだ十分にバリアフリーへの意識が追いついていないのが実情です。例えば、Palabraさんのように、バリアフリー字幕や音声ガイドの制作過程で当事者モニター会を開くことの重要性を強く感じる一方で、別のバリアフリー字幕制作会社を訪ねると、当事者が不在のまま、プロデューサーだけで一方的に議論が進められていることもあるんです。その背景には、マジョリティ側の傲慢さや、『与えてやる』という感覚があるのではないかと思うんです。当事者と一緒につくるという意識が、まだ十分に浸透していないことは大きな課題ですね。
業界全体として、当事者の声を聞かずにバリアフリー版をつくってしまうような、作り手側の意識を変えていく必要があります。自分自身も慢心することなく、劇場で字幕付き上映を楽しめる環境を変えていけるよう、取り組んでいきたいです」
Palabra株式会社 代表取締役 山上庄子コメント(写真・右)
バリアフリー字幕や音声ガイドから広がる可能性を信じたい
「大河内先生のお話にもあったようにアプリという存在すらなかった10年前は、全国各地に出向き、手動で音声を流してラジオを貸し出すスタイルを長く続けてきました。そこからスマートフォンの普及に伴い、2016年に「UDCast MOVIE」を実装し、全国どこの映画館でもスマホとイヤホンで音声ガイドを利用できる環境が少しずつ整いました。
Palabraでは13年にわたりバリアフリー字幕の制作を続けていますが、これは単に福祉のためだけでなく、映画や演劇を観るお客様を増やすことも目指しています。バリアフリー字幕や音声ガイドが広げる可能性を信じ、これからも取り組んでいきたいです」
【バリアフリー映画とは】
字幕と音声ガイド、この2つがついてバリアフリー映画と言われることが多い。現在、スクリーンに字幕が表示されたり、「UDCast MOVIE」をはじめとする専用アプリなどを用い、提供されている。
〈バリアフリー字幕〉主に耳が聞こえない・聞こえにくいお客様に活用されている、作品の「音」の情報を文字で説明した字幕。セリフだけでなく話者名・効果音・音楽などを表示したもの。外国語作品の場合、翻訳字幕にバリアフリーの要素を追加している。スクリーンや舞台背景に表示されるオープン方式とツールを使ったクローズ方式がある。
〈バリアフリー音声ガイド〉主に目が見えない・見えにくいお客様に活用されている。映画の音声をそのまま聞きながら、作品の「画」の情報を言葉で説明したナレーション、テロップや情景・人物の動きなど、目から入る情報を説明するもの。外国語作品の場合、VO(ボイスオーバー)で字幕の読み上げも行う。会場全体に聴こえるオープン方式とツールを使ったクローズ方式、収録型やライブガイドなど様々な実施方法がある。
【UDCastとは】
パラブラが提供するバリアフリーの情報や相談が集まるプラットフォームサービスの総称。当事者、提供者目線で使いやすい鑑賞サポートアプリを開発、提供している。
【UDCast MOVIEとは】
2016年にリリースされた無料アプリ。映画や映像にあわせて自動的に字幕や手話、音声ガイドの再生等を行うツール。自分の機器にアプリをインストールして使用できる。
【登壇者プロフィール】
●深田晃司(ふかだ こうじ)
映画監督。1980年、東京都生まれ。1999年、映画美学校フィクション・コース入学。2005年、平田オリザ主宰の劇団・青年団に演出部として入団。2008年、『東京人間喜劇』にて長編デビュー。2013年『ほとりの朔子』がナント三大陸映画祭グランプリ、2016年『淵に立つ』がカンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を受賞。ほか監督作に『歓待』『さようなら』『よこがお』『本気のしるし《TVドラマ再編集劇場版》』『LOVE LIFE』などがある。最新作、松たか子主演『ナギダイアリー』が9月25日より公開中。
「UDCast MOVIE」対応作品に、『海を駆ける』『LOVE LIFE』『ナギダイアリー』がある。

〈UDCast MOVIE対応作品〉絶賛公開中!
第79回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
映画『ナギダイアリー』
出演:松たか子 石橋静河 ほか
公式サイト https://starsands.com/nagidiary/
UDCast https://udcast.net/workslist/nagidiary/
●大河内直之(おおこうち なおゆき)
東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員/視覚障害当事者。NPO 法人バリアフリー映画研究会理事長。内閣府障害者施策アドバイザー。先天性緑内障のため、4歳で失明し全盲となる。盲ろう者や視覚障害者の支援技術をはじめ、障害学、福祉のまちづくりなど、バリアフリーに関する研究に従事。近年は、バリアフリー映画研究会の代表として、映画や演劇のバリアフリー化に関する研究・実践に取り組むと共に、国の障害者政策にも参画している。
●山上庄子(やまがみ しょうこ)
Palabra 株式会社 代表取締役。神奈川県生まれ。中学生の時から山形県・高畠に通って農業に親しみ、東京農業大学を卒業後、沖縄でマングローブの研究員として 7 年活躍。2011 年に東京へ移り、映画・映像のバリアフリー化に取り組む Palabra 株式会社(ポールトゥウィンホールディングス株式会社のグループ会社)の立ち上げに携わる。字幕制作などを担当後、2017年から代表を務める。
■イベント概要
「ともともフェスタ2026~出会う、ふれあう、未来がかわる~」
主催 :内閣府/ともともフェスタ2026実行委員会
公式HP:https://www.tomotomo.go.jp/festa2026/
■ 会社概要
Palabra株式会社 (https://palabra-i.co.jp/)
所在地:東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル14F
設立日:1960年3月4日
代表者:代表取締役社長 山上 庄子
事業内容:日本語字幕・多言語字幕・音声ガイド・手話映像制作/アプリ「UDCast」の開発・運営/映像制作・編集 研修事業/映像のバリアフリー化、および上映等のコンサルティング業務
【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】
Palabra株式会社 広報担当
メールアドレス:info@palabra-i.co.jp
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