内閣支持率26%に下落 マイナカード問題などで「サミット効果」消える
~政治家の世襲「問題がある」75%、自公連立「解消を」55%~
<調査トピック>
1.内閣支持率26%、不支持理由「政策が期待できない」57%
2.マイナンバーカード「デメリット」が「メリット」上回る、少子化対策への期待感も高まらず
3.政治家の世襲「問題がある」75%、実際の投票判断との間にはギャップも
4.自公連立「解消を」55%、自民支持層「連立を続けた方がよい」37%
5.地球温暖化が生活に与える影響「深刻だ」79%
■内閣支持率26%、内閣不支持の理由「政策が期待できない」57%
社会調査研究センター(SSRC)は7月2日、スマートフォンを対象とした新しいインターネット調査方式「dサーベイ」による全国世論調査を実施した。前回6月調査で初めて30%台に乗せた岸田内閣の支持率は再び26%(前回比5ポイント減)まで下落。不支持率は59%(同5ポイント増)となった。
岸田内閣を支持しないと答えた人にその理由を尋ねたところ、「政策が期待できないから」が57%(回答者全体の34%)を占め、「岸田首相が信用できないから」が25%(同15%)だった。支持する理由では「自民党の政権だから」の33%(同9%)に「なんとなく」が21%(同6%)で続き、「岸田首相が信用できるから」は17%(同4%)にとどまった。
前回調査は岸田首相の地元・広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれた2週間後の6月4日に実施した。ウクライナのゼレンスキー大統領が出席して注目されたこともあって、岸田首相が議長を務めたG7広島サミットの開催が内閣支持率の上昇要因になったとみられる。しかし、その後はマイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぎ、岸田政権が打ち出した少子化対策の強化方針に対する期待感も高まらなかったことで、サミット効果は霧消した形だ。
■マイナンバーカード「デメリット」が「メリット」上回る、少子化対策への期待高まらず
マイナンバーカードについては、利用拡大による行政手続きの効率化などのメリットと、個人情報の扱いなどで生じるデメリットのどちらが大きいと思うかを尋ねた。「デメリットの方が大きい」との回答が44%で、「メリットの方が大きい」の27%を上回った。「わからない」との回答も28%あった。
回答者の81%がマイナンバーカードを「持っている」と答えたが、政府の進める利用拡大政策への理解は広がっていない。来年秋に健康保険証をマイナンバーカードと一体化させる政府方針についても「反対」が50%を占め、「賛成」は30%にとどまった。
政府は6月、児童手当の対象を高校生に広げることなどを盛り込んだ「こども未来戦略方針」を閣議決定した。岸田首相が1月に表明した「異次元の少子化対策」を具体化するものだが、今回の調査で岸田政権の少子化対策に「期待する」との回答はわずか16%だったのに対し「期待しない」は61%に上った。「期待する」は3月調査の17%、6月調査の19%から全く上向いていない。
■政治家の世襲「問題がある」75%、実際の投票判断との間にはギャップも
内閣支持率が下落した要因としては、岸田首相の長男翔太郎氏が昨年末に首相公邸で忘年会を開いていた問題の影響も指摘される。翔太郎氏は首相秘書官を辞任したが、いずれ首相の地盤を継ぐのではないかとみられており、岸信夫前防衛相の議員辞職に伴う4月の衆院山口2区補選で岸氏の長男信千代氏が当選したこともあって、政治家の世襲を問題視する声も聞かれる。
今回の調査で政治家の世襲に問題があると思うかを尋ねたところ、「問題がある」との回答が75%を占め、「問題はない」は9%だった。その一方、選挙で投票する際に候補者が世襲かどうかを気にするかとの質問では「気にする」の46%と「気にしない」の43%が拮抗。問題意識と実際の投票判断との間にはギャップがあるようだ。
支持政党別にみると、自民党支持層では「問題がある」59%・「問題はない」20%▽「気にする」36%・「気にしない」55%と世襲に対して回答者全体より寛大な傾向になる。野党の支持層では、立憲民主党支持層が「気にする」82%・「気にしない」15%と世襲政治家に厳しいのに対し、日本維新の会支持層は「気にする」48%と「気にしない」44%が拮抗している。世襲政治家の多い自民党との距離感の違いだろうか。
■自公連立「解消した方がよい」55%、自民支持層「連立を続けた方がよい」37%
岸田首相は6月に閉会した通常国会での衆院解散を見送ったが、今年秋にも衆院解散・総選挙に踏み切る可能性が取り沙汰されている。今、衆院選が行われたら比例代表でどの政党に投票するかを聞いたところ、自民党21%(前回21%)▽日本維新の会15%(同15%)▽立憲民主党10%(同9%)▽わからない35%(同37%)などとなった。維新が立憲民主に代わって野党第1党の座をうかがう情勢が続いている。
次期衆院選へ向けては、東京都内の小選挙区の候補者調整をめぐって自民党と公明党がギクシャクしている。自民党と公明党の連立政権については「連立を解消した方がよい」が過半数の55%を占め、「連立を続けた方がよい」は16%にとどまった。公明党支持層の6割強が「連立を続けた方がよい」と答えたのに対し、自民党支持層では「連立を続けた方がよい」37%と「連立を解消した方がよい」35%が拮抗。自民支持層側の不満がより強いことがうかがわれる。
■地球温暖化が生活に与える影響「深刻だ」79%
この夏も豪雨災害が相次いでいることから、気候変動について質問した。地球温暖化が自身の生活に与える影響は「深刻だと思う」との回答が79%に上り、「深刻とは思わない」の11%を大きく上回った。
新型コロナウイルス感染が再び拡大傾向にあるという。コロナ感染が拡大する前の生活に戻したいかを尋ねたところ、「ある程度の制限はやむを得ない」が61%(前回59%)を占め、「コロナ前の生活に戻したい」は31%(前回32%)だった。
■世論調査の新たなスタンダード:dサーベイ
dサーベイは、NTTドコモの協力を得てSSRCが開発したインターネット調査の新方式だ。NTTドコモのポイントサービス「dポイントクラブ」の会員を対象にアンケートを行う「プレミアパネル」を使用。全国約6500万人(18歳以上)から無作為に抽出した方々にメールで回答を依頼し、回答者はスマートフォンの画面で質問に答える。今回は7月2日午前9時からメールを配信し、1501人から有効回答を得た。
dポイントクラブの会員にはNTTドコモ以外の携帯キャリアユーザーも含まれ、日本の有権者の6割以上を母集団としてランダムサンプリング(無作為抽出)調査ができるのがdサーベイの特徴だ。2021年衆院選、22年参院選、23年統一地方選など各種の選挙調査で精度の高さを実証してきた中で、地域別・年代別の人口構成に合わせてメール配信数を設計する「配信設計モデル」を構築した。SSRCとしては、内閣支持率など有権者の政治意識を定期的に解析する世論調査の新たなスタンダードに育てたいと考え、昨年10月から毎月定例のdサーベイ全国世論調査を実施している。
<dサーベイの解説動画> https://www.youtube.com/watch?v=PjLIPto7v4w&t
★本調査の「質問と回答」は、 https://ssrc.jp/blog_articles/20230702.html でご覧ください。
【会社概要】
会社名:株式会社社会調査研究センター
代表取締役社⻑:松本 正⽣
設⽴:2020年4⽉1⽇
本社所在地:埼⽟県さいたま市桜区下⼤久保255 埼⽟⼤学内
TEL. 048-858-3751
ホームページ:https://ssrc.jp/
事業内容:世論調査等各種調査の受託、世論調査研究のコンサルティングおよびコーディネートなど
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