“語りかける路面”が続々誕生──千葉県内で夜間暗闇対策のプロジェクトが複数始動。蓄光はコミュニケーションツールへ進化
発案、デザイン、道路への施工。3つの点で画期的な蓄光プロジェクトが、異なるエリアで同時期にスタート。日中と夜、2つの風景を変え、人の心に残る“光のデザイン”を生み出す取り組み。

2025年春、千葉県佐倉市と習志野市の2つの地域で、地域の安全や楽しみを“デザイン”と“光”で表現する蓄光プロジェクトが同時にスタートしました。プロジェクトの背景は異なるものの、人を見守り、思いやる目的は偶然の重なりによって生まれた“光の共鳴”です。
これらのプロジェクトに共通する
①民間や地域の人々が起点となり実現した
②地域に根付いたオリジナルデザインを企画した
③道路空間にそのデザインを施工した
という3点は、公共空間での取り組みにおいて注目すべき点となっています。
ことの始まりは、暗闇におけるリスクを地域の人が感じていたことでした。明るい時と比較すると心理リスク、犯罪リスクは50%増となります。特に薄暮時間帯や日没直後に小学生の交通事故率は日中に比較すると4倍となることが明らかになっています(順にセコム、警察庁、内閣府調べ)
全国において夜間における暗い市道対策の要望が寄せられるなか、それぞれの地域のご当地キャラやデザインを路面に施した高輝度蓄光デザインプレート『ナイトコンシェルジュ®2D』が設置されました。
特筆すべきは、その導入の経緯です。千葉県佐倉市では地元の定時制高校に通う生徒の安全を守るために、千葉大学発の一般社団法人が主導となりクラウドファンドや地元企業の寄付を通して。また、習志野市では通行人の暗闇での快適な移動をサポートするために、地域の都市開発を担う建設会社が主導となり実現しました。学生や地域住民の通行の際に日中及び暗い夜道をエスコートし、交通安全はもちろん、心理的安心や防犯上の安全などを向上させ、誰もが歩きたくなる夜道をめざしています。
佐倉市:「高校生の声」から始まった、夜でも歩きたくなる蓄光デザイン

佐倉市では、千葉県立佐倉南高校の定時制に通う生徒たちが「夜の通学路が暗くて不安だ」と感じていたことをきっかけに、千葉大学発の一般社団法人Spiceがこの声を形にしようと動き出しました。
クラウドファンディングや地域企業5社(フジクラ、黒澤製作所、岩渕薬品、常磐植物化学研究所、三協リール)の協賛によって資金が集まり、佐倉市の協力のもと、市道に正式導入されました。
一般社団法人Spiceは高校の教員や生徒とのワークショップを重ね、足跡や車椅子マークなどのオリジナルデザインを蓄光プレートに展開。歩道に沿って目安となる歩幅をガイドすることで、「ここを歩くことで健康になる」という健康増進も企図したユニークな配置デザインとなっています。
高校生の声から始まった“市民発”の取り組みが、地域の力を巻き込みながら共創型の光景へと育っていきました。








一般社団法人Spiceサイト https://spice-edu.org
千葉県立佐倉南高等学校サイト https://cms2.chiba-c.ed.jp/sakuraminami-h/
習志野市:「仮囲い通路にナラシド♪」再開発エリアに浮かぶ、ご当地キャラ


一方、習志野市では鷺沼地区の再開発エリアにて、仮囲いに囲まれた仮設通路の夜間安全対策として、
地域の都市開発を担う株式会社 竹中土木が新たな空間表現を導入しました。
蓄光で描かれたのは、習志野市の人気ご当地キャラクター「ナラシド♪」。道行く人々を見守るように、連続するプレートや立体3Dキューブが夜道で静かに発光します。これは照明設備の代替ではなく、まちのアイデンティティが暗闇に浮かび上がる体験。仮設空間でありながら、そこに“歩いて楽しい”価値を加える試みです。
「ナラシド♪が夜道で迎えてくれると、なんだかホッとする」という声も聞かれ、インフラとご当地キャラクター表現が融合した先進事例として注目されています。








株式会社竹中土木 サイト https://www.takenaka-doboku.co.jp
コミュニケーションツールに進化する高輝度蓄光テクノロジー
偶然にも千葉県内で同時期に始まった2つの異なるプロジェクトは、蓄光という素材の可能性が、発想の転換によっていかに広がるかを物語っています。
照明ではなく、“光る路面”という選択肢。
日中でも視認できるコミュニケーションツールとして。
LEDでも照度でもない、“つながり”のための発光。
今後も蓄光は、夜だけではなく昼間も稼働するまちの「語り手」として、静かに、そして確かに、人の心に届いていきます。
<佐倉南高校でのナイトコンシェルジュ(一部)>






<(株)竹中土木が導入した習志野市でのナイトコンシェルジュ(一部)>




今後の展開と展望
日本国内では、学校周辺や通学路を中心に夜間の暗闇対策が求められています。自治体は照明灯の設置などを進めていますが、その維持管理コストや環境負荷の問題も指摘されています。
ナイトコンシェルジュは、防災標識などに使用されてきた高輝度蓄光技術を応用し、電力を使用せずに暗闇を活かした空間演出を可能にするソリューションです。日中はサインとしても活躍し、利用者の安全を維持しながらメッセージを発信するコミュニケーションツールとして、蓄光を再定義し、施設管理者にとって、経済的で環境にやさしい選択肢として期待されています。
本プロジェクトの成功を踏まえ、今後も全国の小中学校や行政・自治体や地域関係者、そして施設管理事業者との協力を進め、より多くの地域での導入を目指します。
ナイトコンシェルジュ® に関して
現在の暗闇対策は、暗いまま放置か、照明灯設置の事実上の2択となっています 。後者の場合、無条件に照明設備や電気工事、高騰する電気代や長期にわたる維持管理など、費用的にも運営的にも施設事業者の負担となっており、また、過剰な照明設置は利用者が必ずしも望まない状況もあり、CO2削減の観点からも環境に不要な負荷をかける側面もあります 。
「ナイトコンシェルジュ®」は、防災・避難標識などに使われてきた蓄光素材を創造的に活用するプロジェクトです。従来の蓄光素材のパフォーマンスを大幅に向上させた最新の高輝度蓄光技術を応用し、電気代、メンテナンス、電気工事が全て不要で半永久的に使用できる素材が特徴です。国土交通省のモデル事業として社会実験が実施され、9割の利用者から継続設置を希望する声が上がり、2023年に実用化されました。
日中もサインとして稼働できる暗闇対策のコミュニケーションツールとして、道路空間、公共施設、アウトドア・天文施設、イベント会場、工場内施設、またアミューズメントやメディア活用など、安全、自然、バラエティという主要3カテゴリーでの多様なシーンで展開されており、今後も多くの場面での活躍が期待されています。
※「ナイトコンシェルジュ®」はオリジナルの空間演出法として特許出願済、商標登録済です。
ナイトコンシェルジュサイト
https://humorous.jp/nightconcierge
株式会社 humorous(ユーモラス)(東京都目黒区、代表取締役:田村勇気)
広告代理店にて映画やドラマなどの製作に携わってきた代表の田村が、テクノロジーとエンタテインメントの融合で独自の課題解決を目指すコンテンツ開発企業として2022年創業。エンタメの演出を活用し課題空間を変身させるR&D事業など、コンテンツ開発を推進。Plug&Play、東京都エコーリーディングプロジェクト、JR東日本など全国の主要スタートアッププログラムに選出、受賞。
『あそびゴコロが、世界を救う』をミッションに、既存にない組み合わせやユーモアを有効活用し、心にゆとりある社会の実現を目指します 。
ユーモラスウェブサイト:https://humorous.jp
【本件に関するお問い合わせ】
株式会社humorous
担当:田村
メール:info@humorous.co.jp
すべての画像