NPO法人結び手「道徳的ジレンマ」について考えるライフシミュレーション型ボードゲームの実証開始！
インドの貧困地域における子どもたちの道徳的価値観育成を目的に、「遊びを通じて楽しく道徳的ジレンマについて考える」新しいライフシミュレーション型すごろくゲームを作成、実証実験を開始しました。
プロジェクト実施背景：教育の機会が奪われた子どもたちのために
「なぜ警察官になりたいの？」私たちがそう尋ねた村に住む10歳の少年は、迷うことなく「たくさんお金（賄賂）をもらえるから」と答えました。彼の言葉には、善悪の判断という視点がありませんでした。
なぜ学校に行かないの？と聞くと、「だって先生がこないから」ということも当たり前のこととなっています。
私たちが活動するインドの貧困地域では、学校があっても機能していなかったり、先生が授業に来なかったりする状況が珍しくありません。文字や計算を学ぶ以前に、「していいこと・悪いこと」「他人を思いやる気持ち」といった、人としての根幹となる道徳的価値観を学ぶ機会すら、多くの子どもたちから奪われている現状があります。
道徳や倫理は、周囲とのコミュニケーションを通して育まれるものです。家庭や学校、地域コミュニティでの経験、躾、そして時には失敗を通して、少しずつ身についていくものです。しかし、親にも学校にも教育を頼れないまま成長した子どもたちは、意図せず加害者にも被害者にもなってしまうという厳しい現実に直面しています。
活動地に住む10歳の少年の言葉は、その現実を痛烈に物語っていました。当たり前に不正が蔓延する社会では、他者が努力しようとする意欲さえも奪われてしまいます。
私たちは、このような社会の根幹に関わる課題に真摯に向き合うため、「モラルを楽しく学べる」ボードゲームの開発に着手しました。
遊びながら学ぶ倫理観
このゲームは、「正直であること」「助け合うこと」「ずるをしないこと」「男女平等」といった、人間として普遍的に大切な価値観を、ゲームを通して自然に身につけられるように作られています。単なる遊び道具としてだけでなく、教育へのアクセスが限られた地域の子どもたちが、外部環境によって努力する機会を奪われる状況を少しでも減らすための、「未来を守る盾」となることを目指す、希望のプロジェクトなのです。
東洋大学との連携
このプロジェクトは、私たちNPO法人結び手のメンバーに加え、東洋大学の学生の皆さんと共に考案したものです。日本の大学生ならではの自由なアイデアや新鮮で多角的な視点を取り入れながら、ゲーム開発を進めています。学生という若い世代の知恵と情熱が、このゲームに新たな可能性をもたらしてくれると私たちは確信しています。
ゲーム内容：笑いと学びがいっぱいの盤面
さいころの出目に沿って進んでいくと、思わず「自分ならどうする？」と考えてしまうような「カンニングをするか、真面目に解くか」「働くか、大学に進むか」「賄賂を払って仕事を得るか」といった、この地域の人々にとってどこか身近でありながらも重要な選択を迫られるマスに遭遇します。それと同時に、中には「年に一度のお祭りだ！楽しむぞ!! 1ターン休み」といった思わず笑いがこぼれてしまいようなマスも。
プレイヤーは、様々なマスでの出来事を楽しみながら、「こんな時、自分だったらどうする？」という問いに向き合い、それぞれの選択に応じてポイントを獲得していきます。
実証中の先生と子供の様子
プロジェクトの今後の展開
今後、実証と並行して制作のためのクラウドファンディングを実施予定です。また6月ごろを目安に各活動地への本格導入、及び製品化を計画しています。
このプロジェクトにご賛同いただける方やご協力いただける方を心よりお待ちしております。子供たちの明るい未来を支えるため、ともに歩んでいきましょう！
NPO法人結び手とは
NPO法人結び手は、「世界から外部環境が原因で努力できない人をゼロにする」をミッションとして2021年に設立され、インド国内22の地域で10団体以上と共に活動を展開するNPO法人です。ビハール州・ラジャスタン州を中心に1,560人の子どもたちに学習する機会を提供し、ブロックプリント製品の作成等を通じた女性自立支援を実施しています。インド在住の代表福岡をはじめインド国内外で国籍を問わず課題解決することを目的に活動しています。
すべての画像
