大学で何を学ぶか
元UCLA歴史学部教授・平野克弥関西大教授が語る
●自分の妹や弟の面倒をみる学生
私は同志社大学を卒業してから英国の大学に留学して、米国の大学でPhD.を取得しました。その後、米国内の4つの大学で教えてきました。分断化が進む米国では、大学も学生たちの階層化が進んでいます。最初の大学は低所得者層の学生が多いところでした。
学生の8割は文章がうまくかけず、自己表現がうまくできない。
母親がネグレクトで自分の弟や妹の面倒をみている学生が普通に存在していました。これが米国の大学教育の一面でもあります。
●目が輝き始めた
私は授業で植民地主義問題の書籍を毎回10pずつ読んで、自分の人生体験につなげて共通点を書かせて、議論をするという課題を出しました。初めは文章を書くこともできなかった学生が、少しずつ議論に慣れてきて、目が輝き始めました。15週の授業の終わるころは、他の教授が授業をみて驚いていたほどです。
私はどんな人でも成長できる。大学教育が持つ可能性を確信しました。実際、教え子から弁護士や高校の教師になった人もいました。その後、中程度の大学、アイビーリーグの大学でも教えましたが、考えは同じです。
●頭と心を使って検証する
人文系の大学は、読み書き、議論を通じて思考力を磨き、最終的には多角的視点から判断し決断力を身に着ける場です。
思考力を磨く過程は、一つの考えだけでなく、いくつかのソース(一次情報源)にあたり、頭と心を使って検証しなければなりません。そしてペーパーに書

知性、感性、想像力をつける場所
平野克弥(ひらの・かつや)1990年同志社大法学部政治学科卒業。英国バーミンガム大、ロンドン大留学後、シカゴ大でPhD.取得。米国インディアナ大サウスベント校、デポール大、コーネル大などを経て、UCLA歴史学部教授。今年4月から関西外大国際共生学部教授
き、発表する。
ここまでの作業を「クリティカル・シンキング(critical thinking)」といいます。「批判的思考」と訳せますが、それよりはじっくりと判断するということでしょうか。大学で学ぶことは知識の取得だけでなく、知性、感性、想像力をつける場所だと考えています。
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