Doog、モノ移動が多く環境変化が激しい物流倉庫においてメモリトレースの稼働検証に成功

株式会社Doog

株式会社Doog(茨城県つくば市、代表取締役:大島 章、以下「当社」という。)は、大型物流倉庫において協働運搬ロボット【サウザーEシリーズ】の運用・導入を確立するための稼働性検証を行ったことをお知らせします。この取り組みは、サウザーの販売及びシステム開発で連携する日立物流ソフトウェア株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:米倉 俊輔、以下「日立物流ソフトウェア」という。)の協力により実現しました。
■    背景
物流倉庫では、運搬ロボットを活用するにあたり、大きく3つの業務プロセス上の課題があります。
① 荷主の変化で現場の配置が変わる
② 商品の需給バランスの変化、時期による倉庫内の変化が大きい
③ コンベアや自動倉庫などの大規模な運用を除き、人手で業務を回す必要がある

物流倉庫に新しく無人搬送車(AGV)や運搬ロボット等の搬送機器を導入しようとすると「業務が変化した」「担当者が変わった」「運用を変えたい」といった“変化”への対応がまず求められます。日々変わる現場の業務に搬送機器が対応するため、再セットアップする必要があったり、そもそも通路が荷物で占有され搬送機器が使用できなくなったりと、現場の変化に対して追加コストや障害が発生してしまいます。そのような理由から、搬送作業は機械に頼らず人手で対応するほうが早いと考え、現場改善が後戻りするケースもあります。こういった点が搬送機器を活用する際の業務プロセス上の課題でした。
さらに、磁気式ラインテープに沿って走行するAGVがありますが、倉庫内を走行するリーチフォークリフトのタイヤにより、テープが破断することで、運用が滞る懸念から導入が困難といった課題がありました。また、AMRと呼ばれるガイドレス方式自動走行ロボットでは、周辺環境の変化に弱いといった課題があります。特に、ラック棚の荷物の有無や、トラックゲート周辺のシャッターの開閉状態、トラックの有無等によって環境形状が変化するため、あらかじめ作成した地図との対応付けが取れなくなり、思うように走行できず、結果的に導入出来ないケースもあります。
以上のように、従来のガイド方式およびガイドレス方式のいずれにおいても現場の要求スペックを満たせないといったケースがあります。とりわけモノ移動が多く環境変化が激しい物流倉庫においてこの課題は顕著となり「環境変化への対応力」が物流搬送機器に求められているのが現状です。

■    当社のアプローチ
そこで、当社ではこれらの課題に対応するため、メモリトレース技術の開発を進めて参りました。メモリトレースは、ボタン1つで地図と走行ルートの作成が行え、これらの再作成・変更も容易な「自動走行機能」です。
この度の検証では、サウザーに標準搭載されたLiDARの他に、高い位置に追加搭載されたLiDAR(図1を参照)を用い、建物内で環境変化が少ない領域(地上3m等。サウザーの周囲で可動する台車や床置きパレット・荷物の影響を受けない高い位置。)を優先的にセンシングすることで、環境変化に負けない自動走行が実現できました。サウザーEシリーズに対して最長200mまで計測可能な3D-LiDARを追加搭載しました。
また、メモリトレースの環境認識アルゴリズムにも改良を加え、モノ移動が多く環境変化が激しい物流倉庫においても安定して走行できる要素技術を開発しました。具体的には、倉庫内の荷物や環境条件に変化が生じた場合であっても、センシングした3D形状のデータから、可動物品と固定物とを厳密に見極め、壁や柱や棚などの固定物形状を特徴点として正確に抽出できるアルゴリズムを搭載しました。
加えて、作成した地図が環境変化に対応しきれなくなった場合であっても、現場の担当者がご自身で記憶データを再セットアップできるため容易に復旧できます。このため、業務の状況に応じて運用を変更した場合であっても、現場の担当者がご自身で改善活動を繰り返すことができます。

図1 追加搭載したLiDARの視野範囲イメージ図1 追加搭載したLiDARの視野範囲イメージ

 
■    検証を実施した内容
物流倉庫内では、一般的にトラックヤード脇の導線が最も変化の激しい場所です。そこで本検証では、大型シャッターの開閉や荷物ラックの有無を変化させ、これらの環境変化に対し、メモリトレースが有効に機能することを確認しました。その結果、下記の環境変化があったとしても、サウザーEシリーズのメモリトレースで安定かつ正常に走行できることが分かりました。

~ 現場環境と変化の具体例 ~
 検証通路の片側には長さ10m程度のシャッターが2枚あります。記憶時には閉鎖(図2)しメモリトレースでの自動走行時には開放(図3)して、意図的に環境変化を生じさせました。また、シャッターの反対側には長さ3m程度の荷物ラックがあります。この荷物ラックにも意図的に環境変化を生じさせました。記憶時には棚が空の状態とし、自動走行時には隙間なく満載されているよう、環境変化を変化させました。図3に示す通り、白い布を荷物ラックに被せることで模擬しました。前述の環境変化は図4に示す通り、3D-LiDARのデータに現れております。

図2 シャッター閉鎖時の写真図2 シャッター閉鎖時の写真

図3 シャッター開放時の写真図3 シャッター開放時の写真

図4サウザーが捉えた周辺環境の形状データ(上から見た様子)図4サウザーが捉えた周辺環境の形状データ(上から見た様子)


■ 想定の運用内容
この現場では、メモリトレースの特徴を生かし、物流倉庫での流動的な搬送業務を自動化する試みが検討されています。具体的には曜日で運用をがらりと変えることです。短いスパンでの大きな運用変更が容易であることがメモリトレースのポイントです。

~計画している運用例~
1.特定の曜日では、往復路で6輪カートを3台牽引して搬送。経路の始点・終点には作業者がおり、カートの送り出しと受け取りを1日に数百台単位で行う。
2.別の曜日では、サウザーがハンドパレットトラックを牽引。リーチフォークリフトの作業者が経路の始点・終点で荷物を搭載し、無線式のボタンでリーチフォークリフトに乗ったままサウザーに走行スタート指示をする。
3.別の曜日には別ルートを往復し、不定形な業務として代表される6輪カートの回収や移動では、自動追従機能を活用。
4.サウザーのライントレース機能とメモリトレース機能を併用することも想定。今後の変化する業務にも柔軟に応えられるよう事前に施策を講じる。
 
■ サウザーEシリーズのメモリトレース機能とは
メモリトレース機能はパッケージ製品である"サウザーベーシック"に標準搭載され、現場改善ツールとして活用が拡がっています。工場、設備点検、公共施設などにおいてはレーザセンサが壁や柱など固定物を計測できるため安定的な運用を確立するのが容易です。
サウザーEシリーズは、LiDARを含めて多種多様なカスタマイズができることから、この特性を活かすことで、モノの移動が多く環境変化が激しい物流倉庫でそのパフォーマンスを発揮することが出来ました。なお、高い位置にレーザセンサを追加しますが、障害物検知は標準搭載する低い位置のセンサを併用するため、安全性と環境認識を分離して両立することが出来ます。サウザーEシリーズに搭載する3D-LiDARの追加費用は5年保証が付帯した上で想定価格は100万円程度であり、高性能ながら安価にご提供できます。
ボタン操作による運用だけでなく、ネットワーク経由でアプリや運行管理システムからメモリトレースを操作することも可能であり、さらに幅広いソリューション構築に活用することが出来ることもEシリーズの特長です。
サウザーの内蔵コンピュータには総延長1000km程度まで、各ルートにファイル名を付けて分割して記憶することが出来ます。
また、複数のサウザーにルートをコピーやバックアップをすることが一般的なファイル管理ツールから容易に可能です。
分割して記憶したルートがグラフ状であれば、分岐を含むルート構成を自在に連結して走行指示をすることが出来ます。
以上のように、大規模な運用ルートの構築も容易でありながら、部分的な記憶ルートの修正ができるため、導入・運用をしやすい自動搬送システムが構築できます。

■ 今後の取り組み
当社ではメモリトレースを搭載したサウザーEシリーズを「業務改善パッケージ」として確立し、サウザー販売事業者から提供する準備を進めて参ります。また、サウザーEシリーズのライントレース機能における耐フォークリフト性能向上として再帰反射塗料の利用やソフトウェアの改良なども継続しております。当社シンガポール子会社では、本発表と同様の取り組みをアパレルブランドの3PLを請け負う欧州の物流会社や、食品製造現場向けなど複数個所に先行導入済みであり、さらなる拡販を進めて参ります。

■ お問い合わせ
本リリースに関するお問い合わせやアポイントメントのご依頼については、それぞれ以下の担当までご連絡くださるようお願い申し上げます。

・株式会社Doog 広報担当
当社ウェブサイト(https://doog-inc.com/)のお問い合わせページよりご連絡ください。

・日立物流ソフトウェア株式会社 営業本部 営業企画部 営業企画グループ
日立物流ソフトウェアウェブサイト(https://www.hitachi-hbsoft.co.jp/)のお問い合わせページよりご連絡ください。
 

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会社概要

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業種
製造業
本社所在地
茨城県つくば市吾妻3-18-4
電話番号
-
代表者名
大島 章
上場
未上場
資本金
-
設立
2012年11月