2020年上半期台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業の振り返りとメーカー動向<ワイズ機械業界ジャーナル10月第4週号発行>
〜台湾機械業界の動向が分かる〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の10月第4週号を発行しました。今週号では、専用機械設備業界、伝動部品業界、工作機械メーカーのCHEVALIER、台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業について紹介します。
<201029号内容案内>
台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業の振り返りとメーカー動向—2020年上半期
一、産業概況
プラスチック・ゴム加工設備製造業の主要品目は、▽プラスチック射出成形機▽プラスチック押出し成形機▽その他プラスチック・ゴム加工機械・部品──の3つに分けられる。このうち、プラスチック射出成形機は川下産業の多くが海外に移転した影響で、多くのメーカーが川下産業の移転先で生産・販売するようになったことから、台湾市場における販売比率は減少傾向が続き、2020年1〜7月には43.47%まで下がった。また、プラスチック押出し成形機の販売比率は11〜15%の間で変動しており、20年1〜7月は14.66%だった。一方で、中国市場からの需要増加の恩恵を受けて、その他プラスチック・ゴム加工機械・部品の20年1〜7月の販売比率は41.88%と大きく上昇した。
二、主要輸出相手国
台湾プラスチック・ゴム加工設備製造業の主要輸出相手国・地域は、▽中国▽東南アジア▽新南向国家(東南・南アジアなど18カ国)──などだ。 新型コロナウイルス感染症が流行したため、2020年第1四半期は中国市場における台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業の需要は縮小した。しかし、中国でコロナウイルスの感染拡大が落ち着いたこと、中国政府が経済振興政策を実施したことに加えて、米中貿易摩擦によって米国が中国製品に対する輸出制限を設けたことから、中国は米国以外で生産された製品の調達規模を拡大した。このため、20年1〜7月の台湾当産業の対中国輸出は大きく伸び、輸出比率は20.82%となった。また、ベトナムと米国への輸出比率は小幅成長、日本への輸出比率は横ばいを維持、インドネシアへの輸出比率は6.6%と縮小した。
三、メーカー動向
富強鑫精密工業(FCS)
FCSは台湾最大のプラスチック射出成形機メーカーである。台湾と中国に生産拠点を設置するほか、インドネシア、タイ、フィリピンを含む東南アジア各地に子会社を設置し、市場開拓を進めている。
近年、インドでは製造業が迅速的に成長しており、プラスチック射出機に対する需要が大幅増加している。このため、FCSはインドで5つ目となる生産拠点の建設を決定した。新工場は延べ面積4万平方メートル、2023年より稼働して、インド国内の▽自動車部品▽3C(コンピューター、通信、家電)▽食品包装▽医療器材──など各産業にハイエンド機械を提供する予定である。
また、インダストリー4.0の普及に合わせて、FCSはスマート製造システム「iMF4.0(intelligent Manu Factory)」をリリースした。同社新製品の全電動式射出成形機および高効率射出成形機と統合して、顧客にスマート生産ラインのソリューションを提供しており、台湾の川下業者から高い評価を得ている。
FCSの王俊賢総経理は、プラスチック射出成形機は新たな技術革新の中にあると言う。例えば、新しい複合材料の導入や軽量化製造法の開発においては、原材料、金型、製造プロセスの管理および機械設備の構造などの切り口からスマート製造の可能性を考えなければならない。これに対して王総経理は、同社のiMF4.0がスマート生産ラインを構築するメーカーの助力になると述べた。
英済股份有限公司(メガフォース)
メガフォースは精密金型の設計、開発および製造、精密プラスチック部品の設計、製造を手がけており、製品は▽マウス▽キーボード▽イヤホン▽スピーカー──などの電子製品に応用されている。新型コロナウイルスの感染が拡大し、各国が防疫のために隔離措置を実施したことから、リモートワークと自宅隔離の需要が増加した。これに伴ってオフィス向けのパソコン設備、遠距離情報通信設備、オーディオ設備の関連需要が成長した。また、第5世代移動通信システム(5G)向けのスマートフォンがリリースされたことで関連部品の需要が拡大し、顧客からの調達需要も伸びている。 このほか、メガフォースは新工場(マレーシア、嘉義県民雄郷)が稼働開始し、2020年下半期から売上高に貢献する見通しだ。メキシコ工場も第2四半期から売上高に貢献していることから、生産能力を分散した効果が現れている。 近年、環境保護意識が高まる中、メガフォースは顧客とポストコンシューマ材料(PCR)の成形技術を開発し、2020年第3四半期より量産を開始した。同社によると、PCR材料は品質管理が難しいため、電子製品に使用されてこなかったが、今回の技術革新と環境保護材料の開発ブームが後押しとなり、今後は関連需要が増加すると予測している。また、水性塗布製造プロセスも開発し、20年末に正式導入する予定で、これにより永続的な製造を目指す。 また、競争力を強化するため、同社は台湾の金型工場でスマート・自動化金型生産ラインのアップデート計画を進めている。第一期は2021年上半期に完成する予定だ。台湾金型工場の生産能力を倍に引き上げ、1人のオペレーターで複数の機械設備を管理するスマート・自動化生産体制を確立する。これにより、金型産業の構造転換と生産コストの最適化が促進されるだろう。
<ワイズ機械業界ジャーナルとは>
台湾で唯一機械業界に特化した日本語情報誌です。
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工作機械、機械設備、機械制御装置、手工具、動力工具、ねじ・ナット・リベット、ファスナー、金型、自動車、航空宇宙、自動化・ロボット、再生エネルギー等などの情報が満載です。
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業界トレンド、企業動向、統計資料、法改正情報を全て網羅しています。
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【会社概要】
会社名:ワイズコンサルティング グループ
所在地:中華民国台北市襄陽路9號8F
代表者:吉本康志
設立:1996年11月
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事業内容:
・経営コンサルティング(人事労務・マーケティング・経営戦略・情報セキュリティ)
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ワイズコンサルティング
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1 | 専用機械設備業界 | その他未分類専用機械設備製造業の 振り返りと今後の展望—2020年上半期 |
2 | 機械伝動部品業界 | 自給能力強化と技術革新を続ける台湾伝動部品産業 |
3 | 工作機械業界 | 工作機械メーカー福裕事業(CHEVALIER) |
4 | プラスチック・ゴム加工機械設備業界 | 台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業の 振り返りとメーカー動向—2020年上半期 |
●今週号の記事を一部紹介します。
台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業の振り返りとメーカー動向—2020年上半期
一、産業概況
プラスチック・ゴム加工設備製造業の主要品目は、▽プラスチック射出成形機▽プラスチック押出し成形機▽その他プラスチック・ゴム加工機械・部品──の3つに分けられる。このうち、プラスチック射出成形機は川下産業の多くが海外に移転した影響で、多くのメーカーが川下産業の移転先で生産・販売するようになったことから、台湾市場における販売比率は減少傾向が続き、2020年1〜7月には43.47%まで下がった。また、プラスチック押出し成形機の販売比率は11〜15%の間で変動しており、20年1〜7月は14.66%だった。一方で、中国市場からの需要増加の恩恵を受けて、その他プラスチック・ゴム加工機械・部品の20年1〜7月の販売比率は41.88%と大きく上昇した。
二、主要輸出相手国
台湾プラスチック・ゴム加工設備製造業の主要輸出相手国・地域は、▽中国▽東南アジア▽新南向国家(東南・南アジアなど18カ国)──などだ。 新型コロナウイルス感染症が流行したため、2020年第1四半期は中国市場における台湾プラスチック・ゴム加工機械設備製造業の需要は縮小した。しかし、中国でコロナウイルスの感染拡大が落ち着いたこと、中国政府が経済振興政策を実施したことに加えて、米中貿易摩擦によって米国が中国製品に対する輸出制限を設けたことから、中国は米国以外で生産された製品の調達規模を拡大した。このため、20年1〜7月の台湾当産業の対中国輸出は大きく伸び、輸出比率は20.82%となった。また、ベトナムと米国への輸出比率は小幅成長、日本への輸出比率は横ばいを維持、インドネシアへの輸出比率は6.6%と縮小した。
三、メーカー動向
富強鑫精密工業(FCS)
FCSは台湾最大のプラスチック射出成形機メーカーである。台湾と中国に生産拠点を設置するほか、インドネシア、タイ、フィリピンを含む東南アジア各地に子会社を設置し、市場開拓を進めている。
近年、インドでは製造業が迅速的に成長しており、プラスチック射出機に対する需要が大幅増加している。このため、FCSはインドで5つ目となる生産拠点の建設を決定した。新工場は延べ面積4万平方メートル、2023年より稼働して、インド国内の▽自動車部品▽3C(コンピューター、通信、家電)▽食品包装▽医療器材──など各産業にハイエンド機械を提供する予定である。
また、インダストリー4.0の普及に合わせて、FCSはスマート製造システム「iMF4.0(intelligent Manu Factory)」をリリースした。同社新製品の全電動式射出成形機および高効率射出成形機と統合して、顧客にスマート生産ラインのソリューションを提供しており、台湾の川下業者から高い評価を得ている。
FCSの王俊賢総経理は、プラスチック射出成形機は新たな技術革新の中にあると言う。例えば、新しい複合材料の導入や軽量化製造法の開発においては、原材料、金型、製造プロセスの管理および機械設備の構造などの切り口からスマート製造の可能性を考えなければならない。これに対して王総経理は、同社のiMF4.0がスマート生産ラインを構築するメーカーの助力になると述べた。
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メガフォースは精密金型の設計、開発および製造、精密プラスチック部品の設計、製造を手がけており、製品は▽マウス▽キーボード▽イヤホン▽スピーカー──などの電子製品に応用されている。新型コロナウイルスの感染が拡大し、各国が防疫のために隔離措置を実施したことから、リモートワークと自宅隔離の需要が増加した。これに伴ってオフィス向けのパソコン設備、遠距離情報通信設備、オーディオ設備の関連需要が成長した。また、第5世代移動通信システム(5G)向けのスマートフォンがリリースされたことで関連部品の需要が拡大し、顧客からの調達需要も伸びている。 このほか、メガフォースは新工場(マレーシア、嘉義県民雄郷)が稼働開始し、2020年下半期から売上高に貢献する見通しだ。メキシコ工場も第2四半期から売上高に貢献していることから、生産能力を分散した効果が現れている。 近年、環境保護意識が高まる中、メガフォースは顧客とポストコンシューマ材料(PCR)の成形技術を開発し、2020年第3四半期より量産を開始した。同社によると、PCR材料は品質管理が難しいため、電子製品に使用されてこなかったが、今回の技術革新と環境保護材料の開発ブームが後押しとなり、今後は関連需要が増加すると予測している。また、水性塗布製造プロセスも開発し、20年末に正式導入する予定で、これにより永続的な製造を目指す。 また、競争力を強化するため、同社は台湾の金型工場でスマート・自動化金型生産ラインのアップデート計画を進めている。第一期は2021年上半期に完成する予定だ。台湾金型工場の生産能力を倍に引き上げ、1人のオペレーターで複数の機械設備を管理するスマート・自動化生産体制を確立する。これにより、金型産業の構造転換と生産コストの最適化が促進されるだろう。
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代表者:吉本康志
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