福島の高校生が“宇宙”へ挑戦!大きな虹が祝福「福島ロケットチャレンジ2025」開催レポート
優勝は福島工業高・定時制「TEIJI魂」、2026年2月に福島県南相馬市で開催される全国大会「宇宙甲子園」への出場権を獲得

2025年11月1日(土)、3回目の開催となる「福島ロケットチャレンジ2025」が福島市・ふくしまスカイパークにて開催されました。未明の強風と雨にもかかわらず、会場上空には大きな虹がかかり、出場した高校生たちの挑戦を祝福しました。
本大会は、県内の中高生を対象に、モデルロケットの製作・打ち上げを通して、科学技術への探求心とチームワークを育むことを目的とする教育プログラム。福島県内の6チーム・26名の高校生が、夏から準備を重ねたオリジナルのモデルロケットで、性能と完成度を競いました。

自然の中で挑むリアルな「科学競技」
出場チームが製作するのは、生のうずらの卵を搭載した、全長30cm以上・重量150g以下のオリジナルロケット。市販キットの改造ではなく、自分たちで設計・加工した構造が求められます。
卵が割れずに帰還できるか、どの高度まで飛ばせるか、どれだけ正確に滞空時間を制御できるか。 目標は高度250ft(約76m)、滞空時間16〜18秒。 この目標値との差をスコア化し、さらに、飛行データに加え、チームのプレゼンテーションでは「根拠ある設計」「観察に根差した分析」「自らの言葉で説明できるか」が総合的に評価されます。
未明から続いた強風により一部では飛行条件が厳しくなりましたが、全チームが朝から午後にかけて計2回の打ち上げを実施。緊張のなか、様々な工夫が施された色とりどりのロケットが秋空へ力強く飛翔しました。




優勝は福島工業高等学校 定時制「TEIJI魂」
今年度の優勝は、福島工業高等学校定時制「TEIJI魂」。記録は高度242フィート・滞空時間17秒09と、見事な安定飛行を実現しました。
同チームの代表生徒は「軽量化とバランス設計に徹底的に取り組みました。4人だけのチームで頑張ってきたので本当にうれしい。全国大会でも挑戦を続けます」と語りました。
その他の結果は以下の通りです。
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優勝(A部門):福島県立 福島工業高等学校 定時制「TEIJI魂」(テイジダマシイ)
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審査員特別賞:福島県立 会津工業高等学校「チーム会工」(チームカイコウ)
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Astro X 賞:福島県立 福島高等学校「PERSEUS」(ペルセウス)
見事優勝を果たしたチーム「TEIJI魂」は、2026年2月に福島県南相馬市で開催される全国大会「宇宙甲子園」への出場権を獲得しました。



試行錯誤のその先に――仲間と挑んだ“宙(そら)”
各校の生徒たちは、夏の猛暑の中で試射を繰り返し、グラム単位で機体を調整。プレゼンテーションでは、観察データをもとにした設計理由や改良点を自らの言葉で語りました。
「自分たちで作ったロケットが空に上がっていく瞬間は感動です」
「仲間と試行錯誤しながら一つのものを作り上げる時間が楽しかった」
そんな声が会場のあちこちで聞かれました。




渥美審査員長が語る「挑戦の本質」
今大会で審査員長を務めたのは、三菱重工業株式会社で防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 事業部長、フェローアドバイザーを歴任してきた渥美 正博氏。H-IIからH3ロケットまで、日本の主力ロケット開発を牽引してきた日本を代表するエンジニアです。
大会後の特別講話では「ロケットの打ち上げは“挑戦の連続”。 失敗を恐れず挑戦してほしい」 と参加者にエールを送りました。


福島から“宇宙人材”を育む
「福島ロケットチャレンジ」は、宇宙・航空産業を担う人材を育てるための教育プロジェクト。実行委員会では、今後も県内の学校や企業と連携し、福島から未来の宇宙開発を支える若者たちを育てていく予定です。








【大会概要】
名 称 福島ロケットチャレンジ2025
日 時 2025年11月1日(土)8:15〜17:00
会 場 ふくしまスカイパーク(福島県福島市大笹生苧畑169)
主 催 福島ロケットチャレンジ2025実行委員会
審査員長 渥美 正博 氏(元・三菱重工 宇宙事業部 フェローアドバイザー)
審査員 八島 京平 氏(株式会社うちゅう 取締役)
【実行委員会構成(敬称略)】
実行委員長 和田 豊(Astro X 株式会社 CTO/千葉工業大学宇宙輸送工学研究室 教授)
出村 裕英(会津大学 教授/宇宙情報科学研究センター長)
福島県 商工労働部 産業人材育成課
福島県立テクノアカデミー郡山
福島県立テクノアカデミー浜
福島市 商工観光部 産業雇用政策課
【本件に関するお問い合わせ先】
福島ロケットチャレンジ2025 実行委員会 事務局(株式会社パスファインダー内)
E-mail:info2@path-finder.co.jp
※写真は全て© Miho Harada PATHFINDER
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