短い質問で小中学生の「心の元気」の見える化を実現
世界標準のWHO-5を、子どもに答えやすい形で日本で検証
公益社団法人 子どもの発達科学研究所(本部:大阪市北区)客員研究員の足立 匡基らの研究チームは、世界的に最も広く使用されている5項目で構成される心の元気(ウェルビーイング)の指標「WHO-5」を、日本の小中学生で正確に測れるか(信頼性と妥当性)を検証し、安定して機能し、子どもたちが一貫性をもって回答できることを明らかにしました。
本研究は、Frontiers社が発行する公衆衛生(Public Health)分野の国際的な学術誌『Frontiers in Public Health』に正式に受理され、公開されています。
著者:足立匡基 , 髙橋芳雄 , 森裕幸 , 西村倫子 , 長田真人 , 足立みな美 , 門田麗 , 和久田学 , 中村和彦
◾️筆頭著者情報
足立 匡基 Masaki Adachi
公益社団法人 子どもの発達科学研究所 客員研究員
明治学院大学心理学部 准教授
弘前大学大学院医学研究科 客員研究員
博士(人間科学)
◾️掲載誌名・DOI
掲載誌名:Frontiers in Public Health
DOI:10.3389/fpubh.2025.1662332
論文タイトル:Psychometric validation of the WHO-5 and WHO-4 well-being index scales for assessing psychological well-being and detecting depression in Japanese school-aged children: a community-based study.
論文URL:https://www.frontiersin.org/journals/public-health/articles/10.3389/fpubh.2025.1662332/full
◾️筆頭著者による本研究のポイント解説
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子どもの心の健康は、「不調になってから気づく」だけでなく、日ごろの“元気さ”の変化に早めに気づくことが大切です。文部科学省の不登校対策「COCOLOプラン」でも、毎日の健康観察やICTの活用を通じて、心身の小さな変化を捉え、支援につなげる方向性が示されています(文部科学省, 2023)。
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そこで私たちは、「WHO-5」という世界的に最も広く使用されている5項目で構成される心の元気(ウェルビーイング)の指標(World Health Organization, 2024)を、学齢期の子どもでも答えやすい4段階の回答形式に調整し、日本の小中学生で正確に測れるか(信頼性と妥当性)を検証しました。さらに、国や文化によって受け取り方が分かれやすいことが指摘されている1項目を除いた短縮版(WHO-4)も同時に検討しました。
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対象は、国内の公立小中学校(小学4年〜中学3年相当)の児童生徒6,983人(10〜15歳)。分析の結果、WHO-5もWHO-4も、どちらも安定して機能し、子どもたちが一貫性をもって回答できることが確認されました。
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また、性別や学年(小学生/中学生)をまたいでも同じ物差しとして比較しやすいことが示され、学校全体の傾向把握や経年モニタリングにも使用しやすいツールであることを確認しました。
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加えて、既存のうつ症状のスクリーニング尺度(PHQ-A)を基準に、「支援につなげる目安となる点数」も提案しました。例えば、WHO-5(15点満点)では10点以下、WHO-4(12点満点)では8点以下が、中等度の抑うつ状態を拾い上げる一つの目安になり得ることが示されました。
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以上のように、子ども向けに回答負担を軽くしたWHO-5/WHO-4は、日本の小中学生でも信頼できる形で「心の元気」を把握できる可能性が示されました。学校現場では、「不調の発見」だけでなく、「元気の維持・回復を支える」ための入口として、日常的な観察や対話と組み合わせて活用することが期待されます。
※本尺度は診断ではなく、変化に気づくための目安(スクリーニング)です。点数だけで判断せず、本人の様子や困りごとを丁寧に確認し、必要に応じて学校内外の専門職や医療・相談機関につなぐことが重要です。
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◾️公益社団法人子どもの発達科学研究所について
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法人名にある「子ども」を対象の中心としながらも、すべての人のための「ヒト支援」を進めています。
すべての子どもの幼児期から思春期における成長を科学で支え、健やかな未来へと導くため、研究、開発、コンサルティングなど、幅広く活動しています。
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